邂逅 7


※マリアマリー様のサイト「sector:BRAIN」の夢主が登場します。(当然ですが名前と登場させる許可は頂いております)
時系列としては「邂逅6」の後です。
※従ってジャックに恋人がいる状態で話が進みます。
※やっぱり管理人が楽しいだけかもしれない

-------------------------------------------------------------


「ふー、お腹いっぱいー」
パンケーキを食べた後、買い物をし、夕食を作る。
結局ブルーノ とクロウのおかずが一品増えることはなく、代わりに量が増えたことで決着した。
彼らが気付いたかどうかは定かではない。
遊星もジャックも、リューナももその理由は言わなかった。
食事を全て平らげた同居人の前には使い終わった食器の山。
ジャックと共にそれを片付けたが大きく伸びをして、ソファーに腰掛ける。
「そう、それはよかったわ」
食事当番であったリューナが応える。
その表情には微笑みが見てとれて、も嬉しくなった。
「リューナちゃんってホント料理上手だよねえ、羨ましい!」
「そ、そうかしら?」
「そうだよぉ!リューナちゃんをお嫁さんにする人って幸せだろうなー」
ちらり。
リューナの顔が赤くなるのと同時に遊星の反応を窺う 。
いつものようにクールに「当然だ」と返してくると思いきや、彼の顔も赤くなっていた。
「そう、だな」
肯定はするが、いつもの自信に満ちた感じではない。
まだそこまで意識した感じではないのかと思うと、の悪戯心がくすぐられた。
普段あんなにリューナについて一生懸命なのに、と思わず口角が上がってしまう。
も遊星も何言ってるの…!」
「えー?そんなこと言ってリューナちゃん嬉しいんでしょう?」
「知らないわよ…!」
「素直になろうよー」
はもとよりジャックにも助けは期待できない。
こうなったら唯一の逃げ場に行くしかないと、リューナは席を立った。
「あれ?どこ行くの?」
「…お風呂入らないと、後がつかえちゃうでしょう」
しかし。
「あ、じゃあ一緒に入ろうよ」
「え!?」
「えっ」
遊星までもがの意外な申し出に反応する。
先程までの赤面はどこへやら、今は一変して彼女の身を案じているようだった。
ああやっぱり大事にしているんだなあと思う反面どこか失礼である。
は硬直しているリューナの頬をつついて続ける。
「リューナちゃん今日お化粧したでしょう。落とし方教えてあげる」
「ボディソープじゃ駄目なのかしら」
「駄目だよぉ、ちゃんと専用の洗剤みたいのがあるんだから」
という訳で決定!とも部屋に戻って着替えを取る。
そう言われてしまえばリューナに断る術はなく、大人しく彼女を待つことになってしまった。
だが、遊星はそうもいかない。
降りてく るに懸命に交渉するが、全て跳ねのけられてしまう。
「俺にも教えてくれ」
「後でね、今日はリューナちゃんに実地練習してもらうんだから」
「だが…」
「ただ洗顔するだけだから大丈夫だって。なあに、私達と一緒に入りたいの?」
「いや、違…」
遊星が言い負かされている。
非常に面白い構図だが、リューナは笑ってばかりもいられない。
と一緒に入浴するだなんて初めてのことなのだから。
危ないことはしないとは思うが確信は出来ない。
肩を落とした遊星を背に、自分に迫る友人は非常に機嫌が良さそうだった。
「さ、いこっか」
「え…ええ」
カツカツと二人は階段を下りる。
脱衣所に向かう二人について行こうかと遊星は思うが、それを読んだジャックに止められてしまう。
「…やめておけ、同性同士の風呂だ」
「…」
「悪いようにはしないだろう…多分」
「やはり言いきらないんだな」
「…」
苦虫をかみつぶしたような表情で、遊星は先程までリューナが座っていた椅子に腰かける。
過保護もここまできたかと呆れるジャックはその向かい側に座って茶をすすった。
遊星は階段の方を見ているため、ジャックからは横顔しか見れない。
全神経を研ぎ澄ませて、何かあればすぐに駆けつけようとする彼は真剣そのものだった。
以前のようにに脱がされたリューナの悲鳴が聞こえたらきっと止める間もなく向かうのだろう。
「…そんなに心配か」
「…を信じていない訳じゃないが、リューナが傍にいてくれないと落ち着かない」
「ほう」
「すごく…胸がもやもやするんだ。リューナが突然いなくなったらと思うと…胸が締め付けられる」
「あいつがお前の知らないところに行くような用事でもあるのか」
「分からない。…だが、その時は、俺も一緒にと誘って欲しい。傍にいて欲しいと言って欲しい」
切実な表情と声色にジャックもからかう気持ちが失せてしまう。
どれだけ想われているのかリューナに教えてやりたいくらいだった。
「…会話だけでも駄目だろうか」
「盗み聞きか」
「…」
「まあ、少しの間なら気付かれんだろう」
ジャックが席を立ち、階段に向かう。
咎められるだけだと思っていた遊星は、ぱ、と顔を上げて不思議そうな目でジャックを見る。
「なんだ、行かないのか」
「 …いや」
「正直オレもあいつらだけでいる時の会話が気になる」
彼女達は比較的長風呂派だから今すぐ出てくることはあるまい。
そっと浴室の入り口に近付いて、二人は耳を澄ませた。
音は遠いが、確かに聞きとれる。
『やっぱりリューナちゃん肌綺麗ー!ほっぺたもぷにぷにだったし羨ましいなあ…』
『貴方も同じようなものでしょう』
『いやいややっぱり違うよ…』
シャワーの音も同時に聞こえることから、彼女達は今身体でも洗っているのだろうと推測出来た。
会話は何も危険なところはなく、安心して聞けるもので遊星とジャックは同時に胸を撫で下ろした。
しかし、今の状況。
ブルーノやクロウに見られた時の言い訳が成り立たない。
下手をしたら牛尾を呼ばれてしまう かもしれない。
もっと下手をしたらに現行犯逮捕(変な意味ではない)されてしまう。
お互いの彼女の無事を確認した二人は、誰にも見られていないことを確かめてリビングへと戻った。
「…で、お前はどうするのだ」
「俺は、リューナが出るまでここで待つ。ジャックは寝るのか?」
「いや、オレも待つことにしよう。部屋にいたってつまらん」
「そうか。…といる時のお前はいつも楽しそうだものな」
「…楽しい…とはまた違う気がするが…。お前こそ、リューナといる時は随分余裕があるように見える」
「そうだな…あの子がいることで安心しているんだと思う」
「お熱いことで」
「お互いにな」
同じタイミングで茶をすする。
今見た遊星には、先程までの苦しそ うな表情は見えなかった。




「狭いけど、なんとかなるものね!」
「…まあね」
のいう「専用の洗剤」とやらで顔を、その後に髪と身体を洗い終わったとリューナは湯船につかる。
体育座りをしてなんとか収まる風呂で、二人は顔を見合わせた。
「それにしても今日は楽しかったねぇ」
「そうね、あんなに美味しいもの初めて食べたわ」
微笑むリューナは穏やかで、も嬉しくなった。
彼女もやはり女の子なのであって、人間の感情があって。
アルカディアムーブメントで見たあの氷の表情は、やはり作られたものなのだと思える。
それはそれとして。
「ねえ、リューナちゃんって結婚したいなーとか思ったことないの?」
「えっ」
「どうなの?まあ 遊星と別れるだなんて思ってないけど」
「ええ…っと…」
「教えて、リューナちゃん!」
言葉に詰まっていると容赦ない好奇心の塊のような瞳を向けられる。
は初めてあった時もそうだった。
あの場所で教育係を命ぜられた後、同じような感じでどういう施設なのか、どういう経緯で入ったのか事細かに聞いてきた。
今思えば潜入捜査なのだから当然かもしれないが、あの時と目の輝きは変わらない。
好奇心旺盛で、女の子然としている彼女がどうしてあの任務につくことになったのかは知らないが、こうして出会えたのだから結果いいと思えた。
それはそれとして。
「け、っこん…?」
「そう。私達みたいに夫婦にって思わないの?」
「…」
ここは風呂。
リビングとは違い、逃げ道はない。
の視線から逃れられないリューナは一生懸命考えをまとめる。
まとめようとする。
だが、質問の答えはいくら考えても出てこない。
「…よく、分からない」
「えっ?」
「私は…遊星と一緒にいたいとは思うけど…結婚自体が何かよく分からないの」
「リューナちゃん…」
「一緒に暮らすことがそうなら、今も変わらないじゃない?だから…」
視線を外し、水面に移す。
そこには困った表情の自分がいて、リューナの表情を曇らせた。
の言うとおり、遊星と別れる気はない。
終着点が結婚のみであればそこにいきつくのは道理であるが、したいかと言われたら分からない。
漠然と、そういう儀式と概念があるものだと思っていたから。
自然とそこに行きつくのだと思っていたから。
実際はいろいろと違ってくるのだが、世間知らずとも言える彼女はそれを知らない。
「遊星とは一緒にいたいわ。それは事実だけど…」
「…分かった」
「…何が?」
この拙い話で何が分かったのかとリューナは頭を傾げる。
そろそろのぼせる頃だったらしく、は浴槽から出て笑った。
「それ、遊星に伝えてみたら?何か分かるかもよ?」
「えっ…!?ななななんて?」
「一緒にいたいって。遊星きっと喜ぶよぉ!」
「はっ、はずかしいのだけど…!」
「なら、私がいいものをあげよう!」
「…何を」
ざぱ、とリューナも湯からあがる。
シャワーで汗を流すからシャワーヘッドを貰い、彼女も風呂からあがる準備をし始める。「ヒントは素直になるもの!」
「…自白剤か何か?」
「なんでそうなるかなあ…」
なんでそういうものをセキュリティである私が持ってると思うかなあ。
呆れるはタオルをリューナに渡す。
ありがとうと礼を述べる彼女に笑ったの表情は妖しいの一言で。
「(…助けて遊星…!)」
祈るような思いはそのまま彼に届く。
リビングで待つ彼は椅子に立って階段の踊り場まで足を運んだ。
「……リューナが助けを求めている…」
「…(どうして分かるんだ…)大人しく待ったらどうだ…」




「じゃあリューナちゃんはここで待ってて」
「え?」
「素直になれるもの取ってくるから」
「私も行くわよ」
「いいから、遊星のこと驚かせちゃおうよ」
言うなり は階段を上がってリビングに一直線に向かう。
ガレージの、いつも遊星が座っている椅子に腰を降ろして待つこと数十秒、彼女は予想より早く戻って来た。
「お待たせー!はい!」
ガラスのコップに入った液体は一見紅茶のようで。
炭酸らしき泡が浮いているのが見えて、珍しいなと思ったリューナは何の疑いもなくそれを口にした。
少し苦いが、飲めない程じゃない。
も同じものを飲み干して、リューナに向き直る。
「どう?美味しい?」
「ええ、美味しいわ」
「そう、よかったあ」
リューナも飲み干したらしく、コップの中は空になっている。
若干足取りが怪しい彼女の手を引いてリビングに連れて行こうとするを、当の本人が止めた。
…」
「ん ?リューナちゃんどうしたの?」
「いつもありがと…」
顔が赤い彼女は色っぽいの一言に尽きる。
こっそり飲もうと思っていたカクテル(それもアルコール度数は4%程)でこうなってしまった彼女を案じながら、は自分も顔が赤くなるのを自覚した。
しかし、これはアルコールのせいなんかじゃない。
色っぽいリューナと、彼女の普段聞かない甘えた声にどきどきと鼓動が速くなる。
「貴方にはいっつも迷惑かけて…いろいろ教えてくれてありがとう…」
「そっ、そんなのいいよお!リューナちゃんに喜んでもらえて私も嬉しいし!」
「そう?なら良かったぁ…」
ふにゃりと笑うリューナは破壊力抜群としか言い表せない。
なんだこの子は可愛すぎるやばいと親父のようなことを 思いながら、それでもなんとか正気を保つ。
「そっ、それよりリビングに行こうよ、遊星待ってるよ」
「うん、分かったわ…」
普段の口調からは絶対聞けないであろうリューナの「うん」。
あまりの可愛さにリューナを抱き締めると、彼女は嫌がるでもなくの背に腕を回す。
…あなたあったかいのね…」
「えっ、そ、そうかな?」
「うん…ぽかぽかしてる」
「ああああれだよ、お風呂入ったからだよ!」
「……それもそうかしら」
アルコールに正常な判断力を奪われたリューナは、緩慢な動作で頭を傾げる。
嬉しかったが、遊星に見られて余計な誤解を招いたら嫌だなぁと変に冷静なはそっと自分から離して手をとって、リューナをリビングに連れて行った。
「出たよー」
「やっとか」
「女の子は色々大変なの。…で、はい、遊星」
「…?」
何を渡されるのかと思えば、の後ろから出てきた自分の恋人。
顔が赤く、何かあったのかと腕を広げると、リューナは素直にそこに収まる。
とジャックが見ているにも関わらずなその行動には一つだけ心当たりがあった。
「ねえ、リューナちゃん、遊星に言いたいことがあるんじゃないの?」
「言いたい、こと…?」
「ん…遊星…」
きゅうと控えめに締まる腕に愛情を感じながら、遊星は腰掛けた自分の膝の上にリューナを招く。
大人しく甘える彼女はいよいよ怪しい。
「あのね、…大好き…」
「っ…!」
「一緒にいて欲しいの…遊星もそう思ってくれる?」
首に腕を回し 縋るリューナを抱き締めない選択肢はない。
「ああ」 と答えた遊星が彼女を優しく覆うと、の頬が緩む。
「わー…私よくやったわ…」
…お前…」
リューナがそうしているように、もジャックの膝に座った。
咎めるでもなく許した彼が、落ちないようにと腕で守る。
その顔には驚愕の表情が宿っていた。
「酒を飲ませたのか?」
ひそひそと耳元に囁かれる。
どうして急にそうするのか分からないが、はつられて合わせる。
「え、うん」
「…リューナはまだ未成年だぞ」
「えっ!?」
「知らなかったのか」
「えー…だってあんなにしっかりしてるんだもん…」
最低でも20は超えてると思ってた。
続けるを咎めてももう遅いだろう。遊星はきっと気付いている。
なら、と、開き直ってジャックは この状況を楽しむことにした。
目の前のカップルと同様に自らの妻であるを抱き締める。
彼女からはいい匂いがして、ゆっくりとそれを堪能する。
もしかしたらリューナも同じ匂いがするのかと思うと少し嫉妬するが、こちらはこちらで自分の匂いを上書きすればいいだけのこと。
酒の力を借りなくても甘えてくるの頬に口付けて彼女を愛する。
「もー、ジャックってば…」
呆れる口調のは真剣に怒ってはいない。
いちゃつく友人カップルを輝く目で眺めている。
「リューナ、俺も大好きだ」
「ほんと?嬉しい…」
「ああ、本当だ。愛している」
「なら、私と″結婚″してくれる?」
遊星の瞳が見開かれたのは見間違いではあるまい。
「言ったー!!」とがドキドキしていると、遊星はリューナにいつも向けている優しい笑顔で頷いた。
「ああ、もちろんだ」
「ふふ、だあいすき…」
そこで、一度キス。
パンケーキを食べた際の間接キスなど問題にならないくらいに甘ったるい。
遊星の胸に顔を擦りつけるリューナの態度は普段とギャップがありすぎる。
表情を変えずに受け入れる遊星の、彼女に対する愛を見せつけられているようでは羨望と好奇の色を隠せない。
視線は遊星とリューナに送ったままジャックの胸に身体を擦りつけて成り行きを見守る。
しばらく抱きあっていたかと思うと、リューナの動きが止まった。
静かなリビングで聞こえる彼女の寝息。
完全に寝てしまったことを誰もが悟ると、遊星は彼女を抱えてと ジャックに背を向けた。
「…じゃあ、俺達は寝る。とジャックもほどほどにしておけよ」
リューナを起こさないように声は控え目だが、どこか怖い。
「う、うん、おやすみ」
「…ふん」
階段を上る遊星の足音が小さくなる。
部屋に戻り、ドアが閉まる音が聞こえると、二人は緊張をといた。
はあ、との息が漏れる。
「見た?ジャック、リューナちゃんたちラブラブだったねえ」
「…」
あっこいつ緊張してたんじゃない見入ってただけだと判断したジャックの肩の力が抜ける。
それに気付かないは、更に続けた。
「あんな素直なリューナちゃん目の前にしたらいくら遊星でも堪えられないでしょー。普通ってリューナちゃん前言ってたけど今夜は狼だね!」
「… リューナは寝ていたがな」
寝込みを襲うほど遊星は盛ってはいないが淡白でもない。
今夜はいいだろうが明日以降のことは(よりは付き合いが長いジャックでも)分からないが、に言ったら余計なことになりそうで言わない。
リューナに下手に知れたら氷漬けの刑が待っているかもしれない。
それよりも。
、お前はどうなんだ」
「え?」
「旦那の腕に居ながら他の男を見ていたお前が、無事で済むと思っているのか?」
「メインはリューナちゃんだけど」
「そんなことは知っている。だが、あいつのすぐ横には遊星がいたぞ」
「知ってるんならいいじゃない…っんん!」
深く、長い口付け。
友人たちに劣らない程甘く、少し苦いそのキスを堪能したジャックは 、遊星と同じようにを抱えて自室に戻る。
彼と違うのは、が意識を保っているということだった。
「覚悟しろよ」
「何の覚悟よ…!」
くつくつと意地悪く笑う旦那に勝てる要素はない。
隣の部屋の遊星とリューナに聞かれないようにしなきゃと心に誓うはジャックの腕からベッドにそっと降ろされた。






翌日。

昼前のポッポタイムに冷風が舞う。
既に配達に行ったクロウと、セキュリティに最近の報告をしに行ったブルーノを除いた全員がそれを浴びることになる。
リューナの腕にはグングニールが抱えられていて、遊星の肩にはスターダストが召喚されていた。
そして彼らの目の前にはジャックと
重々しいというか寒々しい雰囲気の中 、遊星が口を開く。
「リューナに酒を飲まさないで欲しかった。あの子はまだ未成年だからな」
「…ごめんなさい」
素直に謝るに遊星はもう怒る気はしない。
今度から気をつけてくれとだけ言うと、隣のジャックに向き直った。
「で、何故オレが呼ばれてるんだ」
悪びれないジャックはどこかすっきりしている。
その理由を知らない遊星は淡々と答える。
にお仕置きしたら可哀想だろう」
怒られはしないが本来ならお仕置きが待っていたらしい。
後悔は微塵もしていないは、心の中でジャックに謝る。
だが、ジャックならきっと受けきってくれるという自負と、また素直になったリューナが見たいという欲望から反省はされなかった。
ただ未成年というのはま ずいので、彼女が成人した暁に堂々とやってやろうという計画が進行している。
「オレはいいのか」
「少なくともよりはな」
「…」
ぐ、と言葉につまるジャックが視線を今まで黙っているリューナに向ける。
「ジャック、そんな目で私を見ないで頂戴」
さっと目をそらし、ジャックの助けを求める視線から逃げる。
これがパンケーキ屋で彼女を見放したことへの反撃だとはジャックは気付かない。
絶対の絶対に助けないという誓いのもと、リューナは知らんふりをし続けた。
「大人しく受けるといいわ」
きっとその言葉の中には昨日散々恥ずかしいところを見られたことへの怒りがあるのだろう。
今度こそ二の句が継げなくなったジャックがスタンディング用のデッキを取り出 すと、遊星と一緒に外に出て行った。
「…さて、
「…な、なんでしょう…」
「貴方には実戦訓練よ。デッキを出しなさい」
「えっ、な、お仕置きはないって…」
「遊星からはないだけで、私からないとは言ってないわ」
「えー……どう思う?グングニール」
『…我は、その…主の望みを叶えるだけだが』
「そうよね、貴方はいい子だわ」
「えー…!グングニール可愛いのにそういうこと言う!」
無警戒に氷龍に近付くの肝はやはり座っている。
少しだけ嬉しくなったリューナは、彼女の手を引いて遊星とジャックの元へ向かう。
「なっ、何?」
「ジャックと一緒にいた方が貴方は心強いでしょう?」
「ま、まあね」
「せめてもの慈悲よ」
階段を下り、ガレ ージから玄関に出る。
なんとか一矢報いたいはここぞとばかりに口を開いた。
「それはリューナちゃんも一緒じゃないの?」
「どういうことかしら?」
「遊星と結婚したいんだもんね、少しでも一緒にいた方がいいでしょ」
赤面した友人が、そこにはいる。
言葉に詰まったリューナが同時に歩みを止めると、は勝ち誇った笑みを浮かべた。
だが、現実はそう甘くはない。
少し経って遊星とジャックの元へ行き、彼女に「お仕置き」を施す。
「ねえ、私達も入れてくれる?やるなら皆でやりましょう」
「ああ、そうだな」
「…自分の身は自分で守れよ」
「……そんなあ…」
丁度デュエルの決着がついたところだったらしく、遊星とジャックはデッキのシャッフルをして いたところだった。
をジャックにつかせたリューナの腰を遊星が抱いて、そして手をはたかれる。
ジャックが守るようにの肩を抱いて、そしてデュエルは開始された。




結果は、言うまでもない。


-------------------------------------------------------------

マリアマリー様、キリリク小説ありがとうございました!ということでお礼小説です。
「リューナ(当サイト夢主)が遊星にデレる」というリクエストでした。精一杯応えたつもりですがいかがでしょうか?お気に召さなければ書き直しますのでどうぞお申し付けください!

メールで「パンケーキの後の夜は一緒にお風呂入りますか(笑)」ってあったのでよかれと思って書いてみましたぐへへ。
丁度いい理由があっ たのでやりやすかったですぐへへ。
だけど何かうちの夢主に偏っててすいません…!
気に入らなければ書き直します…!

これからも「海と星と空と陸」と夢主、あとついでに管理人をよろしくお願いします!


※お持ち帰りはマリアマリー様に限ります。ご了承ください。