多分間違ってるんだ。
でも、多分あたしたちにはこれが一番良い。
このまま間違い続けるのが、きっとお互いに幸せで。
何を如何間違ったのか、は遊馬と、そして遊馬に取り憑いたアストラルと恋人になることになった。
最初を見出したのは意外にもアストラルである。
その理由は恐らく…触れ合えるから。
最近になって遊馬も触れ合えるようになったのだが、はどういうわけかアストラルに出会った時から姿も見えたし触れ合うことも出来た。
いつしかアストラルはに温もりを求めるようになる。
「とずっと一緒にいたい。遊馬と感じる気持ちとは違った形で…。これが恋と言うものなのか」
そんな言葉ではアストラルから気持ちを打ち明けられる。
最初はきっと気のせいだと言い聞かせていたが、アストラルの求愛は日毎に熱を増していく。
そうやってアプローチされれば悪い気はしない。
はアストラルを受け入れようと決意する。
しかし同時期に遊馬からへの気持ちを打ち明けられた。
はそこで、どうしても二人の内のどちらを選ぶことなど出来なくて。
選ばないことで二人を失わない道を選ぼうと決めたけれど二人の考えは正反対だった。
それはアストラルがちょっと普通の感覚とズレていたからだと今思う。
「では、我々3人で交際すれば問題ないのではないか?」
その発言にはひっくり返りそうになったけれど、やはり少しズレている遊馬がそれに同意する形で多数決で押し切られてしまった。
まあ確かに暫くは問題などは無かった。
普段と変わらない生活が続いていた。
しかし、いつかは来ると思ってた時が来てしまったのだった。
誰もいないからうちに来ないか、なんて。
少し視線逸らすところがいつもの遊馬らしくなくてはどきどきさせられる。
きっとお互いに多少以上の期待もあったのだろう。
薄暗い部屋で、それはそっと行われた。
触れ合う感触は人間と変わらなかった…と、思う。
何しろ初めてのことだ。
よって実際は比べようがなかった。
そっと離れたとき遊馬の視線を感じてはそちらを見る。
「…じろじろ見ないでよ…恥ずかしいじゃん…」
「気になるんだから仕方ねぇだろー!ってかなんか納得いかねぇ」
「しかしこれが一番合理的だ。私だってこの後のことはあまり面白くないのだからな」
初めてのキスを終えたばかりの態度とは思えない程普段通りのアストラルに思わず苦笑が漏れる。
らしいと言えば、とてもらしいけれど。
「じゃ、次は遊馬にも…」
「うぇっ!?ちょ、まだ心の準備が…!」
慌てる遊馬の頬にはそっと唇を押し付ける。
「!」
軽く触れるキスを受けてきょとんと頬を押さえる遊馬と、笑うとアストラル。
「…からかうなよ!」
「あはは、だってそんなに慌てるんだもん」
遊馬を指差し無邪気に笑うにするりと後ろから軽く抱きついたアストラル。
そっと身をかがめると、が遊馬したように彼女の頬に唇を押し付けた。
「きゃん!アストラル…びっくりした…」
「不思議だな、はいつもどおりの筈なのにいつも以上に可愛い」
「…な、何言って…っん!」
一度重ねて遠慮がなくなったのだろう。
改めてアストラルがにキスをしたのである。
「あっ!ずりィぞアストラル!!」
「ふ、順番的には問題あるまい?」
余裕たっぷりの笑みを浮かべ愛おしそうにに頬をすり寄せて見せる。
「俺も!」
「きゃん!ちょ、遊馬…っ、んうっ…!」
アストラルから奪い返すように遊馬がの肩を掴んだ。
そして素早く唇が重なる。
仄かな温もりと柔らかい感触。
やはりアストラルだって触り心地は殆ど人間と遜色ないのだなぁと頭の片隅で思った。
「は…、もう…遊馬ったら」
「アストラルばっかはずるいだろ」
「だが、次は私のターンだ」
ぐい、とを自分の方へ向かせたアストラルはまたしても唇を重ねようと顔を近付けた。
が、ふと思いついたようにの唇を舐める。
「!」
殆どぬめりはなかったけれど、唇とはまた違った柔らかさのアストラルの舌がつるりとの口の中に挿し込まれた。
「んっ、ん…」
「…ああ、味というものを感じられないのが残念でならない…。もし感ぜられたなら…君は一体どんな感覚を私に知らしめてくれたのだろうな…」
はあ、と溜め息を吐いて離れるアストラルの愁いを帯びた表情が色香を滲ませていてどきっとする。
本人は恐らく自覚がないだろうが、だからこそ綺麗な顔でじっと見つめられると…。
「だから俺も混ぜろって!」
「わっ、遊馬…!?」
遊馬を放置で見詰め合う二人の間に割って入り、遊馬はをベッドに押し付けた。
そう、3人で決めたのである。
アストラルに処女を捧げることは物理的に不可能だから、初めてのキスをアストラルに体の初めてを遊馬に、と。
多少の不平等は致し方ない。
そもそもアストラルは人間ではないのだから。
それを受け入れた上での関係の続行を3人で決めたのだった。
夕闇が翳りを落とし始めた遊馬の部屋では遊馬によってベッドの上に押し倒されている。
こんな日が、来るなんて。
「いい、よな?」
「確認なんか、しないでよ…」
見下ろされるのが気恥ずかしくて、ふっと視線を逸らした先にアストラルが腰を掛ける。
「詳しくは知らないのだが…これから何が行われるんだ?とりあえず長い時間をかけて抱き合うようだが」
「…説明聞くより見た方が分かりやすいわ…多分」
その偏ったごく一部の知識は何処で仕入れてきたのだろう。
怖くて聞けないけれど。
…と、思っていたら。
「お前、そーゆーの何処で知るんだ?俺教えてないぜ?」
結構聞けちゃう毛の生えた心臓の持ち主が目の前にいましたよ。
「夜中にテレビを見ていたら、何となく今の二人のようになっている男女を見かける」
「…あぁ…深夜番組…」
確かに深夜というものは無法地帯。
昔ほどではないにしても、何故こんな映画を放映しているのだろうと思うことはままある。
そういえばアストラルは夜の間はテレビをよく見ていると遊馬が言っていたような気もする。
何となくアストラルがテレビに見入るという姿を想像できなくて、はアストラルに視線を移したままその姿を見ていた。
そうしたら、首筋にくすぐったい感覚が走ってびくりと体を跳ねさせることになる。
「っ…!」
息を詰めたが遊馬の方に向き直ったとき、遊馬は既にの首筋に顔を埋めていた。
くすぐったさの原因はこれかと理解して、跳ねあがった心臓の鼓動に吐息を浅くする。
「び、びっくりした…。くすぐったいじゃない」
「だってよ、喋ってたら日が暮れちまうだろ」
「だからっていきなり…」
「がアストラルばっか見てるからだ」
首筋から少し視線を上げて上目遣いの遊馬は多少以上不満そうである。
別にそんなつもりは無かったが、嫉妬しているのかと思うとちょっと可愛く思えてしまい微笑ましさには笑ってしまう。
「あ!何が可笑しいんだよっ」
「違うの、可笑しいんじゃなくて…、その、遊馬可愛いなぁって」
「…それ男に言う褒め言葉じゃねぇじゃん!」
悪い意味で言ったわけではない…と言うよりも褒めたつもりだったのだが、遊馬にはあまり効果的では無かったようで。
唇を尖らせる遊馬は面白くなさそうにの細い首筋にかぶりついた。
「んっ、あ…っ」
耳のすぐ下あたりの、窪んだ所に唇を押し付けてそのまま下へと辿らせる。
快感というよりはくすぐったさに身じろいだはきゅっと目を瞑って顔を背けた。
そうすることにより更に首筋は無防備なものとなる。
遊馬はの制服の襟元を軽く引き下げて、その滑らかな感触を唇で味わった。
「…ふあァ…っ、ゆう、まぁ…っ」
熱くなる体が生み出す焦燥感にも似た感覚。
ドキドキと早鐘を打つ心臓がうるさいほどだ。
「…可愛らしい声で遊馬を呼ぶのだな…。その声を聞くと胸の辺りが苦しくなるような気がする…」
傍に腰をかけていたアストラルが屈みこんできた。
薄らと目を開けると、覗き込んでいるアストラルと目が合ってしまう。
「や、見ないで…アストラル…」
恥ずかしそうに手で顔を覆う。
そんなの制服の隙間に遊馬は手を差し入れる。
「あっ…」
遠慮がちに滑り込んできた指先が、ひんやりとした感覚を伴って腰のあたりに触れた。
「何か…スッゲー悪いことしてる気になるな…」
それ以上進めることを躊躇するように遊馬が呟いた。
しかしここまで来て止められるのも、折角覚悟を決めた身としては辛いものがある。
若い好奇心も満たされない。
そこでは意を決して自ら制服の裾を捲りあげた。
「な、っ!?何してンだ、…!」
遊馬の慌てた声に羞恥心が煽られるがぐっと堪えた。
それでも頬は相当熱い。
恐らく夕暮れの部屋の中ですら見て分かるほど真っ赤になっているのだろうと思う。
「遠慮、しなくていいよ…。触って、遊馬…」
誰にも見せたことのない膨らみが遊馬とアストラルの目の前に晒される。
遊馬は息を飲んでその胸に手を伸ばした。
「っ…」
ふにゅ、と指先が埋まり込む。
「俺、ドキドキしすぎてどうにかなりそーだ…」
「あたしも…」
柔く胸の上に手を重ねたまま、遊馬はそっとに唇を押し付けた。
「ふ、…」
ちゅく、と小さな水音がして遊馬の舌先がの口内に滑り込む。
比べるつもりは毛頭ないが、アストラルの舌先とは違いぬるんとした唾液の感触にぞくりとした。
お互い経験もなくどうして良いのか分からないままに舌先を絡めあう。
溢れた唾液を垂下して離れるときには銀の糸がお互いの唇を繋いでいた。
「…二人で仲良くされるのは確かに面白くないな」
「アストラル…」
「、先ほどから遊馬を見る君の表情は私を苦しくさせる。私のことも見てくれないか」
「は、ん…っ」
屈みこんだアストラルがの唇に指先で触れたかと思うと、素早くキスをする。
先程から交互に唇を奪われ続けているせいか酸素が薄くてくらくらした。
淡い眩暈にぼうっとしながらもアストラルからのキスを受け入れる。
遊馬はそれを尻目にの体に視線を移した。
遠慮はいらないと言われた。
それでも頭の奥に残る多少の罪悪感と、それを上回る好奇心と。
恋愛とかいうものに大きな興味を持ったことは殆ど無いがだけは別だ。
アストラルがに求愛していることを知った時の複雑な気持ちを今でも鮮明に思い出せる。
「…」
夢中でアストラルとキスを交わす彼女の胸に改めて触れた。
「んン…っ!」
小さなくぐもった嬌声。
自分が触れたことに反応しているのだと思うと遊馬は何となく嬉しくなる。
体を屈めて膨らんだ部分を軽く食んだ。
「んあっ…」
更に明瞭な反応を返す。
「…?胸元を触られるとそうなるのか?」
唇を離したアストラルが不思議そうにの胸元に手を伸ばした。
遊馬が触れていない方の胸を柔らかく掴む。
「ひゃぁっ!」
遊馬の唇とアストラルの手と。
質の違う刺激に思わず声が出た。
「不思議な感触だな…。無闇に女性に触るのは良くないと知ってはいるが、一度触れてみたいと思っていた。だが、の体と思うと更にいけない気分になる」
人間を知らないアストラルの素直な感想は遊馬の頭の中の感想と大差ない。
「れ、冷静にそんなこと言わないでよぉ…っ」
は常に熱を帯びたままの頬を押さえる。
視線を胸元にずらせば遊馬とアストラルが自分の体を弄っている様が映り、それこそいけない気分になる。
なのに二人は容赦ない。
アストラルの手は傍若無人に胸の形を変えて遊んでいるかのようだ。
いやらしいタッチではないはずなのに、その好奇心に満ちた掌は淡い快感を引き出すようで。
そうこうしているうちに遊馬の手が、くいっと下着を引き下げた。
赤く充血する乳首がひやりとした外気に触れる。
「やぁ、ん…っ、遊馬…っ」
ふるりと震える胸の先端。
恐る恐る遊馬はそれをぺろりと舐めた。
「あはぁぁ…っ!」
途端、足元から痺れるような感覚がの体を駆け抜ける。
甘い嬌声にアストラルは少しだけ体を離してに視線を向けた。
ちゅぷちゅぷと遊馬が唇で乳首を愛撫するたびに跳ねるの体。
「あっあっ…ゆう、ま、あぁっ…!」
背をしならせながらともすれば苦しそうに浅い息を繰り返している。
「、苦しいのか?」
思わず問いかけるアストラルの声に遊馬も愛撫の手を止めてを見た。
「違、っ…、気持ち…良くて…。遊馬…お願い、止めないで…」
切なげに淡い吐息で途切れ途切れに乞う。
自分でも何を強請っているのかは重々承知している。
しかし愛撫の手を止められて体が辛い。
体の奥がじぃんと熱と保って続きを欲しているのである。
乞われた内容が内容だけに遊馬はごくりと喉を鳴らした。
続きをせがむ扇情的なの表情にアストラルも視線を離すことができない。
「…遊馬ぁ、早く…」
「あ、ああ…!」
急かされて遊馬はの下着を押し上げた。
ぷるりと柔らかそうな裸の胸が露わになる。
嫌がるだろうかと少し心配だったが、は抗議の声を上げたりはしなかった。
誘われるようにそれにかぶりつく。
「はぁん…っ!」
寧ろ求めたものを与えられては満足そうに溜息を洩らした。
ちゅうううと吸われて敏感になったところをなぞられると堪らない。
円を描く遊馬の舌先が、いやらしく膨らんだ乳首を捏ね回している。
「んっあ…あ、あ、…っ」
時折唇で食んでちゅ、ちゅ、と扱くように刺激を与えられることに感じすぎて何度も背中が仰け反った。
うっとりと恍惚の表情を浮かべる様をアストラルはじっと見つめる。
そんな視線すら快感に変わるはまだ強請るように遊馬の頭を抱いた。
「イイ…遊馬、ああ、っ、すごく…っ、気持ち良いィ…」
素直に口にした瞬間、ぢゅううううっと殊更きつく吸い上げられた。
「うあぁっ!それ、らめ…っ!感じ、すぎるうぅ…っ!!」
体内がきゅううんと収縮するのを感じてはびくびくと腰を跳ねさせる。
つま先がぴんと硬直し、軽い絶頂を迎えていたが遊馬もアストラルも本人さえそれに気付くことはない。
「…何か、スッゲー可愛いな…」
ぐったりとベッドに身を沈めて荒い呼吸を繰り返すに欲情を煽られて遊馬はするりとのスカートに手を差し入れた。
柔らかな太腿を撫でて下着に手をかける。
「…これも…ちょっと罪悪感あるよな…」
しかしこの先にの秘密が隠れていると思うと下半身が熱くなる。
そろそろ隠せなくなってきたことを恥ずかしく思いつつも、遊馬はの下着を引き下ろした。
「っ…やぁ…恥ずかし、ぃ…」
消え入りそうな声をだしてが顔を覆う。
それもそうだろう。
最も他人に見せることのない場所をこれから見られるのだから。
とはいえ流石に遊馬も無遠慮にスカートを捲り上げるわけにもいかず、手探りで秘部に指を這わせた。
「ひゃっ!」
「うわ、すげぇ濡れてる…」
「いいい言わなくて良い…!」
実況されるのは恥ずかしい。
自分でも触ったことのないような箇所を探られては戦きながら体を震わせる。
しかし。
「ん、ァ…っ、アスト…ラルっ…」
遊馬が怖々と秘部を探るのを尻目にアストラルはまだの胸を触っていた。
弾力を楽しむように柔らかく手で捏ねては乳首を抓み上げるのを繰り返す。
「あっあっ…やぁ、ん…っ」
「不思議な気分だ…、もっと声を聴かせてくれ」
屈みこんだアストラルが、遊馬の行為をなぞらえるように唇を胸に押し付ける。
冷やりとした感触と遊馬のものとは違うぬめりの薄い舌先。
ちゅ、と小さな音がした。
「はぁん…アストラル、ぅ…」
あのアストラルが自分の胸に顔を埋めている、そして声を聴かせてほしいとせがむ。
何と言えない倒錯的な気分だった。
「うお、溢れてくるな…」
「!」
そんな気分に浮かされているの体は素直に興奮を反映させる。
特にアストラルの舌が丁寧に乳首をなぞる度に内股が震えて反応を示してしまうのである。
「あっあっ…!」
遊馬の指先が入口の粘膜に埋まり込んだ。
ぬるりと愛液に濡れた遊馬の指先がの体に異物感を生み出す。
「ん、っ!」
戦く体を押さえつけるように遊馬の体が覆いかぶさった。
ぐじゅりと愛液の溢れる体内に指を押し進めながらアストラルの触っていない方の胸に唇を押し付ける。
「ひゃ、あぁぁっ…!!」
は声を上げながら仰け反った。
アストラルと遊馬が自分の胸に顔を埋めているなんて想像するだけでいけない気分になるのに、それを実行されるなんて。
加えて体内を探る遊馬の指先の刺激が鋭い。
ナカを広げるように蠢いては溢れた愛液を掻き出して、時折入口をなぞってはまた埋まる。
「はぁっ、あ…、遊馬、っ…、も、だめ…!」
悲鳴じみたの声を受けて遊馬とアストラルが顔を上げた。
二人の目の前には頬を上気させて細い体を無防備に投げ出したの姿がある。
今まで二人によって愛撫されていた胸が浅く上下し、遊馬の指をいやらしく咥えこんだ…。
「……お願い…」
弱々しく乞う言葉に主語はないが、何を指しているか分からないはずも無い。
埋め込んでいた指先を引き抜いて制服のベルトに手をかけた。
静かな部屋にの浅い息遣いと金属の擦れる音…直後に衣擦れの音がしては僅かに身を固くした。
の緊張した雰囲気を感じてアストラルは彼女に視線を滑らせる。
何が、行われるのだろう。
「…良いか…?」
の足の間に遊馬の熱い欲望が押し当てられた。
遊馬の問いかけに控えめには頷いて見せる。
それを確認した遊馬はゆっくりとの太股を抱え、腰を押し付ける。
同時に襲い来る圧迫感。
指とは全く違う質量のものがぐぶりと埋め込まれていく。
「ゆうま、ゆうまっ…それ、凄く熱くて…っ、あぁっ…!」
未踏の壁が遊馬に抵抗を見せる。
じりじりとした鈍い痛みに顔を顰めながらもは浅い呼吸を繰り返しては受け入れようとしていた。
埋まりこんだ遊馬が熱い。
「だ、大丈夫か…?」
冷や汗で濡れた前髪を掻き分けて顔を覗き込んでくる遊馬。
気遣う言葉とは裏腹に見たこともない熱を孕んだ遊馬の視線。
ああ、彼が自分にそんなにも熱を篭めた視線を向けるなんてドキドキしてしまう。
早くなる心臓に呼応するようにの体内がきゅうんと疼いて遊馬を締め付けた。
「う…っ」
「は、ぁ…ごめ、…っ、でも、平気…止めないで…っ」
の体内が見せるダイレクトで素直な反応は遊馬を後に戻れなくしていく。
感じたこともないような刺激を柔らかく与えられ、視点をずらせば自分の下で胸を浅く上下させているの姿。
ごくりと、喉が鳴った。
「そんなこと、言ったら…ホントに止められなくなるじゃねぇか…」
甘い快感から苦しそうに目を細めた遊馬。
の太股を抱えなおして不器用に腰を進め始めた。
ぬめる膣壁がいやらしく遊馬の勃起を舐めている。
「っ、くぅ…あぁ、スゲェ…っ」
肌が粟立つ程の快感が襲い、遊馬は夢中で腰を押し付けた。
抵抗を感じて少し引く時がまた物凄く気持ちイイ。
「うあっ…!あっ!あっ!」
そうやって熱い楔が緩やかに埋め込まれていく感覚はちりっと灼けるような痛みを伴いながらを苛む。
背中を何度もしならせながらのたうつように遊馬を受け入れるを見下ろしながらアストラルは僅かに遊馬に嫉妬した。
今は遊馬だけを見て、その一部を体内へと受け入れている。
それが一体何なのか良くは分からないけれど。
只一つ明らかなのは、全く同じ事をには出来ないということ。
「…そんな苦しそうな顔をして…それでも人間はこうして愛を伝えるのか」
切ない呟きは、しかしには届かない。
「ゆうま、っ…!ふ、あ、あぁっ、やぁっ、ソレだめぇ…っ!!」
ベッドを軋ませて注挿を始めた衝撃には生理的な涙を零しながら頭を振った。
いやいやと拒絶をしているようにも見えるが遊馬はそれを見ても止まらない。
「はぁっ、あぁっ…、っ…」
じゅぶじゅぶと聞いた事も無いような音が部屋に響いていた。
息を飲むアストラルの目の前で繰り返される規則的な行動。
髪を乱して涙を零すが愛しくてたまらない。
その泣き顔は本当に扇情的で、意識を吸い寄せられるようにアストラルはに唇を寄せた。
「ん、ンぅ…っ、は…あぁぁ…、ん、んン…っ」
唇を塞がれたはくぐもった喘ぎを繰り返す。
絡み合う舌の感触、遊馬に今犯されているという事、アストラルがキスをしているという事。
頭の中はどろどろでその全てのファクターが混ざり合うようだ。
それは遊馬が規則的に打ち込む楔が与える疼きを伴う快感を増幅させていった。
何度目かの突き上げで、ぞくりと駆け抜ける一筋の快感に爪先が震える。
「あぁっ、やぁ、なんかっ…何か、クるよぉっ…!」
痺れるような甘い何かが体内を駆け上りは爪先で空中を蹴り上げた。
「うわっ…なんだ、コレ…っ」
絶頂により硬直したの体内は一瞬遅れて弛緩する。
併せてがくがくと震える体に呼応するかのように断続的に膣壁が遊馬を締め付けた。
「っ…だめだ、俺…っ」
ぶるりと遊馬も体を震わせる。
じわりと熱いものが体の中で弾けるような感覚がした。
唇をアストラルに塞がれ続けているは遊馬の体からも力が抜けていくのを感じながら「ああ、これが初体験というものなのか」と考えていた。
想像より温かくて甘かったような気がする。
そして、3人でも意外に何とかなるものだ、とも。
「アストラル…アストラルも、こっち…」
「?」
情事後にぐったりとベッドに沈んでいたが自分の隣を叩いた。
傍に来いという事か。
言われたとおりその傍に体を寄せる。
そうしたらの手が緩やかに伸びてきてアストラルに巻き付いた。
「…?」
「遊馬ばっかりは悪いから…。アストラルも、ね」
気怠そうな微笑みは妖艶でアストラルはぎくりと体を強張らせる。
そのままの顔が近付いて来た。
「ン…」
覚えたばかりのキスを受け入れるアストラルには体重を掛けていく。
抱き合ったままでベッドに沈むアストラルの体。
「こういうの、どう?」
馬乗りになったは面白そうにアストラルの体を撫で回した。
「くすぐったい、ような気がする」
「あれ?そういう感覚はあるの?じゃあ、これは?」
体を屈めてはアストラルの胸にちゅっと音を立てて唇を押し付けた。
様子を見ていた遊馬が「あ」という表情を浮かべるが声にはしない。
「う…っ、不思議な感覚だな…。背中がぞわぞわする」
「それって気持ちイイってこと?」
「分からない…、あ、あぁ…、っ」
「んふふ、アストラルってば可愛い」
身じろぎながら小さく声をあげるアストラルは馬乗りになったを押し返すことも出来ずにされるがままだ。
それを良いことに何度も唇を押し当てながら青白い肌に這わされるの赤い舌がいやらしい。
の積極的な様は自分には見せなかった彼女の一面が見えたようで、遊馬は面白くない気分になった。
しかし経験の少ない遊馬としては何となくそこに割り込み辛い。
まんじりともしない気分でそれを見つめるのみである。
倦怠感の残る情事後の部屋でしばらく3人で過ごしていたが。
いつの間にやら帰ってきていた姉に呼ばれ、は流されるままに食事をして帰ることになった。
もう外は真っ暗だったから、遊馬とアストラルで家まで送りもした。
問題はその直後。
「遊馬、先に帰れ。私は明日帰る」
と、アストラルが言い出したのである。
「はァ?」
「え?」
言葉の内容は違えど遊馬とは全く同じ反応を示した。
するとアストラルはいつもの不敵な笑みを浮かべ、の首にするりと細い腕を回す。
「私は今夜、と過ごす。君は家族が心配するから帰るんだ」
「なっ…!」
「あ、アストラルってば…」
いけしゃあしゃあと放たれたアストラルの言葉に遊馬は目を見開きは苦笑いを浮かべた。
確かに誰にも姿が見えないアストラルであればの部屋にいようが一緒に風呂に入ろうが問題は無いだろう。
だって誰にも見えないのだから。
フフン、と笑うアストラルに遊馬の怒号が飛ぶ。
「何言ってんだよ!!ずりぃぞ、アストラル!!」
「君だって私に出来ないことをにしただろう?人間ではない特権を使わせてもらっても問題あるまい?」
「の初めてはアレで折り合いついてただろーが!」
「ちょ、ちょっと!あんまりおっきい声出さないでよぉっ!!!」
流石に初体験を外で叫ばれては堪らないは慌てて遊馬の口を塞ぐ。
ああ、普段の光景だなぁ…なんて思いながら。
そして結局のところ、遊馬もアストラルもが本当に大好きなのである。
終
==================
このアストラル、性に疎い感じで書きましたけど、本編の最初の方で「遊馬には恋愛沙汰はまだ早い」みたいなこと言ってましたよね。
キャッシー初登場のあたりかな?
だから矛盾があるかもしれない(そもそもまずアストラルの体はベッドに沈むことが出来るのか)んですが、セックスに通じすぎてるのもどうかと思いまして。(ただアストラル界の住人も元は人間と思えば通じててもおかしくない)
イメージと違ってもご容赦くださいませ…。
ここまで読んでくださってありがとうございました。