悪夢の分岐点ですね。 【ハラルド編】


ハラルド数字の話にて
ハラルド「全てが終わったら君をわたしの城に招こう ひととき祝杯をあげるくらいには」
主人公「じゃあ3泊くらい」
ハラルド「もっとゆっくりしても良いんだぞ」
と、いう感じの会話から。







「はぁあ、スッゲー…」
、口空いてるぜ」
「うっせー!こんな豪邸見るの初めてだから仕方ねーだろ!」
呆ける俺を見たブレイブが笑うけど、正直こんなスゲーとは思わなかった…。
ってか、大概金持ちだとは思ってたけど予想以上だぜ…。
「ほら、…こちらへ」
するんと俺の腰をさりげなく抱いてハラルドが俺をエスコートしてくれる。
うおぉ、ブレイブとドラガンの前でされるのはちょっと恥ずかしいぞ!
「やっ、じ…自分で歩ける…うわ、っ」
「危ねっ…!」
ハラルドから逃れようと体を捩った俺は石畳に足を取られて引っくり返りそうになった。
それを後ろにいたブレイブが抱きとめてくれる。
「あ、あはは…さんきゅ、ブレイブ…」
「ったく…危なっかしーな、お前って」
「緊張してるし…この靴ハラルドが昨日見立ててくれたんだけど、まだ慣れてなくってさ…」
足元の真新しい靴はハラルドから日本を発つ前日に贈られたものだ。
靴だけじゃない。
実は全身ハラルドが用意した物を身に着けてる。
「ブレイブ、ありがとう。おかげでは怪我をせず済んだようだ」
極めて丁寧に微笑むハラルドだけど、抱きとめているブレイブからさっと俺を引き剥がすと横抱きにして抱き上げちまった。
「うわあっ、な、何するんだっ!」
「ブレイブの言う通り君は危なっかしい。こちらの方が私も安心できる」
ああああ、エスコートされるよりもこっちの方が恥ずかしいっつーの!
「降ろせよ!」
「それは出来ない相談だ。またつまずいても困るし…それに、またブレイブに抱きとめてもらうつもりなのかな?」
「何言ってんだよ!他意なんかねーよ!」
はぁあ…背中に突き刺さるような視線を感じるぜ…。
「全く。独占欲強いよなァ。うちのリーダーは」
にだけだ。それだけ本気なんだろう」
ブレイブもドラガンも…聞こえてる!聞こえてるから!!




それは三日前の話。




「いつか君に祝杯をあげる為に家に招きたいと言ったのを覚えているだろうか。それを果たしたいと言ったら、君は受けてくれるか?」
回りくどい言い方しやがって。
「お前ねー。ここまで来て何で俺がそれを受け入れねぇと思うわけ?」
だから俺も回りくどく返事してやった。
何気に自信家でプライド高いことは知ってるんだぜ。
だからそうやって確かめるように言うんだよな。
で、俺に無理強いしたくないとか言ってさ。
それも本心だから性質悪ィよ、お前。
「君の口からはっきり聞きたいな」
「ったく、面倒臭ェやつだな。是非招待してもらおうじゃねぇの。えーっと3泊だっけか」
「もっとゆっくりしても良いと言ったはずだが」
焦れったさを隠そうともせずハラルドの手が俺の腰を抱き寄せる。
裸の肌が触れ合って心地良い温もりが伝わってきた。
「ははっ、あんまり居座るのも悪ィだろ。身分も違いすぎるしな」
ハラルドとこういうことをするようになってつましい俺の暮らしは劇的な変化を見せた。
俺とのセックスを買ってるつもりかよ、と思う程に俺はハラルドに甘やかされまくっている。
まあ昔の仲間に迫られるよりは断然いいんだけどな。
後、やっぱ金持ちのイケメンは違うね。
童貞だからセックスの上手下手って良くわかんねーけど、こいつは絶対巧い。
こんなに気持ちの良い気分を俺はオナニーで味わったことねぇし。
や、女になってからオナニーなんかしたことないんだけどな。
「身分…?意外だな、。君がそんなことを気にするとは」
「おかげ様で、お前と付き合いだしてから嫌って程経済的な格の違い見せ付けられたモンで。それに俺男だし、不味いだろ」
「残念ながら私は君が男であろうと女であろうと気にしたことはない。…よって」
ぐい、とハラルドが俺を抱き寄せたかと思うと、体の向きを変えられた。
ハラルドの方を向かされて、穏やかな視線と俺の視線が交わる。
「このままの関係にも私は一向に疑問を感じない」
言うなり俺の唇に唇を重ねてくる。
こいつも遊星並みに強引なとこあるよなぁ…。
「んっは…、あ…もう散々ヤったろ…。まだ足りねーの?」
、君は一度自身の可愛らしさを自覚すべきだ…。男の為に身を引こうとするいじらしさを受け取るだけでいられるほど、私は紳士ではないよ」
指を絡め取られてベッドの上に縫いつけられた。
ハラルドの目の前には裸の俺の体が無防備に投げ出された状態だ。
俺が手を押さえつけられて動けないことを良い事に、ハラルドの唇が俺の鎖骨を緩やかになぞる。
「んっ!あ…くすぐってぇって…」
「そんな甘い声でよくも言うものだ。それとも無意識に私を誘っているのかな」
「ちげぇよ…っ、や、あ…はぁっ…!」
いやらしい息遣いで俺の耳をくすぐる舌先にぞくぞくしちまう。
クッソ、俺の感じるトコ知り尽くしてやがる。
…当然っちゃ当然か…。
だって俺、ハラルドとしかヤってねぇもんな。
シャクだけどハラルドに教え込まれたことしかこの体は知らねぇし、きっとハラルドが好むように組み替えられちまったんだ。
「やだ、っ…、はぁあ、そこ…ばっか…」
耳朶を唇で甘く食まれると足が震えるような快感を感じる。
爪先がぴくんと跳ねて、俺は背をしならせた。
反動で押し付けちまった腰に熱い感触を覚え、はっとしてハラルドを見る。
ばつが悪そうに視線を逸らすハラルド。
「あんなにヤって勃起させるって…お前の体力どーなってんだよ…」
「いや…その、があまりにも可愛らしいから…。可愛すぎる君が悪いと思うんだが…」
「俺の所為!?何で…!?」
お前が勝手に俺弄って勃起したんだろ!
「二度と身を引くなどと言えないように、私を刻み込ませて欲しいと思ってしまったんだ」
「な、何調子良いこと…!う、あぁっ…やだ、っ!」
俺の首筋にハラルドが顔を埋める。
銀色の糸のような長い髪が俺の胸の上に散らばった。
そのままハラルドの薄い唇が首筋を伝う。
「んンっ、や、ぁ…っ」
思わずハラルドの肩を押し返そうと掴むけど、びくともしねぇ…。
それどころか大きな掌が俺の胸を包み込むようにして揉みしだき始めた。
緩やかに形を確かめるように捏ね回して、膨らんだ乳首を抓みあげる。
「はぁぁ、んっ…!」
途端に痺れるような快感が俺の体を這い上がる。
それでなくてもさっきまでハラルドにヤられてた俺の体は敏感で。
思わず仰け反る俺の喉に軽く噛み付くハラルド。
「ハラル、ド…っ、あはぁ…っ!」
紳士な振りして結構狼。
でも、ちょっとそーゆーとこに俺の女になった部分がきゅうんと反応しちまうんだ。
ちゅ、ちゅ、と頬にキスを繰り返しながらしつこく俺の乳首を指先で弄くる。
長くてやらしー指先に俺は足が痺れるような甘い快感を感じた。
「はぁっ、あぁぁ…、イイぃ…っ!すげぇ、イイっ…」
「ふ、まだ殆ど何もしていないのだが。君は本当に可愛らしい…」
感じすぎてしなる腰をぐいぐい押し付けちまってるが、余裕そうなこと言ってハラルドもすっげぇの。
硬くて熱い感覚が嫌でも俺に期待させる。
嗚呼、男のアレにこんなにどきどきさせられるなんて…女に思考が近くなってきたとはいえ俺変態かも…。
はいつでも私を感じさせてくれるからね…。もっと気持ち良くなって欲しい」
するんとハラルドの腕が俺の背中を抱き上げた。
そのまま優しく肩を掴んだかと思うと、抱き締めるかのような仕草で俺の胸に顔を埋める。
「うあっ!」
ちゅく、と熱い舌が俺の胸を這う。
散々手で弄られた乳首は敏感になっていて、撫で回されると腰が疼いて仕方ねぇ。
「あ!あ!はぁぁあっ、あぁ…っ!」
ぬるぬると円を描くような動きで這い回るハラルドの舌。
時折ちゅうううと強く吸われる時にぞくぞくして、胸を押し付けるかのように体が仰け反った。
「ふふ、強請っているのかな?」
「ち、違っ…!やあ、あぁぁっ…!」
かり、とハラルドが歯を立てる。
強い刺激に体の奥がきゅうっと収縮するのを感じた。
あぁぁ…ちょっと、イっちまった…。
一瞬硬直した体が弛緩し、その時唇の端からはぁぁあ、と深い溜め息が零れ落ちる。
それだけでハラルドは目聡く気付いたのだろう。
胸を愛撫する唇はそのままに、そろりと俺の下半身に触れてきた。
「っ…!んあぁっ…!」
そっと俺の足の間に潜り込んでくる指が、くちゅりとした感覚でもって一番敏感な部分を刺激する。
くぅ…っ、すっげぇイイぃぃ…!
「はぁぁっ、!ハラルドぉ…っ、あぁぁっ、あっあっ!そこやだァァ…っ!!」
指…っ、ハラルドの指っ…すげぇやらしーよぉ…。
掠めるようにもどかしく焦らしたり、そうかと思ったら捏ねるように撫でたり…っ。
「嫌ではないだろう?こんなに濡らしているというのに…」
「やァっ、だって、!感じすぎてぇ…っ、あっ、あぁぁあっ!」
「気持ちよくなって欲しいとさっき言っただろう?もっと私を感じてくれ…」
切なそうに言うから、思わずハラルドの顔に視線を投げてしまった。
そこには普段の冷静で物静かなハラルドは存在しなかった。
熱に浮かされたような視線に欲情の色を滲ませて俺を見ているハラルド。
僅かに顰められた眉が余裕をなくしているようにさえ見える。
俺の視線に気付いたハラルドは、唇でふっと笑って指先でぐちゅりと俺の突起を押しつぶした。
「うっ!は、あぁ、あっあっ!イくっ、イくぅぅっ!」
がくがくと俺の体が跳ね上がる。
肌が粟立つような冷たい快感に体の奥が痙攣するように収縮した。
「っはぁぁあ…あー…」
頭がぼーっとする。
そんな俺の膝を割ってハラルドが体を押し込んできた。
ぐっと押し付けられるハラルドの…。
、私の指で満足してしまったのではないだろうな?」
「え…、っ」
「私の愛はこんなものではないぞ…!」
「っ、あぁぁん…っ!!は、らる…ど、っ…!うあぁっ、あーっ!」
ずぶずぶと中に押し入ってくるハラルド。
散々ヤったのにまだこんな…っ、あはぁぁ…すっげ、ぇ…っ。
「っく、ぅ…、っ」
甘ったるい声で俺の名前を読んだハラルドの髪がざらりと肩から滑り落ちた。
乱れた髪が体を流れて色っぽいな…。
「はぁぁ、っ…すご、いぃっ…!あっ、あぁぁっ」
ベッドを軋ませながら腰を揺すられてイったばっかりの俺の体がゾクゾクと波打つ。
力強く抱き締められて思わず体の奥がきゅうんと疼く。
その瞬間の締め付けに一瞬ハラルドが息を詰めたのが分かった。
もう何度もこうやって体を重ねているから、知り尽くされた俺の体はハラルドが望むままに感じさせられてしまう。
「あっ、そこ…っ!やぁ、あっ…はあぁぁっ…!!」
激しく突き上げられる度に背中がしなる。
「ココが、堪らないんだろう…っ?知って、いるよ…」
動きに合わせて喋るなよぉ…っ、エロいぞお前っ…。
それでなくてもスゲェ音が響いてる。
感じすぎて濡れまくってンの…バレバレで恥ずかしい…。
「っ、!うあっ、あ、はぁあっ!」
深々と打ち込まれる瞬間に、衝撃にも似た快感が背中を駆け抜けていく。
怖くなるくらいの快楽の波に溺れないように、俺はハラルドにすがりついた。
「ハラ、ルド…っ、んはあぁっ…ハラルドぉ…っ!」
「…く、っ……、愛して、いるよ…」
獣の色が滲むハラルドの囁きに俺は信じられない程欲情した。
ぞくりと足先から甘い痺れが這い上がる。
「…やあっ!イく…っ!!」
駆け上がる俺の体を抱きしめながらハラルドが俺に腰を思い切り押し付ける。
「あはあぁぁあっ…!!」
「…っ、は…」
がくがく痙攣する俺の体の中に熱い脈動を感じた。
ハラルドもイったのか…。
霞む視界でハラルドの表情を盗み見る。
苦しそうに眉根を寄せて、うっすらと開いた唇から吐息を零して。
こいつもこんなエロい顔するんだなって思う。
で、今コレ独り占めしてンのは俺なんだなァ…って考えたら何かハラルドのことスゲェ愛しくなっちまって。
「…嗚呼、俺、今めちゃくちゃハラルド好きかも…」
何て余計なこと口走ったんだよなあ…。
そしたら俺の中のハラルドがまた…。



嗚呼、思い出したくもねぇのに余計なことまで思い出しちまった…。
顔が熱くなる。
「…如何したんだ、。顔が赤いようだが」
「ききき気にすんな!この態勢が恥ずかしいだけだっ!」
ハラルドとのセックス思い出してたなんて言えるか!




「俺、この前格がどーとかいったけど…これ格とかそーゆーんじゃねーや…」
もう異世界。
龍可・龍亞の家も大概だけど、ハラルドもスゲー…。
プロのデュエリストって儲かるんだなぁぁ…遊星達も何か声かかってるみてぇだし、それ受けたらいいんじゃねーの。
「ハラルドは別格だぜ。俺らこんなんじゃねぇし」
「そーなのか?俺、もう基準が良く分かんねーよ…」
だだっぴろいハラルドの部屋で好きにくつろでいろと言われたけど、超落ち着かない。
嗚呼、8畳の俺の部屋が如何に落ち着くか…狭いっていいな、うん。
「はー…俺今晩からここに泊まるのか…。下手なスイートルームより広いんじゃねーの…」
「あっれェー?何だよ、もうハラルドと二人っきりになりたいアピールか?ホントお前らラブラブだな!」
「なっ…!ちげーし!!部屋の感想言っただけでなんでそーなるんだよっ!!」
「照れんな照れんな。ハラルド戻ってきたら二人っきりにしてやるぜ。な、ドラガン」
「…あ、ああ。まあ…」
おぉぉぉい!気まずそうに視線泳がせるんじゃねぇぇ!!
つーか何でブレイブはドラガンに話題振ったんだっ!
「その気の遣い方やめろよ!俺は別に…!」
「賑やかだな」
ぱたんと、静かにドアを閉めて入ってきたのはハラルドだ。
「おっ、噂をすればだな。ハラルド、俺らの部屋用意してくれてンだろ?」
「ああ。勿論」
「じゃー俺等そっち行くから!行こうぜ、ドラガン」
「…ああ」
ひらひら手を振りながら出て行くブレイブと、殆ど反射のようについていくドラガン…。
だぁかぁらぁ!
あからさまな気遣い止めてくれよ!!
顔を赤くしてドアを睨みつける俺を見て色々察したらしいハラルドが苦笑している。
「どうやら私たちは気遣われたようだね」
「うぅ…すっげー恥ずかしい…」
「二人の気遣いを無駄にするのも悪いな…おいで、
えええっ!
嘘だろ、ちょっと待て!
問答無用に俺の腰に手を回すハラルド。
いやいやいや!
さ、流石にこんなあからさまな一発は遠慮したいんだけども!!
「ちょ、や…あの、待っ…」
じたばたとハラルドの腕の中で身じろいでいると、暴れるなとばかりに長い腕に包み込まれた。
「大丈夫、何もしない」
「何もって…、え…」
いつも以上に穏やかに微笑むハラルド…。
な、何だよ…。
綺麗な顔に見つめられるとちょっと恥ずかしくなる。
「実は、勝手にこんなものを用意してしまってね…。受け取ってくれると嬉しいのだが」
「…っ、それ…」
「日本は君の故郷に違いないだろう。だが、この地を君の新しい世界と思って欲しいと思っているんだ。愛しているよ、。私と生涯を共にして欲しい」
差し出されたのはリングで。
ハラルドはしっかりと俺の目を見据えて言葉を紡いでくれる。
…本気なのか、お前。
「俺、いつ男に戻るか分からないぞ」
「ああ、理解してる。しかし私には瑣末な問題だ」
「こんなでっけぇ家継ぐんだろ…。子供作れなくなったらどーするんだよ」
「…私の心配をしてくれてありがとう。君は本当に優しい…私は君のそういうところも愛しているんだ。だから、本当の気持ちを聞かせてくれないか…?」
「っ…!」
クッソ、泣きそうだ…。
「俺だって愛してるに決まってるだろ馬鹿!!!!」
俺は思わず叫んでた。
そしてその勢いのままにハラルドに抱きつく。
「っ、…!?」
流石のハラルドも俺がこんな行動を取るとは思っていなかったのだろう、バランスを崩してよろけたハラルド。
ひっくり返りそうになりながらも俺を受け止めてなんとか踏みとどまった。
「危ないな…ひっくり返るところだ…」
「ははっ、沈着冷静でイケメンのお前のそーゆーとこ一回見てみてぇな」
失敗なんかしそうにない、ハラルドのそういうところ…このまま一生付き合えば一度くらいなら拝めるかもしれねぇ。
…なんて思ったコトを口にした俺が馬鹿だった…。
「…ふ、それなら…」
「へ…?」
悪戯っぽく笑ったハラルドが俺をひょいっと抱き上げた。
え?何?
そのまま歩き出すハラルドの目的地…。
えっ、えっ…ちょ、ちょっと待て…!!
「ひっくり返る、とは少し違うか?」
クックと喉で笑いながら俺を抱き上げたままハラルドはベッドへダイブした。







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ハラルド…はまだハードル低かった…けど…別人かも。
こんなんハラルドじゃない!と思われた方がいらっしゃいましたらすみません…!
寧ろブレイブが別人かもしれん…。
あれっ、じゃあこの小説にはいったい誰がいるんだ?
…。

ここまで読んでくださってありがとうございます。