mischief-延長戦


「まだ、いたのか」

「まだ?あたし今晩は部屋には帰らないよ」

「え…」

「だって、もっと遊星の傍にいたいんだもん」





キスの後、はにかんだ笑顔を残して夕飯の準備に行ってしまった
追いかけようかと思ったが、今この高揚した気分でクロウと仲良く夕飯を作るを見守る自信がなくて部屋に戻った。
先程と同じく後ろ手にドアを閉めて力無くしゃがみ込む。
(嗚呼、嘘だろう…)
いや、嘘になんかしたくない。
しかし信じられない気分が今も続いている。
嫌われたと思ったら、意外なる告白を受けた。
絶望の底から一気に浮上したわけだが、何か色々なものを使い果たしたような気さえする。
(俺は明日死ぬのかもしれない)
勿論そんなわけないこともわかっている。
だけどそう思ってしまう程に満ち足りた気分だった。
遊星は引き出しに視線を遣った。
もう永遠に来なくなったと思った「いつか」が今手の中にある。
彼女がこれから先も自分の傍にいてくれるのだ。
ふと遊星は自分の唇を指でなぞる。
先ほど軽く触れたの感触がまだほんのりと残っているような気がして、一人うずくまりながら赤面した。





夕食後の後片付けの手伝いは遊星が買って出た。
先程の騒ぎを知っているクロウは一瞬躊躇ったが、が普通に了承したのでもうわだかまりはないと判断したのだろう。
じゃ、任せるからな、と言って階段を上がっていった。
二人きりで残された遊星と
「クロウの当番だからクロウに任せればいいのに。良かったの?それに今日はお休みにしたんでしょ?」
「いいんだ…それに、見ている自信がなくて」
「?」
がクロウと並んで片付けをしているところを、見ている自信が無くて…」
ともすればカップルのように見えるかもしれない後姿を見守るのも嫌だったし、かといって放置して部屋にいるのもストレスが溜まりそうだった。
正直休みなんてどうでもいい。
ただの傍にいたくて仕方が無い。
恥ずかしそうに呟かれた遊星の言葉を理解しても頬が熱くなる。
「そ、そう…。なら、好きにしたらいいと思う…」
伝染する気恥ずかしさを振り払うようにはスポンジを掴んだ。
遊星は食器立てに残っている食器を片付け始める。
作業的に遊星の方が食器を片付けるスピードが速いので、その内から食器を手渡しで受け取っては拭いて食器棚へ入れるという作業になった。
「このお皿重くて滑りやすいから気をつけてね」
「ああ」
「明日の夜は何にしようかなぁ」
「チラシを見て決めれば良いんじゃないか」
「うーんまあそうなんだけど」
「俺はが作ってくれるものなら何でも嬉しい。いつも凄く美味しいものを作ってくれるし」
「!…それ、天然?」
「?」
「ううん…何でもない。このカップ右上のソーサーの上ね」
「ああ」
意外に和やかに片付けが進んではほっとした。
恋人同士なんて初めてで、逆に気まずくなったら嫌だな、と思っていたので。
「お魚食べたい気分だけど、お魚高いんだよねー…」
「肉よりも?」
「そうだよ。実は鶏肉の方が安かったりするんだよ。あー胸肉買って来て唐揚げにしようかな」
あれなら2枚買っても結構安い…と言いながらが次の食器を差し出すが、受け取る遊星が僅かに目測を誤った。
食器と一緒にの指まで掴んでしまう。
「!」
「っ、あ、すまない…」
まさかの感触には弾かれたように遊星を見た。
食器を落とさなかったことを褒めたいほど驚いたが、ゆっくりと視線をシンクに戻す。
「ううん、大丈夫。落とさなくて良かった…」
ほんの少しの頬が赤くなって、遊星はを今すぐにでも抱き締めたいような衝動に駆られる。
…」
「なぁに?」
「…片付けが終わったら、俺の部屋に来ないか…」
愛しさが込み上げる衝動のままに遊星は言葉にした。
の動きがぴたりと止まる。
「遊星の、部屋に…?」
僅かな警戒の色を滲ませたようなに遊星は慌てて言葉を重ねる。
「いや、何もしない…!ただ、もう少し…一緒にいたいんだ…」
が洗っている食器を見れば残りはスプーンが3本コップの中に刺さっているだけで。
たった今食器を受け取る目測を誤ったのも、もう少しで終わってしまうなとか余計なこと考えていたからである。
少しだけ考えるかのような間を置いて、は小さく頷いた。
「ん、じゃあ…お邪魔します」
どきどきしながら返事を待っていた遊星は色よい返事に表情を明るくした。
それを見たは、あ、シャッターチャンス逃した…と思っていた。






「ええー、そんなの伏せてるぅ」

「そろそろ見抜かれると思っていたが…」

「分かんないよ!それ最初っからずーっとあったからてっきり…」


二人で部屋に戻ってきた時、遊星のベッドの上にはそのまま放置していたカードが散らばっていた。
意外に散らかしてるよね、と笑ってがそれを覗き込む。
普段から洗濯物を放り込んだり掃除に来たりしているから知っているのだろう。
「ね、ちょっとしよっか。遊星には敵わないと思うけど」
「…ああ、受けて立つ」
「や、そんな真剣にならないでよ。お手柔らかに、お願いします」
実はあたしもテレビで遊星が勝つところ見てたんだよー。
なんて無邪気に笑いながらデッキを取り出す。
遊星はがデッキを持っているという事自体が初耳で、どんな内容かは知らない。
逆にはテレビを見ていたのならある程度遊星がどんなカードを持っているかを知っているだろう。
大概なハンデである。
が、敢えて遊星は口にしなかった。
負ける気はないし手は抜かないが、遊びならそういうことがあってもいい。
それにが誘ってくれたことが嬉しい。
床に座ろうとするを制止してベッドへ座るよう促した。
「ん、ありがとう」
距離を取ってベッドに腰掛け、向かい合わせになる。
「先攻は遊星どうぞ」
「…いいのか?」
「えへ、あたし的にはそっちのほうが…ね」
ちょっとばつが悪そうに笑うが、遊星的には何の問題も無い。
ならば、と遊星がカードを引いた。



「勝ったー!」
やっと勝ったあぁ…とはベッドの上に体を沈めた。
『ちょっと』と言っただったがどうも勝負事に燃えるタイプのようでもう一回、もう一回と手を変え品を変え…。
最終的には「ちょっと待って、カード取ってくるから!」と部屋に一度帰り…。
「満足したか?」
「うん、凄く。遊星強いねぇ…。あたし遊星とは一生アンティやんない」
遊星はカードをベッドサイドに置くとの隣に横になる。
そしてそっとの手を取り指を絡めた。
「…遊星?」
「少しだけ、こうしていてくれないか」
「……うん」
伏せ目がちに了承してもその手に力を込めた。
柔らかい感触が、それでも力強く握り返す感覚。
存在を確かに感じたような気になって遊星はが愛しくて堪らなくなる。
本当は抱き締めてその胸の中にを閉じ込めてしまいたいのを押し殺して、軽く頬にキスをすると遊星は体を起こす。
、話を蒸し返す気はないんだが、あの時風呂に入りそびれたから今から行こうと思う。部屋に帰るか?」
「ん…いててもいいの?ダメなら帰る」
「好きにすればいい。戻る時に電気さえ消して行ってくれれば」
「…じゃあ、もうちょっといる」
「そうか」
ダメなわけがない。
寧ろ歓迎だ。
後ろ髪を思い切り引かれる気分になりながらも遊星は部屋を後にした。
ぱたんと静かにドアが閉まり、静かな遊星の部屋に独り残った
「…ほんとに、なんにもしなかった…」
ぽつんと呟く。
何だかんだ言ってさっき裸の体も見られたわけで、遊星が狼になったらそれはそれで受け入れようと覚悟を決めていたのだが。
横になって手を握られた時に少し構えそうになったがそれも我慢してみたのに。
結局遊星は何もしなかった。
有言実行で誠実なのだな、と思うと好感度も上がる。
が。
「もうちょっと踏み込んできて欲しいかも…」
僅かな期待と若い好奇心が満たされない。
先程キッチンで少し緊張したのがバレてしまったのが拙かった。
何かされるかも、と具体的なことを考えて緊張したわけではなく、ただただ男の子の部屋に誘われたということに緊張しただけだったのだが、遊星には警戒したように見えてしまったのだろう。
悔やまれる。
さっきのキスも頬へじゃなくて唇のキスが良かったなぁ…と思いながらは遊星のベッドの上をころんと転がった。
「…これは寧ろ、実力行使かな」
は体を起こすと部屋を出た。
そして自分の部屋へ向かう。





はもう戻っただろうか。
急いでシャワーを浴びたわけではないが、心持ち早めに切り上げて、遊星は風呂場を出る。
別に明日の朝になれば会えるわけだが「彼女」と言う存在の特別感が遊星の感覚を狂わせる。
部屋へ戻った時、ドアの隙間から白んだ光が漏れていることに気付きどきどきしながらドアを開けた。
いつもの自分の部屋だと言うのに可笑しなことだとは思うがこれも狂わされた感覚の一つなのだろう。
ドアを開けるとベッドの上でが寝そべりながら携帯を触っている。
「まだ、いたのか」
遊星としては『まだいてくれたのか』という方が正しいかもしれない。
しかし同時にの格好に違和感を覚えた。
先程と服装が変わっている。
それはもう部屋着と言っても差し支えないような服装で。
「まだ?あたし今晩は部屋には帰らないよ」
「え…」
「だって、もっと遊星の傍にいたいんだもん」
えへへ、いいよね?
はにかみながら請うに遊星はくらりと眩暈を感じた。
それは一体どういう耐久レースなのだろうか。
当然ながらベッドは一つ。
彼女は何かを試そうとしているのか。
それとも本当に男という生き物を全く知らないのか。
そうだとしたら怖い思いをさせて傷つけてしまうかもしれない。
恋愛というものは信頼の一つの形でもある。
彼女が望む事を叶えて、言った事も守り抜く…出来るだろうか。
いや、しなければならないのだが。
遊星は無言のままにの要求に頷いた。
「じゃあさ、そろそろ寝ない?デュエル付き合ってくれたおかげでこんな時間になっちゃったし、遊星はまた明日から仕事でしょ?」
「…あ、ああ…そうだが…」
「じゃ、寝よ?」
言いながらは自分の隣をぽんぽんと叩く。
「……ああ」
限り無く思考が掻き混ざる遊星の力の無い返事が小さく部屋に響く。


少し強引だっただろうか。
しかし既に夜を回り、眠っていてもおかしくないような時間であることは確か。
はどきどきしながらその時を待つ。
「じゃあ、消すぞ」
「うん」
ぱちんと遊星の手によって消灯された。
明るさになれた目が急に光を失い何も見えなくなる。
目を開いているのだか閉じているのだかすら曖昧になるこの瞬間は好きではない。
そうしていたらぎしりとベッドが沈み込むのを感じた。
遠慮がちに遊星がベッドに上がってきたようだ。
はそれにゆっくりと手を伸ばす。
「…遊星」
触れる前に声を掛けた。
「…どうした?」
「うん、あの…ごめん、ね」
「何故、謝るんだ」
遊星は布団の中で首を傾げる。
しかしその瞬間、するりとの腕が遊星の体を絡め取った。
柔らかなの体が遊星を抱き締め、髪の香りがふわりと舞いあがる。
「…、っ!?」
驚いて後ずさるように体を引くが、は追いすがる。
「逃げないで、遊星」
「…だが、っ」
本能が逆撫でられる。
一緒に寝るという行為だけでも十分刺激的すぎるのに、こんな事をされてはかき集めた理性が崩壊させられてしまう。
は本当に男がどうなるか知らないというのだろうか。
遊星の腕がを引き剥がそうとした。
誠実な態度を貫こうとする遊星の行動に、は胸が熱くなる。
「待って、遊星…。あたし、もっと先が知りたいの…」
「…先…?」
「そう…いけないコトが、知りたいの…」
艶かしく囁くの唇が、慣れ始めた暗闇の中で動いている。
何を言っているのだろうと遊星が理解をする前に、は更に行動に出た。
引き剥がそうと腕を掴む遊星の手をやんわりと解き、自分の胸の上に重ねさせたのである。
瞬間びくりと遊星の手が強張って離れようとするが、はそれを許さなかった。
「遊星が、教えて。あたしに…」
「…、」
「ね、シよ?」
直接的な誘いの言葉に遊星はの腰を抱き寄せた。
息も詰まるほどの抱擁。
「…良いのか、本当に」
「良いの。ホントに、遊星の事が好きだから」
「……途中で嫌だと言っても、止められないぞ…」
「あたしが怖がっても嫌がっても…止めちゃヤダ…」
「…、お前は…」
はあ、と遊星は深い溜め息を吐いた。
そして掻き抱いた細い腰の衣服の隙間から、遊星が手を滑り込ませる。
「っ…」
暖かな手が腰をを撫でた。
その滑らかな手触りだけで遊星は自分の心臓が跳ね上がるのを感じる。
感じたことが無い速さで打つ鼓動は自然と遊星の体温を上げた。
「あ、ン…、ゆうせぇ…」
聞いた事もないような甘い声が更に遊星を煽る。
興奮に任せての唇に自らのそれを押し付けた。
「はふ…っん…っ」
数時間前に交わしたような優しいキスではなく、噛み付くような荒々しいキス。
遊星の舌が唇を割り、無遠慮に侵入してくる。
「ンんっ…!」
ちゅく、と唾液の混じる音がして口内に遊星の味が広がっていく。
絡まる舌は官能的な柔らかさで、互いの体を熱くするのだ。
「はぁっ……」
名前を呼ばれ視線を向けると暗闇の向こうで切ない欲情の色を湛える遊星の視線とぶつかった。
「遊星…ひゃ…っ」
する、と腰を伝いあがる遊星の掌。
胸の丸みを押し潰すようにやんわりと胸を掴まれた。
大きな手が下着越しに胸を捏ねる。
「…柔らかい、な」
「あたしは、ちょっと恥ずかしい…」
暗くて良かった、とは思う。
頬の熱さから察するに自分は今真っ赤になっているのだろう。
多少はバレているかもしれないが、はっきり見られなくて良かった。
ふにゅふにゅと感触を楽しむかのような手付きだが、如何せん下着越しと言うのがもどかしい。
は焦れったい疼きに腰を震わせていたが、やがて一つ思い至る。
「遊星…もしかして外し方分かんない?」
「え、?」
「男の子はこんなのしないもんね…」
が自ら背中に手を回したことに気付いた遊星は、漸く何の外し方のことを言われたのかを理解した。
気付いた瞬間の下着が緩くなったのが分かる。
手探りで部屋着を脱がせて引っかかっているだけの下着も取り払った。
寒かったら可哀想なので、布団をしっかりかけてやった上で漸く向かい合ったままのに触れる。
「あぅ、っ…!」
ぴくんと反応したが小さな悲鳴にも似た声を上げた。
遊星が触れていると思うだけで足の間が甘く痺れるようだった。
そして下着越しよりも柔らかな膨らみに遊星もますます欲情する。
形を確かめるように輪郭を撫でて指先が埋まりこむ不思議な感触を楽しんだ。
「んっ、は…」
「…」
つんと膨らんだ乳首を掌が掠めるたびにが背中をしならせるので、それをきゅうっと摘みあげた。
「あぁっ!」
途端、びくびくと体を跳ねさせる
自慰の為の多少の知識はあれど、本物の反応を見るのは初めてである。
唇から零れるの呼吸は苦しそうで遊星は少し不安になった。
、その…辛いのか」
「んっ、違…、遊星が気持ちイイとこ、触るから…っ」
「…ここがイイのか?」
「はぁんっ…あ、はぁあ…そう…イイ、よ…凄く…」
とろんと蕩けた視線が遊星に投げかけられているのがぼんやりと見えた。
見つめられるのは何となく気恥ずかしくて遊星は俯くように視線を下の方へスライドさせる。
それが間違いだったのだが。
「っ…」
暗闇の中にうっすらと白いの肌が浮かんで見える。
風呂場で見たあの滑らかな曲線が鮮やかにフラッシュバックした。
無防備な裸の胸を無遠慮に弄っている自分の手。
罪悪感と共に想像を禁じえなかった体が、目の前に投げだされている。
「…、っ」
「ふあぁっ、あっゆうせ、え…っ!」
誘われるように柔らかな胸に顔を埋めた。
鎖骨の下の辺りをきつく吸い、跡を残す。
少しの痛みにはひっと喉を鳴らしたが、遊星に気遣う余裕は無かった。
本能に導かれるままに膨らみの先端を舌先で捉える。
「あっ!はぁ、あぁ…っ!」
途端艶かしい嬌声が上がった。
もっと聞きたくて唇に含んだ乳首を舌先で捏ね回す。
「あぁっ!あっあっ…!遊星、遊星…っ!!」
「嗚呼、すごく可愛い、…」
しゃぶり立てられる度には腰が疼いて仕方が無い。
足の間がじんわりと温くなる。
頻繁に行っているわけではないが、は自慰の味を知っていた。
だけど自らの手で肩を抱くよりも遊星にされる方が何倍も感じる。
体の奥から溢れてくる感覚にぞくぞくとして、一際強く吸われた瞬間びくんと腰が跳ね上がってしまった。
「あ…っ」
その時に太股に触れた硬い感触にははっとする。
恐る恐る遊星に視線を落とすと、遊星は気まずそうに視線を逸らした。
その様が可愛らしくては更に遊星を困らせたくなってしまう。
「男の子って、本当にこんな風になるんだね…。ね…触っても、いい?」
「!」
「だめ…?」
「いや…ええと…」
駄目ではないに決まっているが、それを肯定しても良いものか。
言い淀んで視線を泳がせる遊星には言った。
「だめじゃないなら触っちゃうからね」
もぞ、との手が遊星の太股を撫でた。
「…ぅ、あ!」
ごく軽くが触れただけであったが、遊星は体を震わせる。
「すごく熱い…」
つうぅ、と好奇心の塊になったの指先が遊星のカタチをなぞった。
寝間着越しのもどかしい刺激にも関わらず、彼女の指先がソレに触れているという事実が遊星の体温を沸騰させる。
「はあぁ…っ、、あァ…」
切なげに困った表情で喘ぐ遊星。
胸元にかかる遊星の荒い息が扇情的で可愛い。
いけない気分が高まってきた興奮で体の奥がきゅうんと収縮する。
「遊星、可愛い…」
思わず口をついた言葉に遊星は悔しげに表情を険しくした。
そして。
「っ、の方が、可愛いだろう…っ」
「えっ…きゃぁあん!」
体を屈めた遊星が反撃をするようにかぷんと胸にかぶりつく。
「はぁ、ゆ、う…せぇえ…っ、あ、はぁぁぁ…っ」
被さった唇が何度も扱くように乳首を食んだ。
空いた方は指先が円を描くように捏ねる事で絶えず刺激を与えられる。
「あっ、は、はぁあ…、あ!」
その刺激を受けるたびには背中をしならせ、遊星に胸を押し付けた。
強請られているかのような錯覚を起こさせる反応に煽られるように、遊星はの寝間着の下に手を掛ける。
下着ごと手探りで下ろしていき、お尻の柔らかな弾力にどきどきしながらの衣類を全て剥ぎ取った。
「…あぁん、あたしばっかり…!はぁ、あ…遊星も、脱いで…」
愛撫を受けている間に裸にされたことを不満に思うが、遊星の寝間着を捲り上げた。
請われるままに遊星も着ているものを全て脱ぎ捨てる。
そしての上に圧し掛かった。
ずっと向かい合ったまま体を探り合っていた二人だが、こうして重なると互いの体温に緊張と興奮を強く感じる。
、すまない。痛い思いをさせるかもしれないが、我慢できない…」
「ん、いーよ。遊星なら…遊星だけは特別だから…。来て…」
特別だから。
今朝、遊星も感じたことだったが、も同じように考えてくれていたのかと思うと嬉しくて堪らない。
高揚感に突き動かされるままに遊星は体を起こしての割れ目を押し広げた。
暗い部屋ではっきりとは見えないが、ぬかるむ感触がリアルだと感じた。
張り詰めた自身を宛がうとの足がぴくりと震える。
柔らかくて温かな感触に受け止められて、遊星は緩やかに腰を進める。
「っ!」
ぬぷ、と埋まりこんだ自身に抵抗を感じた瞬間の体がびくんと跳ねた。
苦しそうには浅く呼吸をしている。
しかし遊星の方は柔らかくてキツい内壁の感触が堪らない。
「うは、ァ…、辛い、か?」
「んっ、ちょっと…痛いけどっ、…だいじょーぶ、だから…」
困ったように微笑むがいじらしく、余計に遊星は体が熱くなるのを感じてしまった。
無理矢理にでも埋め込んでしまいたい気持ちを必死で噛み殺し、に唇を重ねる。
「ふ、は…っ、ゆ、う…せぇ…」
ちゅ、ちゅ、と何度も優しく啄ばんでから深く重ねた。
柔らかい舌を絡めとり軽く吸い上げる。
「んふ…っ」
少しだけ、の体から力が抜けるのを感じた遊星。
更に胸も優しく愛撫してみた。
掬い上げるように掴んで、先程のように乳首を指先で捏ねる。
「ンっ、ふあァ…っ!」
声に甘い響きが混じったのを聞き逃さず、更に遊星は腰を進めた。
ずぶずぶと埋まりこむ感覚。
の内壁が蠢いて遊星に直接的な刺激を与えてくる。
肌が粟立つ程の快感が遊星を襲った。
「はぁっ、はぁあっ…すご、い…っ、あ、あァ…っ」
ぞくぞくと背中をしならせて気持ち良さそうに呟く遊星の声。
本当に気持ちが良いのであろう、眉根を寄せてともすれば苦しそうにも見える表情がいやらしい。
そんな遊星を見せ付けられるとも感じてしまう。
遊星を咥え込んだ膣壁がきゅうんと遊星を締め付けた。
「くうぅっ、はぁっ、あ…、っあまり…締めないでくれ…っ。持たない…!」
「そ、そんなこと言われても…!」
も意識的にやっている訳ではなくて。
何にしろ互いに初めての事である。
「うう…っ、は、あ、あぁ、っく…」
「んうぅ…遊星…っ、あ、あ…」
ぎしぎしとベッドを軋ませて漸く遊星が全てをの中に収めきった。
時折蠢く内壁に苛まれながらもに馴染むまではこのままで…と遊星は動きを止め重なるようにの首筋に顔を埋める。
すると、の手が遊星の背中を抱いた。
じんわりとした痛みと圧迫感に苦しげに溜め息を吐いたは、しかしそれでも微笑んでみせる。
「…遊星とこうなれてあたしすごく嬉しい」
「!」
「遊星が大好きだったから…」
甘い告白に遊星の体がダイレクトに反応した。
「ん、なんか、おっきく…」
「…が可愛い事を言うからだ…!そんなに俺を煽って…止まらなくなる…!」
「ひゃぁっ!」
ベッドが大きく波打つ。
腰を引いての体の中から遊星の圧迫感が無くなったかと思うと深く打ち込まれる。
「うあぁあっ!」
体の奥を貫かれる感覚には目を見開いて背中を仰け反らせた。
内臓が揺さぶられる。
規則的に体をぶつけられる音が部屋に響いていた。
「はぁっ、ゆ、せぇっ…あっ、くうぅ…っ」
痛いと思っていた中が、遊星によって擦りあげられ押し広げられる度に不思議な感覚へと変わっていく。
奥を突かれると自慰の時に疼く箇所を刺激されているようでは戸惑いながらも遊星が与えてくれる甘い快感を受け入れる。
「あぁ、あっあっ…ゆうせぇ…あぁ…っ、何か、ソレっ…あっイイ…っ遊星、気持ちイイ…っ」
「っ、は…ここ、か…?」
「はぁぁっ、あっ!あっ!」
反応したところを重点的に攻めると明らかにの様子が変わった。
ぴくんぴくんと爪先が空を蹴り、きゅうっと遊星を締め付ける。
「あぁぁんっ…やぁっ、あっあぁ…!遊星っ、ゆう、せぇえっ…!イイよぉっ…!」
絡みつくように蠢くの内部。
腰が融けるのではないかと思うほどの快感が遊星を襲う。
「はぁっはぁっ…あぁ、っ、俺も、イイ…っ、…っ!」
「あっ、なんか、イきそ…っ、あぁぁぁっ!!」
ぎり、と遊星の背中にが爪を立てた。
その痛みすら遊星には気持ち良い。
「遊星っ、遊星…!好きっ、遊星が…っ、はぁんっ、イク、イっちゃ、うぅっ…!」
縋りつくの体がびくっと跳ね上がった。
瞬間遊星自身が今まで無いくらいにぎゅうううと締め上げられた。
搾り取るような動きに遊星も腰を奮わせる。
「っく、うぅ!」
どくんとは体の中で遊星の脈動を感じた。
広がる熱い感覚の直後に遊星の体が崩れて重なる。
汗に濡れた額が胸元に押し付けられて、はそっと遊星の髪を撫でた。
「…大丈夫?」
「ああ…」
気怠るそうに視線を上げる遊星が色っぽくてどきっとさせられる。
ああ、またシャッターチャンス逃したなぁ…とはこっそり思っていた。






さて、翌日。
先に目覚めたのはである。
目を開いたらすぐ前に遊星の寝顔があって一瞬びっくりした。
そうだった、遊星の部屋で過ごしたんだった。
結局あの後簡単に始末だけして力尽きるように眠ったんだっけ。
抱き合った体の温もりが現実感を増すようだ。
我ながら大胆なことをしてしまったと頬が熱くなる。
しかし遊星を受け入れた事に後悔は一つも無い。
は手探りで携帯を探した。
そして。
「…勝手に撮ってごめんね」
謝りながらも遊星のあどけない寝顔を画像におさめた。
「誰にも見せないから、許してね」
画像をチェックしてはもう一度布団の中に潜り込む。
甘えるように遊星の胸元に頬を寄せてもう一度目を閉じた。










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さて、前半の御託が長すぎたので後半を書く許可を頂きこういう形となりました。
なのにまたもこんなに御託長いんですけど!
遊星の童貞っぽさと拙さを出そうとしてこうなった…。自分の自重のなさにびっくりです。
冰覇様、書かせてもらってありがとうございます!


この作品は前半・後半ともども冰覇様へのお礼として書いたものです。
お持ち帰りはご本人様のみとさせて頂きます。
無断転載は元より個人様でのダウンロードもご遠慮下さい。