アナタのオモチャ 1


、今日はガレージに来るの?」
「ええ、今日は行くわ。ブルーノから来て欲しいって連絡があって」
「あぁ…どうしてブルーノなの?他にもっと良い人がいるでしょう?」
チームメイトだから悪い男ではないと知ってはいるが、記憶喪失で身元不明人で風来坊。
機械知識とプログラミングが凄いのは認める。
しかしならもっと良い男でも選び放題であろうに。
「ふふ、アキにその言葉そっくり返すわ。どうして不動遊星なの。あんな朴念仁よりもっとアキには良い人がいると思うけど」
「…う」
「ね?好きになったらそういうことじゃないのよ。ああ、ちょっとまって差し入れ買っていくから」
アキを制止してコンビニにぱたぱたと走っていく。
そういえば甘い物は頭に良いのよ、と何日か前にもブルーノと遊星にお菓子を買っていたっけ。
遊星のは絶対ついでだ。
さっきの遊星への評価でなんとなく分かる。
良く気の付く綺麗な友人
裕福な家ではないがシティで生まれ育ちクラスでの成績も優秀。
気取ったところはなくて気さくな性格。
そのくせリーダーシップを取るタイプでもないのにそこそこ頼られがち。
苦労性な方かもしれないがそれはそれで本人は楽しそうだった。
ちょっと遊星に似てるかも、と思いつつアキはそれを口にはしない。
もしかしたら同属嫌悪に近いのかもしれない。
「お待たせ。これアキにあげる」
「私の分まで買ってきちゃったの?」
「うふふ、アキにはこんなものじゃ済まないくらい感謝してるもの」
小さなお菓子を握らされてアキは苦笑した。
そんなにもブルーノが好きなのか。
まあ、が幸せそうだから…もう何も言わないでおこうかな。
「それにしても珍しいわね。ブルーノから呼び出しなんて」
「でしょう?嬉しいけど、ちょっと気になるのよねー…」
遊星も感情が分かりにくい人間だが、ブルーノもなかなか掴みにくい。
曰く『彼は淡白ね』ということだ。
それはどういう方面へ向けての『淡白』なのかアキには分からなかったし、追求もしなかった。
多分、ヤブヘビだし。





ガレージで待ち構えていたのは当たり前だがブルーノだった。
流石に呼び出しておいて姿がないなんてことはない。
「ブルーノ、お待たせ。急に来て欲しいなんてどうしたの?」
「待ってたよ、。君の為にちょっとしたもの作ってみたんだ!」
にこにこと出迎えるブルーノはもうを抱き締めんばかりの歓迎振りである。
作業がひと段落していたのだろう。
遊星は珍しくソファで横になって寝息を立てていた。
「遊星が寝てるなんてレアケースね…私初めて見たわ…」
驚いたようなアキの声。
そんな遊星をじっと見て少しだけ逡巡したようではあったが、アキはに苦笑を向ける。
「邪魔しそうだから、今日は私は帰るわね。はごゆっくり」
「アキさん、別にいててくれてもいいよ?」
ブルーノが声を掛けるがアキは首を横に振った。
「どっちにしろ今日はあんまり時間がなかったの。また明日来るわ」
これは本当だった。
最初ににガレージに行くかどうかを聞いたのも、が行かないのであれば一緒に帰るつもりで聞いたのだ。
が行くと言ったから来たが、少し遊星と喋ったら帰るつもりだった。
最初のあては外れたがおかげで遊星の寝顔を見ることが出来たのだから結果オーライと言ったところか。
「じゃあ、また明日ね」
「ええ。気をつけてね、アキ」
手を振ってアキを見送る。
そしてその後ブルーノに向き直ると。
「差し入れを持ってきたの。とりあえずおやつにする?」
「じゃあ僕の部屋で食べようよ。作ったものも見せたいから」
「いいわね。飲み物だけ煎れるわ」
連れ立って階段を上がる。
ソファに残された遊星はそれにも気付かずに眠っていた。
遊星の分をどうしようとは考える。
実はブルーノと遊星の分しか買ってない。
……まあいいか、食べちゃっても。
寝ている彼が悪いということで今回はブルーノと自分で美味しく頂きますね。
は心の中でそんなことを呟いていた。
勝手知ったる他人の家。
紅茶を煎れながらはブルーノに声を掛ける。
「そもそもDホイールの整備で忙しいのに何かを作ってる暇があったの?」
「まあ合間を見て、ね。それに単純な構造のものだからそんなに時間は掛かってないんだ」
単純な構造…。
彼は一体何を作ってくれたのだろう。
オルゴールとかかな?
彼はちょっと変わっているからそんな普通のものではないかもしれない。
じゃあ何だろう。
まさかデュエルディスクとか…。
いや、わざわざ持っているものを作ったりはしないか。
「あ、何作ったか考えてるね?」
「ええ。気になるもの」
「当てたら大したものだけど、その時はちょっと僕も色々考えなきゃいけなくなるなぁ」
「どういうこと?」
「はは、まあ答え合わせをしてのお楽しみかな」
カップに紅茶を注ぎながらはブルーノが作った物を考えてみる。
しかしヒントもなしでは、機械仕掛けの何か、ということくらいしか分からない。
と、いうか螺子巻きのオルゴールなら機械ですらない。
器用な彼なら機械仕掛けだろうが機構製のものであろうが関係なく作ってしまうのかもしれないが…。
お盆にお菓子と紅茶を載せる。
「うーん、全然分からない」
「まあまあ。当てようとしなくてもいいんじゃない?」
どうぞ、とブルーノは部屋のドアを開けた。
適当なくせにまあまあ片付いている部屋だ。
工具がそこかしこだが、整備中に慌しく出入りしているのだろう。
それくらいは仕方がないようにも思える。
お盆を机の上に置いたブルーノ。
「じゃあ答え合わせ…の前にね」
「え?」
「久しぶりで僕もう待てないんだ」
いつも通り敵意のない笑顔でをベッドに押し付ける。
完全なる不意打ちには成されるがまま。
世界がひっくり返った…と思っている間にブルーノに唇を塞がれていた。
ちゅ、ちゅ…と何度も軽く唇を啄ばまれる。
「ん…もう、だから呼び出したの?」
「目的の一つではあったかな。最近忙しくて全然抜いてないんだよね」
ぐ、と体を押し付けられて、服越しにでも分かるほどブルーノは興奮しているようだった。
淡白な彼がここまで欲情を表してくれるのは…実はちょっと嬉しい。
「あれ?何か嬉しそう?」
「嬉しいわけじゃないけど…ブルーノいつもさらっと終わっちゃうから…」
「はは、時間がないときが多いからね。それはごめん」
でも、とブルーノは少し意地悪そうに口の端を歪めた。
「それなら、答え合わせはきっと喜んでもらえると思うな」
「え…?」
それってどういうことだろう。
「今日は時間がたっぷりあるからね。じっくり愛してあげるよ」
低く囁かれた言葉に、足の間にきゅうんとした疼きが走る。
じっくりって。
いつもさらっと終わらせてしまうブルーノからは想像出来ない。
軽く顎を持ち上げられて深々とキスをされた。
小さな舌先を吸い、舐める。
「ん…」
柔らかな感触と共に唾液が混じる。
それを飲み込みながら、は強請るようにブルーノの首に腕を回した。
更にちゅくちゅくと音を立てて貪られる。
「はっぁ…ブルーノ…」
未だ頬や耳にキスを落とすブルーノに、無防備にも白い首を見せては身じろいだ。
そんなの首筋に噛り付く。
「あっ…!」
唇で優しく噛み付かれてくすぐったさがこみ上げた。
背中がゾクゾクして自然に背がしなる。
「気持ち良い?」
「ん、寧ろくすぐったい」
「そう?じゃあこっちはどう?」
ブルーノの掌がの胸に重ねられた。
優しい手つきで撫でるように形を確かめられる。
服越しだから、ちょっと焦れったい。
「ん、…どうって聞かれても反応に困るわ」
ふにゅふにゅと指先を埋め込まれたり、緩やかに揉まれたり。
でもそれでは体は疼くだけだ。
「ブルーノ…ねぇ、焦らさないでよ…」
「あは、そうだね。僕もが欲しくて堪らないよ」
ブルーノの指がのブラウスのボタンを外す。
機械いじりの得意な彼は指先が器用だ。
じゃあ遊星も同じなのか?とちょこっとだけ考えかけたが、すぐに頭から追い出した。
この瞬間に別の男のことを考えるのはブルーノに悪い気がする。
「…、凄くそそるね」
ブラウスの前だけを肌蹴られ、下着をずりあげられ…。
そんな格好でベッドに肢体を投げ出すにブルーノは小さく喉を鳴らした。
体を屈めてその白い胸に唇を触れさせる。
「んっ…!」
ぴくんとは体を震わせた。
期待に少し膨らんだ、敏感な突先をブルーノが口に含む。
「っあ…ん…」
先程とは打って変わって直接的な刺激がぞくぞくとの体を甘く攻め始めた。
舌先が円を描くように乳首を捏ねる。
時折ちゅう、と吸われると背中がしなるほど気持ち良い。
唇が触れていない方の胸も、大きな手で優しく愛撫される。
「んっ、あ…ぁあ…っ」
ぷくりと膨らんだ乳首を指先で摘みあげられ、弄ばれて。
更に体に快感が駆け抜けてブルーノに胸を押し付けるかのように背中が跳ねる。
「相変わらず感じやすいね。強請ってるみたいだよ?」
「だって…あっ、体が…勝手、に…っ」
「ちょっと痛いくらいが好きだよね。可愛いなぁ、…」
「ああっ、や…っ、あ…!」
抱え込むように強く抱き締められて、足から震えるような疼きが這い上がってくる。
ブルーノの唇が熱い。
ぴちゃぴちゃと音を立てながらしゃぶりたてられるとおかしくなりそうなくらい感じてしまって。
ただただ嬌声を上げながらは愛撫を受け入れていた。
「はぁっ、ブルーノ…っ、気持ち、イイ…」
「それは良かった。…ねえ、、僕も気持ちよくしてくれる?」
の胸の上から顔をあげて掠れた声で求めるブルーノ。
欲の滲んだ獣の視線に射抜かれるとそれだけで体が熱くなる。
ブルーノの求めには素直に頷いた。
体を起こして、ベッドに座り込むブルーノの脚の間に屈みこんだ。
服の上からでも分かるほどの欲望が鎌首をもたげている。
慣れた手つきでベルトを引き抜き、ファスナーを降ろした。
「ブルーノってば、こんなにして…」
が可愛い声を出すからだよ。それにさっきも言ったけど溜まってるしね」
充血した先端を指先でぐにぐにと弄る。
時折意思を持ったかのようにぴくんと跳ねるから不思議だ。
すぐに唇はつけず、ゆるゆると手で上下させてみた。
ブルーノが小さく溜め息を吐く。
、早く…僕もう待ちきれないよ…」
「はいはい」
余裕の無いおねだりは可愛い。
嬉しくなって一息に口の中に含んで見せる。
「っ、あぁ…イイ…」
うっとりとした声で素直に快感を示すブルーノ。
くちゅくちゅと口の中で舌を動かして裏筋をざらざらと擦る。
溢れる唾液を飲み込みながら無遠慮なまでにブルーノのものを撫で回した。
「はぁぁ…あー、イイ。これだけでイっちゃいそう…」
気持ち良さそうにの髪に指を絡めるブルーノの表情を盗み見る。
しまりの無い笑みを浮かべて本当に気持ち良さそうだ。
情欲に浮かされた表情にも体の奥から熱が誘発されるのを感じる。
男性器を口に咥えただけではしたなくも濡れる体をブルーノに知られたくはない…。
そう思った時だった。
「ね、…答え合わせしようか…」
「…え、?」
さっき言ってたプレゼントの?
今この瞬間に?
唇を離して呆然とするに、ブルーノはベッドサイドのテーブルに置かれた箱を手にした。
工具箱の一つだと思っていたは、そんなところに答えが置いてあったのかとちょっと驚く。
ブルーノの手によって開かれたそこには…。
「それって…あの、アレよね…。いわゆる…玩具っていう……」
「そうだよ」
にっこり笑ってみせるブルーノに、は眩暈を感じる。
作ったって?
これを?
「ぴったり僕のサイズだよ」
「いえ、そんなこと聞いてませんし」
っていうか測ったのか。
「淡白な僕よりこういう僕の方が好きなんじゃないの?本当は色々可愛がってあげたいの我慢してたんだ」
嗚呼、淡白と思ってた彼はとんだ変態さんだったのね。
くらりと淡い眩暈がする。
それでも頭の奥がぼぅっと熱いのは気のせいじゃない。
求められれば、やっぱり嬉しい。
そんなを見抜いたかのようにブルーノは酷薄な笑みを浮かべた。
普段の人の良さそうな笑みなのに、まとう雰囲気が全く違う。
獣が獲物を目にした瞬間に似ていた。
「ねぇ、僕は知ってるよ?僕のしゃぶって濡らしてるよね?ほら、自分で入れてみて」
「!」
「いつも咥えてる時すごく気持ち良さそうだもんね。ずっと犯しながらしゃぶらせてみたいって想像してたんだ」

でも、これでをもっと気持ちよくしてあげられるよね。

ブルーノは決して微笑みを崩してはいない。
なのに鳥肌が立つほどの強制力を感じる。
は震える手を制服のスカートの中に差し入れる。
ブルーノの目の前でゆっくりと下着を下ろして脚を開いた。
「ああ、言ったとおりだね。こんなに濡らして」
「言わないで…」
頬が熱くなる。
ブルーノからこんなにも猥褻な意地悪をされる日が来るなんて想像もしていなかった。
いつだって彼は優しくて。
優しすぎるくらい優しく抱いてくれて。
なのにこんな本性を隠し持っていたなんて。
は自らの指先で割り開いた入り口に、手渡された下品な玩具を押し付ける。
生身のものではないひやりとした硬い感触。
「っう…」
やや抵抗はあるものの恥ずかしくなるくらいすんなりと飲み込んでしまう。
「あはっ、すごいね。簡単に入っちゃった」
「はぁっ…言わないで、ってば…」
こんなに下品な物を咥え込んでいる。
見られている。
ぞくぞくする。
「きちんと動くかな?実はこれついさっき出来上がったところでさ。時間無くてテストまだなんだ」
ブルーノの手が伸びてきてカチリとスイッチを入れる。
「えっ、あっ…嫌っ!」
「良かった。動かなかったら物足りないもんねぇ」
部屋に響く小さな機械音。
本当にこれで一人遊びをしているようだ。
ちゃんとした相手が目の前にいるというのに。
「とっても気持ち良さそうだね」
「はっ、あ…いやぁ…見ないで…」
「どうして?こんなに可愛いのに。じゃあ、続きお願いね」
唇を離して暫く経つが全く衰えないそれを目の前に突き出され、そうだった、と思う。
こんなものを咥え込まされてしまったが、これを愛していたのだった。
促されるままにもう一度口に含む。
「ン…」
「ああ、いいね。すごく気持ち良い…」
舌と唇で扱くとブルーノが小さく呻く。
いつもその声でこっそりと(実際はブルーノに見抜かれていたが)感じていたのに、今日は違った。
中で震える玩具が更に直接的な快感をに与えてくる。
ブルーノの気持ち良さそうな表情とその刺激がぞくぞくとを苛む。
もう、これだけでイってしまいそうだ。
一方的に感じさせられるのはちょっと悔しいからぐちゅぐちゅと水音を立てながら更にブルーノを攻めてみた。
「う、は…そんなにしたら…出ちゃう、よ?」
切なげな溜め息と共に言うブルーノは、しかし嬉しそうだった。
「良いの、イって…。私も…もう…っ」
玩具に犯されている中がきゅうんと疼く。
もう耐えられない。
はブルーノの根元を手で扱きながら先端を唇に含む。
ぐちゅぐちゅと音を立てて激しくしゃぶりたてた。
「んっ、…っ」
「ふ、はっ…ブルーノ、っ…ん、んっ…」
髪に指を絡めたブルーノの手がの頭を強く抱え込む。
自由は少なくなるがブルーノを感じさせているという事実がを体を熱くした。
ぞくぞくと駆け上がる快感が抑えられない。
体の中の玩具に遊ばれるままに絶頂の予感を募らせる。
「ああっ、出る…、…出る、よ…!」
ブルーノの体がびくんと痙攣した。
同時に口の中にはどぶりと生温いブルーノの体液が溢れかえった。
逃げられないよう頭を押さえ込まれたままで、はその液体を喉の奥に押し込む。
「っ、く…」
「んっん!っ…!!」
断続的にとぷ、とぷ…と吐き出されるそれを飲み込みながら、もがくがくと体を震わせた。
嗚呼、こんなことでイかされてしまうなんて。
普段の情事からは本当に想像出来ない刺激だった。
射精を終えたブルーノがずるりと口の中から出て行く。
「はぁっ…もイっちゃったんだ?」
「ん…ぅ、うん…」
絶頂の後も体を苛むその玩具。
びくびくと体を跳ねさせながらは小さく頷いた。
「とっても気持ち良さそうで本当に良かった。ねぇ、今日はもう少しそのままでいてくれる?」
「…え…?」
「少しだけ休憩させてくれたらちゃんと愛してあげるから」
ね?
笑いながら頬にキスを落とすブルーノにはぼやけた頭で頷くしかなかった。
だってこんなにも気持ちいいし。
ブルーノが愛してくれるなら、なんだって…。









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ここまで読んでくださってありがとうございました。