「あっ、あっ…はぁ…あぁぁ」
瓦礫に反響する女の艶めかしい声。
小さく水音も混じっており、何が行われているのかなど見ずとも分かるだろう。
「はぁあっ、あっ、あっあっ!!」
重なり合って揺らめく影がその行為の激しさを物語る。
「やっあ!イくイくっ!!はぁんっ、ダメ、イくぅぅうっ!」
「っ、く…」
抱えられたの足がぴんと宙を蹴り上げ、に腰を押し付けたアンチノミーは気持ち良さそうに軽く仰け反った。
「はぁぁあ…あー…最高…」
ぼんやりと呟いた。
それは女性を満足させたという事実でアンチノミーに男性としての充足を感じさせる。
堪らなくなってぎゅうううとを抱き締めた。
「ちょ、苦しいって…」
「…すまない。あまりにも君が可愛いことを言うからつい」
「お、アンチノミー、髪が乱れてブルーノそっくり。ってかブルーノ」
同じ体なのだから当たり前だが、は更にそれを整えだした。
「あはっ、これで完璧にブルーノだな!なぁ、ブルーノになりきってもう一発やらね?」
妖艶に笑うの唇から赤い舌が覗く。
それに誘われるようにアンチノミーは軽くキスを落とすと、ちょっとだけ困ったように笑って見せた。
そしていつもよりも随分と明るい声色で。
「えぇ〜、僕もう勃たないから無理だよぉ」
なんて言ってみせる。
「うは、マジでブルーノじゃん!あーなんか俺ちょっと得した気分」
「…得?」
「うん。アンチノミーとブルーノ…いっぺんに俺のものだろ?贅沢だよな、俺」
「……僕達にそういってくれる君だから、僕らは君を選んだんだけどなぁ」
命を賭してまで助けてくれた。
暗黒に包まれる寸前に見えた淡い輝きをアンチノミーは生涯忘れはしないだろう。
誰もいなくなったこの世界で、アンチノミーの縁(よすが)はとチーム5Dsの面々だけになってしまった。
そしてはアンチノミーをパートナーに選んでくれた。
タッグだけではなく、ずっと隣に立つ相手として。
を抱き締めたまま、アンチノミーはじんわりと込み上げる愛しさを味わう。
腕の中でが身じろぎをしたが気にしない。
しかしは思い出したように部屋の中をぐるっと見渡して。
「なあ…ところで、アンチノミーはずっとここで生活してるのか…?」
の言う『ここ』とは、この廃墟のような部屋のことだ。
思わずチーム・サティスファクション時代を思い出すような部屋なのである。
勿論好き好んでこんな廃墟を使っているわけではない。
と、いうのもアンチノミーはこの時代に存在しない異質物である。
だから、彼は自らの意向で他人との関わりを極力避けている。
確かにここなら他人とのエンカウントは少ないであろうが…。
「俺とタッグ組んだ時のDPどうしてるんだよ」
「…生活に必要な分は使うが、殆ど使っていないな」
「マジ!?部屋借りろよ!!それくらい問題ねーだろ!!」
「しかし…近所付き合いは避けられない…。部屋を借りれば大家と関係性も出来てしまうし…」
「アンチノミー…お前ブルーノになってる間に所帯染みたんだなぁ…。未来人から近所付き合いとかいう単語普通出ねぇわ」
シリアスなキャラなのに…あれ何故だろう涙が出てくる。
「とりあえず僕はここから動くつもりは今のところない」
「…そっか…うーんでもなー…正直俺が嫌なんだよなぁ」
「君が?」
意外そうな顔をするアンチノミーにはげんなりしたように言う。
「いや、お前マジで暑くねぇの?俺もうすげぇ汗かいてんだけど」
抱き締められたところから汗が流れてくるようだ。
真夏に廃墟で抱き合うもんじゃない。
いや、本当に。
「君が嫌だというのなら何か案を考えねばならないな…」
何でもないように涼しい顔のアンチノミー。
彼はデュエルだけでなく暑さにも強いようだ。
「つっても他人とエンカウントしねぇような部屋…かぁ…」
も一緒になって考える。
他人の関わらなくてよくて、も快適に過ごせそうな部屋…。
「あ、あるじゃん!これ抜群にいい物件だぜ!!」
「どんなところだ?」
「聞いて驚け!俺の部屋だっ!!そーだよ、アンチノミー、俺の部屋に越して来いよ」
「君の、部屋に…か?」
何故かアンチノミーが顔を赤らめる。
「…何で、赤くなんの…?」
「あ、いや…その、プロポーズかな…と」
「ちげーよ。何でそーなんだよ。ってかこれ本編じゃねぇぞ」
「本編?」
「こっちの話だ気にすんな。…で、どーする?」
にやっと笑って聞くにはどうやらアンチノミーの返事は分かっているようだったが。
彼に財産などと言うものがあるとすれば、それは殆どが記憶喪失のうちに芽生えた絆だったろう。
それくらいアンチノミーは何も所有していなかった。
Dホイールとと稼いだDPと、ブルーノの工具。
後は身の回りの物程度。
まとめられた荷物を見て、は何となく悲しくなる。
「…お前…無欲にも程があるだろ…」
「そうかな。僕にはがいるし…それで十分すぎるくらいだからな」
穏やかな言葉に諦めの色が見えかくれしていた。
恐らくアンチノミーは望まないことに慣れてしまったのだ。
未来の世界には絶望しかなくて、何かを欲しいと思うことが虚しくなって。
結局これがその結果なのだとは感じた。
悲しすぎて、泣きそうだ。
「…アンチノミー…」
「ん?」
「今晩、何でも好きな物作ってやる。で、一緒に風呂入って、一緒に寝ようぜ。セックスも好きなだけ付き合う。先に起きたらキスでお前を起こしてやる。昼まで抱き合ってようぜ。飽きたらデュエルで稼いでさ…そしたら俺がまたアンチノミーの好きな物つくって…ってかさ…」
「どうしたんだ?急にそんなサービス満点なことを言い出して」
「うん、ってかさ。さっきの話の続きみたいになるけど、やっぱ俺と結婚しようぜ」
「え…?」
「俺が、お前を幸せにしてやるから!生きてて良かったって絶対に思わせてやるから!だから、ずっと一緒にいような」
悲しく微笑む。
そんなにアンチノミーは手を伸ばす。
そして力強く抱き締めた。
「…君に出会えただけで、僕は本当に幸せだ」
「ばぁか。それ以上のこといっぱいしといて何言ってんだよ。…もっと幸せになれよ。ならなきゃダメだろ。ってかお前が嫌っつっても俺がそうするけどな!」
ばしっと言い切ってはそうっと背伸びをし、アンチノミーの唇にキスをした。
ちゅ、と優しく重なったそれはついばむように何度もお互いを確認しあう。
「ん、…」
そのうちどちらからともなく舌先が触れ合って、絡み合って。
追いかけては逃げるように唇を触れ合わせて。
たっぷり貪り合ってから…名残を惜しむようにゆっくりと離れた。
「はぁっ…俺、こんな誓いのキス見たことねぇわ」
非難するような言い方だが、しかし目は笑っている。
「ふふ、そんなことを言うならもう一度、だ」
「えっ、…んっ、ふ…」
アンチノミーはの顎をそっと持ち上げて素早く唇を奪う。
今度は重なるだけの、短いキスだった。
「…、愛している。…僕も、僕の中の彼も、君を…」
「知ってら。俺だってお前たちを愛してる。お前の全部が、好きだ」
改めてお互いをきつく抱き締めあった。
こんな廃墟の中で。
たった二人っきりで。
たった二人っきりの。
愛の誓い。
真似事だけど、でもそんなことは関係なくて。
例えば自己満足とか言われればそれまでなんだけど、二人にはそれで構わなかった。
だってこんなにも温かいから。
気持ちが凄く満たされたから。
暫く抱き合っていた二人だが、やがてアンチノミーのDホイールに二人でまたがり走り去る。
行き先は誰も知らないところではなく…。
そう勝手知ったる他人の部屋といえばもう。
の部屋に決まっていた。
「っ!」
部屋に入ると同時に、獣になったアンチノミーにベッドに押し倒された。
っていうか散々廃墟でセックスしたじゃないか。
それにもう勃たないんじゃなかったのか。
「うおっ!待て待て!まだダメだっつの馬鹿!」
慌ててがアンチノミーを押し返す。
「つれないことを言わないでくれ!僕が何度Dホイールを停めようと思ったか分かるか?君が可愛すぎて僕はもう…!」
じたばたもがいているうちに、アンチノミーがの服を奪い取った。
「うわ馬鹿止めろ!お前大人しかったり激しかったりキャラぶれぶれだな!!触るなって言ってんだろーがっっ!」
渾身の力を込めて、はアンチノミーをベッドから蹴り落とした。
既に服は半分程むしり取られている。
何だろうこの既視感。
本編1話で蟹頭にもされたような気がする。
「な…何故だ…。はっ!そうか!ブルーノか!?彼がいいのか!?」
「や、だから…」
「少し待っていてくれ!着替えて来る!」
「ちげーよ!!お前人の話聞けよ!ってか着替えて来るって何だ。お前メタモルフォーゼじゃねぇのか?」
「あれはアニメ上の演出です」
「聞きたくねエェェェエ!!!」
はーはーとは肩で息をする。
マジ疲れる。
何だ、遊星といいこいつといい…メカニックってのは人の話を落ち着いて聞けないやつばっかりか!
誰がそんなコスプレセックスするって言ったよ!?
…いや、冒頭で言ったような気もするけど。
「あのさー、初夜くらい順番守ろうぜ。折角初めての二人の夜だろ?」
「…だから拒んだのか?君は意外に乙女だな」
「ほっとけ。ま、でも初夜なんだしアンチノミーにもブルーノにも可愛がってもらうつもりだけどな!」
無防備にもベッドの上でそんなことを言う。
嗚呼、今すぐにでも奪ってしまいたいがの意向もなかなかそそられる訳で。
「なあ、それより部屋でライディングスーツはやめにしねぇ?着替えろよ。ブルーノの服持ってんだろ?」
「…やはり君はブルーノが…」
「ちげーって。あ、じゃあ俺の死んだ親父の服にするか?確か死んだときはまだ20代だったはずだから探しゃマシなモンもあると思うし」
ちょっと探してくる、とはアンチノミーを部屋に残して出て行った。
さて、待っている間はちょっと手持ち無沙汰である。
勝手に荷解きをしてしまおうかとも考えたが、本当に彼の持ち物など生活のための最低限必要なものだけ。
そういえばを起こしに来ることはあっても部屋の中をゆっくり見るのは初めてかもしれない。
机の上を見るとチーム5Dsの面々が映る写真があった。
「…」
アンチノミーもブルーノとしてそこに存在している。
記憶を失った彼の、穏やかな栄光の日々。
遊星とDホイールを触り、にぎやかなあのガレージで、何かと巻き起こる騒動。
渦中にはいつもがいて。
仲間がいて。
過ぎ去って戻らない日々がそこに閉じ込められている。
「おまたせ!みっけてきたぜ!!…ああ、写真見てんのか」
勢い良く入ってきたの語気が柔らかくなる。
実はアンチノミーは生還してから一度も彼らに出会ってはいない。
意図的に会わないようにしている。
理由はやはり、彼自身がこの世界に存在するものではないからだった。
「なぁ…アンチノミー。明日皆に会いに行こうぜ」
「!…だが…」
「そろそろいいだろ。好きに生きろよ。ずっと俺が傍にいるから」
「…」
もたれかかるようにがアンチノミーの背中に抱きついた。
ぎゅうううと力を込めて抱き締められる。
「…もう少しだけ、時間が欲しい」
「そ、か…。まあ、強制はしねぇよ」
寂しそうに呟いては離れていく。
急に温もりがなくなり、アンチノミーはの方を振り返った。
しかし予想に反しては笑っている。
「さて、辛気臭いのは止めにしてさ。どれ着る?」
数着の衣類を床に置き、つとめて明るい声で言う。
無理をしているわけではなさそうだったが、しかし少しだけアンチノミーは心苦しかった。
「俺はこういうの好きだなー。な、着てみろよ」
「あ、ああ…分かった」
手渡された服とを交互に見たが既にの空気は元に戻っていた。
「あー…腹減ったな」
アンチノミーの着せ替えを楽しみまくったが唐突に言い出した。
着せ替えに疲れたアンチノミーも時計を見る。
19時を回ったところだった。
「そろそろ夕飯の支度すっかなー。何食いたい?」
「スパゲティがいい」
「スパゲティかー…ブルーノもそれ好きだったよな。ブルーノにせがまれて昼飯よくそれにしたぜ」
「実はブルーノの嗜好品で僕の嗜好品ではないのだが…の味が恋しくなったんだ」
不思議だった。
元々同じ人間で、今ではアンチノミーの中にブルーノと言う人格があるわけでは無い。
もう混ざってしまったはずなのに。
でもブルーノの嗜好品を覚えている。
それが自分の嗜好品で無いことも知っている。
ブルーノの真似は出来る。
しかしそれは本当にアンチノミーがブルーノの真似事をしているに過ぎなくて。
相手を錯覚させることは可能でも、もうそこにブルーノはいないのに。
それなのに、彼と自分はまるでまだ別々のようだ。
「まあ楽だしアンチノミーがそれでいいなら良いぜ。クリームスープも作るかー」
一人の生活が長いはそこそこに料理が出来る。
ガレージでの昼ごはんはとクロウが良く作っていたっけ。
その時はブルーノだった自分。
記憶も二人分なのに、それは不思議と自分の記憶のようでもある。
体は同じだから間違ってはいないけれど。
「僕も手伝おう」
「え、アンチノミーが?いやー…でもブルーノがマジ不器用だったしなー。あいつ手先器用なのに何で持つものが工具から包丁になった途端ドジっ子になるのか小一時間問い詰めたかった」
「…すまない」
「あ、いやアンチノミーに言ってるんじゃねぇけど…ってかお前は料理できるのか?」
「………多分」
「嘘付け!すげぇ嫌な間があったぞ!!まぁ今日のは茹でるだけだから包丁関係ねぇけど。いーよ、旦那さんは座ってろよ」
旦那さん…!!
何だろう物凄く新鮮な響きだ。
これがときめくという気分なのだろうか。
「僕が旦那ということは…君は…奥さんか」
「う、それなんか居心地悪ィ…結局俺女だもんなークッソ」
「…」
どうやら二人の間には感情の相違があるらしい。
それもかなり大きな隔たりのようだ。
「さ、リビング行くぜ」
そういえば、の家の居住スペースで、彼の私室以外に入るのは初めてである。
勝手知ったる他人の部屋だが、恐らく別の部屋に入った人間は少ないであろう。
少なくともアンチノミーにその記憶は無い。
遊星やクロウ、ジャックくらいなら入ったことがあるのかもしれないが。
そんなことを考えていたらがぽつっと呟いた。
「そーいや部屋以外に誰か入れるのっていつぶりだろ。超久しぶり」
「遊星達は入ったことがあるのか?」
「ある…けど、遊星たち以外を入れたような記憶がねぇ。ここに俺以外が住むのなんか初めてだし」
「遊星たち以外を入れたことが無いのか。女になる前に付き合っていた女性はいなかったのか?」
「いねーし。つーか俺童貞だし」
「あんなにもとっかえひっかえタッグを組んでいたのにか?」
「お前悪意あるぞ!!仕方ねぇだろ…皆デュエル終わったらスゲーあっさり帰っちまうんだもんよ…」
まともに遊んでくれたのなんかアキだけだしー…。
と、心なしかしょんぼりとする。
アンチノミーは何となくそんなの頭をくしゃりと撫でたが…。
「下手な慰めはいらねーぜ…。どうせ戻れなきゃ一生童貞だしな。…つーか戻っても童貞かもな」
言いながらじっとアンチノミーを見る。
「いや!僕は男に戻った君に抱かれるならそれはそれで」
「…いや、だから慰めはいいって。男で童貞捨てるってのもどーよ」
はぁ…と深く溜め息を吐きながらは食器を並べ始めた。
「ご馳走様」
「はー…さて、風呂入れっかな」
流しに食器をおさめながらは呟いた。
そんなをアンチノミーは後ろから抱き締める。
「わっ、どーした?」
「そろそろ楽しい時間かな、と思って」
もぞ…と服の裾から手が滑り込んでくる。
「はは、そだな。でも離してくれねぇと何時まで経っても始まらないぜ?」
「が可愛すぎて離したくない」
服の中でアンチノミーの手がもぞもぞと蠢いている。
掬い上げるように胸を揉んだ。
「んっ、ばか…後でたっぷりベッドでな…」
「!」
普段は見せない甘い声。
この先の快楽を匂わすの誘いがアンチノミーの体温を上昇させる。
「っ、僕は…、僕はもう!」
「ダメだ」
「…何故だ…、僕はもうこんなにも…」
ぎゅう、強く抱き締められてアンチノミーの昴ぶりを感じた。
「はぁ…じゃあ風呂で相手してやるよ。ちょっとだけな」
後ろのアンチノミーを引きずるように、はバスルームへと向かう。
そういえばバスルームに入るのも初めてだった。
「ちょっと二人じゃ狭いかもしれねぇけど」
言いながらさっさと服を脱いでしまったは浴室へ入り、アンチノミーを手招きする。
誘われるままにアンチノミーも後に続いた。
「ほら、そこ座れよ」
促したはシャワーの蛇口を捻る。
ざあっという音と共に冷たい水が床を濡らした。
「ん…こんなもんか。さてと…」
ぼうっとの挙動を見守っていたアンチノミーに、の流し目が向けられる。
いけないことを企んでいるときの顔だった。
は、座らされたアンチノミーの後ろから抱きつき、温いシャワーでアンチノミーの体を濡らしていく。
「なぁ、ソープって知ってるか?」
「…石鹸のことか?」
いや、確信を持って言えるが、絶対に違う。
それならわざわざ聞いたりしない。
「何でも知ってる顔して、そーゆーコト知らないからお前って可愛いよな」
耳元で吹き込むようには囁いた。
そのままぬるりとアンチノミーの耳を舌でなぞる。
性の色を含ませる行動にアンチノミーはぞくりと冷たい興奮を覚えた。
「ま、遊びの名前だな。女が男にエロいサービスしてやる遊び、だよ」
耳元で可笑しそうに笑うは、ボディソープを手に取ってぬるりとアンチノミーの胸に塗り付けた。
「っ、…」
成る程、とアンチノミーはその手付きで納得する。
そういう遊びということか。
体を密着させた。
そして滑らかにアンチノミーの体を撫で回すその手。
「お客さん、ちょっと早くない?」
ニヤニヤと笑いながらの手が、鎌首をもたげ始めたアンチノミーの下腹部に触れる。
にゅるりと先端を撫でられて、流石に恥ずかしくアンチノミーは僅かに顔を赤らめた。
「し、仕方ないだろう…焦らされた上に君にこんな風にされれば、嫌でもこうなる…」
更に追い討ちをかけるように、はぬるぬると手を上下させた。
直接的な刺激を与えられては抑えようにも抑えられない。
「あっは、おっきくなってきた」
「…」
楽しそうなの声に、アンチノミーは額に手をあて視線を逸らすくらいしか出来なくて。
「じゃ、俺も洗ってもらおっかな!」
「え、…?」
どういう意味だろうとアンチノミーが顔を上げた。
そんな彼の足の上に、が馬乗りになる。
柔らかなの花弁が、勃起したそれを柔らかく挟んだ。
「な…っ、、何をするんだ」
「ん?だから、こうやってさ…」
アンチノミーな胸板にの胸が押し付けられた。
そしてそのまま体を揺らす。
緩く泡立つ体がの体と擦れて不思議な感触を生み出した。
「っ、うわ…」
「あはっ、ぬるぬるして気持ち良いだろ?」
絡み付くように抱き付いたが優しく唇を触れさせてきた。
「んん…っ、は…っ」
ちゅくちゅくと舌先が絡み合う。
混じった唾液が顎を伝い落ちた。
が体を揺らす度に、花弁に押し付けられた勃起が擦られるのが堪らない。
「はっ、あ……だめ、だ…」
「アンチノミーのすげぇ硬い…はぁあ…俺もイきそー…」
びくびくとは腰を震わせながら体を放した。
本当はもっとアンチノミーを味わいたかったが、このまま絶頂を迎えるのは勿体無い。
「んっ、遊びすぎたよな。はあぁ、アンチノミーに犯されたくて堪んね…」
荒く息を吐いて妖艶に呟くは、ざあ…とシャワーを被る。
「ほら、泡落としてやるよ。…ベッド、行こうぜ…」
丁寧に肌を撫でるの手を、アンチノミーが掴んだ。
「何だ?」
「…」
更にシャワーを取り上げて、蛇口を締めた。
「アンチノミー?」
「…やっと、ゴーサインか」
「え…」
馬乗りになっているを抱き上げてアンチノミーは浴室を出る。
置いてあったバスタオルを申し訳程度に体にかけ、足跡を付けながら部屋に戻った。
昼間の時のようにベッドに雪崩れ込む。
「っわ!おいっ、アンチノミー…っ!」
二人分の体重にベッドが悲鳴を上げた。
「僕に犯されたいんだろう…!?僕はもう我慢しない…っ」
「っあ!」
獣のようにうつ伏せの態勢から腰を抱き上げられて熱の塊を押し付けられた。
そして、一気に貫かれる。
「ひぁぁぁあっ!!」
望んだものとはいえ、こんなに乱暴に扱われるのは初めてだ。
「っは、ぁっ…あぁ…っ、んっあっ、あぁっ!」
肩を押さえつけられ、激しく腰を使われる。
「はぁっ、はあっ…、っ…!」
アンチノミーの荒い息遣いがの耳をくすぐった。
苦しいくらいの突き上げに、は息を詰まらせるがそれすら快感に変わるようで。
「はっ、あぁっ!あんっ!…やぁっ、イくぅっ!」
風呂場での戯け合いで疼いていた体は、アンチノミーの責めにいとも簡単に籠絡されてしまった。
獣のように後ろから犯されながら、はびくびくと体を震わせる。
「う…っ」
続いてアンチノミーも小さく呻いて強く腰を押しつける。
昼間から焦らされ続けていた分をたっぷり吐き出した。
「はーっ…はーっ…、あぁ…すっげ、気持ちイイ…」
力の抜ける体をアンチノミーは抱き上げて、向かい合わせに座らせる。
そのまま彼女の体重がかかり、繋がったままのの秘部からは先程のアンチノミーの精液が押し出されるように溢れた。
「んっは…、あれ、まだ満足してねぇの…?」
硬度と質量を保ったままの感触。
はこれから与えられる快楽の波を無意識に想像してしまい、ぞくりと肌を粟立たせる。
すると、髪を乱したアンチノミーはにっこりと笑う。
そう、まるでブルーノのように。
「だって、僕にも可愛がって欲しいってが言ったんじゃないか」
「っ、ブルー、ノ…」
「今度はこっちの態勢で可愛がってあげるからね。…愛してるよ、」
ベッドに押し倒されて、緩やかに彼が律動を始めた。
その下で甘い嬌声を上げながら、は長くなりそうな初夜を思う。
明日は約束通りキスで彼を起こしてやろう。
ずっと抱き合っていよう。
そしていつか、彼がまたあのチームに戻れる日には自分も隣に立っていよう。
望むことを恐れなくなるように、きっと彼を幸せにしてみせる。
終
=====================
アンチノミーもブルーノも大好きなんです。
せめて彼にはタッグフォースの中で幸せになってほしい…。
本編にアンチノミーが出てないもんで、本編と分岐点の半々みたいな内容になりました。
お楽しみ頂けたら幸いです。
ここまで読んで下さってありがとうございます。