上機嫌で帰ってきたの様子が変わった。
いや、文句は無い。
だけど。
ブルーノ、お前は一体どんな魔法を使ったんだ。
クロウもブルーノもを掴むのが上手すぎやしないか。
遊星は非常に複雑な気分だった。
理由を端的に言えば、が急に好意的になったからである。
何故急に。
どうもブルーノがに何か言ったらしいことは遊星にも分かる。
だって二人で連れだって出て行って、帰ってきたら態度が変わっているのだから。
さぞかしいちゃいちゃと買い物をしてきたんだろう。
帰ってきたら今度はブルーノと仲良くする様を見せられるのか…。
嫌だなー嫌だなーいっそサテライトのアジト戻っちゃうかなー。
と、もう家出したいくらいのやさぐれた気分に駆られていた遊星だったが。
帰ってくるなりは買ってきた洋服に着替えたい、と言い、それを着て戻ってきたら…豹変していたのである。
「ああ、とっても似合うね。で、、どうするんだっけ?」
「う、うん…」
ブルーノに促されてはおずおずと遊星に近づいた。
青色のショートボレロに白いチュールスカートのワンピース。
真新しい服を着たはやっぱり天使だろうと思うほど可愛らしかった。
「ゆ、遊星…あの、お仕事の邪魔じゃなかったら…抱っこ、してくれる?」
「!!」
恥ずかしそうに俯きながら抱っこを請う様は、一連のの仕草の中で一番可愛らしいと言っても過言ではなかった。
まさかのの要求に遊星は一瞬固まる。
「だめ…?」
頬を赤らめてちろりと遊星を上目遣いに見た。
天使は小悪魔にもなるのかと遊星が思った瞬間である。
「駄目なわけがない!」
寧ろ待ち望んでいた台詞だというのに。
遊星はの脇の下に手を差し入れてふわりと抱き上げた。
仄かな面影を残すと物凄く顔が近くなって、思わずキスをしたくなったが堪える。
理由は不明だが、折角心を開きかけてくれたのにここで壊してしまいたくなかった。
じっと遊星を見るは頬を僅かに上気させて呟く。
「ブルーノの…言った通りかも…」
「?何のことだ」
「…内緒…」
恥ずかしそうには首を振り、きゅうっと遊星の首に腕を回して抱きついた。
これはクロウにもブルーノにもしなかった行動だ。
驚くべき豹変振りに遊星はブルーノを振り返る。
「ブルーノ、お前どんな魔法を使ったんだ」
「あはは、別に?ちょっとの背中押しただけだよ」
「…俺は明日死ぬかもしれない…」
「大袈裟だなぁ」
ははっ、とブルーノは笑うが、冗談というか比喩の通じないはがばっと体を起こした。
「遊星明日死んじゃうの!?」
「え、」
「死なないで、遊星…!」
言いながらちゅっと遊星の頬にキスをする。
突然の行動にブルーノも遊星も固まった。
「さっき、クロウに読んでもらった本で見たよ。本当はね、王子様がお姫様を起こすんだけど、遊星が死んじゃったらこうやって私が起こしてあげるからね」
「…」
唖然とする遊星。
なんだそれは。
じゃあ俺はの王子様認定か。最高だ。
無邪気で可愛いどころじゃない。
もう食べてしまいたい。
「ラブラブだね、二人とも。ね、、クロウが帰ってきたらクロウに抱っこしてもらう?」
「……ブルーノの意地悪…」
困ったように頬を赤らめては遊星に改めて抱きついた。
「…遊星が良い」
「!」
可愛い。可愛すぎるぞ。
本当にブルーノはどんな魔法を使ったんだ。
「で、こんなに遊星にべったりなのか」
帰ってきたクロウも目を見張るほどのの態度の変化。
また空気が凍ることになったら嫌だなぁ、と思いながら帰ってきたクロウには嬉しい拍子抜けである。
ブルーノに簡単に説明をしてもらって納得した。
「まあ、良かったな。これで自然だろ」
「があんなに人前で遊星にべったりなのは珍しいけどね」
「大人になりゃ人目も気になるしな。あれが本当のの姿なんじゃね?」
お出かけが疲れたのか遊星に抱っこされたまま眠ってしまった。
好き勝手言われていることも知らないで、背中を遊星に預け幸せそうである。
「結局はいつ戻るんだろーな」
「明日戻ってくれればいいんだが…」
「嗚呼、そっか。の仕事…」
遊星は深刻な表情だった。
2、3日は体調不良で誤魔化せるだろう。
しかしそれ以上になれば…。
「別に仕事はそれ一つっきゃないわけじゃねぇけどなぁ…。の了解も無しに辞めさせるのはちょっと悪いよな」
「ああ」
「でも…遊星も戻るのに結構かかったよね。多分も…」
全員が眠るを見た。
何も知らず幸せそうな顔で眠っている。
「そういえば、遊星…あれどうしたの?」
「…まだ、渡せていない」
「ん?なんだよ、あれって」
ブルーノが遊星をちらりと見た。
遊星は無言で頷き、クロウにへ渡そうとしていた贈り物の話を聞かせる。
「なんだ、それなら別に問題ないだろ」
「…そうだろうか…」
「元々の稼ぎアテにしてやってねぇしな。ひとまず俺らは問題ねぇ」
「後はどれだけが仕事に情熱かけてるかだけど…そういう話したことないの?」
「あまりは俺に仕事の話をしない」
そもそも愚痴の少ないタイプだ。
それほど嫌なこともないのかもしれない。
聞かせても仕方が無いと思っているだけなのかもしれないが。
「うーん…とりあえずの体調不良で様子見るか?お前と全く同じ経過たどるとも限らねぇし」
「……いや…」
「決断しちゃう?」
「…」
遊星は黙り込んだ。
だけどこればかりはブルーノやクロウにも如何しようもない。
最悪が戻らなければ誰かが決断するしかなくて。
それが出来るのは遊星だけだ。
の判断力が皆無の今、次の権利は遊星にあると言っていいだろう。
それにきっと遅いか早いかなのだ。
遊星はある程度の決断をしていた。
だけど。
一つだけ気にかかることがあって。
しかしそれは今のではどうしようもなくて。
「…とりあえず、一晩は待とうと思う」
「ま、それしかねぇか」
「明日戻るのが一番良いけどね」
心配されていることを知らないお姫様は、やはり遊星の腕の中で小さな寝息を立てていた。
さて、夕食後。
一つの困った問題が起こった。
それは風呂である。
誰がを風呂に入れるのか。
の希望は。
「…クロウが良い」
お母さんの安心感半端無い。流石です。
しかしそれはまずい。
こればかりは遊星もイエスとは言わないだろう。
ちらっと遊星を見たが、クロウを射抜かんばかりに睨んでいる。
またお前か。と。
「お、俺は駄目だぜ、」
「…どうして…?」
「そ、それは……ほら!彼女いるから!!彼女以外の女の子と風呂はだめだろ?」
やや生々しい大人の事情が見え隠れするこの言い訳をが理解するのかどうか。
ちょっと考えただったが何となく頷いた。
「よく分からないけど…何となくそうかもって気がする…」
じゃあ…とは遊星に移した。
クロウの次にお鉢が回ってくるのではとひやひやしていたブルーノはほっとする。
彼女もいないブルーノは、クロウほど明確な理由をつけて断れない立場である。
どうやって遊星に押し付けようかと言い訳を考え始めていたところだった。
「クロウが駄目なら…遊星は?」
「構わない」
遊星はしれっと言うが、構わないも何も自分以外に譲る気はない。
如何に子供になろうとは可愛い自分の彼女。
何が悲しくて他の男と風呂に入ることを許可せねばならないというのだ。
「よしよし。じゃあさっさと入って来い」
気が変わらないうちにを風呂へ入れてしまいたいクロウが促す。
子供は気まぐれだから、最悪気に入らないと『風呂に入らない』と言い出したりする。
普段からいつも綺麗にしている大人のを知っているだけに、そんな風にしたくなかった。
促されるままに遊星はを抱き上げる。
「遊星とだと…ちょっと恥ずかしいな…」
階段を昇り始めたところでがぼそっと呟いた。
「恥ずかしがらなくていい。大丈夫だ」
もっと恥ずかしいことも繰り返ししているというのに。
しかし記憶の無いには仕方の無いことだ。
バスルームにて、先にの服を脱がせていると意外な告白をされた。
「あのネ…この服、ブルーノと一緒に選んだの」
「そうか」
内心穏やかではなくなるような言葉だ。
力加減を間違えて引き千切っても仕方が無いかもしれない。
「遊星が、好きそうな服…選んだの。どうかな?」
…引き千切らなくて良かった。
「似合っている。凄く可愛い」
「本当?良かった。上着はね、遊星のジャケットと同じような色頑張って探したんだぁ」
「…そうか」
はにかむがまた天使になる。
しかし脱がせながら自分は狼になりそうだと遊星は思っていた。
滑らかな柔らかい子供の白い肌。
胸に膨らみは無いが、しなやかな細い腰。
子供だと分かっていても仄かな面影を残すに欲情する自分は獣かとすら。
するりと全てを取り払ったら、居心地悪そうに体を丸める。
「や、やっぱりちょっと恥ずかしいよ…。先に入っても良い?」
「…ああ」
羞恥心から頬だけでなく白い肢体も薄っすらと朱色に染まる。
そのまま抱き寄せて唇に噛み付きたくなる。
ごくりと喉を鳴らす遊星に気付かずには湯気の中に消えていった。
…寧ろ消えてくれて良かった。
理性をかき集めながら遊星はジャケットを脱ぐ。
我慢できるだろうか。
これからの髪を、体を洗ってやるのは紛れもなく自分なのに。
触れ合ったら獣になってしまうかもしれない。
ざあっと湯を被ったらしい音が聞こえた。
普段の入浴時も肌をピンク色にしたは本当に扇情的である。
頬を上気させて、張り付いた髪を掻き上げたりして。
時々我慢できずに湯の中で揺らめく滑らかな肌を貪った。
抗議の声を上げながらも彼女は遊星の腕の中で気持ち良さそうに…。
「…」
…何を思い出しているんだ。
自分から追い込んで如何する。
頭を振って遊星は妄想を追い出す。
浴室のドアをあけると、浴槽に背中を預けるの後姿。
「!」
小振りだが一瞬が戻ってきたのかと思った。
裸になった後姿はそのものである。
は一瞬遊星に視線を移したが、すぐにそれを逸らした。
「?」
照れているのだろうか。
子供だと思っていたが、意識されると遊星も少し恥ずかしくなる。
と、いうか普段のにはあまり見られない新鮮な反応だった。
子供だからこその反応かもしれない。
「早く、入ってよ…」
目のやり場に困る、ということか。
遊星もざあっと湯を被って浴槽に体を沈める。
向かい合うように、ではなくの背中側から入って、後ろから抱くような態勢をとった。
これなら体は目に入らない。
もこれならば…と思ったのか大人しく背中を預けてくる。
「男の人とお風呂なんて初めて。遊星は恥ずかしくないの?」
「まあ、は子供だからな」
「うー…」
悔しそうに眉を顰める。
それに羞恥心は薄いが、遊星にはもっと別の深刻な問題がある。
子供かどうかなど関係ない。
がであるという事実が遊星には非常に問題なのだから。
「遊星、私以外の女の子とお風呂に入ったこと、ある?」
「…無い」
「え、無いの?」
意外そうには声を上げた。
だって遊星の初めての恋人がだ。
体のサイズも年齢も違えど、以外の女とこんなことになったことなどない。
「…遊星、本当に彼女いないんだね…」
その同情的な声。
憐れまれるのは心外だ。
だって目の前に本人がいるのだから。
まあその本人が覚えていないから仕方が無いといえば仕方が無いけれど。
「…じゃあ、さ」
「ん?」
「私が、遊星の彼女になってあげる!」
良くある子供の無邪気なおせっかい。
可哀想な大人の役に立ってみたい子供の背伸びである。
しかし、今の遊星にそれは冗談として通じない。
「が、俺の彼女に?」
「うん。そう」
「…ふぅん…」
餓えた狼に自分を食べろと言ったも同然だとは気付いていなかった。
そうっと遊星はの顎を掴んで顔を覗き込んだ。
その時は初めて自分を射抜く蒼い目が、見たことも無い凶暴な色彩を孕んでいることを知ったのである。
本能的には捕食されるかのような恐怖を感じた。
「じゃあ、俺がにキスしても問題ないよな?」
「えっ、あ、嘘…っ!?」
柔らかなの唇を、遊星が緩やかに奪う。
触れ合う感触に、は何故かお腹の下が脈打つような不思議な感覚を覚えた。
どきどきと胸が早鐘を打つ。
遊星に抱っこされたときよりも、もっと大きな感情の波が嵐のように巻き起こった。
「っ…ん…」
の唇を割って、遊星の舌がぬるりと潜り込んできた。
絡めとられるようなやり方に、飲み込みきれない唾液がの顎を伝う。
じわりと広がる遊星の味に戦きながらも不思議と嫌じゃない気分でそれを受け入れた。
嗚呼、だけどこんなにも乱暴で濃厚な初体験があるだろうか。
「んっんっ…はぁっ!」
酸欠になりそうになりながら、やっと離れた遊星には信じられないという視線を向けた。
「は、初めてだったのにっ!」
非難の言葉を遊星はなんでも無いように受け流す。
内心ではの処女よりも得がたい初めてを奪えたのだと喜びすら感じていた。
「だって俺の彼女になってくれるんだろう?」
するりと細い腰を抱く。
はそれだけで生まれる腰の疼きに戦いた。
自分の体が自分のものではなくなってしまったかのようで。
「で、でも…あの、だけど…」
見え隠れする男と言う生き物の片鱗。
それは小さなには未知の生物だった。
「やっぱり無し、か?」
「そ、そんなことない!」
「…はは、安心した」
もう、止まれないから。
「ゆ…遊星…?」
腰を抱く手がそっと薄い胸に触れた。
びくりとは体を強張らせる。
「遊星…、遊星は子供が好きなの?」
最もな質問であろう。
しかし遊星は首を振った。
「違う。…、お前が好きなんだ」
「…」
遊星の言葉は良く分からなかった。
自分が好き、それは子供が好きとイコールでは無いだろうか。
「あ…っ」
そっと遊星の手がの乳首を摘み上げた。
他人に触らせるのは恥ずかしい場所を遊星が触っている。
指先がそれを弄ぶように捏ね始めた。
「ひゃぁ…っん…!」
何だろう。
足の間がもやもやする。
腰が勝手に跳ねる。
「嗚呼、いつもどおりだ。凄く可愛いな、…」
「い、いつも…どおり、って…?」
意味不明な遊星の呟きを鸚鵡返しのように拾うが、あまり脳には入ってこなかった。
それよりも遊星の行為に熱くなる体が恐ろしい。
「怖いよ…」
呟いたの言葉に遊星は動きを止めた。
やっと悪戯が終わったのかと思い、遊星を見ると何故か泣きそうな顔をしている。
泣きたいのは自分も同じだというのに。
「遊星…?」
「…初めての時も、は俺を怖がったな」
「え…?」
「いや…。、俺はお前がどんな姿になっても愛している」
「!」
話の根幹は分からない。
遊星が何の話をしたのかもさっぱりわからない。
けど、これだけは分かる。
遊星は今自分に愛していると言った。
頬がじゅわっと熱を持つのを感じる。
そして心の底から、嬉しさとか幸福感とか、なんか暖かいものが溢れ出してきて…。
「遊星、何か…私も遊星が好きみたい…」
そう囁いて、は遊星の胸板に頬を擦り寄せた。
不思議な気分だ。
さっきまであんなに遊星が怖かったのに。
こうしていると落ち着くなんて。
「私、良く分からないけど…遊星がしたいようにしていいよ」
上目遣いに見上げてくるはこの刹那に小悪魔に豹変していたのである。
遊星は無言での肢体を抱き締めた。
「ん…っ」
湯船が波打つ。
抱き上げられたは改めて遊星に依って唇を吸われていた。
小さな口内に潜り込む遊星の舌。
酸欠になりそうなは弱々しく遊星の胸を押し返す。
「はあっ…苦し…っ、…!」
荒く息を繰り返し、目尻に浮かんだ涙を拭った。
別に悲しい訳ではない。
でも、何故か遊星にキスをされると感情が溢れてきて涙になる。
あったかくて、幸せで、愛しくて、だから切ない感情の嵐。
「遊星…苦しい、けど…もっとして欲しいよぅ…」
顔を近付けながら、小さなの右手が遊星の頬にふわりと触れる。
左手の指先が遊星の唇をなぞった。
扇情的なの仕草にどきっと心臓が跳ねる。
天然でやっているとしたら相当だ。
「そんなに誘惑しないでくれ…。を大切に愛したいのに、壊してしまいそうだ」
掠れた声で訴える遊星に、意味も分からずは体温が高くなる。
「…やだ、遊星…声聞いてるだけで…変になっちゃいそう。お腹の中がもやもやするの…」
きゅうんと疼く子宮の奥の感覚に戦きながら遊星にすがりつく。
柔らかな肌を擦り付けて抱きついてくるに遊星は淡い眩暈を覚えた。
小さな体が桜色になり震えている。
素直に快感を口にするが可愛い。
「ひゃあ…っ、ゆうせ、っ…」
ざぶ、と飛沫が上がった。
を抱き上げ、遊星はその胸に唇を押し付ける。
膨らみも無く、ただぷつりと存在を主張している乳首を舌で撫でた。
「あ、あっ!」
柔くねろねろと這う遊星の舌。
「やぁっ、遊星…っ」
感じたことのない痺れが腰を駆け上がってくる。
愛おしそうに優しく体を舐める遊星の姿。
ああ、大人ってこんな愛し方をするの…。
「ゆうせい、ぃ…っ、はぁぁぁ…っ」
ぞくぞくと体を駆け抜ける甘い快感には背中をしならせた。
無防備な白い喉元が眩しい。
ちゅう、と小さな音を立てて離れた遊星が、そのまま舌先を辿らせて軽く臍を舐めた。
「ふあぁぁ…っ」
くすぐったさに身じろぐを遊星はゆっくり湯から抱き上げ、浴槽の縁に座らせる。
そしてもう一度臍を舐めた。
「ひゃぁっ…くすぐったいよ、遊星ぇ…」
ふるふると腰を震わせる。
それに誘われるように遊星は更にの秘密の場所に指を伸ばす。
「!」
足の間に遊星の指が入り込み、はぎくりと体を強張らせた。
自分でも触ったことの無いような場所に遊星が触れている。
「ゆ、ゆう、せい…?やだ、汚いよ…」
「に汚いところなんか無い」
「で、でも…っはぁん…!」
未熟ながらも敏感な部分を軽く指で押されてはまた背をしならせる。
電流が走ったみたいな感覚。
何これ。
遊星は何をしたの。
「ゆぅ、…せぇ、…何、するの…?」
「…を気持ちよくするんだ」
「気持ち、良く…?あっ、はああ…っ、や、ぁあ…!」
にゅるりと侵食してくる遊星の舌。
信じられない遊星の行為にの目が見開かれる。
そんなところを舐めるなんて!
ああ、でも何だろう、この腰が痺れるような感覚。
「はぁっ、あぁぁ…っ、だめぇ、ゆうせぇ…っ、やだ、あぁぁ…!」
中で蠢く柔らかな感触がの感覚を狂わせていく。
未知の快感に恐れながらも確実にはその甘い痺れを受け入れていた。
「あぁん、はぁ、はぁ…っ、遊星、ゆうせ、いぃ…っ、はぁぁ…!」
びくっとの体が跳ねる。
「あっあっ!!だめ、だめ!やあっ、おしっこ出ちゃ、っあ!はあぁぁっ!!」
の体ががくがくと痙攣する。
同時にほんの少しだけ噴き出した透明な温い体液が遊星の頬を濡らした。
「はああ…、やだ…、汚しちゃった…。ごめんなさい、ごめんなさい…遊星」
泣きそうな声で謝りながら、は両手で顔を覆った。
まさか潮を噴くとは思わなかったが、遊星としてはそんなに感じてくれたのなら全く問題ない。
「、大丈夫だ。これはそういうものじゃないから」
優しく髪を撫でながら宥める遊星。
「でも…」
「が気持ち良くなった証拠のようなものだ。気にしなくていい」
宥められ、赤らんだ顔から手を離す。
お漏らししちゃったと思ったのに…でも、遊星がそう言うのならそうなのかな…?
「!」
遊星に視線を落とした時、不意に遊星の男性器が視界を掠めた。
小さい頃父親と風呂に入ったこともあるけど、記憶の中のそれとは違う。
「ゆ、遊星…そ、れ…どうしたの…」
好奇心に勝てず、震える指でそれを指す。
一瞬遊星はきょとんとしたが、すぐに苦笑した。
「…好きな女の子と風呂に入ると、男はこうなるんだ」
適当且つ曖昧な説明である。
が、は首を傾げながらも頷いた。
「…ふぅん…?痛くないの?」
「痛くはない」
「どうしたら元通りになるの?」
「それは…」
遊星は浴槽の縁に座るを抱き上げて、湯船から上がる。
そして椅子に腰掛けた上で、を自分と同じ方向を向くように背中を向けさせて足の上に座らせた。
お尻の辺りに熱くて固い感触が触れる。
位置的に考えて遊星のアレが触れているのだ…と思うと勝手に体が緊張する。
次は何をされるのだろうとドキドキしていると、耳元で遊星が低く囁いた。
「元通りにするの、手伝ってくれないか?」
「っ、…う、うん…いいけど…」
やっぱりさっきみたいに掠れた声…。
遊星の声を聞くだけでおかしくなりそうなくらい心臓はドキドキするし、お腹の下はもやもやする。
さっきお漏らししたみたいになった時も、こんな風にお腹の奥が何だかきゅうんと苦しくなったっけ。
「なら、前の壁に手をついてくれ」
「え?う、うん…」
言われた通り前屈みになり壁に手をつく。
そうしたら、急に遊星がの腰を抱いた。
ふわっと腰が浮き上がって、不安定な態勢にされる。
「遊、星…?」
少し不安になり後ろを伺うと、僅かに苦しそうな表情の遊星が目に入った。
やっぱり痛いのかな…?
が心配になっていると、ぬるんと足の間に何かが差し込まれた。
そして腰を抱く遊星の手が、きゅうっと太股の辺りを押さえ込む。
「…っ!」
何をされているんだろうと視線を落とすと自分の足の間から遊星のアレが生えている。
かあっと頭の中が熱くなった。
しかしが羞恥を口に出す前に、遊星が腰を引く。
「んんっ…!?」
ずるっと奇妙な感触がの足の間を擦った。
勿論遊星のもので擦られているわけだが…。
「…あっ!あっ!やっ、何…っ」
にゅるにゅると遊星に擦られる度に先程の感覚に似た快感が蘇ってくる。
「ふあ、はぁぁん…っ、あっあっ…」
遊星の舌と感触は違うけれど、ぞくぞくと腰を快感が駆け抜けていく。
冷めかけた熱が上がってくるようだ。
「っはぁ…、っ…く、う…っ」
耳元で溜め息混じりに名を呼ぶ遊星は、やはり苦しそうな声をしている。
だけど不思議に耳触りが良くて、はどきどきと心臓を高鳴らせた。
雄の欲情した声に感じているなどと今のに判るはずも無い。
「やぁんっ、遊星…っまた、さっきみたいにぃ…っ」
足の間を往復する刺激にびくびくと腰を震わせながらは悲鳴にも似た嬌声を上げた。
じんわりと体に広がる熱い予感。
「はぁっ、…ああ、、一緒に…イこうっ」
言うなり遊星が器用にの足を抱え込み、空いた手での女芯を軽く指先で引っ掻いた。
刹那、の体が緊張したように強張る。
「あぁぁぁっ!!!」
二度目の絶頂に、は弾かれたように背をしならせた。
「っ、…出るっ…!」
小さな遊星の声が聞こえたと思ったら、足の間がどくりと脈動したのを感じる。
続いて胸の辺りが熱く濡れたようだ。
何かが飛び散るような感触がして、は自分の胸に触れる。
「ん、はぁ…はぁ…、何、これ…」
ぬるぬると指に絡みつく白い液体。
「っ、はあ…ああ、触るな。今流してやるから…」
自分が出したものを興味深げに弄られるのは複雑な気分だ。
長いこと風呂にいるせいもありの頬が真っ赤である。
温いシャワーでそれを洗い流してやった。
「遊星、さっきはずっと苦しそうだったけど、大丈夫?」
「ああ…。が手伝ってくれたおかげだ」
澱みなく遊星は言うが、本当にそうなのだろうかとは首を傾げる。
でもまあ、ちらっと横目で確認した遊星の下半身は腫れが治まったようなので、とりあえずは問題ないのであろう。