秘密のカンケイ/3


「ごめん、クロウ。今日だけの臨時のバイト入れちゃったんだけど、ちょっと手伝って欲しいことがあるの。今から来れない?」
から突然そんな電話を受けた。
「今日は配達終わったから良いぜ。今家か?」
「ええ…あっ、こら!ごめん、クロウ、待ってるから!」
切り際のの声にクロウは首を傾げる。
誰か一緒にいるような口振りだった。
前後の会話に一瞬不穏な物を想像してしまいそうになうが、それならば自分を呼ぶことは無いだろう。
それに遊星に憧れ、ジャックを兄に持つような女をどうこう出来るのは自分くらいではないかとクロウは思っている。
鬼柳でも何とかなりそうだが。
ともあれ確認はの部屋に行ってからだ。
クロウはブラックバードの行き先をのマンションの方へ向けた。




のアパートの前。
この前ここで遊星と鉢合わせした記憶が蘇る。
流石に今日はそんなことはなかろうが、あの後高い買い物をさせられてしまった。
足元見やがって、とは思ったがジャックに伝えないことをと約束してしまったのだから仕方が無い。
階段を上がり、の部屋の前。
鍵は結局遊星が軽く直してしまったようだ。
「凄いんだよ!良く分かんないけど、遊星が10分くらいガチャガチャやったら直っちゃったの!」
ぽわんと憧れの眼差しで訴えられたのも記憶に新しい。
ガチャガチャってなんだガチャガチャって。
とは思ったが、あまり突っ込んでいくとの『遊星は此処が素敵!』な話を延々聞かされるので黙っていた。
彼女が他の男を褒めるところを黙って聞くのは結構辛い。
インターフォンを鳴らして少し待つ。
すると…。
暫くの後、がちゃっとドアが開いた。
「クロウ!!待ってたわよ!」
「…、おい何だ…何抱えてんだ…?お前…」
確認も無しに無用心な、と思ったが、それよりも先にの持っているモノに目がいったクロウ。
「…だからクロウ呼んだの…ごめんね」
本当に申し訳なさそうに謝るの腕には赤ん坊が抱えられていた。

「臨時のバイトってベビーシッターか…」
「まさか双子とは思わなくて…。一人なら大丈夫と思って引き受けたのに。結局、二人は手が回んなくて…でも今更断れないし」
前金で貰っちゃったから、という彼女に経済的な困窮を垣間見る。
やはり一緒に住まないかと言いたかったが、はきっと首を横に振るだろうと思い口にはしない。
元々子供は好きだから、こんな手伝いなら歓迎する。
とりあえず現状はこうやって手伝ってやるしかないのだろうと思いながらクロウは赤ん坊を抱き上げた。
「…可愛いな」
「ね。凄い可愛いね。大人しかったら…」
の抱っこしている方はじたばたとあまり落ち着かない。
まだ音でしかない声をあげながらの膝の上で手を焼かせている。
「そっち俺が抱いててやるよ。ほら」
「え、う、うん、ありがと…ほら、暴れないで…」
手渡された赤ん坊はクロウの腕に収まってもまだ体を捩っていたが、しばらくすると落ち着いた。
「…わ、流石クロウ…なんかコツあるの?」
「そんなんじゃねぇよ。力ある方が安定すっから落ち着くんだ」
「ふぅん…でもやっぱり詳しいね」
大人しくなった赤ん坊を覗き込んで指を差し出してみる。
握られた小さな手を軽くつつくと、更にきゅうううと力が篭ったのが分かる。
ふにゅふにゅとした柔らかい感触には思わず微笑んだ。
「うー…かっわい、赤ちゃんってなんでこんなに可愛いの…!」
自衛のために庇護欲をそそるための手段である。
他種族にも効果があるなら、同種族のには効果抜群に決まっている。
「可愛いよなぁ…他所の子でこんなに可愛かったら自分の子どうなるんだろって逆に心配だぜ…」
「!」
クロウの言葉には弾かれたように視線を上げた。
「それ、何かの催促?」
「なっ…!他意なんかねぇよ…!」
顔を赤くしてクロウはを睨むが何の迫力も無い。
「や、催促でもあたしは別に」
「ちげーって言ってンだろ!」
語気を強めて否定をし、腕の中の赤ん坊に視線を移す。
薄い髪がフワフワとする柔らかな感触を慈しむように撫でた後で。
「…あいつあんなことばっか考えてんだぜ、お前はもっと清楚に育てよ」
まだ言葉も発音できない赤ん坊にそんな声を掛けた。
「何言ってんのよ。その子だってね、15年も経てば男の上に乗っかっておっぱい吸わせてるに決まってんだからね」
「だから!年頃の女がそういうこと思っても口にするんじゃねぇ!」
強めのクロウの声にが抱いていた方がびくんと反応をする。
折角気持ちよく眠っていたのに、と抗議の声を上げるかの如く弱々しい泣き声を立て始めた。
「ほらー、おっきい声出すからぁ」
「お前がつまんねーこと言うからだろーが」
またしても子供を交換し、クロウは赤ん坊を抱き上げたまま立ち上がった。
「あんまり揺らしちゃダメらしいよ。脳に悪影響があるから、抱っこするときは静かにって」
「ふーん?今ってそんなことにまで神経質なのな」
背中を優しくぽんぽんとしながらクロウは部屋の中を歩き回る。
はそれをじーっと眺めていた。
小さな泣き声をあげていた赤ん坊が徐々に静かになっていく。
「あー、でもコレ、寝るまで俺止まれねぇやつじゃねーか…。寝てくれよー…?」
「でも静かになったじゃない」
「止まったら絶対起きる」
「ふぅん…」
目を見張るものがあるくらい詳しい。
もう宅配辞めてこっちの仕事をしたらどうかと思わず提案したくなる。
マーカーだらけの男を子守りとして雇うところがあるかどうかは甚だ疑問だが。
「殆ど寝てるだけだからって聞いてたんだけどね…」
「や、間違ってないと思うけどな。今は知らねぇ人間にビビってんだろ」
「そこまで分かってるのかな?」
「個人差あるだろうから絶対そうだって言うわけじゃねぇけどな」
お、寝た寝た。
ぐるぐる部屋の中を歩き回っていたクロウが漸く足を止め、赤ん坊を腕の中に収めたまま座り込んだ。
「よしよし。お前のベッド連れて行くか?そっちの方が多分良く寝るぞ」
「あ、お母さんがマット用意してくれてたの。寝室の方、行こう」
「おう」
二人して静かに移動する。
下ろす瞬間に起きてしまったりもするが幸い上手く移動が出来た。
眠ってしまえば赤ん坊というものは本当に手が掛からない。
起こさないようにすれば良いだけのこと。
二人してベッドに座って赤ん坊を見るともなく見ることにした。
「あー、この仕事楽だわー…」
普段は立ち仕事のからすれば、ベッドに座っているだけでお金が貰えるというのは非常に楽である。
しかし。
「何言ってんだ。毎日になったら大変だぜ。それにいつでもこんな乳幼児預けてくれるとは限らねぇしよ」
「…実感篭るわね…」
クロウの言うことは最もで、且つ説得力も半端無い。
は這うように赤ん坊に近づいて、その寝顔を覗き込んだ。
「可愛いー…あー可愛い。ぷにんぷにんだよぉ…」
「起こすなよ」
「分かってるー」
マットの端へと寝そべって、顔を突き合せるようにして覗いている。
もクロウには及ばないが子供は好きな方だった。
可愛いなー、手ェちっちゃいなー。
楽しそうに赤ん坊を眺めている声がしていたが。
「…」
「…?」
「…」
「…?」
暫らくして声がしなくなったと思うと、赤ん坊に負けず劣らずのあどけない表情で眠っていた。
「…ったく、しょーがねぇな」
クロウは苦笑を浮かべる。
そしてその寝顔をそっと覗き込んだ。
「…どっちが可愛いんだか、って感じだよな…」
のメッシュの入った髪を優しく掻きあげる。
白い頬に吸い寄せられるようにして、クロウはその頬に唇を軽く触れさせた。

はっ、と目覚めたときはベッドの上に寝かされていた。
「あれっ!?」
反射的にマットに視線を遣ったが、どちらもいない。
「あれっ!?」
がばっと飛び起きる。
慌てて寝室を出てリビングの方へ向かった。
ばん!と勢い良くドアを開けると、物音でが起きていたことに気付いていたのだろう。
「おー、起きたか」
なんて言って、赤ん坊を抱いたクロウがを向かえる。
また泣かれたのか、部屋の中だというのに突っ立ったままで。
「あたし、寝ちゃって…たのね…」
「疲れてんだろーと思ってよ。勝手にミルクやっちまったけど良かったよな?」
「う、うん。量分かった?」
「おう。手帳が傍にあったからそれ参考にしてな」
「あ、ありがとう…」
もう一人はどこだろうと部屋を見渡せば、座布団の上で寝かされている。
「二人ともあげてくれたの?」
「まーな」
抱っこされている方も、お腹が一杯になったからなのかあやされながらうとうととしている。
「やだーもう…手伝ってって言ったけど、ここまでさせるつもりじゃなかったのにー」
「気にすんなよ。慣れてっから」
確かに休みの日まで孤児院に行くクロウにとっては然程普段と変わらないのかもしれない。
しかし、仕事といえば仕事。
時計を見れば満了時間も近くなってきた。
「…やっぱ悪いから代わるよ」
「気にすんなって言ってんだろ」
「いいの。それにこの子たちのお迎えがそろそろだから、抱っこさせて」
もしかしたらそっちが本音だったかもしれない。
の言い分を聞き、それならばとクロウも抱いていた赤ん坊をに渡した。
小さな体が柔らかくも重量感をもっての腕の中に収まる。
そして座布団で寝かされていた方をクロウが抱き上げた。
「そっか、もう帰っちまうのか」
薄くて小さな唇が寝息を立てている。
4,5時間しか経っていないが面倒を見ていると情も湧くというもので。
もふっくらとした頬を撫でる。
「ね、あたしたちって両親いないじゃない」
「…なんだよ、急に」
「ん、なんとなくあたしたちってこの頃はどんなんだったんだろうなーって」
当然だが写真すら残っていない。
知る術は永久に失われているが、それでもなんとなく想像をしたくなる。
の言葉にちょっと考えた風のクロウ。
「…お前は変わってなさそーだな…」
「どういう意味よ」
「や、そのまんまの意味だけどよ。ガキっぽいままっつーか」
「童顔気にしてるのに!…クロウも今と同じで泣き虫だったんでしょうね」
「誰が泣き虫だ!」
「涙腺超緩いくせに」
「ぐ…っ」
確認する事も出来ないのだから不毛な言い争いである。
不穏な空気を感じ取ったのか、クロウの腕の中の赤ん坊が身じろぎをした時に、の部屋にインターフォンの音が鳴り響いた。
「あ、」
ぱっとが顔を玄関の方に向けたのと赤ん坊が弱々しい泣き声をあげたのは殆ど同時だった。







「ちょっと、赤ちゃん欲しくなっちゃった」
「…今は無理だろ」
「それはそうなんだけど」
WRGPもあるし。
生活の資本も全然構築されていないし。
なんだったら、はまだ学生だし。
だけど、二人はベッドの中にいた。
「きっとすごく可愛いよ、ね」
「だろーな」
擬似的な子供のいる瞬間は、確かに二人の気分を暖かくした。
微笑むのカットソーをクロウは捲り上げ、はクロウのベルトを引き抜く。
お互いに服を脱がせあって、ベッドから放り出すと裸の肌を重ねるように抱き締めあった。
「ん、クロウ…好き…大好き」
「…俺もだ。好きだぜ、
二人分の体重移動を感じたベッドが緩く波打つ。
「あ、ん…」
クロウの体がの上に圧し掛かってきた。
ちゅ、ちゅ…と頬や首筋に唇が押し当てられて、くすぐったさには身じろぐ。
「…はぁあ、あ…」
胸を大きな手が覆う。
そして唇が重なった。
「ん、ふ…っ」
食むように唇をくすぐられ、は焦れったそうにクロウの唇を舐めた。
ちろりとした濡れた感触に誘発されるようにクロウが割り込んでくる。
「んっ…ン、…」
角度を変えながら深くなるキスと、合わせるようにクロウの手が優しくの胸を揉みしだく。
交じり合った唾液を垂下しながら優しい愛撫を味わった。
じわりと足下から緩い痺れが這い上がってくる。
「あ、は…ンん…クロウ…」
離れていく唇を惜しむように視線を上げたら熱っぽいクロウの視線とぶつかった。
「どした」
「…もうちょっと、…欲しいかも」
言いながらせがむようにクロウの首に腕を回した。
可愛くキスを強請るにクロウは少し笑って顔を近づける。
「んっ、は…、んン…」
ちゅくちゅくと唾液の絡む音を立てながら柔らかな舌が触れ合っては離れて。
「はぁ…」
どちらからともなく離れる時は、銀の糸が互いの唇を繋いでいた。
そっとクロウがの喉元にかじり付く。
「ん、あ…っ、クロウ…」
くすぐったさには反射的に顔を背け、逃げようとしてしまう。
が、クロウの体重で動けないのだから逆に無防備な首筋を晒すことになった。
白い肌は誘うように夕暮れの部屋の中で光ってさえいるように見える。
暖かな愛しい気持ちを思い切り刺激されて、クロウはの肌の上を唇でなぞった。
つぅ、と体を伝う唇の感想と柔らかい吐息。
「あは…、あぁん…」
焦れったいような疼きを伴って、の体がぞくぞくと震える。
求めるようにクロウの肩をぎゅっと掴んだ。
「すっげェ可愛い。堪ンね…」
無言の求めに応じるように、クロウは掬い上げた胸にかぶりつく。
ぱくんと暖かくてぬめる口内に捉えられた瞬間、は小さく声を上げて仰け反った。
「っうァ、あぁん…っ!」
ちゅうううと吸い上げた後、刺激に敏感になった乳首を舌が撫でまわす。
食むようにちゅぷちゅぷと唇で扱いてはの反応を伺うクロウ。
は気持ち良さそうに髪を乱して背中をしならせてはクロウに胸を差し出すようで。
「はぁ、あ…っ、感じちゃうよおぉ…」
僅かに辛そうに顔を顰めて泣きそうな表情のが浅い呼吸の合間に声を漏らす。
可愛い呟きだ。
クロウは舌先で肌をなぞりながらゆっくりと体を下にずらした。
「あ、っ…やあぁ…んっ…くすぐったい…!」
身じろぐの体を押さえつけるように腰を抱き、柔らかな下腹に小さく跡を残す。
「あん…跡つけちゃって…」
「いーだろ?見えねぇしさ」
「ん、いーよ。クロウのもの…だね」
はにかむがクロウの本能に無意識の爪を立てる。
「お前それ天然でやるから性質悪ィよな」
「え…?」
「覚悟しろって言ったんだよ…!」
クロウがの足を抱えあげた。
そして柔らかく濡れたの花弁をゆっくりと押し広げる。
外気に晒されぴくぴくと震える入り口に、クロウがそっと顔を近付けた。
「あはぁっ…!」
ぬるんとしたクロウの舌先がの下肢をくすぐるように撫であげる。
濡れ始めた雫を掬い取られ、掻き分けるように舌が埋まり込んだ。
そのまま敏感な突起をざらりと舐める。
「っ、あ!はぁっ、あァ…!」
直接的な愛撫が生み出す強い快感がの体を駆け抜けた。
爪先が痺れるように震える。
「コレ、好きだろ?」
何度も体を重ねたクロウはの感じる箇所を知っている。
膨らんだ突起を意地悪く舌で弾きながら、の体の中に指をゆっくり差し込んだ。
「やあっ!それダメぇ…!」
瞬間、の中がきゅうう、とクロウを締め付ける。
期待に愛液を湛えたの体は、美味しそうに指を咥え込み蠢いた。
「エロいな…食いついて離さねぇ…」
「はぁぁ、喋らないでぇえ…」
敏感な箇所に吐息が触れるだけで感じてしまう。
しかしクロウは容赦なく指を奥へと進め、探るかのように指先をくい、と折り曲げた。
「あぁぁっ!!」
びくびくと跳ねるの腰を押さえ付けてクロウはちゅうっと突起を啜り上げる。
浅く呼吸を繰り返し、背中をしならせるは今にも達してしまいそうな程の反応を見せた。
視線を上げれば緩やかに震える胸が目に入る。
「あぁぁ…クロウ、っ…イっちゃうぅ…っ!」
クロウの愛撫に限界を訴える
甘い声に愛液を舐め取るクロウの喉が小さく鳴った。
「まだだぜ」
「はう…っ」
制止の声と共にクロウがから指を引き抜く。
「…なんでぇ…?」
残念そうに体を起こすは悲しそうに非難の視線をクロウに注ぐ。
そんなに圧し掛かりながら、クロウはその体をベッドに押し付けて足の間に体を捩じ込む。
「指じゃなくて、俺のでイけよ」
意地悪く笑いかけられたかと思うと熱い感触を感じた。
しかしそれも一瞬のことで。
「うあぁぁあっ!!」
心の準備も整わないままに、勢い良く貫かれてはその衝撃にも似た鋭い快感にいきなり絶頂に達する。
びくびくっとの体が跳ね上がり断続的に内部がクロウを締め付けた。
「く、っ…はァ…あー、めちゃくちゃイイ…」
クロウが快感を逃がすように体を震わせる。
油断すればイかされてしまいそうな程の快感が腰を駆け抜けた。
「はーっ…あ、やぁ…動いちゃ、あっ!あっ!」
「うぉ、すっげ…はぁあ…止まんね…」
「あぁっ!あっ…!やぁ、それ…っ、はぁっ!」
絶頂の余韻も冷めやらぬ体にクロウの楔が規則的に打ち込まれる。
内壁を擦りながら押し広げられる感覚にぞくぞくと下腹が波打つ様な快感を感じた。
縋るようにクロウの腕をきつく掴む。
そうやって苦しくも与えられる快感を必死で受け止めていると、クロウがそっと顔を近づけて来るのがわかった。
「はぁっ、あ…っ!ん、!ンう…っ」
喘ぐの唇にクロウの唇が重ねられる。
「んは…っ、ん、んっ…」
「…っ、は…、…」
ちゅく、と絡まる舌先が二人の気分を温かく高める。
折り重なるように抱き締めて、クロウはの足を抱えあげた。
そして更に奥まで到達しようと思い切り腰を押し付ける。
「はぁっあ…!あぁぁ、クロウ…っ!」
奥の奥を突き上げる動きには背中をしならせた。
柔らかなの胸がクロウの体に押し付けられて、クロウを煽る。
、っ…好きだ…、っ!」
「!…あっ、あたし、も…っ、クロウ、大好き…っ!」
ぐぶりと埋まりこんだ結合部から溢れた愛液がの内股を温く濡らした。
ベッドを軋ませてスピードを上げるクロウに追いすがりながら、は体を駆け抜ける絶頂の予感を感じた。
肌が粟立つようなぞくぞくとした冷たい快感。
中のクロウはこんなにも熱いのに。
「はぁっ…あぁぁっ、だめ、あたし、もう…っ!」
激しく攻め立てられ体を跳ねさせたが悲鳴のように喉を鳴らしてクロウを抱き締めた。
「―――っ!」
それはもう縋ると言っても良かったかもしれない。
がくがくと体を震わせながらクロウに体を密着させては絶頂に達する。
「くぅ…っ」
「あぁぁ…」
切なげに溜め息を吐くの中に熱が広がっていくのが分かった。
自分の中でクロウも絶頂したのだと思うと不思議な愛しさが込み上げてくる。
浅い呼吸を繰り返しながらの肩口に顔を埋めるクロウの顔を上げさせて、は愛しい衝動が突き動かすままにキスをする。
舌を滑り込ませながら体重をかけると力なくクロウの体がによって押し倒される。
絡み合ったままで二人はベッドに沈み込んだ。





実際のところ、今子供が出来てしまったらどうするんだろう。
情事の後ではうとうとしながら考えていた。
クロウと自分の子供…可愛いには違いない。
あの兄はどんな顔をするだろう。
驚く、だろうか。
怒る、だろうか。
それでも最終的にはきっと溜め息を吐いて、不遜に微笑むに違いない。
愛の気配が漂う中でそれを想像しながらは目を伏せる。
優しく抱き寄せるクロウの腕に甘えながら、はふうっと意識を手放した。