悪夢の分岐点ですね。 【ジャック編】


「ジャックって意外にも引き篭もりだよなー」
前々から思ってたけど。
「何を言う。毎日わざわざ貴様を起こしに来てやっているではないか」
「や、俺の部屋から出ねぇじゃん」
おかげさまで俺もすっかり引き篭もりですよ。
遊星とかクロウに最後に会ったのって何時だっけ。
「俺そろそろ生活費きついんだよー。ちょっとカモりに行こうぜ」
元がついてもキングはキング。
ジャックと組めば大概の奴には負けやしない。
まあ時々負けるけど。主に遊星に。
すげぇデッキ回ると3ターン目にあいつシューティングクェーサー召喚してきたりするからな。
「…仕方が無い。面倒だが付き合ってやる」
「そーそー。たくさん稼いでゴーセーな晩飯食おうぜ」
俺は立ち上がり、クローゼットを開ける。
実はジャックが起こしに来てそのままだったから服も着替えてない。
「ジャックと組むし白の服にするかなー」
最近じゃ別にスカートだろうがワンピースだろうが気にならなくなってきた。
俺のクローゼットは今やアキが色々見立ててくれた洋服でいっぱいになっている。
「服なぞ全く気にしなかったお前が変わったものだな」
「んー…付き合うときにも言ったけど俺、思考が女に近づいてる気がするんだよな。スカート全然大丈夫になったし」
でも付き合うって言葉はまだちょっと恥ずかしいかも。
何か慣れない。
結局男であるジャックとそういう関係になることを受け入れた俺。
ジャックに好きだと言われてから俺はジャックと一緒にいることが増えた。
何だかんだ偉そうで傲慢な奴だけど、俺のこと大事にしてくれるから全然良い。
だたちょっと…大事にし過ぎって不満もあるけど…。
不意に服を選ぶ俺をジャックは後ろからぎゅうってしてきた。
「ん?何?邪魔なんだけど」
笑いながらふざけて言ったら、ジャックはちょっとだけ眉を顰めた。
「貴様、この俺を邪魔というとは。いい度胸だ」
「…ん、」
顎を軽く掴まれて顔を上げさせられ、ちょっと苦しい態勢でキスをされた。
柔らかく触れ合う唇。
俺の体が僅かに体温を上げる。
だけどジャックはそれ以上何もすることはなく俺を解放した。
腕を解き離れていくジャック。
「外で待つ。5分で支度を済ませて出て来い」
「…あ、うん…」
いつも、こうだった。
男だった俺に遠慮してるのかジャックは俺にキス以上の事をしない。
大事にしてくれるのは、本当にありがたいけどこれが今の俺の最大の不満だ。
時々スキンシップが行き過ぎて、そういう雰囲気になることがあるけどそういう時ですらキスで終わらせてしまう。
俺から言い出すのを待っているのか?
それとも、俺にそこまでの魅力は無いんだろうか。
なんと言っても元男だし。
でも例えばそういう職業の女の人で済ませてたら…嫌だなぁ。
ばたばたと服を着替えデッキを掴んで部屋を出る。
ジャックはDホイールに寄りかかり、腕を組んで立ってた。
俺の気配に気付いて顔を上げる。
「思ったより早かったな」
「着替えるだけだぜ?そんなに時間かからねぇよ」
「女は何かと時間がかかるが、お前はそうではないようだな」
「…」
他の女、知ってるんだ。
俺はちょっと気分が重くなった。
確かにジャックはキングだったしな…。
女も選り取り見取りだったんだ、きっと。
周りが男ばっかで暮らしてた遊星とか、子供と暮らしてたクロウとかとは違うよな。
この二人は絶対童貞だと思うけど(俺も童貞だし)ジャックはきっと俺なんかよりももっといい女を知ってるんだ。
比べられるのは悔しいけど仕方ねぇか。
「…行こうぜ、ジャック」
「ああ」
促して俺はジャックのDホイールの後ろに乗る。
牛尾に頼んでDホイールのライセンスを何とかしてもらおうと思っているけど、なかなか機会がなくて。
今度アイテムターミナルで犬のぬいぐるみゲットしたらそれ持って頼みに行くつもりだ。




「まあまあかな」
夕陽が俺の服をオレンジ色に染めている。
夜まで粘っても問題ないが、俺はそろそろ腹が減ってきた。
当然といやぁ当然だよな。
昼前に部屋出てずーっとタッグデュエルやってんだ。
でもジャックのやつ涼しい顔してんなー。
「ジャック、腹減らねぇ?」
「…まあ、多少は」
「多少って。俺ペコペコなんですけど。ちょっと早いけど帰ろうぜぇ」
「貴様がそう言うのならそうしよう。送ってやるから乗るがいい」
視線で路端のDホイールに乗れと促すジャック。
いつもいつもこうだ。
今日こそは…今日こそは!
頑張れ俺っ!
「な、なあ…今日はまだ時間あるだろ?」
「?…帰るのではないのか?」
「や、帰るけどさ…。その、今日付き合ってくれた礼にさ、…夕飯食ってけよ」
ジャックに合わせて着た白いワンピースの裾を皺になるほどきつく掴んで、俺は俯いた。
こ、これが今の俺の精一杯のお誘いだ…!
だって恋愛なんて初めてなんだもんよ。
どうしていいんだか分からねぇ。
頬が熱い。
多分俺、凄く赤くなってる。
「…良いだろう。貴様の手並みを見せてもらうとしよう」
尊大な言い方の癖に優しい声出しやがって…。
エスコートするようにジャックは俺の手を取って、Dホイールに誘う。
こいつも遊星とは違った意味でキザだよなあ。
気に障るって書いてキザと読むけど、女になった俺には気に障るどころか気分があがる。
恐るべしイケメンの魔力。
「うっわ、…!」
そのままDホイールに乗ろうとする俺を制止して抱き上げられた。
ちょ、コレ、お姫様抱っこ!!
恥ずかしい!ってかジャックの顔近い!
「ななな何する…っ」
「一緒に、帰るのだろう?」
ふっと笑い、このままの態勢で唇を押し付けられた。
「っ、ん!?」
ちょ、こんな外で!
誰かに見られたらどうするんだよ!!
と、言う抗議の声は防がれている。
どぎまぎする俺を余所に、ジャックの舌が俺の唇の中に滑り込んできた。
ちゅるんと俺の舌を絡め取って、口内を撫でる。
「ふ、う…、んっ…」
混じり合う唾液を飲み込み、嵐のようなキスを受け入れた。
ジャックがようやく離れた時は、酸欠になるかと思うほど俺の息は上がってて。
「っ、はあ…食われるかと思った…」
「何を言う。こんなに丁寧に扱ってやっているではないか」
ニヤリと笑って、俺を姫抱っこしたままホイール・オブ・フォーチュンに乗るジャック。
「ええ?ちょ、ジャック…流石に危ないだろコレ…」
「貴様が暴れたりしなければ問題ない。さあ、帰るぞ」
「ぎゃあ!待て待て!!」
俺はジャックにぎゅうっとしがみつく。
走り出した白いDホイールは景色を滑らせながら加速を始めた。
怖い怖いとジャックを掴む腕に力を篭めていたけど、俺を支えるジャックの腕はびくともしない。
そうしているうち、ちょっと慣れてきた。
「…なんか、これ…悪くないな」
路面さえ見なきゃそんなに怖くない。
寧ろジャックが近くて安心する。
そろりと慎重に、ジャックの胸元に頬を寄せた。
心音すら聞こえそうな位置に擦り寄り、甘えた仕草を見せてみる。
「なあ、ジャック…」
「…どうした」
「すき…だ。ジャックが、好きだ……」
「…急に、どうした」
「何となく。あれ、そう言や俺、ジャックに好きって言ったことあったっけ?」
記憶を辿れば、ジャックは俺に好きって言ってくれたけど、俺はちゃんと口にするのは初めてかも。
散々キスしといて今更だけど。
「全く、貴様は…その言葉を引き出すのにこんなにも時間が掛かるとは思わなかったぞ」
呆れたようにジャックは首を横に振る。
「え?え?」
「元男の癖に全く男の気持ちが分からんとはな。鈍感にも程がある」
あれっ、俺もしかしなくてもダメ出しされてる…。
「その割にキスは受け入れるから始末が悪い。そうかと思えば、遊星やクロウと考え無しに二人きりになるわで俺は気になって仕方がなかったのだぞ」
「そ、そんなこと言われても…」
「元男なのだから男の下心くらい見抜け。貴様には本当にやきもきさせられた」
「ご…ごめん…」
訳も分からず謝る俺。
つーか俺にもちょっとは言い分がある!
それに俺が誰と遊ぼうと、ジャックはいっつも涼しい顔してたじゃん!
「でも、でもさ!元男の俺がキス受け入れてるんだから分かるだろ!ジャックが、その…好きだってさ…」
「俺ははっきりとした意思表示を貴様の口から聞きたかったのだ。…まあいい。焦らされた分は、今晩体でたっぷりと払ってもらう」
「!」
にやりと見下したような笑みを俺に向けるジャック。
それって、それって…やっぱアレ…だよな。
どきんと俺の心臓が高鳴った。
初めて仄めかされた愛の行為。
勝手に体温が上がる。
「…何だ、嬉しそうな顔をして」
「えっ、そ、そんなことねぇよ!」
「そうか、何も言わないくせに期待だけはしていたのか」
「だから!そんな期待なんか…っ!し、してたけど…」
そーだよ、してましたよ!
だってジャック、キスだけはいっぱいしたじゃんか!
好きな相手にキスいっぱいされてみろよ。
そーゆーこと期待するだろ?
「…つーか、ジャックも男なら、好きな相手にキスされたら男がどうなるか分かるだろー」
恨みがましく言ってやる。
「貴様が俺に『思考が女に近づいている』などと言わなければそういうことも考えたがな。これでも貴様の女の部分を立ててやろうとしたのだが」
「…え、」
「ある程度の好意を抱いているとは言え、本当に好きでもない男に抱かれるのは嫌だろう。ましてや初めてだというのに」
真剣なジャックの表情に、俺ははっとする。
こいつ…だから俺が自分の気持ち言うまで待ってたのかよ。
ちょっと女に傾き出した俺が傷つかねぇようにって。
「……そんなに、大事にしてくれてたのかよ…」
クッソ、偉そうで傲慢な癖にこーゆーとこ紳士的とか。
お前もうホント。
「お前、なんでそんなに格好良いの?俺、なんかもうジャック大好きかも」
「気付くのも口にするのも遅いな、貴様は」
言いながら優しく笑うジャックの手がすう、と俺の頬を撫でる。
その仕草に俺は思い切り欲情した。
グローブ越しなんて焦れったい。
ぞくぞくと疼く腰が直接肌に触れて欲しいと俺に訴えかけている。
「…顔に出すぎるのが問題だな」
「え…?」
「もう少しだけ待て。そろそろ着く」
ジャックの言葉に俺も前を見る。
流れる景色が見慣れたものに変わっている。
確かに部屋はもう直ぐそこだ。





俺達、夕飯食べに戻ったんじゃなかったっけ?
天井を見上げながら俺はぼんやりとそんな事を考えた。
「んっ…」
乗り捨てるようにDホイールを降りたジャックに抱きかかえられ、俺はベッドに下ろされていた。
何度も何度も繰り返されたキスが俺の脳内を柔らかく溶かす。
覆い被さってくるジャックに僅かな恐怖も感じるが、それよりも初めてのセックスという行為への好奇心が勝っていて。
「全く…自覚した途端に誘うような顔をするとは。もう少し隠す努力をしろ」
「あれ、俺…顔に出てた?」
「ああ。『ヤりたい』とはっきり顔に書いてあった」
うはー恥ずかしィー。
「仕方ねぇじゃん…!ずっとキスだけでさぁ、実際ヤりたいって思ってたし」
開き直る俺にジャックは溜め息を吐いた。
首を横に振るオマケ付きで。
「何だよー」
「いや、考えようによってはらしい」
遠い目すんな!
「もーいいから早くしろよ」
うるさいジャックの口は塞ぐに限る。
俺はジャックの首に腕を回してぎゅうううと力を篭めた。
勿論拒むことも無いジャックは、そのまま素直に俺に唇を押し付ける。
「は、っ…、あっ…ジャック、っ…!」
もぞ、とジャックの手が探るように俺の胸に触った。
服の上からだけどこれだけで超緊張する。
首筋にジャックの顔が埋まった。
くすぐったいような、ぞわぞわするような…。
ただ間違いなく俺は今まで感じたことが無いくらいに欲情している。
男相手に欲情感じるってのもなかなか複雑だな。
でも自然と呼吸が浅くなってきた。
「はあぁ…、っ…」
首筋にたくさんキスされて、俺はおかしくなりそうだ。
服の上から胸の膨らみを確かめるような手つきもヤバい。
つーかいつも涼しい顔してるジャックが女の体撫で回してるって思ったら倒錯的な気分になるし。
「なんか、ジャックの手つきエロいよ…。変な気分になる…」
「そういう気分にさせるつもりで触っているから当たり前だ」
「ばっかじゃね…あっ、やめ…っ…」
軽口叩いたら足まで撫でられた。
ワンピースの裾を好色に捲り上げる仕草とか、やらしく太股這い回る掌とか…。
はぁぁ…童貞の俺には刺激強いんですけど。
「くぅん…っ、やぁっ…そんなとこ…っ」
さわさわとジャックの手が内股を撫で上げた。
核心には触らないくせにキワドイところは責めて来る。
「はあぁ…ジャックぅ…」
図らずも甘えた声を出したら、ジャックが少し笑いながら俺を見た。
「まだ殆ど何もしていないというのに…。困ったヤツだな」
全然困った顔じゃない。
寧ろジャックは楽しそうだ。
俺を抱き上げて羽織っていたパーカーを脱がせてしまう。
そしてワンピースのファスナーも下ろされた。
ジャックの服に合わせて選んだ白いワンピースがはらりと肩から滑り落ちる。
「そういえば、この服は俺の為に着たのだったな」
「え、あ…うん」
俺の思考を読んだのかと思うくらいのタイミングだ。
「似合っていたぞ」
「…そ、そう…か?なんか、改めて言われると…照れるな」
「だが、今の格好も中々そそられる」
着崩れたワンピースが纏わり付く、下着姿の俺。
鎖骨と鎖骨の間くらいにぴたりと指先を当て、それをすーっと下に下ろして行くジャック。
ふにゅ、とジャックの指先が俺の胸の谷間に埋まった。
は着痩せするようだな」
言いながら俺の胸にふにふに指を埋める。
涼しい顔して何処見てんだよ…と思わなくも無いが、元男として気持ちは非常に分かるから何も言わなかった。
空いた手がするりと背中を撫でたかと思うと、ぷつりと胸を押さえ込んでいたものが無くなる。
あの一瞬で外したのかよ…。
「…慣れてる、よな…」
思わず呟いちまった。
だって、なんかちょっと悔しくて。
俺は初めてなのに、ジャックは…。
「慣れる?何を言う。俺は女とこんなことをするのは初めてだぞ」
「…え」
「触ってみろ」
「えっえっ…」
俺の手を掴んだジャックが、自らの胸にそれを押し当てる。
温かな体温とそれに乗って伝わるジャックの鼓動。
「…ちょっと、早い…?」
「俺をこんなにさせたのは、…貴様が初めてだ」
「うそ…」
ジャックに押し当てた手と、ジャックを交互に見る。
じゃあ俺一体誰に嫉妬してたんだ…?
…俺自身…?
うわ、恥ずかしー…と徐々に頬が熱くなってくる俺の腕を引っ張り、ジャックがその腕に抱え込んだ。
ジャックの胸板に俺の熱くなった頬が押し当てられる。
少し早い心音も小さく聞こえた。
「俺を本気させた責任を取ってもらおうか…」
ぼそりと呟いたジャックは、俺の下着の隙間から手を滑り込ませて直に俺の胸を掴む。
「あ…っ」
ようやく与えられた直接的な刺激に、思わず声が出た。
「んっ、あ!…や、ぁぁ…っ」
更に好色にジャックの手が俺の胸を揉みしだく。
初めてとか言いながら結構大胆に触るジャックに俺はほんの少し戦いた。
探るような指先が、屹立した乳首に触れる。
「ん!」
小さな刺激だったが、びくっと俺の体が反応した。
それを見逃さないジャックが膨らんだ乳首を緩く摘む。
「はあ…、ああぁぁ…」
指先で軽く抓るように弄られると、ぞわりとした疼きが俺の腰に上がってくる。
じんわり緩く足の間が熱を持ったような感覚に襲われた俺。
膝をすり合わせて小さく身じろぐ。
「気持ち良いのか?」
「や…っ、わかんね…でも…」
手を休める事の無いジャックに翻弄されながら俺は強請るように体をすり寄せる。
「あ、は…っ、もっと、して欲しい…」
「…淫乱め」
がば、とジャックが俺をベッドに押し倒した。
そして俺の胸にしゃぶりつく。
「はぁっ!あ!やぁ、んっ…」
無遠慮なまでにちゅうちゅうと吸い上げられて、俺は背中をしならせた。
やばい、何だコレ。
すげぇ気持ちイイ。
ジャックの舌先が俺の乳首をなぞり、ねろねろと捏ね回されると指で触られた時からは考えられないくらいの快感が俺の腰に突き刺さる。
「はぁ、ああ…っ、あ!だめ、はぁっはぁっ…」
特に舌先で弄ばれると腰が勝手に跳ねるくらい気持ちイイ。
俺はジャックの髪に指を絡め、頭を抱く。
もっと、もっとして。
無言の要求に答えるように、ジャックは空いた方の胸も指先で愛撫し始めた。
「はぁっ、あぁぁ…!いい…っ、気持ち、イイ…っ!」
ひっきりなしに俺は喘ぎ声を上げている。
殆ど言葉にならないそれをジャックはどんな気分で聞いているのだろう。
ああ、ジャックの舌がまた俺の感じるところをくすぐるように舐めている。
じゅわりと体の奥から何かが蕩け出すような感覚を感じた。
「ジャック、はぁぁ…、何か、あっ、お、俺…っ」
足の間がうずうずと切なく震える。
実は好奇心が無いわけではなかったが、女になってから俺は自分の体を弄った事は無い。
寧ろ女という生き物は本当にオナニーしなくても大丈夫なんだと知ってびっくりしたくらいだ。
だけど今は、男の時には感じたことの無い不思議な疼きが俺を苛んでいた。
「何か…っ、俺、あっ、ここが…っ!」
ジャックの前で俺は脚を開いた。
まだ下着は脱がされていないけど、信じられないくらいの染みが出来ている。
恥ずかしかったけど、快感が勝ってた。
「自分から足を開くとは…。素直な事は良いことだがな…それにしても」
ちょん、とジャックが俺の脚の間を突付く。
「こんなにも濡らしているなんて、貴様はやはり淫乱だ」
「はぁ…、すげぇ疼く、んだ…、ここも、触って…」
「…ああ、良かろう」
俺のお強請りにジャックはちろりと自分の唇を舐めてから頷いた。
それは獣の舌なめずりと同じで、俺は今からジャックに捕食されるんだと思うとまた奥がきゅうんと震えた。
するするとジャックは俺のワンピースを脱がせ、下着も脱がせた。
殆ど裸の俺をベッドに転がして俺の片足を抱え上げる。
そして指先を軽く舐めてから、俺の脚の間にそろりと指先を押し付けた。
「はぁあぁぁっ!」
電流が走ったかのような感覚に俺は体を仰け反らせる。
とぷ…と何かが溢れて俺の内股を濡らした。
、もうイったのか」
「はぁぁぁ…イった?おれ、イったの…?」
ぼんやりと虚空を見上げながら俺は荒い息を吐く。
まだ余韻が残っているみたいだ。
足の間がじんじんするような熱を持っている。
「感じやすいのは結構なことだが、それでは持たんぞ」
「そ、んなこと…言っても……」
にやにやといやらしい笑いを浮かべたジャックが急に俺の脚を持ち上げた。
あ、ちょっと、この態勢そーゆー本で見たことある…。
膝が胸に付くかと思うくらい折りたたまれた俺は、もやの掛かったような頭で他人のことのように考えていた。
しかしジャックの舌が俺の肉を掻き分けたときにはっと正気に戻る。
「ひゃぁっ!あ!やだ…!」
その部分に残る余韻を膨らませるかのような動きで、愛液に塗れた俺のそこを丁寧に舐め取るジャック。
熱い舌の感触もさることながら、俺のそんなところをジャックが舐めているという事実に劣情が煽られる。
「あっあっ!やめ…っ、はぁ、は、あぁぁんっ!」
ぬめるジャックのその舌が緩やかに蠢いて、先程指で触られた箇所をぞろりと舐めあげた。
途端、俺の体にまた甘い電流が走る。
「はあぁぁ…っ」
さっき程の快感じゃないけど、同様に腰がびくびく跳ねて俺は溜め息と共に声を上げた。
「ああ、また溢れてきたぞ。ぐちょぐちょだ。いやらしい奴だな…」
「はぁん、だって…ぇ…」
…すっげー苛める…。
でもそういうこと言われると俺また溢れちゃうよォ…。
「はぁ…っ!」
愛液を溢れさせる俺のそこにジャックの指先が軽く埋め込まれた。
くちゅくちゅと小さな水音を立てて少しずつ潜り込んでくる。
「んんっ!」
何かが入り込んできた異物感に、俺は顔を顰めた。
足と足の間に入り込むジャックの指。
「はぁ…、何、やだ…」
「多少慣らせば痛みも少なかろう。我慢しろ」
身を捩る俺を押さえつけ、更にジャックは指を蠢かせて入り込んでくる。
「はぁっ…はぁぁ…」
異物感はあれど痛みは無い。
でもジャックのはこんなものじゃないに決まってる。
指だけでこの異物感…ジャックのアレが入ってきたら俺どうなるんだろ…。
ちょっと怖い。
「ん、は…あ、…?あ、あぁっ…、なに…」
ぶるりと俺の体が震えた。
今、なんかすごく気持ちのイイところを触られた気がする。
「…ここ、か?」
「え、っ、あ!ああ!な、何コレ!」
緩やかになぞられると腰が自然に動いてしまう。
何だこれ…気持ちいい…っ。
「はぁっはぁっ…やだ、ジャック、何かっ、あぁぁっ、ジャック…!」
「…ああ、実に良い声だな、
「ばかぁ…っあ、やだ!そこばっかり…!はぁっはぁっ…!」
態勢が悪くて逃げようにも逃げられない俺はジャックのされるがままだ。
ひとしきり俺の中を弄くったジャックは、暫らくして漸く指を抜いた。
足もやっと下ろしてくれた。
ぐったりと俺はベッドに体を沈める。
「はーっはーっ…」
「まだ終わりでは無いぞ?」
ジャックがベルトを緩める音がする。
「わ、分かってるよ…」
流石に元男だからそれくらい知ってる。
それに、俺のこといっぱい気持ちよくしてくれたジャックにも気持ちよくなって欲しいし…。
取り出されたモノが押し当てられる感触がした。
熱を持った強張りに、少しだけ俺の体が緊張する。
「怖がらなくて良い」
「や…そういわれても…」
くぷ…とぬかるみに沈み込むジャック。
圧迫感はあるものの、思ったほど痛くない。
寧ろ内壁を広げるような感覚は苦しいけどちょっと気持ち良いような気すらする。
「はぁっ…あ…あぁあ…」
溜め息を吐きながらゆるゆるとジャックを受け入れる。
ちろりと見上げたジャックは少し顔を顰めて苦しそうだ。
ああ、俺の中、気持ち良いんだな…。
そう思うとぞくっと冷たい疼きが俺の中を走る。
「く…、あまり、締めるな…」
「そんな…言われても…はぁ、ん…っ」
ちょっと余裕のなくなったジャックの声にどきっとする。
ぎしりとベッドを軋ませて腰を使ったジャックが俺の奥まで到達する。
熱を持つそれが俺の中でびくりと跳ねた。
「はぅっ、ん…、ジャックぅ…」
「痛いか?」
「そんなに…、寧ろ、おっきくてちょっと苦しい…」
「…それは…褒め言葉として受け取っておく」
「あ!」
俺の頭の横に手をついたジャックが緩やかに腰を引いた。
ずるりと引き出されたそれが深く押し込まれる。
「はぁっ…!あっあっ…!」
どすんと体を突き上げられる感覚に俺は戦くが、ジャックは容赦ない。
しなる体はジャックの体に抑えられて自由が利かないが、中がきゅんきゅん震えてジャックを思い切り締めてしまう。
「はぁっ…、…っ、いやらしい動きだな…」
「くぅん…っそんなこと…言われても…!」
「いや、実に…良いぞ…」
はあっと深い溜め息をついたジャックがスピードを上げる。
「あ!あぁ!!はぁぁ…っ!あっあっ…!」
ぐちゅぐちゅ俺の脚の間から卑猥な水音が部屋に響いている。
押し込まれるたびに生まれる摩擦に俺はぞくぞくとした快感を感じていた。
額に薄っすらと汗を浮かべたジャックが俺の唇にかじりつくようにキスをする。
「んふ…っ、は、ん…っ、はぁっ…」
角度を変えて貪りあいながら溢れた唾液を飲み込んだ。
首に腕を回してぎゅうっと抱きついた。
密着した体がジャックの律動でゆるゆると擦れ合う。
ジャックが服を着たままだから胸が擦れるともどかしい快感が生まれて俺は髪を乱した。
出し入れのたびに生まれる快感が相乗効果のように俺を追い詰めていく。
「はぁぁ、ジャック、ジャック…!俺、だめ…、もっ…イっちゃうよォ…」
「ふ、っ…初めてでこんなにも乱れるとは…本当に、可愛い奴だ…っ」
「やぁあんっ!!イく…っ!!」
深々とジャックの楔が打ち込まれた瞬間、俺の体がびくんと跳ねた。
抱えられた足の、爪先が空を切る。
「う、…っ」
がくがくと体を震わせる俺の腰を掴んで、ジャックは更に律動を重ねた。
「うあ、はあぁんっ…!」
「くっ…!」
余韻の残る体を揺すられて思わず悲鳴のような声を上げてしまう。
「あ、あぁ…」
中で脈動を感じた気がした。
ジャックもイったようだ。
脈打つ度に腹の中に温かい感触が広がっていく。
「はぁっはぁっ…あー…すっげ…」
気持ち良いけど超疲れたー…。
もう無理。
ベッドに沈み込む俺から体を離すジャック。
今まで抱いてくれていた体温がなくなるとちょっと寂しい。
「ジャック…?」
「…風呂の準備をしてきてやる。貴様はそこで寝ていろ」
「あ、ああ…うん…」
居住まいを整えたジャックが部屋を出て行く。
ええっと、俺達夕飯食べに帰ってきたんだよな…。
時計を見た。
まあ、作ろうと思えば作れる時間だけど…。
だるい体を少し反転させて天井を仰ぐ。
「や、無理だわ。やっぱ」
「何が無理だ」
「うお、早いなお前」
裸で寝転がる俺に僅かに眉を顰めたジャックは床に落とした俺の服を拾い集める。
「夕飯だよ夕飯。今晩カップ麺でも良い?」
「全く問題ないが」
「ですよねー」
寧ろ好物だもんな、こいつの場合。
「なージャック」
「何だ」
「今まで言わなくてごめんな。俺、お前が一番好きだ」
俺の言葉にジャックは少しだけ驚いた顔をする。
しおらしい俺を見るのが珍しいからだろう。
「…よ、貴様は大概馬鹿だな」
「何だよー。だってジャックがそんなに俺のこと考えてくれてるなんて知らなかったんだからよー」
「そうではない」
言いながらジャックは俺の服をまとめてベッドの上に置いて、俺を抱き上げた。
疲れた俺はもうお姫様抱っこだろうが何だろうが何でも良い。
「風呂では我慢してやろうと思ったが、そんな言葉を聞いて黙っていられる程満足したわけではなくてな」
「…え」
「貴様は3回もイったのだろうが俺はまだ1回だけだ。もう少し相手をしてもらおうか」
「えっえっ…」
ちょっと待て。
俺もうくたくたで…。
ジャックの腕から逃れようと俺はじたばたするが、横抱きの状態で出来る抵抗なんて知れてる。
「夕飯の心配も無くなったわけだ。楽しむが良い」
「やっ、ちょ…待て待て!!やだ!!」
そうっと顔を近付けられる。
弱々しくジャックの胸板を押し返すけど、そんなの抵抗でも何でもなかった。
キスは凄く優しいのに、言ってる事は鬼畜そのものじゃねぇか!
俺は運ばれながら長くなりそうな夜に体を震わせた。







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ジャックって、スゲー変換少なくなる。
普段の会話であんまり他人の名前を呼ぶイメージが無い…!

この「TF6」の中のチーム満足の設定って、

鬼柳は目に付いたらとっかえひっかえで
遊星は好きになったら超手が早くて
ジャックは強引なくせに紳士的で
クロウは奥手だけどやるときはやる

ってイメージ。

如何に上の二人があたしの頭の中で変態さんなのか分かろうというものですね。
逆に下の二人の美化っぷりよ…。

ここまで読んでくれてありがとうございます。