Oh! My HONEY 1


いやぁ、気まずい。
めちゃくちゃ気まずい。
何考えてるか分かんないし。
恋愛初心者同士ってこんなもんなのかしら。






かちかち小さな音が響くガレージにて。
パソコンに向かう遊星と二人きり。
真剣な様子だから話しかけていいのかどうかも全く分からない。
いや、話しかけても問題ないはずなんだけれど。
邪魔かも?
鬱陶しい?
集中してる?
何だか話しかけるタイミングを逸してしまって…今に至る。
折角の二人きりなのにー…と思いながらソファで携帯を触るしかない。
そもそも彼氏なんて初めての存在だし!
何をすればいいのかもさっぱり分からないし!
こういう時って男が何とかするもんじゃないの!?と遊星の背中を睨んでみても、彼がこちらを振り返ることは無かった。
まあ男性にばかり何とかさせる風潮ってのは好きじゃないけど。
でも背中向けてパソコン触らなくてもいいのになぁ…とこっそり溜め息をついた。
しかし、は知らない。
その目の前で遊星も同じ気持ちでいることに。
あまりの気まずさに集中した振りをしているが、遊星も後ろが気になって仕方が無い。
本当は話しかけたいのだけれど。
正直何を話していいのだかさっぱり分からない。
そもそも彼女なんて存在は初めてだ。
いや、それ自体が夢でもおかしくないくらいの心境である。
の方から何でも良いから話題振ってくれないかなー、とか思いつつ画面を見ていた。
まあ、この画面もそのうちやらなければならないことで。
今やっても問題ないんだけど、明日やるんでも本当は良いものだった。
胃の痛くなりそうな静寂。
なんかもうお互いの背中に冷や汗が流れるほどの。



そもそもこの二人の馴れ初めは誰にも内緒だったが遊星の一目惚れにも似た直感だった。
嗚呼、この人だと思った。
ただその一点のみ。
趣味が合うわけでもなく、幼馴染でもなく、友達でもない。
沢山のその他大勢の中から片割れを探し出したような感覚。
そして不思議なことにも遊星を見たときにそれを感じた。
ずっと昔に失くした自分が戻ってきたような懐古感。
パズルのピースが埋まる瞬間というものがこれだとはっきり言える気分。
誰にも教えていない神聖な瞬間を二人は鮮明に覚えている。
…まだたった一週間前の話だから鮮明なのは当たり前だったけれど。



で。
そんな初々しすぎる二人は恋愛経験などゼロで皆無。
今までそんな気分になったこともない。
だから、どうしていいのかわからない。
ついでに言えばお互いのことも全然知らないからどんな話題を振っていいのかも分からない。
とは言え流石にこれは…と思い遊星は意を決してパソコンの画面をセーブする。
そしてぱちんと電源を落として振り返った。
、何か飲まないか?と言ってもコーヒーかジュースくらいしかないが」
おおっ、遊星から話しかけてくれた!
はぱっと携帯から顔を上げる。
普段ならここで「お構いなく!」とか言ってしまうが、折角遊星から話しかけてくれたから遠慮はしない。
「じゃあジュースで。ありがとう、遊星」
この『ありがとう』には話題を振ってくれてありがとうという意味も含まれていた。
「分かった。少し待っていてくれ」
「うん!」
安堵でソファに崩れそうになるが、そこは我慢だ。
次は自分が話題振る番かな。
でもDホイールのことは正直全然分からない。
まあ無難にカードのことがいいかな。
それとも遊星のこと聞いちゃおうかな。
名前と連絡先くらいしかまだ知らないもんね。
出会って一週間と言う短い期間であったが、遊星はすぐに自らの仲間にを紹介してくれて既に仲間の一員のようになっていた。
特にアキとは女同士で打ち解けるのは早かったし、龍可と龍亜も懐いてくれた。
後の男二人は…まあおいおいと言ったところか。
一昔前の有名人、ジャック・アトラスがいたのは驚いたが、遊星の旧友と聞かされて更に驚く。
気難しそうな印象が強く、仲良くなれるのは微妙なセンかと思っている。
アキ曰く『とりあえずデュエルで負かしてしまえは簡単に籠絡出来るわよ』とのこと。
でも元キングのデッキに敵うかどうかは微妙だった。
もう一人のクロウというマーカーだらけの方は明るくて優しかった。
見た目はジャックよりも怖そうな印象だったけど。
忙しそうでまだ打ち解けるほどの会話をしてはいないが、ジャックよりとっつきやすかったのは事実である。
今日はその誰もがガレージにはいなかったけれど。
だからこそ余計に緊張するのであるが。


「すまない、待たせた」
ごちゃごちゃ考えていたら遊星の登場である。
「あ、ありがとう」
グラスに注がれたジュースを受け取り少しだけ口を付けた。
遊星は自分用にコーヒーを持ってきたらしい。
多分お湯を沸かしていたのだろう、だから戻ってくるのが少し遅かったのだ。
「あ、遊星…」
「何だ?」
隣ではなく対面上に腰を掛けようとする遊星を思わず呼び止めてしまった。
即答の遊星はぴたりと動きを止めてを見る。
「あの、あのね…目の前じゃなくて…隣に座ってくれたら嬉しいな」
頬を赤くしては消え入りそうな声で言った。
遊星は一瞬きょとんとしたようだが、軽く頷くと少しだけ間を空けての隣に腰を落ち着けたのである。
あ、その20センチの距離感なんかもどかしい!!
とは思ったが、とりあえずさっきよりは距離はずっと近付いた。
「今日は…おうちに誘ってくれてありがとう」
「いや…寧ろ何もなくて悪いが…」
「ううん。遊星がいれば何だっていいんだよ」
にっこりと笑うに遊星は少しだけ視線を逸らした。
勿論照れたからであるが無表情の遊星からそれを察するのは至難の業だ。
5Dsの面々なら上手いこと理解したであろうがはまだそれを見抜けずに、視線逸らされちゃった…とやや悲しい気分になる。
「あ、そういえば遊星。みんなは?」
「アキと龍可、龍亜は今日は来ない。クロウはサテライトの孤児院だ。子供たちに呼ばれて泊まりで出かけている。ジャックは昨日から帰っていない。理由はよく知らないが」
「…え、じゃあ…」
正真正銘二人きりか。
助け舟も来ないのか。
いや、うん、良い方に考えるべきだろう。
5Dsのカリスマリーダー・遊星を独占出来る機会なんてそうそうない。
それに皆遊星が大好きで何かとちょっかいが入るから、今日思い切り甘えればいいじゃないか。
他の皆の(というか龍亜)の様に!
「じゃあ、二人きり…なのね。あは、ちょっと照れるかも」
言いながらは少しだけ遊星と距離を詰める。
後、10センチ…くらいかな?
近付いてきたに心臓を揺さぶられる遊星。
照れるなんて言いながらはにかむが本当に可愛い。
恋愛沙汰に全く興味のなかった遊星だが、だけは別だと心の底から思う。
もう少し近寄りたい。
いや、抱きしめたい。
寧ろの首筋に顔を埋めて、彼女の香りを思い切り堪能したい。
即物的すぎて自己嫌悪だがそんな衝動を遊星に引き起こす何かを彼女は持っている。
「可愛いな、は」
思わず素直に口から出してしまった。
しかしは更に頬を赤らめて。
「えっ、や、やだな…恥ずかしいよ」
なんて言って顔を隠すような仕草をする。
可愛い!
遊星は無表情のまま、顔を隠すように手を掴んで自分の口元に持っていった。
「ひゃぁっ!ゆっ、遊星…!?」
そのまま軽く目を伏せて、の手の甲に唇を押し付ける。
ちゅ、と小さな音が静かなガレージに響いた。
手の甲にキス…なんてキザな!!
ああ、でも遊星だったら何でも格好いい…。
最早バカップル定番の感想を心の中で呟いて、は遊星のキスを受け入れた。
そうっと遊星が離れるのがちょっと名残惜しくて思わず甘い吐息が漏れる。
「…すまない、あまりにも可愛くて」
「う、ううん…あの、嫌じゃないっていうか…寧ろ嬉しいっていうか」
そして恥ずかしいっていうか。
遊星がキスしたところが熱い。
ドキドキする。
でも、やっぱり…。
「遊星…あの、えっと…手…手だけじゃなくて…出来ればちゃんと…。い、嫌じゃなかったら…」
あぁ言っちゃった。
初めてだけど、その初めては遊星が良い。
ちろりと遊星を見たらやっぱり無表情で。
「いいのか?」
なんて。
聞かなくていいし!
確認取らなくていいし!
「じゃあ、俺の部屋へ行こう」
「…へ?」


「ああ、そのままでいい」
「え、あの、ちょ…うひゃぁっ!」
先程はずっと背を向けていたとは思えないくらいの行動力で遊星はひょいっとを抱き上げた。
いわゆるお姫様抱っこ。
遊星の顔が驚くほど近い。
頭が沸騰しそう。
「あ、あのあの遊星さん?」
「まさかそんな誘いをくれるとは思わなかった。、俺は凄く嬉しい」
ほんの少しだけ照れたように笑う遊星は上機嫌で頬に軽くキスをしてくる。
えー!ちょっと待って!!
そっちの初めてじゃなくて、ああ、そんな心の準備がっっ!!
でも笑った遊星超可愛い。
それだけで何でも許してしまいそうな自分がいるのも事実。
短い階段を上がり、遊星の部屋へ連れ込まれてしまった。
椅子もあるのにわざわざベッドの端に下ろされる。
…」
熱っぽく名前を呼んで、床にひざまづいた遊星が顔を近づけてきた。
ああ、もうなるようになれっ。
「ん…」
触れ合う瞬間はやっぱりドキドキが止まらなくて、柔らかな感触が全ての感覚を支配したみたいだった。
もっと恥ずかしいとか、そんな想像をしていたけれど寧ろ気持ち良い。
柔らかくて暖かくて。
ちょっとお腹の奥がずくんって疼く様な。
ややの後、遊星がそっと離れていく。
閉じていた目を開けると、遊星の大きな目と視線がぶつかった。
見たこともないような熱を孕んでいるようにもみえる。
何だろう不思議とゾクゾクするような。
するりと遊星の腕がの腰に回された。
そしてぎゅう、と強く抱きしめられる。
「っ、あ!」
遊星が首筋に顔を埋めてきた。
「やァ…くすぐった、い」
「ああ、の匂いがする。甘い、良い匂いだ…」
「やだぁっ…」
先程の欲望を堪能しながら遊星は耳を軽く唇で噛む。
「あっ!」
びくんとの体が揺れた。
柔らかい痺れを足の間に感じる。
浮遊感と錯覚するような高揚が体の奥から競り上がってくるようだ。
「やっ、あ…遊星…やだ、っ」
「大丈夫だ。力を抜いて俺に任せればいい…」
穏やかな声が優しく耳元に吹き込まれて、ますます落ち着かない。
震える膝を擦り合わせながら初めて沸き上がる感覚に戦くだけだった。



実は、遊星もこれは初めての経験だった。
男だから自慰の為にそういった類いの本や映像は使用しているので一通りの知識はある。
でもと同じくキスも初めてならセックスも初めてで。
それでも、抱き締めたの匂いや感触だけで本能が思い切り奮い立つのが分かる。
強引に揚げ足を取るように部屋まで連れ込んでしまったが、が受け入れてくれたようでこっそりと安堵していた。
本当は今日二人きりになれるだけで良かったのに。
まったりには程遠い始まりだったけれど、とにかく穏やかに過ごせるだけで良かったのに。
可愛すぎて、我慢出来なかった。
「っ、あ…遊星、やぁ、ん」
遠慮がちにの胸の上に遊星は手を重ねる。
ふんわりとした手応えが、そしての恥ずかしそうな表情が、更に遊星の欲情を煽るようだ。
「そんな、あっ、恥ずかし…」
身を捩り、遊星の手から逃れようとしているようなを体で押さえつける。
密着した体勢で、は動こうにも動けなくなってしまった。
「ゆ、遊星…怖いよ…」
「何が怖い…?俺か?」
はそのものズバリ真剣すぎる遊星が怖いと言ったつもりだった。
しかし遊星の欲情に掠れた切ない声音にぞくりと背筋が震えて、また足の間に痺れが走る。
「遊星も、怖い…けど、この先がもっと怖い…」
「怖がらなくていい。俺は、…」
珍しく言い淀んだ遊星。
無言のまま顔を近付けての唇にキスをした。
今度は先程のように触れるだけのキスではない。
舌先で器用に唇を押し退けて、戸惑うの舌を絡めとり唾液をすする。
ちゅくちゅくと音を立てて味わうようにたっぷりと重ねられた。
そして、少しだけ顔を赤らめて。
「俺は、を愛している。怖がらないでくれ…」
切ない懇願だった。
はそんな遊星を見て愛しい気持ちが溢れかえるのを感じる。
コップから水が溢れるように、止まらない遊星への想い。
「遊星…私も、遊星が大好きだよ。やっぱり、ちょっと怖いけど…遊星になら、全部あげる」
何もかも。
全て。
望むならどんなものだってあげてもいい。
遊星は少しだけ驚いたような表情をしたが、すぐに強い力でを抱きすくめた。
も遊星の首に腕を回す。
何て暖かいんだろう。
どちらからとも無くそっと唇を触れ合わせた。
ああ、気持ち良くて溶けてしまいそうだ。
…」
名前を呼ばれるとの背中はぞくぞくと震えた。
遊星の手がおずおずと服の中に入ってくるのが分かる。
「っ…」
下着をずりあげようとする動きに少しだけ息を飲んだけど、は声を出さなかった。
「…柔らかい、な」
「やだ、言わないでよぉ…」
興奮した声で感想を聞かされても困る。
怒れないし喜べないし。
荒い息が耳元で聞こえる。
自分の体が遊星をおかしくするのだと思うと、背筋を駆け抜ける快感を感じた。
「ん、んっ…んぅ…っ」
大きな掌がやわやわと胸の形を変えている。
「あっ、ん…!」
皮膚の薄い胸の先を軽く摘まみあげられて、思わず声が出た。
「…あっ、あっ…」
遊星の指先で捏ね回されて、弄ばれて。
挙げ句の果てには大胆に服を捲りあげた遊星が口に含んできて。
指先で刺激されて敏感に膨らんだ乳首を、ねっとりと舌でなぞられた。
「あぁっ、ダメェ…」
腰に響くような疼きは背中を駆け抜ける。
しなるように背を反らせてしまい、遊星の顔に自ら胸を押し付ける結果になった。
柔らかな膨らみが頬に触れ、遊星の体は更に熱を増す。
先をちゅうっと吸い上げたり、胸の丸みを唇でなぞってみたり、キスマークを付けてみたり。
そんなことを繰り返しながらゆっくりとスカートの中に手を入れる。
流石に緊張で指が震えてしまいそうだ。
「んんっ!」
下着越しにの熱い中心に指で触れた。
柔らかくて、しっとりと濡れている。
遊星の鼓動はばくんばくんと激しくて、心臓が口から飛び出しそうだと思った。
「遊、星…っ」
緊張で顔を真っ赤にしてぷるぷると震える
しかし遊星にも余裕はない。
の溝に沿って指を上下させ、ぐっと中に指をめり込ませる。
「ひゃあっ!」
「…痛いか?」
「う、うぅん…ただ、その……そんなところ自分でも触ったことないから…」
「止めたいか?」
遊星の問いには俊巡する。
恥ずかしいし怖いけど。
遊星が『止めるか』ではなく『止めたいか』と聞くところを見ると恐らく遊星は。
「止めたいって言って、遊星は止めれるの?」
「…」
鋭い指摘だ。
遊星は正直止まれそうにない。
もう下半身は痛いくらいだ。
今すぐにでも彼女の下着を剥ぎ取って、この猛りをぬかるむそこに埋め込んでしまいたい。
「今すぐにでも、が欲しいくらいだな」
苦笑いの遊星には微笑みかけた。
「ふふ、良いよ。止めなくて」
…すまない」
「謝らないで。…私も遊星のこと愛してるから…」
の言葉に遊星ははっとした表情をしてみるみる顔を赤くした。
え、と思っている間に遊星はがばっと体を起こす。
そして着ていたジャケットを脱ぎ捨てる。
「無理だ。そんなに可愛い姿を見せられて、俺はもう絶対止まれない。覚悟してくれ」
ジャケットを脱いだ遊星は、の服も乱暴に捲りあげて取り払った。
そしてスカートもするりと脱がせてしまう。

「ああっ!?」
白い肌が惜し気もなく白昼に晒された。
くっと指先を最後の下着にかける。
「これは…興奮するな」
「ばかっ!」
する、する…とゆっくり引き下ろされるそれ。
「うぅ…」
ごくりと遊星の喉が鳴る。
全てを取り払い目の前に存在するのは愛しいただ一人の女。
一糸纏わぬその姿が眩しいほど。
遊星はの裸の足を持ち上げて優しく割り開いた。
「あぁぁあ…」
自分で見たこともないような場所を遊星にさらけ出している。
恥ずかしすぎて死んでしまいそうだ。
恐ろしいことに遊星は顔を近付けてくるではないか。
「ゆっ、遊星っ」
にゅる、くちゅくちゅ…。
「あっ!あっ!」
唾液を含んだ舌が花弁を撫でる。
「やぁっ、ん!」
未知の刺激でとろりと溢れる愛液を舐めとりながら、柔らかい肉をかき分けて敏感な突起を探り当てた。
「ひあ…っ」
優しく、優しく撫でるように。
そろりと舌先で触れる。
「んンーっ…!」
途端、腰に走る電撃のような衝撃。
ゾクゾクさせる感覚に肌が粟立つ。
「あっあっ!いやっ、ダメ、遊星っ…!」
髪を乱しながらは遊星の頭を手で押し返そうとする。
が、快感に痺れた腕では抵抗らしい抵抗も出来やしなかった。
優しく丹念な遊星の奉仕は怖いくらい気持ち良くて。
時折愛液をすする水音に羞恥心を煽られるのに、それすら気持ちが良くて…おかしくなってしまいそうだ。
体の奥から溢れる蜜は少しずつだがとめどない。
遊星の舌が撫でる度にとろりと溢れさせてしまう。
の快感を見て取った遊星は突起に唇を押し付けて、やや強くちゅうぅっと吸い上げた。
「あぁぁあっ!?」
強い刺激には悲鳴にも似た声を上げて体を跳ねさせる。
がくがくと震えながらやがて弛緩する体。
はぁはぁと荒い呼吸を繰り返し、忘我の目で空を見る。
「イったな」
嬉しそうな遊星。
「…これが、そうなの…?」
だけど、まだ体の奥はぐずぐずと熱く濡れているようだ。
ごそごそ衣擦れの音がして、ぼんやりと視線を落とせば、タンクトップを脱いだ遊星がベルトを焦れったそうに引き抜いていた。
「っ、」
かっと頭の奥が熱くなる。
そうだ、まだ終わっていない。
男性の裸の体なんて見たことがないが、じろじろ見るのも気恥ずかしいし。
ちょっと興味はあるけれど…。
と、思っている間に遊星は自らのズボンのトップボタンに手をかけた。
ダメ!恥ずかしくて見れない!
は体を捩ってシーツに顔を埋めてしまう。
ファスナーを下ろす音、続いて衣擦れの音、そして遊星はそれを放り投げたのだろう。
ばさり、と何かが落ちる音がした。
、痛い思いをさせるかもしれない。…その、俺も初めてなんだ」
「えっ…?」
そうだったのか。
も初めてだから全く分からなかったけと、遊星が誰ともこんなことをしていないのはちょっと嬉しい。
「手加減出来るか分からないが…俺を受け入れてくれ…」
言って足の間に体を滑り込ませて、の入り口辺りに反るほどに勃起したものを押し当てる。
熱い何かがの中に押し入ってきた。
「うっ、あ…!いっ、つぅ…」
痛い痛い痛い。
痛い!
「遊っ、星ぃ…いった…うっうっ…!」
思わず遊星の肩に爪を立ててしまう。
…息を、ゆっくり吐くんだ」
「えっ、う、うん…」
遊星の言う通り、深呼吸をするようにすうっと息を吸って吐いた。
吐くときの弛緩した瞬間に遊星が腰を押し進めてくる。
肉が体の中に入り込む摩擦が痛みを生むが、は必死で耐えた。
絶頂の余韻などもう何処かへ吹き飛んでしまっている。
早く終わってと心の中で叫びながらはじっと我慢した。
何度目かの深呼吸で、遊星が甘い息を吐きながら体を震わせる。
「っ、は…全部、入った…」
何処か恍惚とした声には失いかけた欲情を揺さぶられた。
ひくん、と体の奥に小さな疼きが生まれる。
「うっ、…余り締めないでくれ…っ、保たない…」
込み上げる射精感を飲み込みながら遊星はの腰を抱く。
獣のように喉が鳴った。
の内部に包まれるだけでこんなにも気持ち良いのに、これから行うことはどんなにか快感を生み出すのだろうと思うと震える気分だ。
「すまない、…もう少し我慢してくれ…」
遊星の声は酷く掠れていた。
渇望に乾ききった声。
嵐の予感にはぎゅっと目を瞑る。
だけど、欲望を晒け出した遊星の声は確実にの欲情を煽っていた。
ぎしり。
ベッドが軋む音が合図の様に、遊星は緩やかに押し込んだものを抜き、そしてまた押し込む。
「はっ、…はあっ、ああ、凄い…」
の頭の横に手をついた遊星の。
嬉しそうな、うっとりしたような、そんな声が降ってくる。
実際いつも無表情の遊星が、興奮した表情を見せることが珍しい。
余裕のなさそうな遊星は熱に浮かされた視線で遠くを見ているようだった。
最初は痛んだけれど、繰り返されるうちに馴染んで来たのか痛みは薄れた。
段々早くなる腰つき。
時折触れる一点が小さな熱を生み出すので戦いた。
ちょっと気持ち良いのかもしれない。
「んっ、んっ、ゆうっ、せ、い…っ」
体の中を突き上げられて上手く声が出せない。
「はあっはあっ、はあっ…、っ駄目だ…もうっ…」
呻くような声を出した遊星が、腰を押し付けて体をびくんと跳ねさせる。
瞬間、暖かい感触と体の中で脈動する何かを感じた。
遊星は荒い呼吸でしばらく動かなかったが、やがてゆっくりと体を起こす。
「遊星、大丈夫…?」
「ああ…」
ずる、と抜き出された遊星のあれ。
体に埋まっていたものが無くなると、何だかそこに穴が出来たようだ。
やっぱり、ずくんずくんと痛むし。
、すまない」
今日は謝ってばかりの遊星だ。
は首を傾げる。
「…俺は、夢中で…その、…中に…」
嘘っ!
急に現実に引き戻される
とぷ、と奥から遊星の吐き出した精液が零れるのを感じて声を失う。
赤ちゃん、出来ちゃうかも…。
遊星と、私の赤ちゃん。
…あれ?
「赤ちゃん、出来ちゃうかもね」
「す、すまない!だが、必ず」
「責任とってくれるよね?」
遊星が続けようとした言葉を取って先に言うと、あっけに取られたような遊星と目があった。
ふふ、とは笑って見せる。
遊星はそんなを見て申し訳なさそうな視線で、そっと顔を近付けてきた。
柔らかな感触が重なる。
まあ、どうせ運命の人だ。
いつかの予定が今になったかもしれないだけだ。
は目を閉じて遊星のキスを受け入れる。

概ね幸せだし。
初心者同士だし。
問題ないでしょ?
ね。