※御影とカーリーは完全に無視です。すみません。
「お姉ちゃん、女の人なのにセキュリティでお仕事してるの?」
「ええ、そうよ」
とは言え、ゴドウィン長官が(表向き)失踪してからというもの未曽有の人事異動の煽りを受けて今は小さな出張所勤務であるが。
実はジャックの為にと本部に異動したものの、途中からの記憶が全くない。
何があったんだろうと説明を求めても、ジャックはただ一言『全て終わったから気にするな』と、それだけしか言わなかった。
恐らく何かが起こってそれをジャックたちが解決してくれたのだろうと思われる。
が、残念ながら肝心な時に役には立てなかったようだ。
まあそれはそれで自分らしいと思わなくもないのであるが。
「はい、じゃあお母さんとお嬢ちゃんの名前教えてくれるかな?」
「…あのね、人に名前を聞くときはまず自分が名乗らなきゃダメって先生に言われたよ?」
やれやれ、まあ礼儀には違いないことだが…子供とは時に融通が利かなくて困る。
「あらあら、失礼しました。あたしの名前はね――」
「アトラス先輩。交代の時間ですよ」
「ええ!?もう?」
肩を叩かれたは慌てて時計を確認した。
確かに交代時間を回っている。
デュエルに夢中で全然気づかなかった。
「お姉ちゃん、ジャックとおんなじ苗字だよね」
「え?あ、そ、そうよ。ジャックと同じ苗字なの」
「なのにデュエル弱いね」
「う…っ」
少女の言葉に同僚は手札とライフに視線を投げる。
残念ながらが劣勢のようだ。
「…先輩。勝率聞いていいですか」
「ま、まだ一勝一敗よ!!
「で、一勝二敗になろうとしていると」
「ううう…普段はこんなことないのにぃ…っ」
「とりあえずさっさと負けてください。その子は私が引き継ぎますから」
酷い言われようである。
しかし迷子の相手にしては酷すぎるだろうと自分でも思う。
手を抜いているわけでもないのに何故だろうか。
これでは夫をはじめ同居人の誰一人にも敵わないのも道理…。
いや、彼らは規格外だ。
目の前の子供にすら勝てなくてどうする…!
と、思ってはみたものの。
「はい、あたしの勝ち。お姉ちゃん、次はもっと頑張ってね」
無邪気な笑顔で言われてしまった。
「くぅ…っ、精進します…」
遊びとはいえ負けは負け。
ちょっとだけしょんぼりしながらカードを片付けた。
「旦那さんいなくて良かったですね」
「…本当ね。何だかんだで特訓大好きだから大変なことになってたと思うわ。最近昔の仕事からの知り合いに会ったんだけど、彼女も強くって。何かと一緒にデュエルしてくれるんだけど負けてばっかり」
喋りながらもばたばたと引継ぎをして鞄を手に取る。
そして今まで相手をしていた少女に向き直った。
「じゃあもう少しいい子で待っててね。お母さん、もうすぐ来てくれるからね」
「…うん、お姉ちゃん遊んでくれてありがとう」
「いえいえ、どういたしまして。…じゃあ、お疲れ!」
手を振って出張所を出る。
嗚呼、気楽な職場に移ったなぁ。
フォーチュンカップ以降の、怒涛の問題が嘘のようだ。
一人帰路へつく。
結婚と同時にマンションを引き払った為、帰路は昔と方角が違う。
今では夫の同居人と5人住まいだった。
同居人達はそのまま水入らずでマンションに住めば良いのではと勧めてくれたが、今後の計画を聞いて辞退した。
それに、大会が終わってからの予定は皆未定ということだった。
二人で落ち着くならそれからでも遅くはないと思う。
「おっ、アトラスさんじゃねぇの?」
後ろから声を掛けられて振り返ると、同居人の一人――クロウがそこにいた。
「…クロウ…何よその呼び方…誰かと思うじゃない」
「悪ィ悪ィ。一人か?帰るんだろ?乗ってけよ」
からかうように笑うクロウの誘いを受けてはブラックバードの後ろに座った。
「買い物の帰り?」
「いや、俺は配達の帰りだぜ。今日は遊星も立て込んでるからってジャックが行くとか何とか…」
「…えっ!?ジャックに任せたの!?」
「何だよ、何か拙かったか?」
「物によっては拙い時もあるっていうか…。エビの天ぷら買ってきてねってお願いした時にエビフライ買ってきたのよねー…あー不安」
その時ほどスーパーの惣菜で済まそうとした自分を呪ったことはない。
流石にそれをお蕎麦の上に載せる勇気は出なくてそのまま食べたのだった。
食べる時にブルーノが「蕎麦にエビフライ?」と突っ込んでいたのを思い出す。
「あー…あいつならありそうだよな」
「遊星の牛乳切れてるのよー…。ちゃんと牛乳買って来るかな?最近は牛乳風に似せたもの多いし…豆乳買って来てたらどうする?」
「流石にそれはねぇだろ!パックの形が違うしよ」
「…うーん…まあ遊星なら豆乳でも文句言わずに飲んでくれそうだけどねぇ…」
もうジャックが間違ったものを買ってくることを前提にしたような言い方にクロウは思わず笑う。
どうにも信用が薄いようだ。
まあと違ってジャックは多少世間知らずというか常識の通じないところがあるから仕方がないかもしれないが。
そんな会話をしていたら我が家へ到着した。
早く上がった日でもより同居人が遅いことの方が珍しい。
今日も一緒に帰って来たクロウ以外の全員に迎えられた。
「ただいまー」
「、お帰り!」
「…お帰り」
ブルーノと遊星が視線だけを寄越す中、ゆったりと近づく影が一つ。
「クロウと会ったのか」
「うん、ただいま」
「お帰り。運んでやる。荷物を寄越せ」
「ありがと」
すいっとの肩を抱き、自然に鞄を取り上げるのがの夫――ジャックである。
いつだってジャックはの帰宅時間が近くなるとガレージで彼女を待っていた。
地縛神の騒動の時に彼女が魂ごといなくなってしまい、存在を感じることが出来なくなった時間が長かった反動のようであった。
「連絡を寄越せば迎えに行くぞ」
部屋へ向かうため連れ立って階段を昇りながら憮然としてジャックは言った。
「いーよ…。それにほら、ジャック目立つじゃない」
隠しているわけではないが公言もしていない夫婦関係である。
既に舞台を降りたと思っているジャックとしては別段隠すも隠さないもないと思っているが、は違う。
今日保護した少女の言葉にも裏打ちされるジャックの存在感はまだ世間的に健在だと考えていた。
遊星の作業の妨げになっても困るので、目立つことは控えたい。
そしてジャックに注目が集まるのも良し悪しである。
根も葉もないことまでを取り沙汰されるかもしれないと思うと堂々と表立つのは躊躇われた。
「気にせずとも、今度こそ俺はお前を守る。だからこうして傍にいるんだ」
ぱたん、と部屋の扉を閉じたところで、を囲うように扉に両手をつくジャック。
背の高いジャックに両腕の間に閉じ込められると圧力が半端ない。
そうやって身を竦ませている間にジャックは悠々との唇を奪うのである。
雇い主と雇われていた身の主従関係のようなものは夫婦になってもある程度の名残を残していた。
はジャックに強く出られると何となく逆らえない。
「ン…もう…強引ですね…」
「…何だ。昔のような喋り方をして」
咎めるような言い方だが、ジャックの視線は好意的だ。
細い腰をきつく抱き寄せて首筋に顔を埋めた。
「ぁ、ん…。だめ…夕飯作らないと…」
熱い吐息が耳の下あたりをくすぐってはぴくんと体を震わせる。
「…何か手伝うか?」
低くて甘い囁きが吹き込まれた。
行為を髣髴するような言葉ではないのに体の奥がじぃんと熱を帯びてくる。
「お…お買い物、行ってくれたんでしょう…?なら…もう…休んでて……」
好色に強請るジャックの手がスカートの中に入り太股を撫で回した。
抱き寄せられている腕にも力が篭る。
「く、ぅん…ジャッ、ク…だめ、だめよ…」
押し返そうとするの手は弱々しく、とてもではないが拒絶には遠かった。
このまま欲情に任せて抱いてしまってもジャック的には何も問題ない。
同居人の夕飯など知ったことではないし。
しかしはそうはいかないだろう。
と、いう事で唇にちゅっと軽いキスをしてから体を離した。
「はぁ…っ、もう…」
僅かに体の奥に芽生えてしまったジャックを欲しく思う気分を押さえ込んでは溜め息を吐く。
スーツを脱いで部屋着になり、上がってきた時と同じように連れ立って階下へ向かった。
下ではクロウが先に買出しの品をチェックしており、を見止めると。
「豆乳はないぜ。良かったな」
と、言われた。
一人暮らしをしていて良かった…と同居人が増えてからは良く思った。
夫を含めて同居人達は皆10代の男の子達で(後から増えたブルーノは記憶喪失のため年齢不詳だったが)、家事がさほど得意ではない。
子供の面倒をみていたクロウだけはその限りでもなかったけれど、彼が一人で面倒を見るには荷が重かっただろう。
食卓を囲みながら、はふと前から思っていた何気ない疑問を口にする。
「…そういえば、最近遊星もブルーノもちゃんとご飯に上がってくるわね」
同居を始めた当初はなかなか一緒に食卓を囲むことをしなかった二人が最近になってきちんと上がって来るのである。
「違うぜ、。こいつらお前が作ったときだけきちんと上がって来るんだよ」
分かってンだぞ、とクロウに半眼で視線を移された遊星はふいっと明後日の方を向く。
ブルーノもちょっと困ったように眉を下げて笑った。
「だってさー、のご飯美味しいんだもん」
「俺のは不味いのかよ」
「じゃなくて、格別ってこと!」
ねー?と振られた遊星もおずおずと頷いた。
「うーん、そういわれると照れるけど嬉しいわね。褒めたらあたし張り切っちゃう方なんだけど。あたしの使い方分かってるわねえぇ…」
と、もクロウがやったようにちろりとジャックを見た。
「何故俺を見る」
「あたしの旦那様も妻を褒めて伸ばしてくれたらなぁー…って思っただけですうー」
「美味いも可愛いも愛しているも欠かしたことはないと思うが」
「っ!」
さらっと言われてはかあっと頬を赤くする。
同居人たちの「おおお…」という小さな呟きすら聞こえてきて恥ずかしさでどうにかなりそうだ。
しかしここで怯んでは主張が通らない。
は挫けなかった。
「そこに強い、まではいかなくとも弱いじゃなくて『そこそこ出来る』を加えてくれれば完璧なの!」
何が『そこそこ出来る』のかは主語がなくても全員に伝わる。
ジャックは溜め息を吐いて頬杖をついた。
「仕方がなかろう。お前は弱い」
「あー、それは無理。俺でも言えねぇ」
「僕もが出来るって思ったことないけど」
「…確かに」
他の3人も同意する。
「んもー!!!だからそこを褒めて伸ばしてって言ってンのにぃぃぃっ!!!」
一人暮らしをしていて良かったと思うし、ジャックとの二人きりの甘い新婚生活も悪くはなかっただろう。
しかしジャックの仲間と暮らす生活を選んだことは最良の選択だったと思う。
こうやって皆と過ごす時間を共有している時は、特に。
さて、食事も後片付けも済ませて部屋に戻った直後、本当にドアが閉まるか閉まらないかの瞬間にジャックに後ろから抱きしめられた。
「…ん、もう…さっきの続き?」
「不満か?」
「ふふ…全然……」
ジャックの腕の中で体の向きを変えたは彼の首に腕を回す。
応えるようにジャックは軽くキスを落として彼女を抱き上げた。
背の高いジャックの歩数にしてベッドまでの距離、三歩。
そんな短い距離を抱き合ったまま移動してベッドになだれ込む。
「ジャック…、大好き」
ベッドの上でもぞもぞと姿勢を変えたがジャックの腰の上に跨った。
厚い胸板にそっと手をついて体屈めて擦り寄ると、優しくキスを与える。
「ンふ…」
自分に体重を預けてくるの肩を抱いたジャックが、やんわりと抱きしめると彼女の柔らかな体が密着した。
特有のふんわり感が緩やかにジャックの欲を刺激する。
くちゅりと唇の端から唾液の絡む音が小さく漏れた。
おずおずとの小さな舌先がジャックの口内に滑り込んでくる。
「ん、ん…、ふ…っ」
滑り込んできたそれを捉えてちゅうっと吸うとぴくりと抱いた肩が震えた。
ああ、なんて可愛い反応をするのだろう。
更にジャックは捉えた舌先を傍若無人に撫で回した。
口内にはの唾液が零れ落ちてくる。
「んう、っ…」
ジャックの口内で行われる蹂躙劇に眉根を寄せて困ったような表情を浮かべる。
胸の上のの体からは既に力が抜けてジャックに身を預けるままだった。
「…ふ、はァ…っ」
しばらくしてようやく解放されたは頬を紅潮させながら体を起こす。
そして部屋着の裾を捲りあげた。
服を脱ぎ捨て、更に下着も取り払うとジャックの手を掴み、自らの胸に誘導する。
「…触って…、いっぱい愛して欲しいの…」
ふっくらと指が埋まり込む感触。
勿論可愛いお強請りを拒む理由もない。
「どうした、今日は。積極的だな」
ベッドに背中を預けながらジャックは求めに応じて豊満なの胸を揉みしだく。
掌の中で形を変えてみたり、乳首を軽く抓みあげたりして刺激してやった。
「くぅん…っ、だって…帰ってきた直後に、あんな風にするから…っ」
それは帰宅直後の部屋でのおふざけを指しているのだろうと容易に想像できた。
あの時に切り替わってしまったスイッチがの体の中をくすぶらせ続けていたのである。
それを宥めるかのようなジャックの愛撫を受けて、体を戦慄かせながら頬を染め咎めるような視線を寄越す。
まだ彼女がジャックに全てを委ねる前を彷彿とするような…。
「…責任、取ってください、ね…」
あの時と同じ言葉だと直ぐに分かる。
「ふん…。そんな責任ならいくらでも取ってやると言った筈だ。この俺を誘惑したこと……覚悟するんだな」
やおら体を起こしたジャックがの首筋に齧り付いた。
「ひゃっ…!」
軽く歯を立てたあとを舌先でなぞり、ぢゅうううっときつく吸い上げる。
膝の上に座るの細い腰を掻き抱くように抱き寄せると、折れそうな程に彼女の体がしなった。
「あっ…、ん…っ、ジャック、ジャック、ぅ…」
屈んだジャックの肩から腕を回して甘い声で名前を呼ぶ。
煽られるように掬い上げた乳房に唇を寄せる。
かぷんとかぶりつかれた瞬間、その刺激にの体は敏感に反応して腰を跳ねさせた。
反射的に内股でジャックの腰を挟み込んだ時、足の間に固い感触が伝わる。
「んっ…こんなに、してぇ…っ」
咎めるような言い方にも関わらず、その感触に興奮したかのように腰を揺すってみせた。
少しだけ顔を顰めるジャックの勃起を内股で挟むように擦るのである。
ダイレクトに性感を感じるところを責められてジャックの下腹部は更に充血して反り上がった。
「…全く、何処でそういうことを覚えてくるのだ…っ」
気持ちは呆れているが体は喜んでいる。
それでも戒める意味での乳首に軽く歯を立てて舐め回してみたりして。
「うあっ、あぁぁん…っ!」
だけど返ってきたのは嬌声で効果は薄そうだった。
ちゅぷちゅぷと唇で食まれる度には体の奥がきゅうんと疼いてしまう。
視線を落とせば、自分の胸に顔を押し付けたジャックが乳房をしゃぶり立てているのが目に入ってしまう。
「あっあっ…!それ…っ、やぁん!噛んじゃ、だめ…っ」
甘噛みしてはねろねろと捏ね回す舌先に翻弄されて腰がびくびくを震えるのが止まらない。
下腹にわだかまる鈍い熱を孕んだ疼きがもどかしくの体を焦らしている。
「駄目、だと…?前に言わなかったか?嘘を吐くと為にならんと」
心当たりにが体を緊張させる。
前は隠せないところにキスマークを刻印されてしまったが、今度は何をされるのだろう。
薄く笑ったジャックが、を軽く抱き上げるとベッドに横たえるようにして押し倒した。
そしてお腹の辺りに何度もキスを落としながらのスウェットパンツを下着ごと引き下ろしてしまう。
「…あ、あぁ…」
これでは裸である。
恥ずかしそうに肌を桜色に染めて、庇うように体を丸くする。
ジャックは脱がせたの服をベッドの外へ放り投げ、足を割り開くと柔らかな内股を撫でた。
皮膚の薄い箇所をつう…と撫でるジャックの長い指先。
くすぐったくて、好色で。
「や、ァん…っ」
その指先がつぷりとの割れ目に埋まり込み、にゅるんと敏感な突起を引っ掻く。
「はぁぁんっ…じゃ、く…っ」
一番感じるところを淡く刺激されただけなのに鋭い快感が腰を突き抜けた。
跳ねる腰を押さえつけジャックは更にその突起の上で丁寧に円を描く。
「あんっ!あっあっ…そこだめっ…!はぁあ、あぁぁっ…!」
「ふ、まだ言うか」
強すぎる快感に拒絶的な言葉が口をついて出てしまうが、ジャックはそれすらも許さないようだ。
ぷっくりと膨らんだ乳首を唇で咥えこむとぢゅうううっと音を立てて吸い上げる。
「んはぁっ!あぁぁぁ…っ!!」
上も下も責められて絶頂したかのようにの爪先が軽く空中を蹴った。
心臓の鼓動が早くなり、体の奥がきゅうんと収縮する。
ぞくぞくと込み上げる快感にの背中がしなやかに仰け反った瞬間。
「あっ…うそ…っ」
ジャックが愛撫の手を止めてしまった。
あと少しで絶頂を感じられるはずだったのに、足の先からその予感が遠のいてしまう。
「なん、で…っ」
「…嘘を吐くと為にならんと言ったろう?どうして欲しいか素直に言ってみろ」
花弁を押し広げて膣の入口をなぞる指先にジャックの真意が見え隠れする。
つまり、乞えということだ。
はしたない願いを言えということだ。
頭の中ではジャックに激しくイかされたくて仕方がないけれど、それを口に出すのは恥ずかしい。
かあぁ…と頬が熱くなる。
「どうした?顔が真っ赤だな。いやらしいことを考えたか?」
「!…い、意地悪…っ」
頬を押さえて恥じ入るが可愛らしく、ジャックはなおも彼女を苛めたくなった。
そこで入口辺りで止め置いていた指先をナカへと侵入させてみる。
「…っ、あ、あぁん…っ!」
ジャックに躾られたの体は途端に波打ち、指を締め付けながら愛液を溢れさせる。
それだけでは飽き足らず、くっと折り曲げた指先での快感を感じるところをぐううっと押さえ込んだ。
「――っ!!」
声を上げることも出来ずに、息を詰まらせては思い切り背中をしならせる。
「はぁっはぁっはぁっ…!」
一瞬止まった呼吸を取り戻すように浅く呼吸を繰り返すを眺めるジャックは楽しそうである。
もう一本指を増やし、緩急をつけて抜き差ししたりナカで指を広げてみたり。
イけそうでイけないギリギリのところで翻弄されるは、堪らずジャックに縋りついた。
「やぁっ、もう…っ、ジャック、ジャックを頂戴…!ナカに入れてぇっ!」
そしてとうとう懇願していたのである。
「漸く、素直になったか」
欲しかった言葉を引き出したジャックは満足そうにの中から指を引き抜き、目の前で指に纏わりついた愛液を舐め取って見せた。
べろりと指を舐め上げる真っ赤な舌が艶めかしい。
ドキドキしながら眺めていたが、やがてジャックは自らのベルトに手を掛ける。
金属音を響かせながら覆いかぶさってくる影がはしたない期待をにさせるが、それを知られたくなくて視線を逸らした。
視線を外されたことを気にした風もなく、真横に腕をついたジャックが耳元に顔を近づける。
「ひゃっ…」
ぞろりとジャックが耳の輪郭を舌でなぞった瞬間、足の間に熱い塊が押し付けられたのが分かった。
だけど。
「…望みのものだ。しっかり味わえ」
耳元で囁かれた言葉をが理解する前に。
――じゅぷんっ…!
「あはぁっ…!!」
指とは比べ物にならない質量のものが一気にの体内を貫いたのである。
「くうっ…!」
待ちに待ったものを与えられたの中は快感に蠢いてジャックの勃起をきつく締め付けた。
思わず呻くほどの性感に腰が震える。
「はぁ、あぁぁっ…、いきなり深いよォ…っ」
が熱い溜め息と共にジャックに訴える。
しかし深々と突き立てられてひくひくと戦慄く膣内の感触に、ジャックは堪らず打ち込んだばかりの自身を引き抜いた。
柔らかいのに狭い膣壁が、ジャックの勃起を舐めるかのようで馴染むのを待っていられない。
甘い刺激にぞくぞくしながら、今度は味わうようにの中にゆっくりと埋め込んだ。
「うあっ!あー…っ、ひろがっちゃう…っ、気持ちいいィィ…っ」
体内をジャックのカタチに広げられる瞬間が堪らなく気持ちイイ。
同じく熱い欲望をにぶつけるジャックも快感を感じとっているのだろう。
「嗚呼、っ…もっとだ…っ、お前をもっと味わいたい…っ」
足を抱え上げての体を折りたたみ、ジャックは体重を掛けながらに腰を押し付ける。
更に深く咥えこまされて、体の奥が切なく収縮しては敏感に充血するジャックの先端をきゅうきゅうと刺激した。
「う…っ、はぁっ…実にイイ…っ、、っ…」
恍惚としたジャックの声にの体は素直に反応してしまう。
爪先が痺れるような感覚。
激しく突き上げられる度に絶頂の予感が込み上げてきた。
「ジャック、っ…あたし、イきそう…っ!」
びくびくと短い間隔で跳ねる腰が実感を伴って絶頂へと導いていく。
そして、戦慄くの体内をジャックが一際深く貫いた瞬間。
「――っあぁっ!!」
膣壁がびくんと痙攣し、ジャックを思い切り締め付けた。
「…っ、う…!」
これ以上ない程に腰を押し付けてジャックも思い切り欲望を迸らせる。
体内で脈打つように射精が繰り返される感覚が、絶頂の余韻とない交ぜになっての体に言い知れない快感をもたらした。
愛した男の遺伝子が体の中で混ざっているのだと思うと女の本能がぞくりと逆立つ。
「はぁっ…はぁ…っ」
激しい情交に息を切らせるから、ジャックはそっと体を離した。
しかし未だに熱の籠った目でを見下ろしている。
どうしたの、と声を掛ける前にジャックがぼそりと呟いた。
「嗚呼、全く収まらんな…。次は後ろから犯してやる…」
言うなりジャックはの体をひっくり返すと細い腰を抱え上げた。
「ちょ、ちょっと待…っ、あ、あぁぁ…っ、熱いのが…入ってくるぅ…っ」
腰を抱えられて獣の体勢にされたの後ろから、勢いの衰えないジャックがずぷずぷと埋まり込んできた。
圧倒的な質量が狭い膣内を犯していくせいで、先程ジャックがたっぷりと放った精液がの入口から溢れてくる。
「ひあっ、あっ!あっ!らめぇ…っ、激しすぎっ…おかしく、なるのォ…っ!!」
喘ぐの唇の端から涎が零れた。
崩れ落ちそうになる腕で体を支えながら、突き上げられる衝撃に必死で耐える。
「んあぁっ!じゃ、くうぅっ…っ、あぁっ、あっ!はぁぁあっ…!」
「はぁっ、嗚呼、っ…ぬるぬるなのに、締まる…っ。いいぞ、…っ。融けそうだ…っ」
きゅうきゅうと締め付けるの膣壁の感覚に射精感が込み上げてくる。
そしてジャックは、腰を打ち込むたびにいやらしく揺れるの胸に手を伸ばした。
「こっちへ来い…!」
「あっ、や、何…っ…!」
胸を鷲掴みにされて震える体を力強く抱き上げられた。
抱えられるような体勢で顎を掴まれたは体を捩じってジャックの方に視線を移す。
意図を理解したのだろう、ジャックが顔を近づけてきた。
振り向くかのようなやや無理な体勢にも関わらず、ジャックは容赦なく貪るようなキスを与えてくれる。
「んふ、んっ、ンぅ…っ!」
その間もジャックの腰が止まることは無い。
ぐじゅぐじゅと愛液と精液が混じり合った体液がの内股を汚している。
「ふはぁっ!あぁっ、ジャック、もう…っあたし…っ!」
先程イかされた体内は敏感で、早くもきゅうううときつく収縮した。
「くっ…っ、早いぞ…」
「だ、だってぇ…っ、あぁっ、ダメっ、イくっ…イくうぅっ!」
がくがくとの体が痙攣するが、射精に至らないジャックは手を緩めなかった。
の足を掴んで体を反転させると向かい合わせで腰を抱き締めて更に突き上げる。
「ふあっ、も、許し…てぇっ…!」
涙声のがジャックの胸に縋りながら懇願する。
しかし収まることのないジャックの欲望は、その泣き顔に煽られて更に膨らんだ。
「なっ、んで、おっきく…っ、あっあっ!やだ、っ!も、イけな…っあぁぁぁあっ!」
「はぁっ…、また、イったか…っ、俺も、もうすぐ、だ…っ」
立て続けにイかされたは止まりそうな呼吸を繰り返しながら浅く胸を上下させる。
揺さぶられている体は快感を感じさせられすぎて意識をどこかへ飛ばしてしまいそうな程で。
腕を回したジャックの背中にきつく爪を立て、が背中を仰け反らせる。
「むり、っ…!も、むりぃっ…!あはァ、っ…!またイくっ!」
「――っ、く、出る…!」
「あー…っ!!」
白い喉元を晒しながらが体を硬直させた瞬間、ごぷっと入口からジャックの精液が溢れる。
二度目の飛沫を受け止めながらはがくがく震える体をずるりと崩してベッドに伏した。
「…死ぬかと…思った」
ぐったりと体を投げ出すが、啼かされすぎて掠れてしまった声で呟く。
満身創痍とはこういうことを言うのだと思った。
ジャックも流石に疲れた様子だったが、力の抜けきったの体を抱き寄せて一言だけ。
「だから、覚悟しろと言ったろう」
今日の帰路は一人ではなくなった。
夫――ジャックが迎えに来たためである。
「、迎えに来たぞ」
「あっ、ジャックだ…っ!!」
が反応するより早く、の傍にいた少女が反応した。
過去の残滓は確実にジャックの周りに存在する。
彼が華々しいスターダムの頂点に立っていたことはまだ子供たちの記憶に根強く残っているのである。
少女はこの前を負かした子本人だった。
長時間の保護の礼を言いに母親と改めてこの出張所に訪れていたのだった。
駆け寄る少女をジャックは無言で抱き上げる。
母親が恐縮したように何をかを言ったが、それをかき消すような子供の明るい声が響いた。
「ジャック、もうテレビには出ないの?」
子供とは時に聞きにくいことまでも素直に聞いてしまうものである。
周りの空気が神経質になる中、ジャックはほんの少し困ったような表情を浮かべて。
「…WRGPまでは出ないだろうな」
「WRGP?WRGPに出るの?」
「ああ」
「じゃあ!じゃあじゃあ!あのお姉ちゃんにデュエル教えてあげて!」
…子供とは時に言ってはいけないことまでも素直に言ってしまうものである。
指をさされたの顔からさあっと血の気が引いた。
「ほう…デュエルを?」
「うん。あのお姉ちゃん、ジャックと同じ名前なんだって!でもジャックと違って弱いの。私にも勝てないの。だからね、デュエル教えてあげて!!」
あああああ何て事を!!!!
と、思っても口には出せない。
すうっと目の前の夫の目が真剣なものになっていく。
だらだらと冷や汗をかきながらは視線を逸らした。
「そうか、子供にも勝てないのか。それは可哀想だ。丁度遊星の連れが遊びに来ているしな。3人でじっくりと叩き込んでやることにしよう」
「遊星って、不動遊星?すごい!ジャックは遊星とも仲良しなの!?」
元キングと現キング。
子供には絶大なる二人の名前。
そして遊星の連れは元アルカディアムーブメントの幹部の女の子ときている。
彼女のことを少女は知る由もないが、とにかくジャックと遊星の名前を聞いた少女はぱあっと顔を輝かせてに向き直った。
「良かったね、お姉ちゃん!絶対強くなれるよ!!」
「……そ、そうね…」
ああ、また特訓されてしまうのね…!
後ろの後輩が「…頑張って下さいね」と小声で同情的にエールをくれた。
力なく頷いて、ちらりとジャックに視線を向ける。
少女を抱き上げるジャックは、在りし日の彼そのものでは眩しそうに目を細めた。
終
====================
お気に召すままの一連の流れはこれにて終了です。
ストーリー性持たすつもりなかったのに、ジャックの心情描写しちゃった所為でこんなことに。
お茶を濁しつづける手もあったんですがなんとなくスッキリしないのでこんな形になりました。
そして、お気づきのことと思いますが…
今回冒頭とオチに出てきた「仕事からの知り合い」「遊星さんの連れ」は海と星と空と陸の遊星さん夢のヒロイン「リューナ」ちゃんです。
「邂逅」を書いてもらったという事もあって、どうしてもこの世界にリューナちゃんに関わってもらいたく名前は出さないながらも存在を示唆する内容にさせてもらいました。
どっちがどっちの家に住んでいるかというところがかなりあやふやになってしまいましたが(あたしも「邂逅」書いてもらった時はまだジャックとヒロイン結婚させるなんて思ってもいなかったし)まあ何となくパラレルな感じでご容赦下さい。
娘さんの出演(と、言っていいのか分からないくらい微妙な出演)を快く了承してくれた冰ちゃん、ありがとうございました!!
今後は3〜5までの間をぼちぼちやろうかなー…と。
たまにこの「アフター」設定でも書いているかもしれませんが…。
とにもかくにも、ここまでお付き合いいただきました皆様、ありがとうございました。