邂逅 5


※マリアマリー様のサイト「sector:BRAIN」の夢主""が登場します。(当然ですが名前と登場させる許可は頂いております)
時系列としては「邂逅4」の後くらいです。
※従ってジャックに恋人()がいる状態で話が進みます。
※やっぱり管理人が楽しいだけかもしれない

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「そういえばさ、サイコデュエリストって具体的に言うとどんな力持ってるんだっけ」
唐突にぽつりとが呟く。
それを目の前で聞いていたジャックは、疑問の瞳を彼女に向けた。
「お前…アルカディアムーブメントに潜入捜査に行ったのではなかったのか?」
「行ったは行ったけど、ほとんどデュエルなんてしなかったもの…」
「…そうか」
いや、しなくて良かった。
こいつの腕だときっと誰にも敵わなかっただろうから。
がこうして無事で隣にいることを、彼女の腰を抱くことで確認しつつ聞くジャックには続ける。
「…今からリューナちゃんに言ってみようかな」
「…何を」
嫌な予感しかしない。
ちらりと窺ったの表情には好奇心が強く現れていて、彼女の言葉が本気であることを裏付ける。
「力、見せてって」
ああ、やはり。
言うなりはソファから立ち上がって、リューナと遊星がいるであろう遊星の部屋に行こうとする。
慌ててジャックは止めようとするが、どう言っていいものか分からなかった。
以前、ずっと前に言ったリューナの弁を借りれば「は知らなくて良かった世界」であるらしい。
それに、リューナが意図的にの前で力を使っていないことも彼女には内緒である。
リューナとのデュエルだってリューナが力をセーブしている結果は無傷なのであって。
手を伸ばし腕を掴もうとするが、天真爛漫ともいえる彼女はそれを催促だと受け取った。
「何?ジャックも行く?」
「違………いや、そうだな、オレも行く」
何かあったらフォローはしてやれる。
の明るさが吉と出る ことを祈ってジャックは彼女の前を歩いた。



*

「貴方って本当に器用よねぇ…」
直されたデュエルディスクを手にリューナの頬が緩む。
嬉しそうに笑う彼女に笑かけた遊星は、また何かあったら言ってくれと工具を置いた。
「それより、正常に起動するか確認してくれ」
「分かったわ。…来て、グングニール!」
冷気がディスクから溢れる。
どうやら遊星の調整は完璧であるらしい。
氷を纏い羽ばたく龍は主人を見て羽根を広げた。
『主、どうだ?』
「大丈夫そうね、さすが遊星だわ」
いつも通り触れられる。
安堵と嬉しさがリューナの心を占めた。
その中で、グングニールが何かを言いたげに彼女と遊星を交互に見る。
それに気付くと、リューナは遊星に向か って手を伸ばす。
「遊星、ありがとう」
「いや、大したことじゃない」
「そんなことないわ。…良かったらスターダスト貸して欲しいのだけど」
「ああ、構わない」
先程のグングニールの視線はそういうことかと遊星は納得する。
愛しい彼女とその友人の頼みを断れるはずもなく(そもそも断るつもりもないが)、自分のデッキホルダーに手をかけた。
そして目当てのカードを取り出すとリューナに渡す。
「ほら」
「ありがとう。…スターダスト・ドラゴンを召喚!」
カード的には「シンクロ召喚」の方が良かったかもしれないがデュエルではないため敢えて訂正しない。
きらきらと煌めきと共に現れた星屑は主人とその想い人を認めると、遊星の肩に着地した。
上手く力を制御出来 ているようで、彼が苦にする様子はない。
遊星とリューナがそれぞれ自分の龍に遊ぶよう促すと、2体は逆らうことはせず、未だ工具が乗る遊星の机に降り立った。
どうするのかと見ていると、スターダストがドライバーを持ち上げる。
身体が小さいため苦労しているようだが、なんとか手に抱えると工具箱にしまい始めた。
「…」
「…」
見守る遊星とリューナの目は優しい。
グングニールも手伝おうとはするものの、手の形の問題で上手く持てずに転がすしかない。
「…ねえ、狙ってるの?」
笑いを堪えて話しかける主人に氷龍は頭を傾げる。
至極真剣である彼に「何でもないわ」と首を振って伝えるが、リューナの顔から笑みは消えないままだった。
『…何なのだ?』
『まあ、 悪い感じではなさそうだ』
『確かに、主に限ってそんな事はない』
即答するあたり、やはり信頼関係は強固であると遊星は思い知らされる。
幼少期からの長い付き合いがそうさせるのだろうと思うと何だか妬けてきて、そっとリューナの隣に移動する。
「ん…何かしら」
「別に、何も?」
とは言うが明らかに何かありそうである。
少しずつ近付く遊星の顔に心を射抜かれたリューナが目を閉じる。
甘い雰囲気を醸し出して、唇が触れ合うまであと数センチというところで急に部屋の扉が開けられた。
「リューナちゃー…あ、ノック忘れた、…まあいいか」
よ く な い 。
全力を持って遊星から離れたリューナが顔を隠しながら無言で抗議する。
遊星は平然とを見ていて、一見だけでは何をしていたか分からないのはリューナにとっては幸いと言えた。
の立場で言えば、決定的瞬間を見逃したのだが。
「どうした、
問う遊星の表情は平然としている。
流石とも言えるポーカーフェイスはの「今何をしていたか」と聞くチャンスを失わせた。
「ちょっとリューナちゃんに……あ!」
机の上のドラゴン達を見て、思わず指をさす。
ハッとした2体が慌ててリューナの後ろに隠れるのと、リューナの顔が青ざめるのはほぼ同時だった。
遊星も彼女をその背と腕で庇う。
「違うわ、これは…」
「今見えた子達すごく可愛い!」
「え」
なんとか弁解しようと考えるリューナと遊星をよそには無警戒に近付く。
おいでー、と声をかけるが、主人の意向と精神状態を色濃く反映する龍達は動かない。
「え、なんで?グングニールとスターダストだよねえ?なんでデュエルしてないのに…」
「…」
「でも小さくて可愛い!」
「…実体化してるから安易に触らない方がいいわ」
「え、それって触れるってこと?」
「そうだけど…」
"実体化"と聞いての目が一層輝く。
リューナは言いたいことの半分も伝わっていないのだと分かると肩を降ろした。

追い付いたジャックは止めるべきか悩んだが、リューナがそろりと遊星の後ろから顔を覗かせたことで取り止める。
二人の表情は、大丈夫そうだ。
「…ダ リア、怖くないのかしら」
口調もいつものリューナである。
「怖い?何が?」
「だからその…カードが実体化しているのが」
「全然?それよりリューナちゃんにお願いがあるんだけど!」
「…何かしら」
「それより」で片付けられたことに呆気にとられるリューナの後ろからスターダストとグングニールが顔を覗かせる。
それを見たの頬が再度緩むが、何とか目を離して手を顔の前で合わせる。
「リューナちゃんの力が見たいなー、なんて」
「…私の力?」
「サイコパワーって言うの?…あ、嫌なら無理にとは…」
「今貴方が見てるけど」
「え?」
後ろを振り返り2体の龍に出てくるように促す。
グングニールを庇うように立つスターダストはからの視線から目 を反らさなかった。
それすらもの目には魅力的に映る。
「えー!嘘、すごい!可愛いー!」
触ってみてもいい?と問うにリューナはしぶしぶ許可を出す。
普通ならすり抜けるはずのスターダストの鼻先にそっと触ったはあまりの感動にジャックの下へ戻った。
「すごい!ジャック、スターダストが実体化してる!!」
「ああ、そうだな」
「ええー…不思議ね、大きさも自在なんて。デュエル中のあの大きさしかないんだと思ってた」
「それは…私がまた特殊だから…」
モンスターを心を通わせて会話もすることが出来る。
サイコパワーとはまた別に力がいるのだとリューナは説明した。
恐らくアキでは出来ないはずだから。
「うわぁー…リューナちゃんはすごい ねぇ…」
「すごくなんか…ないわ」
元々はただの「兵器」だったのだから。
結局そうならなかったのは遊星の尽力のおかげであって、リューナ自身が変わろうと思った結果ではない。
照れと恥ずかしさで顔を赤らめるリューナを抱こうとする遊星とは反対側に、は座った。
相変わらず笑っていてリューナを安心させる。
「ねえ、この子達と遊んじゃ駄目かしら」
「…駄目ではないけど…」
「やったあ!じゃあリビングの方が広いからそっちで遊ぼう!」
「…私もついてちゃ駄目かしら?」
「ううん、リューナちゃんも一緒に遊ぼう!」
言うなり手を引いてリューナとモンスターをリビングに連れていく。
残された遊星とジャックはそれぞれ顔を見合わせて呟いた。
「…あり がとう、リューナの力を…」
「いや、は恐らく何も考えてはいまい」
フォローになったかは分からないがジャックは彼女達の後ろについて出て行く。
ばたん、と扉が閉まってしまえば部屋の中には遊星一人になってしまう。
下からは賑やかな声が聞こえてきて、気になった彼は足を運ぶことにした。




「スターダストもグングニールもレッドも可愛いー!」
「あまり無茶はしないでやって…」
ソファの中心には、その右にはリューナ、左にはモンスターが座っている。
遊星が着くまでにが強請ったらしく、龍が1体増えていた。
きゃっきゃ、と羽根を撫でたり身体を撫でたりして愛でるはとても楽しそうで。
3体が特に危害も加えずさせたいようにし ているのを確認したリューナはほっと胸を撫で下ろした。
あまり心配はなさそうだし、これでがもっとデュエルに興味を持ってくれれば万々歳である。
こんな風に友人に力を明かすことなんて昔では考えられなかったが、今では良かったと思える。
「グングニールはやっぱりちょっと冷たいのね、氷の龍だからかしら」
「ええ、一応これで抑えてはいるのだけど」
「そうなんだ。んふ、いい子なのね」
羽根を指で伝うとくすぐったいのか思い切り羽根を広げる。
すぐそばのレッドに当たったため彼はジェスチャーで怒りを表現するが、スターダストに止められてしまった。
それを見たがまた目を輝かせて2体を抱く。
わちゃわちゃとはしゃぐ3体とを横に、リューナは至 極穏やかな気持ちで彼女の隣に居続けた。

だが、面白くないのはそれぞれの彼氏達である。
遊星もジャックも、彼女が楽しそうにしているのが嬉しいのだが、蚊帳の外となれば話は別である。
腕を組んでじい、と訴えるように様子を見るが、もリューナも気付く気配はない。
スターダストもに撫でられていて主人の視線には全く反応出来ないでいた。
「…」
「…」
「…楽しそうだな」
「そうだな」
「…」
「…」
話も続かない。
黙りこくる二人の瞳には、相変わらずリューナとと龍達が映っていた。
「やはりあのソファに座っているだけでリューナは可愛い」
「お前にはが見えないのか?あの楽しそうな顔に敵うと思っているのか」
「それを言う ならリューナの微笑んだ表情が最高だろう。が可愛くない訳ではないがリューナには敵わない」
「はっ、見ろあの顔を。生き生きとして屈託のない、まさに理想の笑みではないか」
二人の意見は平行線をたどる。
自分の恋人への想いを決して譲らない遊星とジャックはそれからもリューナとについて語るが、モンスターに夢中になっている彼女達に聞かれることはなかった。
内容もどんどん妖しいものになる。
いつもならが止めるのに、変わらずリューナと龍を独占しているようで、耳を傾けてくれる気配はまるでない。
嫉妬の心が芽生えそうな程やきもきするが、妬く相手は友人と自分たちのカードであるためそうもいかない。
そうとは知らず好きなものを両手に侍らせるダ リアの周囲は、一種のハーレムにも見えた。
「あーもう、私リューナちゃんとこの子がいればいいかもー!」
聞き慣れた声で飛んでくるとんでもない台詞。
やばいのではと、周囲を見渡しやっと彼氏達の存在に気付いたリューナが慌ててを止めるが、すでに遅かった。
つかつかと歩み寄るジャックはの隣のわずかなスペースに腰を下ろして彼女を抱き寄せる。
「今のは聞き捨てならんなあ…?」
「あっ、ジャック…!」
「仕置きしてやる、覚悟しろ」
空気を読んだリューナがモンスターをカードに戻して席を立つ。
見計らってジャックがを抱えて自室に戻ろうとすると腕の中で、見捨てないで、という声が聞こえたが、ああなったジャックを止めるのは得策ではないため リューナは頑張ってとしか返しようがない。
レッド・デーモンズ・ドラゴンのカードをジャックのデッキケースの中に返すと、遊星のもとに戻っての健闘を祈るように背を向ける。
しばらくして、扉が閉まる音がして、手遅れになったことを知らせた。
「…はい、貴方もスターダストありがとう」
「いや、気にしなくていい。……それより」
「?」
じい、と蒼い瞳がリューナを穿つ。
先程ジャックとの言い合いで声に出した彼女の魅力は、遊星にそれを再認識させた。
機嫌が良さそうに微笑むのも、小さい身長も全てが可愛らしくて堪らない。
「何かしら?」
「譲る気はないからな」
「?」
意味深なことを言う遊星だがその意味はリューナには分からない。
自分に向かって 伸びる腕に甘えていると、時折の楽しそうな声が聞こえてきた。


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マリアマリー様、キリリク小説ありがとうございました!ということでお礼小説です。
”「リューナはサイコデュエリストってことは知ってるけど、能力は見たことがない→能力を見せる(もしくは見られる)→リューナとモンスターといちゃいちゃな夢主(かなりあたしが満足/笑)」
とか…。
ジャックはレッドデーモンズ見せてくれて、遊星はスターダスト見せてくれる感じで出演…とか。”というリクエストでした。精一杯応えたつもりですがいかがでしょうか?お気に召さなければ書き直しますのでどうぞお申し付けください!
これからも「海と星と空と陸」と夢 主、あとついでに管理人をよろしくお願いします!


※お持ち帰りはマリアマリー様に限ります。ご了承ください。




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と、いうわけで!!
海と星と空と陸/冰覇様より頂きました。
んっふー!毎度毎度モンスターリクエストしまくっててすみません!
でも可愛いんだもん!可愛いんだもん仕方ない!!
それにしてもノックしないところがうちのヒロインすぎてどうしようって感じ(笑)
途中のジャックと遊星の会話ににやけまくり、モンスターの描写ににやけまくり…。
ホント、リューナちゃんとモンスターいれば何もいらないよ…はぁはぁ(大分不審者)
ヒロイン同士も込みで仲良くして貰って感謝しております!
忙しいのにいつもありがとう!!