置き去りの蛹


夏の終わりというものは不思議な魔力を孕んでいる。
それはきっと楽しい時間を惜しむように。
自由な子供でいられる瞬間の名残をかき集めるように。
唇に残った感触を指でなぞって目を伏せる。
嗚呼、今朝彼の腕の中で朝を迎えてしまったのだ。
彼のあどけない寝顔が脳裏に焼き付いて離れない。


もう夏休みも終わりに差し掛かろうとしている。






思い起こせばもう半年が経つ。
バレンタインデーに気持ちを打ち明けた。
真冬の晴れた日。
本命のチョコレートを、ほんの少しはにかんだ笑顔で受け取ってくれた。
一緒に過ごす時間が増えてホワイトデーに初めてキスをした。
デートの回数が増えてゴールデンウィークは二人きりで遠出をした。
元々彼は口数の少ない方だと思う。
それでも楽しませようと一生懸命色んな話をしてくれた。
夏休みの初日に皆で海に行った。
ガレージに引きこもっている割に泳ぎも上手で驚かされた。
体を見たのも、あんなに薄着で彼の前で過ごしたのも初めてでドキドキしたのは記憶に新しい。
だけど…それ以上にドキドキする時間を…過ごしてしまった。
どんな顔をして会えばいいのか分からなくなりながら、今日。
最後に残った宿題を片付けるために彼は今。
「…またそれを間違えたな。はどうもその問題が苦手らしい」
「う…す、すいません…」
家庭教師の真っ最中だった。
得意分野は既に終わっているが、苦手分野を遊星に教えてもらうべく部屋に押しかけている。
夢のような時間が過ぎ去ったあとは気恥ずかしさが残っていて、意識してしまったら嫌だな…と思いながらここまで来た。
だけど遊星は拍子抜けするくらいいつも通りで。
それはそれでちょっと寂しいこの複雑な乙女心を遊星は知る由もない。
「誰にだって苦手なところはある。謝る必要はない」
「でも…何度も教えてもらってるのに」
数学は苦手とは言え申し訳ない気分だった。
それに…。
ちらりとは時計を見る。
そろそろ3時を回ったところだ。
何故今日わざわざ遊星の部屋でこんなことをしているかと言えば今夜は花火大会なのだ。
宿題をきれいさっぱり終わらせて、残り少ない自由な時間を遊星と謳歌したいがための今である。
その為にこんなにも頭を悩ませねばならないなんて。
学生というものも存外融通の利かない身分である。
小さく溜息を吐いたは、零れ落ちてくる髪を耳にかけて唇にシャーペンを押し当てた。
「癖…か?」
「…え?」
不意に遊星に声を掛けられは顔を上げた。
そこには自分をじっと見つめる遊星がいる。
射抜くような強い視線で見つめられでどきっとした。
「さっきから良くそうしているから」
「そう、でしたか…?全然気づきませんでした」
唇を指さされてはぱっとシャーペンを離す。
離したシャーペンに視線を落としてから、もう一度遊星を見たら、遊星はまだ自分を見ていたので。
「でも…無意識ってことは癖なのかも」
どきどきしていることを隠すようにへら、と笑って見せた。
「…そうか」
ただそれだけの返事をして、遊星は視線をのテキストに滑らせる。
それにつられるように宿題を再開するは、遊星が指摘した言葉の裏を読み切ることは出来なかった。
何故遊星がの癖を見抜いたのか。
そんなこと、考えることもなかったのである。


それから、一時間。
「うー…、終わったァ…!遊星さん、手伝ってくれてありがとうございました」
「…いや…」
礼には及ばない、と遊星は首を振った。
ああ、それにしても開放感。
縛りごとから抜け出すというのは素晴らしい。
残り僅かの時間を自由に使えるのだから。
とり急いでは、今夜のことか。
「お祭り…というか屋台は5時頃から本格的になるらしいんですけど、花火は8時からですし、6時くらいに出発しましょうか」
「ああ…が良いようにすればいい」
屋台も暗くなってからの方が情緒が出ると思う。
暗い夜道に密集した小さい出店の明かり。
それに群がる群集や喧騒のざわめき。
あの独特の雰囲気はこの季節でしか味わえない。
「うーん…それなら一回帰って浴衣に着替えようかな…。こんなに早く終わると思ってなかったんですよね」
遊星さんのおかげです。
と、にっこりするだが、遊星には聞き流せない言葉が含まれていた。
「帰さない…」
「…え?」
ぐい、と手首を掴まれた。
「ゆ…遊星さん…?」
「折角来たのに…時間が余るならこうやって一緒に過ごせばいい」
言って、先程から視線でこっそりと追いかけ続けたの唇を素早く奪う遊星。
そう…先程何故、遊星がの癖を指摘出来たのか?
それは…唇ばかりを見ていたからに他ならない。
「ん、っ…!」
昨夜、性の味を知ったのはだけではなかった。
スカートから覗く膝。
首筋に流れる髪。
薄着の季節の彼女のラインに挑発されて、遊星は狼に変貌していたのである。
「ふ、あ…っ」
味わうように啄まれた後で口の中に滑り込んでくる柔らかな舌。
くちゅりと絡めとられて口内をなぞられた。
いつの間にか回されていた遊星の腕が、腰をぎゅううっと抱きしめる力強さに男性を感じてどきどきする。
「ん、ん…っ、んぅ…」
角度を変えて味わわれる合間に遊星の手が太股の辺りを這い上がってきた。
するりとスカートの中に滑り込んでくる。
…シないか…?」
「あ、ん…そんな…、こんなに明るいうちから…」
昨夜のひとときは薄明りの下で行われた。
まさぐるように抱き合って重ねた体。
勿論触れられることへの羞恥心もあったけれど、翳る部屋の中でお互いの感触を確かめ合うようなセックスだった。
「時間ならある。…出発まで、コッチも勉強しよう」
「え、…っ、あ、ン…っ!」
強引な遊星の手が服の上からの胸を掬い上げる。
頂を探るようにきゅうっと抓む感触がもどかしくも刺激的で、はぶるっと体を震わせた。
「あうぅ…わ、分かりましたから…、あの、その…ちゃんと…ベッドで……」
頬を赤く染めながら消え入りそうな声で乞われて、はたっと今の状態を顧みた遊星。
を愛したいという気持ちと好奇心が先行したことに羞恥心を覚えながら、小さく頷いた。

夕方の陽射しが差し込むくらいの時間になってきたとはいえ、まだまだ部屋の中は明るい。
そんな中でベッドの上に押し倒したのブラウスのボタンを一つ一つ丁寧に外していく遊星。
遊星自身もグローブとジャケットを脱ぎ捨てて、ベッドの下に放り出していた。
次第に露わになるの肌に興奮が抑えきれず自然と呼吸が浅くなる。
全てのボタンを外して合わせ目を左右に開くと、滑らかな白い肌が遊星の前に晒された。
「…っ」
薄暗かった昨夜とは違い視覚的刺激が強い。
白日の元でまじまじと見る愛しい彼女の肢体が思い切り本能に爪を立てる。
「は…恥ずかしい、です…。あんまり、見ない…で…」
体をじっくりと眺められては赤くなった顔を両手で覆う。
そんな仕草も遊星を煽る一助となった。
「見ないで…と言われても…」
の言葉に遊星は苦笑した。
だって、見たい。
昨夜は感触だけで物凄く興奮したけれど、やっぱり見たい。
「嫌、か…?」
本気で嫌がっているのなら泣く泣く我慢しようかと思いながら、遊星は下着に指をかけてくいっと持ち上げてみた。
「っ…そんな、こと…聞かないでくださいぃ……」
この場で否定も肯定も出来ない乙女心が悲鳴にも似た声を上げさせる。
「…なら、俺の好きにするぞ…」
とりあえずの了承は得ただろうと決め込んで、遊星はの下着をずり上げた。
ふるりと震える柔らかそうな膨らみが零れ落ちる。
「っ…」
羞恥心から息を詰めるだが、遊星はそれに気付かず誘われるように手を伸ばした。
むにゅうっとした弾力に指が沈み込む感覚。
それは遊星にもにも刺激的で。
「うぁ、ん…っ」
白昼堂々と男性に裸の胸を掴まれるという状況下など今まで生きてきて経験したことがない。
あまりの恥ずかしさに思わず声を出してしまったが、鼻にかかった吐息交じりの音に自身驚いた。
「嗚呼、すごく可愛い声だ…」
の一挙一動に猛烈な興奮を感じてしまう。
昨夜も散々楽しんだはずだったが、両手できゅうっと掴んで弾力を楽しむように捏ねてみた。
「…、んぅ…っ」
様子を伺っているとが小さく身じろぎをしながら唇を噛む。
声を抑えていることは明らかだが、遊星としては不満である。
「もっと、聞かせて欲しい…」
だから体を屈めて耳元で囁いた。
の耳をくすぐる遊星の熱い吐息と興奮に掠れた甘い声。
「そ、そんな…恥ずかしい、です…あっ、は、ぁあ…っ」
ぬるんとぬめった熱い何かが耳の輪郭を撫で上げて、はびくんと体を震わせる。
瞬間的に遊星の舌だと気付いたが、気付いたところで受け入れる以外の何が出来ようか。
「ゆ、遊星、さぁん…っ、やぁ…ん…」
振り解くこともできないまま、つうぅ…と輪郭を伝う舌先が軽く耳朶に触れてかぷんと唇で食まれた。
「あぁっ、そんなとこ…噛んじゃ、だめぇ…」
それでなくとも胸を撫で回す好色な手で性感を呼び起こされそうになっているのに。
ぞくぞくと背中を駆け抜けていく快感。
にとっては殆ど未知の…ともすれば少し怖いくらいの奔流を押し返そうと、顔を隠すのも忘れて遊星の胸に手をついた。
しかしそれくらいでどうにかなる遊星ではない。
可愛い抵抗を受けつつも耳に寄せていた唇をすうっと頬へ移した。
「ひゃ…っ!」
ちゅちゅ…と頬へ優しくキスを落とす遊星。
「あ…、遊星さん…、ン…くすぐった、い…」
愛おしそうに何度も繰り返した後、今度はの唇に唇を被せた。
「ん、…!」
頬へのキスの延長線のように何度も軽く啄ばんで触れてくる。
ふわりと重なっては僅かに離れてまた重なって。
そんな二人の間で甘く解ける吐息に混じり、が溜め息と共に呟くには。
「は、ん…遊星さん…、好き、好きです…」
「俺もだ…。愛している、
「っ、遊星さん…!」
キスの合間の愛の言葉には感極まったように遊星の首に腕を回した。
ぎゅう、と縋りつかれれば求められているという気分にもなる。
の背中に手を回して、遊星はを抱き上げた。
そして自分の膝の上に座らせる。
「、ふ…あ…」
しなやかな細い腰に腕を回してきつく抱き寄せ唇を奪った。
「ん、む、…っ」
夏の熱気に溶けあいそうな程密着する体。
ぬるりと舌先が滑り込んできての口内にはじんわりと遊星の味が広がる。
「はぁっ、…、っ」
ちゅ、ちゅ、と角度を変えながら深く重なり合う唇。
口内の至る個所を遊星の舌が這いまわってはなぞっていく。
「ふ、は…ァ……、んっ…!」
溢れる唾液を垂下しながら官能的な舌の動きに翻弄されて酸欠になりそうな程。
淡い眩暈に襲われながらたっぷりと味わいつくされてようやく解放された。
「はァっ、…あぁ…、すごい、の…」
思考がどろりと融かされてしまう。
うっとりと遊星を見上げると、彼もまた恍惚の入り混じる表情でを見下ろしていた。
しかし、遊星の視線はの瞳を僅かに逸れているようである。
があれっと思っていると、遊星がおもむろに体を屈めた。
「きゃっ…!」
そして掬い上げた豊満なの胸にかぶりつく。
「あっ…ン…!ゆう、せぇ、さん…っ!」
ぬろっと舌先が乳首を撫でた。
その瞬間、体の奥にもどかしい熱が生まれたのが分かる。
「あぁ、あ…っ!」
先端を捏ねる遊星の舌も熱い。
心も体も遊星によって蕩かされてしまいそうになる。
甘い快感にぷっくりと尖り始めて敏感になったところをぢゅうううっと吸い上げられた。
「くぅ、ンっ…ふぁ、強い、ですぅ…っ」
甘さに浸っていたのに、急に強い刺激を与えられは背中をしならせた。
言葉では遊星を非難しているようだが仕草は遊星を求めているようで。
矛盾を孕む彼女を少し苛めたくなって、遊星は一度唇を離す。
「…、なら、これはどうだ」
「っ、ぁ、あっ!」
空いた方の乳房を掴んで揉みしだきながら鎖骨のやや下の辺りに唇を押し付けたかと思うと、その部分をきつく吸う。
ちり、と淡い痛みがを襲うが何をされているのか昨夜の経験しかないには判断すら出来ない。
「な、何を…したんですか…?」
「お前に証を残した。…これで俺のものだ…」
「!」
熱に浮かされるように呟いて、遊星は自分がつけた後を舌先でなぞる。
肌を伝う感触の真下に遊星の証が残されたのだ。
遊星は極まったようにを抱き寄せて首筋に顔を埋める。
淡い吐息。
先程と同じように唇を押し付ける感触には必死に理性をかき集めて懇願を口にした。
「あぁん…待って、お願い、します…見えないところ、に…。あぁ、っ…お願いします…」
「……ああ、大丈夫だ」
本当は見せつけたくて堪らない。
は誰のものであるのか。
いや、もっと下卑た感覚だ。
彼女が誰にその身を許しているのかを、誰の腕の中で無防備な姿を晒しているのかを。
つまりはが誰とセックスをする関係かということを見せつけてやりたくて堪らない。
だから。
半分だけ嘘を吐いた。
「んン…っ、あぁ…遊星さん…っ」
齧り付くように痕を残す遊星の肩をがきゅうっと掴む。
それは痛みを堪えるための行動か。
それとも愛しい男の証を受け入れる喜びか。
本人にさえ判別不能である。。
しかし縋られているような感覚は遊星にとって喜ばしい。
遊星は合間に揉みしだいていた胸の先端を不意に抓み上げた。
「っやぁん…!」
性感帯に鋭い刺激が走った。
反射的にびくんと体を跳ねさせてしまう
その拍子に腰を遊星の勃起に思い切り押し付けてしまったのである。
「っ!」
「ふあ…っ!」
こちらも不意の刺激で思わず遊星が息を詰める。
その熱の塊にもぎくりと体を硬直させた。
昨夜その器官で遊星と体を繋げたとは言え、男性器に触れてしまうなど初めてのことで。
一瞬にしての羞恥に頬が染まった。
反射的に遊星から離れようとしたが、それより早く遊星がの腰を捕まえる。
「…いやらしいお強請りを知っているんだな」
ニヤリとしながら顔を上げた遊星。
見たこともないような好色な視線がを射抜いていた。
「違…っ、あたし、そんなつもりじゃ…っ」
慌ててと逃げようとすると、遊星は逆に腰を抱き寄せて先程よりも強く勃起を押し付けてきた。
「っ!ゆゆゆ、遊星さん…っ!!」
羞恥心を煽る行為に更に顔を赤くしては体を捩って抵抗する。
が、遊星はそれを許さない。
ニヤニヤしながらぐりぐりと腰を擦り寄せて。
「…分かるか?が可愛いからこんな風になってしまった」
意識させるかのようにそんなことをのたまう。
分かるか、と聞かれても返答に困る。
どうして良いか分からずに押し黙っていると遊星がスカートの中に手を差し入れてきた。
膝から太股にかけてをじっくりと撫で回しながら更に続けることには。
「責任を、取ってほしいな…」
「…せ、責任、って…」
「こういうことだ」
つう、と内股を伝う指先が下着の上からの割れ目を撫で上げる。
「ひゃっ…!」
布越しだが秘密の部分に触れられるのは恥ずかしい。
既に経験済みとはいえ昨夜は昨夜今日は今日。
恥ずかしさで硬直するを尻目に遊星は下着の隙間から指先を滑り込ませてきた。
「うぁ…っ、やぁ…そこ、は…っ、だめぇ…だめ、ですぅぅ…っ!」
自慰も知らないの一番感じるところをやんわりと刺激する。
「あはぁぁっ!ゆうせ、さ…っ、そこォ…っ、だめぇ…おかしくなっちゃう…!」
突起を掠めるようにいやらしくまさぐる指先。
慣れない刺激に敏感な体は軽く撫でられるだけでも息が詰まりそうな程の快感を生み出してしまう。
「はぁっ…あぁっ…あっあっ…!遊星、さぁんっ!」
爪先が硬直して内股が戦くように震えた。
そして次の瞬間声にならない声をあげては腰をびくびくと跳ねさせる。
「――っ!!」
背中をしならせながら胸を震わせて絶頂する
それを遊星は息を飲んで眺めていた。
「はーっ…はーっ……」
切なげに細められた目尻は赤く染まり、荒い呼吸だけが口から零れ落ちていた。
恍惚の絶頂にとめどなく溢れる愛液が遊星の指をじっとりと濡らす。
手遅れな気もするが、とりあえず機能を失う前にの下着を引き下ろした。
そして纏わりつくの愛液を潤滑油代わりにして慎重に体内へ指を埋め込む。
「っ、あ…!」
「痛いか?」
「っ、いえ…っ、でも…っ…!」
昨夜まで誰の侵入も許したことのなかったの花弁の内側は絶頂の余韻にひくひくと震えていた。
柔らかな蠢きが遊星の指をぴっちりと咥え込む。
「…キツい、な…」
体内をまさぐっていると昨夜のの感触が遊星の脳内にフラッシュバックしてくる。
迎え入れられた時の興奮と快感は強烈な印象で焼き付いていた。
絡みつくの内壁、きゅんきゅん震え上がっては遊星を苛んだあの蠢きは今まで感じたことがない気持ち良さだった。
「……」
ごくりと遊星の喉が上下する。
そしてゆっくりとの体内から指を引き抜くと、その体を再びベッドに押し付けた。
「…、あ…」
覆いかぶさってくる遊星に、この先何が行われようとしているのかを瞬時に察知したは恥ずかしそうに顔を横に向ける。
所在なさげなを見下ろしながら性急な手つきでベルトを引き抜くと、反り返った自身を取り出した。
その先端は既に粘液に濡れている。
を弄っている間に零れた透明な粘液に。
はぁはぁと荒い息を繰り返して遊星はの足の間に体を捩じ込んだ。
「っ、入れる、ぞ…」
「は…はい…っ」
が返事をした瞬間、ずぶっと遊星の先端が突き立てられる。
「くぅん…!おっきくて…苦し、ぃ…っ」
二度目とは言えまだまだ狭いの膣内は不慣れな圧迫感に戦慄いては遊星をきゅうきゅうと締め上げた。
全部収まり切る前に搾り取られそうな感覚に遊星は体を震わせる。
「く、は…っ、あ、あまり…締めないでくれないか…っ」
「そ、そう言われても…っ、はぁっ…遊星さんのが…おっきくてぇ…っ、どうしたら、いいのか…分かりません…っ」
込み上げてくる射精感を必死で押し殺しながら、遊星は腰を遣って狭い体内をゆっくりと犯した。
体内を広げられる感覚は不思議な快感を伴っている。
「あはぁぁぁ…っ、あっあ…!あぁぁ、ゆ、ぅせ…っさぁ、…っ」
ずぷぷぷ、と遊星が内壁を擦る度に体内の奥がきゅうんと切なく疼くのを感じる。
それはダイレクトに遊星への刺激にもなってしまうから。
ようやく全てを収めきった時には、既に遊星は限界を感じていたのである。
「はぁっはぁっ…、すまない、俺はもう…っ!」
だん、と遊星がの顔の横に手を付いたかと思うと、体が馴染むのを待てずに注挿を始めた。
収めたばかりの自身をぎりぎりまで引き抜いては思い切り打ち込む。
「く、っ…あぁっ…イイ…」
「あっ、あぁっ…!激し、っ…!」
体内を往復する遊星のスピードに翻弄されながらも、シーツを掴んで快感を享受する。
特に深々と突き立てられる瞬間の衝撃は頭の中が真っ白になる。
「うぁ、っン…っ!はぁ、あぁぁ…っ」
髪を乱しながら身を捩るを見下ろす遊星。
快感に涎を零し背中をしならせる彼女がいやらしくて可愛くて。
が仰け反った瞬間、突き出された胸に思わずかぶりついた。
「あぁっ!やあぁっ、!噛んじゃ、だめ、ですぅっ…!!」
充血した乳首の先端をきゅうと食む遊星の唇。
敏感な箇所に与えられた刺激に駆け上がる体は止まらない。
「あぁっ!あ!あ!ゆうせ、ぇ…さぁんっ!!」
体内の遊星をきつく締め付ける。
遊星の名前を呼びながらはがくがくと体を痙攣させて絶頂を迎えた。
「は、ぅ…っ、、すご、い…っ、あぁっ…!」
きゅうきゅうと断続的に蠢く内壁に触発されるように遊星も体を震わせて絶頂へと至る。
ドクっ、ドクっ…と脈打つ遊星自身。
じんわりとした熱がの下腹部に広がっていく。
だけど。
「ん、は…っ!あぁっ、あ…っ!?ど、どうして…」
「はぁっ、止まらない…んだっ、…っ」
体内に残る遊星は衰えることなくそのままの質量を保っていた。
「あぁぁぁあっ、待って、くだ、…まだっ、イったばかりなのに…っ」
足を抱え上げより深くで射精しようとする本能のままに遊星は更にを責め始める。
二度目とは思えない勢いで何度も貫かれは縋りついた遊星の背中に爪を立てた。
「ひ、あっ、あぁぁっ…!」
悲鳴じみた喘ぎ声を上げるの背中を抱き上げて唇を奪う。
、っ…!」
「んうっ、はっ、あぁっ…!ん、ン…っ!!」
にゅるりと絡み合う舌先。
その間も遊星の腰は止まらない。
注挿により掻き出された遊星の残滓が溢れてシーツを濡らした。
結合部など、もう精液なのか愛液なのか分からない液体で溢れかえっている。
「はぁっ、あ…っ!遊星、さんっ、私…っまた…イきそう、ですっ…!」
切なく疼く体の奥が戦慄いて終わりの予感を垣間見せていた。
「俺も、だ…、、一緒に…っ」
ベッドを軋ませながら更に深くの体内を抉る。
そして遊星が思い切りの奥を貫いた瞬間。
「ふ、あぁっ、もうっ…!ゆうせぇさん…っ、イく、イくぅっ…!」
の爪が遊星の肌に食い込み、背中をしならせて硬直する。
「っ、締まる…、イく、…っ」
弛緩と同時にびくびくと蠢くの体内に遊星も二度目の精を放った。
眩暈すら感じる程の射精の快感に意識が遠くなりそうだった。
甘くて冷たい感覚が背筋を這い上がり肌が粟立つ。
「はあぁぁ…、遊星、さぁん…」
呼ばれてに視線を移す。
乱れた後の彼女がうっとりとした視線を投げ返してくるので。
「…、愛している…」
情事直後特有の堪らない気分を刺激されてしまう。
だから優しく呟いて顔を近付けた。
「私も、です…」
はにかむが目を伏せる。
汗に濡れた体を重ねて抱き合いながら口吻けを交わした。









「あ、もう上がっちゃってますよ!」
の指差す先には大気を震わす大輪の花。
あれから皆の目を盗んでシャワーを浴び、今に至る。
予定より出発時間がずれてしまったからまだ屋台も殆ど回っていない。
シャワーを浴びた後、暑いからと髪を結い上げたは立ち止まって瞬間の開花を眺めていた。
その横顔から視線を滑らせると、ブラウスの襟に僅かに隠れきらない痕が遊星の目に入る。
それは「見えないところに」と、乞われた遊星が吐いた半分の嘘の痕でもある。
性の痕跡が見え隠れするは昨日よりも大人びているように見えた。



そろそろ喧騒と共に夏休みが終わろうとしている。



蛹が羽化するようにこうして大人になっていくのだ。
それはちょっと寂しいような気もする。
猛暑の晩夏はそんな子供達の複雑な成長の時期。
忘れられない夏が過ぎ去ろうとしている。
抜け殻の蛹の形をした影を置き去りにして。






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夏鈴様、9999hitのキリ番リクエスト本当にありがとうございました!

季節先取りにも程がありますよね。夏休みて。
まだ夏も始まってない…いや初夏は夏に分類していいのかな。
「遊星さんに勉強を教えてもらってる間に夢主に漂う色気にムラっときた遊星さんと…」というリクエストを頂きました。色気なかった気もする。
勉強なら年下学生ヒロインかなぁと言う事でちょっと青春風に。


こちらの作品は夏鈴様へと捧げさせて頂く作品となっております。
無断転載は言うまでもなくご本人様以外のダウンロードなども厳禁です。
閲覧のみで宜しくお願い致します。