Oh! My DARLING 2


くちゅくちゅと、水音が響く。
「はぁはぁ…、、あぁ…凄く気持ち良いよ…」
細い遊星の腰を抱いて、は丁寧に舌を動かす。
最初の頃よりも快楽に慣れた遊星はの頭を押さえ込み、気持ち良さそうに背をしならせていた。
「んぅ…っ、出ちゃいそう…はぁっ…あぁぁ、でも…もっと味わいたいぃ…」
結局あのままずるずると秘密の夜は続いているのだ。
昼間にそういう話を一切出したりはしない遊星だったから、恐らくこの関係を知るものはいない。
遊星は夜のこの時間以外は殆どに甘えてこない。
風呂ですら一緒に入らないのに、勘ぐるものがいないのはある意味当然と言えたのかもしれない。
しかし、昨日とうとう遊星はセックスをせがみ出した。

はやり方知ってるんだろ?俺に教えてよ。俺、と最後までしたい」

ここ数日やり場の無い疼きを抱えているにとって、その申し出は涎が出るほど魅力的であった。
しかし流石に首を縦に振ることは出来ずに今に至る。
「あぁ…っ、、出ちゃうよォ…っ、はぁはぁ、ああぁ…っ!!」
びくびくと遊星は腰を震わせての頭を強く押さえつける。
毎晩のように射精させているにも関わらず、いつもたっぷり吐き出す遊星。
体が若いんだなぁ…とは思う。
いつもどおり飲み込んで、ベッドにぐったりと沈み込む遊星に寝間着を着せてやった。
「…ねぇ、。何で俺とエッチしないの?したくないの?」
射精の余韻で頬を紅潮させたまま遊星が聞いてきた。
勿論したいに決まっている。
この後は毎晩遊星を抱きしめて眠っているが、遊星の髪に顔を埋めると体が疼いて仕方が無い。
何度眠る遊星を犯してしまおうと思ったことか。
「したくないわけじゃないけど…今の遊星は子供だからしちゃダメなの」
「俺がいいって言っても?」
「そう」
「でも、本当はしたいよね?だから今日お風呂場で俺のこと呼んだんだよね?」
「…えっ!?」
はぎくりと体を強張らせた。
今日。
お風呂場で。
「トイレ行く時にが俺を呼ぶ声が聞こえて脱衣所まで入っちゃったんだ。苦しそうだったから俺に助けてって言ってるのかと思ったけど…なんかに舐めてもらってる時の俺の声に似てたから」
「…」
何ということだ。
の顔は見る間に赤く染まる。
お預け状態が長くて余りにも辛かったから、我慢出来なくて。
遊星を思い出して一人体を慰めていたのを遊星本人に聞かれていたとは。
「あれ、何してたの?」
遊星の目がすうっと細くなる。
「俺に教えてくれるよね?」
意地悪く笑みを浮かべる遊星。
この時だけは記憶が戻ったのではないかと錯覚する程に、酷薄な笑みを見せるから不思議だった。
「何、って…」
「俺の目の前でしてみせて」
「…!」
最初の夜以降で体を見せろと要求された回数はそんなに多くない。
それより先に遊星をイかせてしまえば、そんな要求をする間もなく寝てしまうからだ。
しかし今晩は知らないところで好奇心というエサを与えてしまっていたようだ。
「み、見ても面白く無いわよ」
「それは俺が決める」
「…」
こういうところは本当に遊星だった。
仕方が無いか。
は意を決して寝間着の下を脱ぐ。
裸は何度か見せているから、そこに羞恥心はかなり薄くなってきた。
しかし…自慰を見せるとなると話は違う。
背徳感にの体がほんのりと赤く染まった。
おずおずと足を開き、遊星を射精に導く間に柔らかく蕩けた部分を指先で押し広げる。
じいっと見つめる遊星の視線が痛い。
「…遊星」
「何?」
「舐めて…」
言いながら遊星の目の前に自らの指先を差し出した。
一瞬きょとんとした遊星だったが、大人しく差し出されたの指先を口に含む。
小さな遊星の舌が緩やかに絡みついてきた。
言われたとおりに指先を撫で回す遊星。
しばらくその感触を楽しんでいただったがやがて優しく指先を引き抜くと、温かな唾液が絡む指先を自らの体の中心に埋めた。
「っん…」
にゅるりと溝を撫で、敏感な突起に触れる。
「あ、…ん」
びく、と爪先が震えた。
「それが、気持ち良いの?」
「はぁ、そう…。ここが、ね…あぁっ…」
じゅわりと体の奥から愛液が溢れてくる。
遊星本人を目の前にして、遊星の指先を思い出しているのだ。
意地悪く触れ、優しく擦り、乱暴に抓るくせに、快感ばかりを与えてくる遊星を。
、すごい…ぐちゃぐちゃだ…」
「んんっ、あぁ…、みない、でぇ…」
実況されると見られている事を意識してしまい更に濡れる。
びくびくと足を震わせながら指先を動かしていると、不意に目の前の遊星が手を伸ばしてきた。
「んんっ!!」
細い指が蜜壷に恐々と埋められる。
「ひゃぁっ!!な、遊星…、だめ、っあ!あ!」
「どろどろだ…」
「はぁっ、ああぁ…っ、いやぁ、ダメぇぇ…っ」
探るような動きでの内側まで入ってくる遊星の指。
ちゅくちゅくと粘質な音を響かせながら、は自らを絶頂に導こうと指先を動かしていたはふと妄想する。
今、浅く蠢く遊星の指が。
それが遊星のアレならどんなにいいだろう。
しかし今埋め込まれているそれも遊星の一部には違いない。
ぎゅうううと遊星は自らの指が内壁によって締め付けられるのを感じた。
「っ、あ!イく…イくっ!!!」
その瞬間嬌声を上げたの体ががくがくと痙攣する。
きつく締まったそこはゆっくりと弛緩していく。
熱い溜め息を吐いたは震える体をベッドに横たえた。
「はぁ…はぁ…、あぁ…」
「…大丈夫、か?」
「…ん、大丈夫…よ。少しだけ、待ってくれる?落ち着いたら一緒に手を洗いに行こうね…」
余韻がじんわりと下半身を気怠く覆っているようだった。
思い返せば普段の遊星にすら見せたことの無い姿を披露してしまった。
普段の遊星の前でなどこんなこと出来よう筈も無いが。
恥ずかしすぎて死んでしまうに決まっている。
そこに奇妙な安堵を感じるが、はこの後、それが間違いであったことを思い切り知らされるのである。








目が覚めたら、誰もいなかった。
もそりと体を起こす。
昨夜も彼女に抱かれて眠ったはずだったのに。
朝にはそれがなくなっているなんて。
…」
長い夢を見ていたようだった。
体が重い。
のろのろとベッドから降りようとして目測を誤り、落っこちた。
「痛っ、…ああ、そうだった…」
ふと、記憶をめぐらせる。
不思議な気分だった。
昨日までの記憶はきちんと存在しているのに、何故か遠い昔の出来事のようにも感じる。
在りし日にと秘密のいけない遊びをしていたような、そんな風に。
昨夜のは今思い出しても最高だ。
自慰をする姿を披露してくれるなんて、通常では考えられない。
思い出すとちょっとニヤけてしまう。
そして毎晩繰り返された彼女のリップサービス。
お世辞のことではない。
今晩もせがめばあれを味わえるかもしれない。
夜が…いや、が帰ってくるのが楽しみだ。
そんなことを考えながら服を着替えて部屋を出た。
背が低くなってしまっていると見える景色も少し違う。
とりあえず、廊下はこんなに長かったっけ。
階段の下を覗くと、ブルーノしかいなかった。
は今日も仕事である。
降りていくとブルーノが顔を上げた。
「ああ、遊星おはよう。が朝食作って置いて行ってくれてるよ。連れて行ってあげようか?」
「…いや、いい」
「あれ?なんか雰囲気違うね。記憶戻った?」
「ああ」
小さく頷く遊星にブルーノは一瞬キョトンとして見せた。
「体は、戻らなかったんだね」
「……ああ」
「でも、喜ぶよ。隠してるみたいだけど時々すごく不安そうな顔してたからね」
が?」
気付かなかった。
この姿になってから、は全てが穏やかで優しかった。
向けられる、殊の外深い愛情は感じとれていた。
しかし、の不安には全く気付かなかった。気付けなかった。
昨日までは正しく子供だったわけだ。
が不安そうだったのなら早めに解消してやりたい。
しかし、あの甘い優しさの中にもう少しだけ泥んでいたかった。
だから。
「ブルーノ、俺の記憶が戻ったこと、今日一日だけ皆には内緒にしていてくれないか?」
「え、何で?」
「俺の記憶がない間、は凄く俺に気を遣ってくれた。今夜何か贈り物を用意して、驚かそうと思う」
殊勝な遊星の言葉に、ブルーノはぽかんとした表情で遊星を見た。
「…どうした」
「いっやぁ…遊星が女のコの気持ちを考えるなんてビックリしちゃって…。その姿だと余計殊勝に見えるしね」
「どういう意味だ…」
「そのままさ。ただの朴念仁じゃなかったんだね!」
何故だろう、悪意を感じる。
天然という生き物は時折本人が意識せずに爪を立ててくるから性質が悪い。
遊星は溜め息を一つ。
「とりあえず、少し協力してもらいたいんだが…」




17時半を少し回った頃。
スロープを降りて、ガレージへ直行する足音が聞こえた。
「ただいま!」
が帰って来たのである。
遊星が子供の姿になってからというもの、はいつも定時に上がり帰宅していた。
親戚の子供を預かっていると言う理由を付けているらしい。
そもそも今までは半分サービス残業のようなものだったから(それでも微々たる手当ての為にはしょっちゅう残業していた)遊星としては願ったりの状態だった。
「ああ、おかえり
「おかえり」
を出迎えるのは最近ではいつもブルーノと遊星である。
クロウがより早く帰る方が今では珍しかった。
「遊星君お腹空いたでしょ?すぐに夕飯作るからね!」
ぱたぱたと階段を駆け上がり、キッチンの方へ消えて行く。
遊星君、か。
思わず笑いそうになるのを堪え、遊星はの後を追って階段をあがる。
荷物を下ろして、レジ袋から食材を取り出しているにゆっくり近付いた。
、俺も手伝う」
実はこれは子供になった次の日からずっとやってきたことだった。
何となくの役に立ちたく、又何もせずに日々を過ごすことに意味の分からない焦燥感を持った為である。
「ありがとう。じゃあ人参の皮剥いて貰おうかな」
も敢えて断ったりはしなかった。
「あ…うん」
普段通りの『ああ』という返事をしそうになり慌てて言い直す。
まだバレるわけにはいかない。
「うぅ、すっごいクる…」
玉葱を切るが遊星の隣で涙を流していた。
「大丈夫…?」
「ん、ありがと。遊星君は優しいね」
言って微笑むが、その笑顔は少し寂しげで。
遊星の後ろにいる誰かに向けられた眼差しのようで。
突然、今日ブルーノが言っていた言葉がフラッシュバックする。

『隠してるみたいだけど時々すごく不安そうな顔してたからね』

そうか、そういうことか。
遊星は唐突に理解した。
が今の遊星を通して元の遊星を見ていることを。
隠している不安の意味さえも。
、俺は…」
思わず、に打ち明けようとする自分がいる。
「なぁに?どうしたの?」
涙を拭って微笑みかけるに、先程の影はない。
今は、そのままの遊星を見ている。
言いかけた言葉を飲み込んで、罪悪感に視線を逸らした。

…。

もう一日だけで良い。

その優しさに甘えてみたい俺を許してくれ。

「その、…俺、代わろうか、それ」
「あは、ダメよ。包丁はダメって言ったでしょ」
「…」
「遊星君?」
「…人参、終わったよ。次は?」
「じゃあ次はじゃがいもを…。滑るから気を付けてね」
「ああ」
手渡されたじゃがいもを、後ろの流しで洗う。
ぎくりと強張るがその背中を見つめていることに、背を向けていた遊星は気付かない。






きちんと整えられた食卓に、全員が集まっていた。
全員分の飲み物を置いたで最後である。
しかしは席に着く前に、ちろりと遊星を見る。
「ねぇ、遊星君」
「何?」
「あの、ね。抱っこ、させてくれる?」
おずおずと切り出された言葉。
食卓を囲む皆は振られ続けているくせに懲りない事だと笑みを浮かべる。
しかし。
「…いいよ」
「!」
遊星は椅子から下りて、の膝の上におさまった。
事情を知るブルーノはちょっと笑いそうになったが何とか我慢する。
しかしジャックとクロウは驚いた表情だった。
「何だよ、遊星。今日は甘えん坊じゃねぇの」
からかうようなクロウの言葉に遊星は少しだけ体を強張らせた。
「いいんだ、今日は」
拗ねたようにそっぽを向いてみせる。
普段の遊星からは考えられない動きにブルーノは可笑しくて仕方が無い。
「クロウ、からかわないでよね。さぁ、冷めないうちに食べて食べて」
の助け舟で遊星はこっそりと安堵の息を吐いた。
あまり話しかけられるとぼろが出てしまいそうになる。
柔らかなの膝の上、彼女が重いと感じないかだけが心配だったが見ているとそんなことはなさそうだった。
じっと見ている遊星の視線に気付いたのだろう、がそっと視線を返してきた。
「どうしたの?じっと見て…。抱っこされてたら食べにくい?食べさせてあげようか?」
「え…あ、…」
「ほら、口開けて」
が差し出したのは遊星が皮を剥いたじゃがいも。
それは既に肉じゃがというものになっていたが。
「…ありがとう…」
の手から食べる遊星を見て、クロウとジャックは顔を見合わせた。
子供になってからは、照れるのかクロウとジャックがいる前ではに甘える様子を一切見せなかった遊星。
同じ部屋で寝ているのは知っていたから(そしてそれを嫌がる事は無かったから)二人きりの時に甘えているのではと二人して思っていた。
母親に甘えるところを友達に見られたくないという気持ちにも似た、男の子の意地という奴かと懐かしく思っていたが。
「遊星、お前具合が悪いんじゃないのか」
堪らずジャックが口を開いた。
「別に…悪くないよ」
「いやでもお前」
クロウも思わず突っ込もうとした時だった。
またしてもが。
「もー、クロウもジャックも気にしなくていいじゃない。遊星君、はい口開けて」
助け舟である。
「…ま、は遊星が可愛いからな」
「…違いない」
クロウは肩を竦めて見せ、ジャックも諦めたように口を噤んだ。
ここまでの会話に一切入ってこないブルーノ。
彼もまたあまり喋るとぼろが出そうだったので黙っていたのである。
しかし目の前で、小鳥のヒナが親鳥にエサを貰うように、大人しく口を開く遊星が面白くて。
確かにの膝に座り、食べさせてもらうなどもう二度と来ないかもしれないチャンスである。
(だから遊星は僕に口止めしたのかぁ…)
まあ多少動機は不純かもしれないが、を溺愛している遊星の気持ちも判らなくは無いから、ブルーノはこのまま協力を続けるつもりだった。
それに、今夜にはは事実を知ることになるし。
多少時間が前後したくらいで、どうということはないだろう。
「…ごちそうさま」
誰よりも早く食べ終わったのは、勿論無言で食事をし続けたブルーノである。





不思議な現象はまだ続いていた。
食事の後、が買ってきてくれたプリンを食べる遊星の姿が。
しかしまたに抱っこされている。
もうクロウもジャックも何も言いはしなかったが、違和感だけは感じていた。
「遊星、それ食ったら俺と風呂入るか?」
「…」
クロウに声を掛けられて、遊星は少し考えた後無言で首を横に振った。
そして極め付けがのこの一言である。
「ダメよ、クロウ。今日は私と入るのよねぇ」
頭を撫でられながら遊星はこくんと頷く。
その様子にクロウは絶句する。
今までがどんなに誘っても頑として一緒に入浴はしなかった遊星。
クロウかジャックとなら結構一緒に入っていたが、ここでも振られ続けていたが。
「…」
もしかして。
ふと思い当たるのは遊星が記憶を戻していることだ。
もし遊星が記憶を戻しているのなら、クロウとの入浴を拒否しても何ら不思議は無い。
が、それなら何故報告しないのだろう。
不都合がある?
それとも思い過ごし?
今此処で記憶を戻しているかどうかの質問をするのは簡単だ。
しかし、の前でそれをするのはどうだろうか。
小さくなった遊星を通して元の遊星を見ている節のある
恋人を恋しく思う気持ちは分かる。
それだけに変な期待を覚えさせてしまったら…。
ダメだ、聞けない。
「はは、今日は俺が振られたな」
クロウは笑顔を作ってソファを立つ。
「じゃあ、俺先に風呂入って寝るわ。おやすみ」
「おやすみ、クロウ」
「…おやすみ」
階段を上がるクロウは考える。
も違和感に気付いているのだろうか。
食事のときから遊星を庇っていたようだったが、分かってのことなのだろうか。
ただ可愛がっているだけかと思っていたが…。
階段の下をちろりと見る。
遊星はまだの膝の上だ。
少しだけ笑顔を浮かべてと何かを話している。
それだけ見れば、やはり記憶を失ったままにも見えた。
かく言う遊星も、実は少し不思議に思っていた。
が抱っこを何度か申し出た事は覚えているし、拒否され続けながらも入浴を誘っていた事も覚えている。
しかしこんなにも手のひらを返したような態度に果たして騙されていてくれるのだろうか。
まだ打ち明けるつもりが無いから確かめようも無い。






「遊星、どう?」
「っ、はぁ……、だめだ…よォ」
風呂の中では豹変した。
体洗ってあげるね、と言われた時はまさかこんな事になるとは予想もしておらず。
子供の体だとそんなサービスまであるのか、くらいに思っていた遊星だったが。
「可愛い…びくびくしてるね。感じる?」
「わ、分かんな…っ」
の手が好色に遊星の内股を撫でたとき多少変だと思ったのだが、その時にはもう遅かった。
泡でぬめるの手が、ぬるりと遊星を握りこんでいやらしく上下させた時にやっと悪戯されている事に気付いたのである。
「はぁっはぁっ……ぁあ…っ」
遊星的に内心では大歓迎だ。
こんな風にから遊星に触れてくることなど今まで殆ど無い。
正直有り得ないほど興奮している。
「遊星、イきそう?」
「っ、ん…う…、うん…っ、出ちゃう…!」
痛いほど勃起したものをは容赦なく扱きたててくるので射精の予感に遊星は腰をびくびくと震わせた。
しかし、は急に手を止めてしまう。
あと少しでイけそうだったのに…、と恨めしさにの上に疑問も乗せた視線を送る。
「まだ、ダメよ。イかせない」
「はぁ…はぁ…、どうして…?」
体の中に篭った熱が発散場所を失って熱くわだかまっていた。
勝手に足が震えてしまう。
しかしはそんな遊星の体には目もくれず、シャワーで泡を流し始める。
そして遊星の疑問に答えた。
「ベッドでね。いっぱい可愛がってあげるわ」
遊星の体をシャワーで流しながら、にこっとは笑顔を見せた。
ごくりと遊星の喉がなる。
可愛がる…。
毎夜のリップサービスのことか。
「っ…」
「今夜も、飲んであげるからね」
膨張して敏感になった遊星自身にシャワーがかけられる。
そして全く洗うような手つきではない動きで、それをまた上下させた。
少しだけ引きかけた熱が戻ってくる。
「っは…あぁぁ…っ、はぁはぁ…っ」
「ああ、また勃ってきちゃったね。どう?気持ち良い?」
「う、あ…っ、、あ!あ!」
強めに扱かれて、先程お預けを食らった遊星の体がまたびくびくと震え始めた。
先走りの液が滲み、ぬちゅぬちゅと卑猥な音を響かせる。
「あーっ、あぁっああぁぁっ!!出るぅ!!!」
「うふふ、だぁめ」
悲鳴にも似た声を上げる遊星。
しかしはまたしても途中で手を止めてしまう。
嬲られ、弄ばれた遊星は力なくの胸に顔を埋めるように崩れた。
「はぁっはぁっ…何で…、出させてぇ…出させてよォ…っ」
「ダメよ。ベッドでね」
ずくんずくんと腰が疼く。
苦しくて遊星の目にはじわりと涙が浮かんだ。
しかしは遊星の体の泡を落として、バスタオルで包み、普通に体を拭くだけでそれ以上は何もしてはくれなかった。
必死で子供の振りを続けている遊星。
それがもう限界に近い。
何度も寸止めで焦らされている体は、今すぐにでもに注ぎたくて堪らないと悲鳴を上げている。
寝間着を着せられ、手を引かれて、震える足で自分の部屋に戻った。

ぼんやりとを見るとベッドの上で四つん這いになって布団を整えているではないか。
無防備にも程がある。
遊星もベッドの上に乗った。
…っ」
「え、っ、きゃぁ!」
後ろから腰を掴んで下着ごとの寝間着を引き下ろす。
そこは連日の欲求不満に加え、先程の遊星への悪戯に興奮したのか準備は万端のようであった。
「ちょ、遊星…!?」
流石に予想外だったのだろう。
慌てて体を離そうとするの腰を押さえつけ、性急な動作で取り出した男性器を一気に押し込んだ。
「あぁぁっ、っ…、すごい…!」
「んはぁっ!や、ダメ、ダメぇぇ…っ」
多少普段に比べ質量は劣るものの、ずっと欲していたものがおさまる感覚には全身が総毛立つかのような快感の波に襲われる。
突き上げられる度に押し出された愛液が溢れ、内股を濡らしていた。
「うぅっ、っ!」
びくんと中で脈打つ感触。
やはり子供の体の遊星は経験が無いのだろう、焦らしたとはいえそれでも随分早い。
びゅくびゅくと中で精液を吐き出す遊星は、荒い呼吸を繰り返している。
射精を終え、ずるりとそれを抜いてその場にへたりこむ遊星に、とりあえず中途半端に脱がされた衣服を着ながらは向き直る。
「…遊星、貴方記憶戻ってるんでしょう?」
びく、と遊星の体が強張った。
「…最後までさせたのは、俺の記憶が戻っていると確信していたからか…」
どんなに体を持て余しても一度もセックスを許さなかった
無防備すぎるとは少し思ったが、それでも気付いているとは思わなかった。
「いつからだ?」
「…今日、じゃがいも剥いてくれる時にね。遊星君なら『うん』って返事するところを、一回だけ『ああ』って言ったのよ。それでおかしいなって思って。抱っこもさせてくれるし、お風呂も一緒に入ってくれるし…間違いないと思ったわ」
「…」
かなり前からじゃないか。
それならもういっそ聞いてくれれば良かったのに。
子供の振りをしていたことがバレていたとは…正直、ちょっとどころではなく恥ずかしい。
「言ってくれないから、ちょっと意地悪してやろうと思ったんだけど効きすぎちゃったわね。まさか今こんなことになるなんて思わなかった」
「イきたくておかしくなるかと思った…」
「ふふっ、興奮した遊星の顔凄く可愛かった」
「…嬉しくない」
ふい、と遊星が視線を逸らす。
は少しだけ微笑んだ。
「…遊星君、いなくなっちゃったのね」
ぽつりと呟くは少しだけ寂しそうで。
「でも…遊星が戻ってきて…良かった……!」
だんだんと涙声になるに驚いて遊星はを見る。
の頬を伝う透明の雫。
それはどうやらにも制御が利かないらしく、ぽとぽとと溢れ続ける。
、泣かないでくれ…」
「わた、私…っ、もう、一人になっ…なっちゃったかもって…ゆ、遊星…と、もう…もう恋人にはっ、戻れないかもって…っ!」
馴れ初めは、お互いのインスピレーション。
この人だと強く感じあい今の関係を作ったこの二人。
翼を分け合ったかのような魂の片割れだと思い合えた遊星との永遠の別離かと思った。
もしかしたら一生遊星と元に戻る事は無いのかもしれないとさえ。
…」
今夜唐突に理解したの不安。
心の中で恐怖を押し殺していたのかと思うと可哀想で、いじらしくて。
遊星は強くを抱きしめた。
子供の腕の頼りない細さに遊星は歯噛みする。
「もう、大丈夫だ。どんな姿でも俺はずっとを愛している。必ず元の姿に戻るから、だから…泣かないでくれ」
「んっ、わ、分かった…で、も…止まらな、っ」
浅く呼吸をするの唇に遊星は優しく口付ける。
涙の味が入り混じるキスだった。
「…っん…」
すすり泣きながらも大人しくキスを受け入れる
そして遊星はゆっくりとその体をベッドに押し付ける。
今晩はも遊星を拒むつもりは無い。
涙で潤んだ視線をゆっくりと遊星に向けた。
夜は、始まったばかりである。


ふと、気になることがある。
「ねぇ、遊星。記憶がなかった間の記憶ってあるの?」
変な日本語である。
「あるにはある。凄く不思議な感覚だが覚えている」
「!」
何と言うことだ。
と、言うことはつまり…。
「昨夜のが俺の前で披露してくれた姿も勿論覚えている」
ニヤニヤしながら遊星は告げた。
「いやあぁぁっ!!忘れてよー!!」
「あんなに美味しい記憶を忘れられる訳がないじゃないか。記録しておけなかったのが悔やまれるな…」
「ばかぁ!お風呂場ではイかせてイかせてって泣いてたくせに!!」
「なっ、俺は泣いてなんか」
「嘘!目ぇ超うるうるさせてたし。あんまり可愛いから写メ撮ってやろうかなって本気で悩んだし!」
…とりあえず、言い合いの内容は五十歩百歩の似た者同士である。
「…」
「…」
「……ふふっ」
「ははっ」
笑い合って抱き合って。
ベッドの上をごろごろする。
「あー…ホント、遊星が戻ってきて良かったァ。大好き、遊星」
「俺もだ、
幸せな気分でどちらからともなくキスを交わす。
そういえばこうやってキスをするのも久しぶりだ。
はどうしても子供の遊星に手を出す事を躊躇っていた。
いけない遊びは教えてしまったが、万が一歳の近い女の子を好きになってしまったら(例えば龍可などがいたので)と思うとあまり積極的にはなれず。
「ん…っ、は…ゆうせい…」
ちゅくちゅくと絡み合う舌が遊星の味を口の中に広げている。
こんなにたっぷりと味わう事を許されるなんて。
「はぁ…ん、遊星、もっとぉ…」
離れた遊星に追いすがるように強請る。
子供にキスを強請るなんてなんて大人だろう。
しかしその背徳感も今なら悪くない。
遊星はこくんと頷いて、もう一度唇を重ねてきた。
官能的な柔らかさ。
抱きしめる遊星の肌もすべすべしていて柔らかい。
子供の体っていいなぁ…と思いながらは遊星を優しく抱きしめた。
「……ふふっ、遊星の体柔らかくて気持ちいいね」
の方が柔らかい」
憮然とした表情を浮かべる遊星に微笑みを返して、は遊星の首筋に顔を埋めた。
ふわりと甘い子供特有の匂いが鼻を掠める。
「何かね、普段とはまた違う遊星の匂いがするの。…とってもそそられちゃう」
言いながら、は遊星の首筋に軽く噛みついた。
からそんなことをされるのは初めてだ。
「っ、……」
「痛かった…?」
「いや、そうじゃなくて…が普段とは違うから、その、驚いている」
遊星から戸惑いの視線を向けられることなんて滅多になくて、は更に自分の中の劣情を吐露したくなる。
毎晩何を考えていたのか。
何をしたいと思っていたのか。
遊星の腰を抱く手をするりと細い足に移し、撫で回す。
びく、と遊星の体が強張った。
「何度も寝てる遊星に悪戯しようと思った。ココをね、こう、やって…」
「っ!?」
足を撫でていた手が、遊星の股間に伸びる。
掌で包み込むように握りこまれた。
「舐めてあげてる時、こうしたら遊星君、凄く気持ち良さそうでね…」
「はぅっ…!」
が指先でやんわりと遊星のソレを剥くと、敏感なピンク色の先端が外気に触れて遊星は腰をしならせた。
「今もとっても気持ち良さそう…」
手の中でみるみる質量を増していく遊星自身。
びくびく跳ねるのが可愛くて仕方がない。
…っ」
初めて受ける彼女の積極性。
戦きながらも興奮が止まらない。
だが、彼女に責められての手の中で膨らむ自身を自覚するのは恥ずかしかった。
「あはっ、すっごい、遊星の。さっきイったばっかりなのにもうこんなに…」
「い、言うな…っ」
顔を赤らめてに弄られながら身を捩る。
「いつもみたいに舐めてあげるわ」
「っ!」
の甘美な囁き。
今からあの快感を与えられると想像しただけで腰が震えてしまう。
そっとは遊星から体を放し、下の方へ移動した。
柔らかな遊星の下腹を撫でながら勃起して震える遊星自身にふうっと息を吹きかける。
「ぴくぴくしてるね。ふふっ、頂きます…」
ねろりとした生温い感触が遊星自身を包み込んだ。
「はあぁぁ…っ!」
小さく声を上げ、白い喉を仰け反らせる遊星。
性の快感を知る前の若い体がの舌の愛撫に震える。
「ひあっ、あっあっ!あぁぁっ!!」
風呂場でされた悪戯がフラッシュバックするかのような快感だった。
口の中でくちゅくちゅと撫で回され、先端をざらざらと刺激されると射精感が込み上げてくる。
「はぁっ、、っで、る…っ!イく…!!」
先程一度放ったにも関わらず、責められた快感と興奮で随分早い。
しかしそれを恥ずかしいと思う余裕も無いほどに気持ちが良くて、遊星はびくびくと腰を震わせた。
「ダメ、まだダメ」
なのに非情にも、もう少しというところでがきつく根元を握り込み、遊星の射精を阻んでしまう。
「っはぁっ、はぁっ!な、はぁぁっ、、何故…っ」
あと少しで気持ち良くなれたのに。
またしても邪魔をする。
遊星の目尻からは生理的な涙がぼろぼろと溢れる。
子供の体だからだろうか…快感が強すぎて感情の制御が上手くいかない。
「イきたい?イきたいよね?だってまた我慢させられてるんだもんね」
の質問に遊星は素直に首を縦に振る。
痛いほど勃起したソレを早く解放して欲しくて堪らない。
しかしはそんな遊星に意地の悪い笑みを見せた。
そしてとんでもないことを口にする。
「じゃあ、私にお願いして。遊星君になりきって『俺のおちんちんイかせてください』って。ほら、お願いして」
「なっ…!?」
遊星の顔が赤くなる。
がそんな猥褻な事を口にするなんて思っても見なかった。
そしてそれを言わせようとしている。
信じられないという気持ちと共に、こうやって責められる事でまた上を向く自身が恥ずかしくて遊星は俯いた。
「言えない?じゃあ止めちゃおうかな」
「っ!」
このまま放り出すつもりなのか。
もう引き返せないくらい昂ぶったこの体を。
「ま、待って…!」
おや、とはにんまり笑った。
『待て』ではなく『待って』と言った遊星。
少しだけ、助け舟を出してあげようかな。
「…ふふっ、じゃあお願いしてくれる?…遊星君…?」
「っ…」
促されて遊星は少しだけ肩を震わせた。
「お、俺の…」
「遊星君の?」
嗚呼、屈辱的だ。
屈服させられるのも、子供の真似をさせられるのも、卑猥な言葉を言わされるのも。
なのに。
に握りこまれたソレがじわりと涎を滲ませた。
頬が熱くなる。
体温が上がる。
責められて、こんなにも気持ち良いなんて屈辱的だ。
「……俺、の……お、…お、ちんちん…イかせて、ください……」
肩を震わせながらも、の望みどおりに請うた遊星。
恥ずかしくてまともにの顔を見ることが出来ない。
頬はこれ以上無いくらいに熱かった。
あの遊星がこんなにも言いなりになってくれるなんて…。
は非情に満足気に微笑みを浮かべる。
「ふふっ、良く言えました。じゃあ約束どおり…」
「…っ、え…?」
ぎしりとベッドが軋み、が遊星をベッドに押し付ける。
身体的には遊星の方が僅かにより小さいくらいで殆どの差はない。
そんな遊星には馬乗りになった。
「遊星、イかせてあげるね」
膝立ちで少しずつ腰を落とす
痛いくらい勃起したそれが緩やかにの中に埋まる。
「っ、ん…は…ァ、ほら…入ってく、よ…」
「う…、く、ぅ…っ」
狭いの中が蠢きながら遊星を受け入れていく。
ゆるゆると体重をかけて遊星を頬張ったは、いやらしく腰を揺らめかせた。
「んっ…こうすると、奥に当たって…はぁ…、気持ち良い…」
ぞくぞくと快感が走る。
遊星を陵辱したかのような背徳的で冷たい快感が。
その都度柔く中が収縮し、遊星は背をしならせた。
「はぁっ、はぁっ…、っ」
「気持ち良い?動く、からね…」
遊星の頭の横に手をついたは緩やかに腰を上下させ始めた。
「う、あぁっ…!」
先程途中で阻まれた感覚が蘇る。
ぐじゅぐじゅと濡れた音を響かせてが遊星を導いていく。
「はぁっはぁっ…!あぁっ、遊星…イイ、すごく…っ、感じる…っ!」
恍惚の表情で見下ろす
しかし遊星もそれを堪能するほどの余裕は無かった。
ぐいぐい締め上げられて、射精感が高まってくる。
「っ!あ!はぁぁっ!はぁっ、あ、出る…っ、!」
の名前を繰り返し呼びながら、縋りつくように背中に腕を回した。
そしてびくっと体を痙攣させる。
「あーっ!!っああ、はぁぁ…、はぁ…はぁ…っ」
背中をしならせてびくびくと腰を震わせながら、の中で射精した。
の中で跳ねるそれの感触が可愛い。
彼女自身は絶頂を感じてはいなかったが、遊星をイかせたという事実に深い充足を覚えた。
ベッドにくたりと伏す遊星にそっとキスを落とす。
「…遊星、すごく可愛いかった。大丈夫?」
「……あまり、大丈夫じゃ、ない…」
特に精神的ダメージが大きい。
遊星は何としても元の体に戻ろうと思った。
そして戻った暁には、同じくらいを苛めてやる。
密かに遊星は決意したのであった。