HONEY My Love


「はい、そうです。はい…ご迷惑をおかけしてすみません。はい、はい。…失礼します」



遊星が敬語を使うとはレアな…。
と、思うがクロウはそれを口にはしない。
電話を切った遊星は複雑そうな表情だった。
結局、が戻ることはなかった。
遊星の例から考えても、その内戻りそうなことは確かだが、それが明日なのか一週間後なのか、はたまたひと月先なのか。
それは誰にも分からない。
が、ある程度の希望もあった。
の記憶だけは今朝方戻ったのである。
理由は分からないが、良い兆しと言えばそうだろう。
遊星も記憶が戻った直後に戻ったのだから。
「ごめんね、電話掛けてもらっちゃって…」
しゅんと心なしか肩を落とした風の
それを抱き上げた遊星は首を振った。
「気にしなくていい」
一瞬『本当に仕事を辞めて良かったのか』と聞きそうになったが、その質問に全く意味が無いことに気付いて飲み込んだ。
聞いたところで、もう辞めてしまったのだ。
選択肢もなく、何も選べなかった
仕方がなかった、以外の答えはないだろう。
「はぁぁ…辞めちゃったなー…」
遊星に抱っこされたままで、は深い溜め息を吐く。
個人的に、遊星はが仕事を辞めてくれて少し嬉しいのだが不謹慎なので口にはしなかった。
「まあ仕事はあれ一個じゃないし、仕方ない…けどなぁ…」
しかしこのままでは穀潰しも良いところで。
はとても肩身の狭い気分であった。
「ごめんね。迷惑かけて。これじゃ一緒に暮らした意味あんまり無いね…」
はある程度の経済支援も出来ればいいと考えていた。
自分が増えることによるこのチームへのメリットなどそれくらいしかない。
毎日遊星に会える自分は、そりゃあ幸せに決まっている。
それにクロウというとても良い友達が出来た。
いや、家族のいない者ばかりが集まったこのチームは、既ににとって家族のようなものだと言っても良い。
それくらい自分にとっては良いことばかりだった。
だけど、チーム全体で見れば食い扶持が一人増えると言うことはそれだけ経済負担が増えると言うこととイコールで。
だからこそ家族となった彼らを支えたかったのに。
デュエルもしない、Dホイールにも乗れない自分にとって最大限出来ることなどそんなに多くないのに。
の表情が曇る。
先ほどのの言葉とその表情で、が何を考えているか何となく察した遊星。
「ブルーノ、済まない。少しだけ外す」
「え、うん。分かった」
「…遊星?」
そんな遊星を見上げる
「部屋になら自分で行けるわ」
「いいから」
階段を上がる遊星に抵抗するようには身を捩った。
「良くない。私これ以上遊星の邪魔したくないの」
の言葉に、しかし遊星はゆっくりと首を横に振り一言だけ言う。
「…危ないから、暴れるな」
そしてじたばたするを抱き締めるように押さえつけた。
「やっ…」
階下にはクロウとブルーノ。
二人の目が届く範囲で抱き締められて、は頬が熱くなる。
遊星と同じく子供になっていた時の記憶はあるので、クロウにもブルーノにも、そして遊星にも甘えまくった記憶はの頭の中にばっちり残っている。
とは言え不思議なことにそれは何故か遠い記憶にも似ていて現実感が薄い。
しかし今は違う。
正真正銘今のである。
人前で抱き締められるのはとてつもなく恥ずかしい。
「わ、分かったから…暴れないから離して…!」
顔を赤くして訴えるに苦笑を返し、遊星は腕の力を緩めた。
「気にしなくても、昨日まではずっとこうしていただろう?」
「記憶が有ると無いじゃ大違いなの!それに、遊星も分かるでしょ?昨日までの記憶、ずっと遠い昔のことみたいなの」
「…!」
遊星は僅かに目を見開いた。
もそうなのか。
ではやはり…いや、この話は後にしよう。
先に最初の目的から話すべきだ。
部屋に入り、遊星はをベッドの淵に座らせた。
そして自分は、小さなと視線を合わせるように床にしゃがみ込む。
小さな手を取り、の膝の上でそれをそっと握った。
「…遊星…?」
いつになく言葉を探しているような様子の遊星を訝しみ、は首を傾げる。
そもそも部屋に送ってくれただけではなかったのか。
遊星は少しだけ間をあけた後、口を開く。
…」
自分の名を呼ぶその声が余りにも穏やかで、は密かにどきどきした。
「…、お前が何も気にすることはないんだ。俺は、…いや俺達はが居てくれるだけでいいと思っている」
「!」
ぎくりとが体を硬直させた。
何故、考えていたことが分かったんだろう。
「勿論、俺達の為にが必死に働いてくれたことは分かっている。助けられていたことは事実だし、とても感謝している。、今まで本当にありがとう」
「っ、…ゆう、せ…」
予想外の遊星の言葉にの視界がじんわりと滲んだ。
まさか、そんなことを思ってくれていたなんて。
、少し休暇が出来たと思って俺の傍にいてくれないか?俺がそう望んでいる。仕事をしていないことが気になるなら、俺の所為にすればいい」
「ゆ、うせい…っ、ばかね…そんな、こと…まで、背負わなくて、っいい、のよ…」
はらはらとの頬を涙が伝う。
つっかえながらも苦笑いするに遊星はふわりと笑ってみせた。
普段はどちらかと言えば無表情で、怒っているのだか楽しんでいるのだか、良く分からないことも多い遊星。
だけど、そんな彼が穏やかに微笑んでいる。
思わず涙も引っ込んでしまうほど驚くが、同時に格好良すぎて心臓が高鳴った。
それはもう、今まで感じたことがないくらいに。
「いいんだ。の全てを俺に分けて欲しい。苦しいなら、それを俺にも感じさせてくれ」
「…もう、遊星は…。おんなじこと、私にもさせてくれるなら考えてあげても良いわ」
良いことも悪いことも。
お互いが感じる何もかもを。
二人のものにしながら、ずっとこのままで。
「ありがと、遊星」
頬に雫を伝わせながら、も遊星に微笑みかける。
遊星はそれを見て、眩しいものを見るように目を細めた。
「ああ、そうだ。笑っていてくれ、。俺は笑っているが好きなんだ」
そしてそうっとの頬に唇を寄せる。
「ん…」
唇で雫を拭われた。
こういうことをさらっとやってしまう遊星も遊星だけど、されて嬉しい自分も自分だなあ…とは内心で苦笑する。
「それから、その、本当はの姿が戻ってからにしようと思っていたんだが…」
唇を離した遊星が珍しく躊躇う素振りで、ソワソワと視線を自分の机に向けた。
その一番下の引き出しにはあの日に渡せなかったままの贈り物が入っている。
理想のタイミングではなかったけれど、今なら上手く渡せそうだ。
「なぁに?遊星…」
の声に後押しされるように遊星はの手を離し、後ろを振り返る。
は自由になった手で目尻の涙を拭った。
「…?」
あれ、何この光…。
もう一度は目を擦った。
指先から細かい粒子のような光が立ち上っている。
「実は、が記憶を無くす前…つまり俺の記憶が戻った夜に渡すつもりでいたんだ」
「…え、う、うん…」
がら、と遊星が引き出しを開ける音がした。
しかしはそれどころではない。
遊星は背中を向けていて気付いていないが、の体から細かい光が後から後から上がってくる。
ちょっと待って、これってまさか。
「…時間が経ってしまったし、その、気に入って貰えるかも分からないが」
ふわふわと立ち上る細かい泡のような光がふんわりとを包み込んだ瞬間。
そう、丁度カードが破壊されるエフェクトのように、光がぱぁんと弾け飛び…。
「…えっ…?」
「いや、だから、その…俺が好きで選んだから気に入って貰えるかも分からないが…と言ったんだ」
それを聞き返したわけじゃない!
遊星が振り返ろうとしている。
やだ、待って!
「遊星っ!こっち向いちゃだめ!!!」
「…え」
の絶叫は一瞬遅かった。
遊星が振り返る様がスローモーションのように再生されて、は思わず手元の枕を…。
「っ…!?」
ーぼふっ!
振り返るか、振り返らないかの刹那、遊星の顔に枕がクリーンヒットした。
突然の衝撃に遊星はよろめく。
「…な、何をするんだ……」
遊星は顔を押さえて、視線を上げた。
と、そんな遊星の目に入って来たのは。
「ご、ごめんなさい…でもあの今は不可抗力だと思うの…」
困った表情で布団を体に巻きつけただった。
すらりと伸びた腕が布団を押さえている。
「…
「ふ、服が…ね。あの、なくなっちゃって、その…」
恥ずかしそうに視線を落とす。
それは紛れも無く。
…!」
「ひゃぁっ!」
がばっと勢いよく抱き締められた。
その勢いが強すぎて体を支えきれず、は遊星に押し倒されるようにベッドに沈み込む。
…!本当に、夢じゃないのか」
感嘆の溜め息を吐くように確認をされ、は困った顔のままで笑った。
「ん…夢じゃないみたい」
「…確かめても、いいか?」
「え…あ、…っ」
の返事を待たず遊星はの唇を素早く奪った。
柔らかな感触。
ああ、の味だ。
「んっ…、ふ…」
ゆるゆると侵入してきた遊星の舌を優しく吸って、混じった唾液を飲み込む。
ちゅくちゅくと音を立てながら遊星はの唇を貪った。
「っは…」
息苦しくなって、が先に唇を離す。
名残惜しそうに遊星が唇を舐めてきた。
「あん、もう…。…夢じゃないって、分かった?」
「……いや、まだだ」
言うなり遊星が布団を引き剥がした。
「ちょっ、やだ!」
反射的には体を丸めるようにして胸を隠した。
それは何となく風呂場での小さなを思い出す行動で。
遊星は少し笑ってしまう。
「何故、隠すんだ。毎日一緒に風呂だって入っていただろう?」
「入ってたけど…、その…なんかこの体が久しぶりで恥ずかしいの!」
不思議な感覚だ。
あれは遠い昔のようで昨日の事のようでもあるような…。
でもきちんと記憶は残っている。
そう、例えばこんな記憶さえも。
「それに…お風呂では毎晩遊星に悪戯され続けたし…」
「あれはが俺の恋人になってくれると言ったからだ」
「私、本当に遊星は子供が好きなんだろうなって思ってたわ」
まだ生々しく覚えている、遊星との秘密の遊び。
風呂場でだけ行われる遊星の愛の行為。
最初こそ恐怖に戦いたけれど、だんだん気持ちよさの虜になった。
実はこっそり風呂の時間を楽しみにしていたけれど、恥ずかしすぎるので、それは口が裂けても言えないと思っている。
「子供ではなくが好きだと言ったはずだ」
「あの時の私は子供だったでしょ。私が好きイコール子供が好きなんだと思ってたの」
「嫌だったのか?」
「ううん。実は、『遊星、子供が好きで良かったぁ…』って思ってた」
当時のの口真似をするに遊星は笑みを見せる。
不思議な気分だが、やはりあれは紛れも無く少女時代のだったのだ。
「どんなでも愛しているが…今のを俺に愛させてくれないか?」
耳元で囁かれは肌を僅かに赤くする。
「…その言い方、お風呂でも良くしてたよね。断れないからズルいって思ってた」
「それで、答えは?」
「……お願いします…」
毎夜遊星によってイかされてはいたけれど、彼を受け入れることは終ぞなかった。
理由は勿論遊星が小さなを気遣ってくれたからである。
しかし下腹の奥の、震えるような疼きが満足することはなく…。
何度もイかせてくれる遊星には申し訳なかったけれど、やや欲求不満気味でもあった。
遊星の体が戻った日に入れ替わりに子供になった
元通りになった遊星に抱かれるのは何日振りのことだろう。
記憶を失う前に子供の遊星を襲う形でセックスしたけれど、現在の遊星とはもうかなり昔のことのようだ。
「…でも、久し振りすぎて凄く恥ずかしい…」
ぽつりと呟くに遊星は囁いた。
「俺は久し振りすぎてこれ以上ないくらいに欲情している」
「…ばか…!、あ…ん、…っ」
囁きざま、ねろりと耳を舐め上げられた。
耳朶を柔く唇で食まれるとくすぐったさにぞわぞわと肌が総毛立つ。
「っ、はぁ…ああ…ん」
唇が優しく首筋を辿る。
まだ何も始まっていないのに、それだけで足の間がぬかるんでくるようだ。
遊星が、の仰け反る白い喉に噛み付く。
「っ、!」
やや乱暴な愛撫には息を飲んだ。
そんなから遊星は体を少し離したかと思うと、強く抱擁する。
「ずっと、こうしたかった」
ぎゅううと息も止まりそうなくらい強く。
勿論幼いを抱き締めなかったわけではない。
の態度が雪解けしてからは抱っこだって頻繁にした。
だけど。
「うん…私もね、遊星の腕が恋しかったよ」
幼い遊星を抱き締めて眠ったけれど、時々はこの抱擁が欲しくて。
でも叶わないから、自分で自分の肩を抱いたわけで。
どんな姿になっても、互いに愛し合っていたけれど。
「愛してる、遊星」
が遊星のジャケットに手を掛けた。
そっとそれを肩から滑らせる。
「…愛して、遊星…」
恥ずかしそうに請う
遊星は体を起こしてジャケットとタンクトップを脱ぎ、ベッドの外に投げ捨てる。
そして改めての上に圧し掛かった。
遊星の体重が移動したことでベッドがぎしりと音を立てる。
「…、あ、ん…っ」
遊星がの首筋に顔を埋めた。
鼻先をくすぐるの香り。
それは柔らかくて不思議に甘い。
は甘いいい匂いがする…」
「や、何言って…は、あぁぁ…」
遊星の鼻先が首筋をくすぐる一方で、大きな手がの胸を包み込む。
感触を楽しむように緩やかに揉みしだかれた。
「んっ、あ…あぁ…!」
膨らみ始めた乳首を摘み上げられては伏せた睫毛の先をぴくんと震わせる。
「大人になっても、ここが感じやすいのは変わらないな」
「っ…!な、…あぁぁ、んっ…ばか…、意地悪…っ!」
「俺が子供の時に苛めてくれた仕返しだ」
にやにやとしながら遊星はを見下ろしている。
かあ、との頬が赤くなった。
そういえばあまりにも幼い遊星が可愛いのと、記憶が戻ったことを打ち明けなかった彼に悪戯をしたんだっけ。
最終的にはネタばらしも済んでいたけど、あのまま調子に乗って遊星を思い切り苛めたんだった。
「子供の時のように口でしてくれないか?興奮しすぎて全く持ちそうにないから、一度出したいんだが」
「…!」
断れないと分かっていてこの言い方。
「わ、分かったわよ…」
渋々頷きは体を起こした。
座り込んだ遊星の足元にうずくまると、服越しでも分かるくらいに遊星が勃起させているのが見て取れた。
頬を赤らめながらベルトを外す。
そしてトップボタンを外し、ファスナーを下ろしてそうっと手を入れた。
「…、こんなに…」
思わず子供の頃の遊星と比べてしまって。
「子供の頃とは違うだろう?」
「っ、もう!良いから黙ってて!」
くっくっと喉で笑う遊星を睨み、は遊星の男性器に唇を押し付ける。
舌先を先端に纏わりつかせるようにしてぬるりと舐めた。
そのままちゅうちゅう緩く吸いながら手で根元を扱く。
幼い遊星の体は性的なことに慣れておらず、温い愛撫であっけなく射精に導けたが、今の遊星はこれくらいでは何ともなさそうだ。
「ん、む…は、ぅ、…んん…」
「…っ、は…ああ、凄くいい…」
浅く出し入れをしながら露出した先端の裏筋部分を撫でると、遊星の息が荒くなる。
確かに、感じるところは幼い頃と変わらないようだ。
根元を扱く手を強くするとじわりと先端から先走りが滲み始めた。
確かに遊星の『全く持ちそうにない』という言葉は本当のようである。
このまま追い詰めてあげれば意外に彼の絶頂は近そうだ。
は軽く息を吸い込んだ。
「…ん、ふ…っ」
そして遊星の性器を深く咥え込む。
「っ、あ、…っ」
びくんと遊星の腰が跳ねた。
同時に口の中に頬張った遊星もびくびくと脈動する。
きつく握りこんだ手を上下させながら、口の中へ出し入れする。
「はぁっ…あぁ…っ!」
快感に声を抑えきれない遊星。
ああ、あの時の遊星だ。
自分の口を味わいながら悦ぶ遊星がここにもいる。
密かに冷たい興奮を味わいながらはスピードを上げた。
僅かに遊星の腰が浮く。
もう、すぐ…。
「はぁ…、っう、く…出す、ぞ…、あ、ああっ!」
「っ…」
が思ったとおりのタイミングで口内に遊星の味が溢れかえった。
興奮の度合いを表すかのようにたっぷりと吐き出される。
「ん…ぅ…」
びゅくびゅくと断続的に射精されたものを喉の奥に押し込む。
「んっ…はぁ…」
ずるりと唇から引き抜いたソレは、それでも勢いを失わない。
そんなにも欲しいと思ってくれているのかと思えば少し嬉しくなる自分も大概なのだろう。
「…あぁ、凄く良かった…。次は、の番だな」
「…え?」
遊星の手がの脇に差し込まれ、抱き上げられた。
そして改めてベッドに押し付けられる。
「あ、ん…っ」
そのまま体を屈めた遊星がの胸の丸みを唇でなぞリ始めた。
かすかに触れる吐息が肌をくすぐる。
「あ、あぁぁ…!」
ぷくりと膨らんだ乳首に舌先が触れた。
弾くようにちろちろと撫でる。
「あ!やぁ…っ」
小刻みな動きが焦れったくて、は身を捩った。
「…動くな、
「あぁん…っ、だって…、はぁ、はぁぁ…っ」
戒めるかのように手を重ねられてベッドに縫い付けられる。
そして遊星はぷちゅりと音を立て乳首をその口の中に含んだ。
柔らかくて暖かい舌が敏感なそれをいやらしく捏ねる。
「あっあっ…!ゆうせぇ…!はぁ、あぁっ…」
思わず背がしなる。
遊星に胸を押し付けるようにしながらは快感を訴えた。
柔らかな胸が頬に触れる度、遊星は煽られるように体温が上がるのを感じる。
口で抜いてもらったばかりなのに、早くを余すことなく平らげてしまいたいと思う自分がいて。
「あ…あぁ…」
が僅かに残念そうな溜め息を吐いた。
遊星が唇を離してしまったからである。
「はは、そんなに残念なのか?」
「ち、違…っ、別に、そんなんじゃ…」
「嘘つきだな、は。子供の時のように素直になれよ」
言いながら意地悪く腰を撫でる遊星。
更にすりすりと下腹を撫で、そして内股に手を伸ばす。
「くぅん…っ、あぁ…、やぁ、ぁぁん…っ」
体を下にずらした遊星は、意地悪い手つきでの花弁をゆっくりと押し広げていく。
「こんなに濡らしているくせに…」
「やだぁ…見ないで…!」
は両手で顔を覆い、遊星の視線から逃れようと体を捩った。
蕩けきったそこは物欲しそうにぴくぴくと震えている。
誘われるように遊星は顔を近づけた。
「ん!はぁぁ…っ!!」
ぞろりと敏感な部分が刺激され、は声を上げて体を震わせる。
「あ!はぁっ、だめ、ゆうせ、やぁぁっ!!」
焦らされた部分に這う遊星の舌が熱い。
内股の濡れた感触に、体の奥から愛液が溢れてきていることを知る。
「すごく欲しそうだな、…」
「え、っあ、あぁぁ!だめ、指…っはぁ、…あぁぁ…っ!」
愛液の溢れる入り口に遊星が指先を埋め込んだ。
抵抗も無くすんなりとそれを飲み込んでしまう。
恥ずかしいと思う反面、中を犯されるのは久しぶりできゅうんと下腹が疼いた。
遊星は指を埋め込んだまま、舌で突起を愛撫し続けている。
「や、はぁぁ、ゆうせぇ、っ、イっちゃう…!」
きゅうう…と埋まり込んだ指が、の内壁にきつく締め付けられた。
「っ―…!」
声にならない声を上げ、がくがくと体を震わせる
眩暈すら感じる快感に全身が粟立つような気がする。
「…っは!はぁ、はぁあ…っ」
荒い息を吐いてベッドにぐったりと沈み込んだ。
膣内を弄られたのは久しぶりで、じぃんとした余韻が残っている。
「これで、満足したわけじゃないよな?」
足の間に体を捩じ込みながら遊星は酷薄に笑った。
下腹部に当たる遊星の昂ぶりを感じ、はぎくりと体を起こす。
「やっ…待って…まだ…」
絶頂の余韻が抜けていない。
なのに、びくびく戦慄く入り口に、遊星はぐっと性器を押し付けた。
がイったのなら、次は俺の番だよな?」
「ゃあぁっ!」
内壁を押し広げるように遊星がぬぶぬぶと入ってくる。
「っはあ…ぁぁん!」
一瞬、衝撃にも似た快感が突き抜けて目の前が白く点滅する。
「っ、…締まる…」
気持ち良さそうに腰を進める遊星が呟いた。
お互いに久し振りの感覚である。
「はぁ、ああっ、おっき、ぃ…はぁんっ、凄い…っ」
内壁を擦り上げられ、はぞくぞくと腰を震わせる。
その度、中が緩やかに収縮するのを感じ遊星も熱い溜め息を吐いた。
「は、あ…堪らない、な…。、凄くイイ…」
我慢出来ず、ゆるゆると遊星は腰を揺らしてを苛む。
体に馴染む前に刺激を与えられては体を跳ねさせた。
「あっ!あっ!」
爪先が空中を蹴る。
「はぁ…ん、ちょっと…イっちゃった…」
ぼうっと遠くを見ながらは呟いた。
力の抜けるの体を抱き締め、遊星はゆっくりと腰を引く。
「んんっ…」
遊星のアレが体の中からずるりと引き出され、そして。
「はぁっ…!」
中を押し広げてもう一度埋まりこむ瞬間に快感が生まれる。
の首筋に顔を埋めた遊星がベッドを軋ませて注送を始めた。
「あっ、あっ…はぁ、あぁぁっ!」
力強く腰を抱き上げられて奥の奥を突き上げられる。
差し入れられる度に溢れた愛液が内股を伝った。
ぬちゅぬちゅと卑猥な水音が部屋に響く。
「ゆう、せ…っ、はぁ、あぁ…っ、また、イっちゃう…!」
震え上がる体の奥が、にまた絶頂の予感をもたらして。
は遊星の背中に爪を立てた。
…っ、はぁ…なら、イかせてやる…」
遊星はの足を抱え、更に激しく腰を使う。
そして敏感な突起を指先で軽く引っ掻いた。
「やぁぁっ!!」
その瞬間、はがくがく体を震わせて絶頂に達する。
膣壁が断続的に収縮し遊星もそれに導かれるように腰を震わせた。
「く…っ、う…」
「はぁっ…はあ、熱い…」
内部の脈動を感じ、は小さく呟いた。
遊星の体が緩やかに弛緩して、の横に沈み込む。
「…大丈夫、遊星…?」
「……ああ。問題ない…」
「今思い出したんだけど、ブルーノ多分ずっと待ってるよね」
遊星は『少し外す』と言って私室に上がってきたのに。
もう既に『少し』どころではない時間が経っている。
「…の姿を見れば納得するんじゃないか?」
「…」
その返事に、は遊星の顔にベッドにもう一つ残っていた枕を押し付けた。










この腕で、普段のを抱き締められることが如何に幸せかを思い知らされる。
愛しくて、焦がれ続けた相手が目の前にいること。
お互いに出会えたことは本当は奇跡と同じで。
「…結局、こんな形になってしまったが…」
散々愛し合い、存在を確かめ合った後で居住まいを正した遊星が、放置されたままのプレゼントをに差し出した。
「あ、ああ…あの時うやむやにしちゃったのよね…。ごめんなさい」
あの時、というのは先程枕をぶつけた時のことである。
「いや、いいんだ。気に入って貰えるかは分からないが…開けてみてくれないか」
「…う、うん…」
遊星から何かを貰うのは初めてではないけれど、改めてこうやって渡されると少し緊張する。
どきどきしながら紙袋の中に手を入れた。
軽く触れる固い感触。
この紙袋のサイズに、小箱…アクセサリーかな。
はどんなアクセサリーにせよ、それを遊星が買ってきたと思うと少し吹き出しそうになる。
どんな顔して買ってきてくれたんだろう…。
丁寧に包装紙を開き、真っ白な小箱を開く。
「…え、っと…」
そこには銀色のシンプルなリングがちょこんと入っていた。
リングに埋まった石が2つ煌めく以外は装飾の少ないそれ。
これはファッションリングと言うより…。
まさかと思うが遊星を見上げると同時に遊星は口を開いた。
、俺はずっとと一緒にいたい。生涯愛し抜くと誓う。…俺と、結婚してください」
「…!」
僅かに頬を赤くして、強張る手での手を取る遊星。
視線を逸らすことなく、しっかりと
見据えられる。
予想だにしない遊星の言葉。
驚きすぎて頭がなかなか言葉を理解しない。
「…遊、星…」
まさか、そこまで考えてくれていたなんて。
数え切れない星の中からお互いを見出した二人の結末。
はらり、との頬を涙が伝う。
「…はい、私で良かったら…喜んで…。宜しくお願いします…」
肩を震わせながら微笑んで頷く
それを見た遊星はあからさまにほっとした様子で体の力を抜いた。
「ふふっ、遊星が緊張するなんて、とっても珍しい」
「……」
ふい、と無言で恥ずかしそうに視線を逸らす仕草が可愛くては涙を拭いながら笑う。
そのまま遊星にぎゅっと抱きついた。
それを遊星も強く抱き締め返す。

ああ、運命って本当にあるのね。

遊星の力強くて暖かい腕の中。
これが更に遠い未来の、永遠に繋がってるのだ。
は緩やかに目を閉じた。
一筋の雫が頬を伝うのを感じながら。










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今回の内容は、Oh! My HONEYで二人がどのようなシナリオを辿っても
この最後に落ち着く、という二人の最後のお話です。
Oh! My DARLING開始時点ではそこまで考えていなかったのですが…
遊星子供にしたらヒロインちゃんも子供にしたくなって
結局ここまで書くことになりました。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

最後に…。
以下の文章がOh! My DARLINGを書き始めた動機です。
これが書きたいがためにだらだとここまで書いてきました。
蛇足ですが…興味を持っていただけましたら読んでいただけると嬉しいです。












、初めて出会ったときのことを覚えているか?」
「…うん」
あれは今思い出しても不思議な瞬間だった。
出会った時、離れ離れになった魂の片割れを見つけたと互いに直感したのだ。
説明できない不思議な運命に引き寄せられたのだと思っていたけれど、今ならその理由が理解出来る。
「私たち、ずっと昔に出会っていたのね」
「…ああ」
「でも、凄く不思議な気分。遊星に出会ったときは、まだこの記憶は生まれてなかったのに」
今、の頭の中には幼き日に遊星と数日間愛し合った記憶が残っている。
ずっとずっと忘れていた記憶を思い出したかのような感覚。
探していたのは、その在りし日の恋人だったのだ。
記憶が生まれる前から決められていた運命のあの瞬間。
「…ずっと、私達、お互いを探していたのね」
「そうだ。…そして俺はを見つけた」
「…私は、遊星を見つけた…」
優しく頬を撫でる遊星の手。
それをそっと掴んでは指を絡める。



重ねあう手に光るリング。
のリングには二つの石。
それは恒久に寄り添う二つの星。
未来から運ばれてきた奇跡の運命で繋がれた二人の結末。