それはムードもなくて強引で


※38話見て興奮しすぎた結果



十代が攫われた。
「あの馬鹿…!!!」
三日も帰ってこない十代を心配し、翔はずっと波止場にいるらしい。
も正直そうしたいくらいだけれど十代の為に授業をサボるのも癪だった。
それに自分はオシリスレッド唯一の女生徒である。
出席しなければ目立ちすぎてしまう。
後で先生に理由を聞かれるのもそのことで嘘をつくのも嫌だった。
「はぁ…十代…何処行ったのよ」
普段に比べて静かすぎる教室が物寂しく感じられるのはだいぶ毒されている証拠なのだろう。
うるさい方が教科書の内容も頭に入るなんて、自分はおかしくなってしまったに違いない。










ばたばたと廊下を走る音がした。
嗚呼、十代以外にも騒々しい生徒がいるのね、なんて。
気付けば十代のことばかり考えていて悔しい。
「はぁ…」
「何だよ!元気ねぇじゃん!!」
ぱぁんと背中を叩く手にははっとして振り返った。
「じじじ十代!?あ、アンタ戻ってたの!?」
「おう!」
「おうって…それに何?何かびっちゃびちゃじゃないの…」
廊下に点々と残る足跡や、十代の足元に出来た水溜りを見ては顔を顰める。
「いやぁ、翔が溺れてそれ助けるために海に飛び込んじまったんだよなー」
「はァ…?で、何で着替える前に校舎に来てるのよっ!…ちょっとこっち来なさい!!」
「うわ、ちょっ…これには理由が…!」
「そんなの後で聞いてあげる!」
は十代の手を掴んでずんずん歩き出した。
勿論目的地は…。
「何処行くんだよー」
「寮に戻るのよっ。着替えそこにしかないでしょ!」
「何怒ってんだよー」
「自分の胸に聞きなさいよっ!!」
心配したんだから!という言葉が喉まで出かかるがそれを飲み込んだ。
甘い顔を見せれば調子に乗る。
とりあえずの反省を促さなければ。
…それが通用するかどうかは置いておいて。

オシリスレッドの女生徒にはオベリスクブルーの女生徒のような個別の棟は無い。
辛うじて一人部屋を与えられているだけである。(とはいえこの措置はオシリスレッドの生徒に対する待遇としてはまあまあ良い方だと言える)
この扱いも最初こそ色々と複雑な胸中だったけれど大分慣れた。
それに皆不遇の扱いを受けているせいか何だかんだで結束力もあって、嫌な思いをしたことは無い。
良くも悪くも目立つ十代と『仲良く』しているせいもあるかもしれなかったが。
「ほら、早く着替えないと風邪ひくんだからね」
十代を部屋に押し込んでドアを閉めた。
「あれ?何では入ってこないんだ?」
「お、男の子が着替えるのに部屋まで入ってったらあたし変態じゃない!」
「何言ってんだよ。俺の着替え見るの初めてじゃないだろ?」
「ううううるさい!!それとこれとは訳が違うの!!」
誰かに聞かれてやしないかと冷や冷やしながらは声を出来るだけ小さくしてまくしたてた。
二人の関係は秘密ではないが公言もしていなかった。
同級生に知られるのはちょっと恥ずかしかったのもあるし、何よりもこんなに近くで生活していて恋人関係だなんて先生たちが良い顔をしないだろうと思ったのである。
不遇のオシリスレッドに在籍しながらも何とかやってくれたのは十代がいたからと言っても過言ではない。
ここで引き離されるようなことがあっては後々の学校生活を乗り越えることが出来なくなってしまうかもしれない……。
「おい、、聞いてるか?」
「きゃぁっ!な、何っ!?」
ぐるぐるとそんなことを考えていたらドアから十代が顔を出してを見ていた。
服は…上だけ脱いだらしい。
「な、なんで半分裸みたいなカッコで出てきてんのよ!」
「いや、理由言おうと思って」
「理由?何の理由…あ、さっきの?」
びしょびしょのまま学校来た理由を今ここでそのカッコで?
と、怪訝そうに眉を顰めるの腕を掴み、十代は強引に部屋へと引っ張り込んだ。
「ちょ、何するの…っ」
「いいからいいから!」
ばたんとドアが派手な音を立てる。
ただでさえ立てつけが良くないのにあんまり乱暴にしたら壊れるのではと、見当違いな不安を感じつつは十代を見る。
十代もを見ていた。
正確には見詰めていたと言った方が正しい表現だったかもしれない。
まっすぐに強い視線を向けられている。
「…何…」
しかし十代はの質問には答えずに彼女を壁際に追い詰めると、逃がさないように両手を壁についた。
壁と十代の間に挟まれて、は身を竦ませる。
「怖がるなって」
先程の剣幕は何処へ行ったのか、急に小動物のように大人しくなったに十代は苦笑を浮かべる。
「な、俺のこと心配した?」
「…え?」
「お前が心配してるんじゃないかって思ったからさ、俺慌ててガッコ行ったんだぜ?」
「!」
そうだったのか。
てっきり無頓着の表れかと思っていただけには顔がかあっと熱くなるのを感じる。
それは十代の気遣いに気付けなかった申し訳なさとか、ちゃんと自分のことを考えてくれていた嬉しさとか、そういうものがない交ぜになってしまったものが噴き出た形だった。
「何で急に赤くなるんだよ。…ははーん、さては俺に惚れ直したな?」
「バッ…!何自惚れたこと…っ」
「照れんな照れんな。可愛いぜ、
ゆっくりと十代が顔を近付けてきた。
キスされる…!
そう思ったはきゅっと目を閉じた。
瞬間、十代の唇の感触がの唇から全身に伝わる。
「…っ」
三日振りの感覚は震えそうになる程愛おしかった。
重ねるだけのキスを交わして、がうっとりしていると、不意に十代の手がの襟元のボタンをぷつんと外してしまう。
「きゃっ、やだ何するの…っ!」
「良いじゃねーか。三日振りのをしっかり味わわせてくれよ」
良くない。
全く良くない。
そもそもこの十代の部屋で事に及ぼうだなんて的には綱渡りでしかない。
何故なら同室の人間がいつ帰ってくるとも知れないからである。
「ダメよ…!翔君が帰ってきたらどうするの…っ」
「…なら、お前の部屋行こうぜ」
「ええええ」
十代はさっとジャージを羽織るとをやはり強引に抱き上げて部屋を出た。
の部屋は一階の端、大徳寺の部屋の隣にある。
先生の部屋を挟んで与えられた個室は、申し訳程度に隔離されていると言えばされていたかもしれない。
が、十代にはそんな倫理観など関係なかった。
同室の人間がいないため、の部屋には普通のベッドが設えられている。
簡素なそれをオベリスクブルーの女生徒が見たらどう思うのだろうと思ったこともあるが、最近ではそういうことはあまり気にならなくなっていた。
正直に言って十代が傍にいる楽しさに比べれば些末な問題なのである。
今からオベリスクブルーの女子寮に特別に部屋を用意すると言われても、恐らく自分は断るのだろうなとさえ思っていた。
を抱えた十代は無遠慮に部屋の中に踏み込むと、そのままベッドにと一緒に沈み込んだ。
「もうっ!ほんっと信じらんない!」
「何だよ、嫌か?」
「デリカシーの問題っ!」
言いながら、それを十代に説いたところで効果があるのかどうかは甚だ疑問のである。
十代も一瞬きょとんとしたが、すぐにニヤっとした笑みを浮かべて。
「とか言って…はっきり『嫌』って言わないんならイイってコトだよな?」
制服の襟元のボタンを改めて外されて、ばっと前を開かれた。
「ちょ、っ…あたしは良いとも言ってないわよ…っ!」
「でも本気で嫌がってないだろ?」
図星を突かれぐっとは押し黙る。
そんなのキャミソールを下着ごと捲り上げて、十代は柔らかな胸を両手で掬い上げた。
そのまま性急な動作でぱくっとの胸に被りつく。
「んん…っ!」
ちゅう、と軽く吸われるだけで腰から痺れが走って力が抜けてしまう気がした。
「あっ、あぁぁっ…」
十代の熱い舌が優しく肌の上を這う。
セックスに誘う時はムードもなく強引なのに、いざ始まってみると結構優しいから性質が悪い。
「はぁ、ぁぁんっ、や、ァっ…」
嘘ばっか。スッゲー気持ち良さそうじゃん」
敏感に膨らんだ乳首をちゅっと音を立てて吸い上げると、十代は性急にも太股を撫で回し始めた。
好色な手が内股を撫でさすり、下着の上から割れ目を辿る。
当然ながら準備など整っていないの体を早く仕上げようとでも言うかのように十代の手が下着の中に潜り込んできた。
「っ、何…?早いよォ…」
「三日分溜まってんだよ。もうに入れたくて仕方ねぇんだ…」
はあっと熱い溜め息を吐きながら胸と同時に秘密の部分を掻き分ける十代の指先。
滲み始めた愛液を掬い取って、敏感な突起に塗り付けるように指を動かしてくる。
「んんぅ…っ!ちょっと、強いっ…!」
強すぎる快感は時に苦痛を伴う。
浅く呼吸を繰り返しながら十代が突起を擦る度に生まれる快感を必死で受け止めた。
「はぁっ…はぁ、あっ…」
ちゅぷ、と十代の唇がの乳首を唇で扱いた。
舐め回されてぷっくりと膨らんだそこは過敏に反応しての体が涎を垂らす。
「濡れてきたな…」
「い、言わないでよォ…恥ずかしいじゃないっ」
実況されては赤くなる頬を両手で押さえる。
気の強いことを言いながらも反応がいちいち可愛くて、十代は密かに煽られるのを感じた。
早く自身の性衝動を昇華したいと言えばそれに違いは無いのだが、暫くが傍にいなかったという事実の穴埋めもしたい。
抱き締めてもキスをしても、体を繋げてさえまだ足りないくらいで。
「っ、あ…じゅうだ、い…っ、は、あっ…!」
にゅるりとの花弁を掻き分けて十代の指先が体内にゆっくりと侵入してきた。
狭い入口の感触にこの先彼女が与えてくれるであろう快感を想像するだけで十代は射精感が込み上げてくるのを感じる。
「お前のナカすげぇ締まる…」
「ばかぁ…っ、言わなくて、いいってば…!あっ、やぁ…そこ、だめ…っ!」
蕩け始めた部分を解き解すように十代はの体内でゆっくりと指を動かす。
器用に性感帯を探り当てて撫でられる感覚。
自然に十代を求めるように何度も腰が浮いた。
「そろそろ…いいか?」
「はぁっはぁっ…、ん、きて…十代…っ」
もう、体の奥が疼いて仕方がない。
十代に翻弄される形でも蹂躙される形でも良いから、疼きを宥めて欲しかった。
「いくぜ…」
足の間に体を押し込んだ十代が屈みこみの耳元で囁く。
押し付けられた欲望の熱さに戦いていたけれど、続いて襲い来る圧迫感には背中をしならせた。
「うぁ、あぁんっ!」
狭い内壁を広げられる感覚はいつも不思議な快感をに感じさせる。
思わず膝で十代の腰をぎゅうううっと挟み込んだ。
「あー…っ、すっげ、……っ」
愛液でぬかるんでいるのに狭くて熱い。
深く繋がる喜びも快感に変わる。
「堪んね…っ、、悪ィ…っ、俺…っ」
馴染む間も待たず十代は律動を始めた。
ぎしり、とベッドが悲鳴を上げる。
「あはぁっ、!あっ、あっ…!じゅ、う…だいィ…っ、激しいぃ…!」
腰を抱えられて深く楔を打ち込まれる。
欲したものは与えられたが、その質量にの体は悦びと戦きに震えた。
「っ、お前が…締め付けるから…っ、止まんねーんだ…っ」
結合部はじゅぶじゅぶといやらしい水音を響かせる。
柔らかく蕩けたの内壁が十代に絡みつくように蠢いては、彼を苛んだ。
「はぁっ、あっ、…っ」
快感を与えてくれる彼女をもっと感じさせてやりたくなった十代は、律動に震えるの胸にかぶりつく。
「そんなっ、ことっ…!!はぁあんっ、それだめぇえ…っ!!」
ねろねろと十代の舌が乳首を舐め回しては強く吸い上げてくる。
上も下も同時に攻められては髪を振り乱してシーツを握りしめた。
「やぁっ、感じるよぉっ!十代、十代っ…!」
腰から痺れと快感が駆け上がる。
肌が粟立つ冷たさには十代の背中に爪を立てた。
「はぁあ、っ…十代、っあたし、もう…っ、イく、イくっ…!」
「俺も…っ、もう…っ」
ぞくぞくと駆け上がる体を十代が深く貫いた瞬間、の体ががくがくと痙攣した。
「――っ!!」
息も詰まるほどの絶頂に震える体を抱き締めて、十代もの体内に欲望を解放する。
びゅくびゅくと脈打つ熱がじんわりとの体に伝わった。
荒い呼吸の音だけが部屋に響く。
「…っは、ほんっと…十代って強引…」
「はぁ…何だよ、お前も嫌がらなかっただろ…」
悪態を付きながらも体を寄せ合う二人。
十代がそっとを抱き締めて、はそれに応えるように十代の胸に頬を寄せた。
「…心配してたんだから」
「知ってる」
「……おかえり、十代」
「ただいま、
そして性の余韻が淡く残るままに、二人はどちらからともなく口吻ける。







「ベッド濡らすし…」
濡れたままのズボンでベッドにのぼっていたので、十代が膝をついたところが海水でじっとり濡れていた。
「悪ィ悪ィ。今夜俺の部屋で寝ろよ。俺の隣なら問題ないだろ?」
「あるに決まってるでしょ!!もおおっ」
何の為にこの関係を公言していないのか本当に理解しているのだろうか。
…いや、理解していないに違いない。
溜め息を吐きながらも十代が戻ってきたことへの安堵感にはこっそりと微笑んだ。








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52話までの知識で書いているのでその後の話と矛盾があっても見過ごしてやってください。
十代君、恋愛疎そうだけど本気になったら気持ちの良い強引さでぐいぐい引っ張ってくれそう。