キンジキ


まるで小説の中の世界だな。
知ってるか?
ずっと気付かない振りをしていた相手の男は、結局主人公の男への愛に気付いた後に自殺してしまうんだぜ。
悲劇的だけど、愛をぶつけられた後で相手に死なれたら罪悪感が残り続けると思うんだよな。
受け入れなかったことを後悔したりしてさ。
それって執着にも似てるけど、結局自分の罪悪感を払拭したいだけかもしれねぇよな。


遊星、お前、俺がお前に返答もせずに死んだらどうする?






「それが、お前の返答なのか?」
「うーん…どうだろ」
愛の告白への返答が死ぬことの話とはなかなかに飛んでいる。
姉の愛の囁きを墓の冷たさに喩えた妹が罵声を浴びせられる詩があったが、もしかしたらその姉はこんな気持ちであったのかもしれないな、と思った。
「愛とはちょっと違うかもな。遊星はスキだけど。どっかの女と付き合うって言い出したら寂しくなるのは確かだし」
でも付き合うってのも違う気がするなぁぁ…。
考え込んだの肩を遊星はおもむろに掴む。
「ん?何だよ…っ!」
どうかしたのかと顔を上げた瞬間、あろうことか遊星はに唇を押し付けたのである。
思わず遊星の胸の辺りを突き飛ばす。
「な、っ、何するんだ馬鹿!」
「こうしたらはっきりするかな、と思って」
「じじじ実力行使にも程があるだろ!」
「嫌だったか?」
「!」
顔色も変えず、それこそ悪びれもせず首だけを傾げてみせる遊星。
ふざけんなとか、初めてだったんだぞとか、そんな言葉が思い浮かんでくるがぐっと耐えた。
初めてとは絶対に教えたくない。
いや、寧ろこんなもの数に入れてすらやらない。
遊星を睨みながらは遊星の言葉を反芻する。
嫌だったか、か。
初めてと思うと嫌だけど、遊星とと思うとそうでもない。
と、言うか遊星の愛の告白を受けた瞬間にお断りできなかったというところに本音があるような気もする。
女の子は好きだけど、出来ればキスもセックスも初めては女の子とが良かったけど…。
遊星をこのままキープして「じゃあ女の子と一発ヤったら遊星と付き合う」とは流石に言えないわけで。
「遊星のが嫌だったかどうかは置いといて」
「置いておかないで欲しいんだが」
「とりあえず、俺で良かったらよろしく」
「スルーの上に軽いな」
「そーでもしなきゃ男と付き合うなんて現実認められっか」
言いながらもは悪戯っぽく笑っている。
無理矢理に気を遣ったわけではないのだ、と感じ遊星はあからさまに体の力を抜いた。
それを見てこいつでも緊張してたのか、と思うと遊星が可愛く思えてくるから不思議だった。
「でもさ、付き合うとか言っても普段と変わんねぇだろ?」
「まあ…急には変わらないと思う…。俺も良く分からない」
だけど、と遊星が体の距離をぐっと詰めてくる。
「もう少し、傍にいたい」
「え…っと」
「…いいだろう?もう恋人だ」
「…!」
改めて宣言されると死ぬほど恥ずかしい。
しかし確かに間違いは無い。
は熱くなって来る頬を自覚しながらしぶしぶ頷いた。
何だろう、この気恥ずかしさ。
俺ってそんなに遊星が好きだったのか、などと考えてしまい余計に心音が高くなる。
隣の遊星の雰囲気が柔らかくなるのがわかった。
あ、なんかご機嫌っぽい。
自分の傍に来ただけでご機嫌になるなんてやっぱちょっと可愛いかも。
「…な、遊星。お前いつから俺のこと好きって思ってくれてたんだ…?」
「…」
「嫌なら答えなくてもいいけど」
「…お前がいなくなった時に、わかった」
「……あの時からって…結構前からだな…」
いなくなったというか、離れたというか。
は元々はジャックやクロウも含めた幼馴染だ。
孤児院こそ違ったが、近くに住んでいるからという理由でいつも一緒に遊んでいた。
それは年齢を重ねても続いていたが、はチームサティスファクションにだけは賛同しなかったのである。
もしかしたら新参の鬼柳が気に入らなかっただけかもしれないが、あの辺りを境には遊星達との関係をぷつりと絶った。
それはもう小気味良いほどの潔さで。
「大好きだったんだ、が。まさかいなくなるとは思わなかった」
「うーん、まあ関わってたらいつか巻き込まれそうだったしなァ」
「…その時知った。探そうかと思ったが…迷惑かと…」
「…探されても逃げ回ったかもな。俺、面倒くせぇこと嫌いだし」
ぽつりと本音を零した瞬間、遊星がの腕をきつく掴んだ。
一瞬びくっと反応したが遊星を見ると、鋭い視線で自分を射抜いている。
は体を強張らせた。
「な…何だよ…」
「もう、逃がさない。やっとお前を捕まえた」
「……本気すぎて怖ェよ。…そんなに俺が好きなのか?何がいいんだ」
「全部だ。何もかも全部。俺はという人間とそれを形成する全てを愛している」
「…聞いてて悪ィけど…死ぬほど恥ずかしい」
遊星の言葉にの頬がみるみる紅潮する。
それを隠すように片手で顔を覆い、視線を逸らした。
初心な反応を返すに遊星は自分自身が抑えられないほどに興奮していることを知る。
「…、そんなに可愛い反応を見せられると我慢できなくなる」
「我慢、って…うわ、っ」
の上に遊星が圧し掛かってきた。
「うお、ちょっ、マジかお前!ってか俺が女役!?待て待て俺はどっちかって言うと逆のつもりで」
「ダメだ」
「何で!?」
が俺を抱けると思えない。それに…俺がを思い切り愛したいんだ。誰にも咎められない今ならそれが出来る」
「…」
確かに。
遊星を受け入れるつもりはあるにもかかわらず、抱きしめて反応しなかったら正直非常に気まずい。
だけど、どちらかというとそっちの可能性の方が高そうだ。
言い返せず黙り込むに、沈黙を肯定と取った遊星が体重をかけてきた。
男の体の重みにはひっと小さな悲鳴をあげる。
更に恐怖を煽るのは、押し付けられた遊星の体が既に反応を始めていることか。
太股のあたりにリアルな感触がする。
ぞおっと肌が粟立った。
遊星のことは好きだし、愛の告白は結局嬉しかったけれど、やはりまだ吹っ切れない部分が拒絶する。
「ゆゆゆ遊星!ま、待て…マジで、俺まだ心の準備がっ!」
「待てない。どれだけ待ったと思っているんだ。…優しくするから」
「優しく!?告白の後いきなり盛られて説得力ねぇよ!」
「少し黙るんだ、
「な、っ…んう!」
顎を掴まれて無理矢理に唇を押し付けられた。
柔らかい遊星の唇の感触。
先程の掠めるような一瞬のそれとは違う。
もっとしっかりと、深く重なった。
「んっ…う、……っ」
官能的な感触がぬるりと口内を這う。
初めて知る不思議な感触…ぞくりと背筋に冷たい何かが走った。
じわりと広がる遊星の味。
訳も分からないままに溢れてくる唾液を喉の奥に押し込んだ。
ちゅくちゅくと液体の触れ合うような音がして、ようやく自分が何をされているのかをは知ったような気になる。
「っ、う…、はっ、はぁ…あ…」
どろんと思考が溶かされたかのようだ。
浅く呼吸を繰り返しながら目の前の遊星を見上げる。
「何、すンだよ…」
「聞きたいのか?はっきりと」
「…遠慮しとく…」
諦め気味には顔を遊星から背けるようにして視線を逸らした。
それは諦めや降伏にも似た態度で。
了承を得た(それがやや強引な方法であったとしても)と感じた遊星は遠慮なくの首筋に顔を埋めたのだった。



遊星の体を見るのは別に初めてではない。
そして本当に申し訳ないが彼の体に特別性的な興奮を覚えることはない。
均整の取れた体だな、とは思うが見知った男の体である。
なのに。
「うっ、あ…、やぁ…遊星…それ、嫌だ…っ」
「何が嫌なんだ?…こんなにして」
「はぁあっ…握るなよぉ…っ」
体温が重なり合う感触が悪いのか。
はたまた皮膚の薄いところばかりを遊星が狙い打ちするのが悪いのか。
心とは裏腹に体は遊星に触れられて嬉しい悲鳴を上げている。
床に散らばった二人の衣服すら絡みあって佇んでいた。
遊星の唇がちゅう、との乳首を軽く吸う。
「…ひっあ…!」
びくんとが感じいった瞬間を見逃さず、遊星の手が緩やかにの勃起を擦り上げた。
「…あぁぁあっ!やぁっ、あ…!」
遊星の手の中で跳ねるソレはきっと彼にの快感をはっきりと伝えているのであろう。
同じ男なら、どうすれば気持ち良くなるかも知っている筈だし。
「可愛い、な…。、もっと聞かせてくれ」
「えっ、あ…!あぁぁっ…!!」
やおら体を起こした遊星が握りこんだの性器を口に含んだ。
そんなところを口に入れるなんて信じられない気分だが、ねっとりと纏わりつく遊星の舌が今まで感じたことも無いような快感を生み出す。
口の中で弄ばれては背中をしならせながら荒い呼吸を繰り返した。
「ハァ、っはぁ、ああっ…!うそ、だ…やめ…っ」
快感に支配されそうになりながらも、理性をかき集めて遊星の頭を押し返そうとする。
しかしその瞬間意地悪く遊星はざらざらと裏筋を刺激してはしゃぶり立てるから。
逆に力の入らなくなった手を絡め取られてしまった。
優しく指先を絡められる。
所謂恋人繋ぎの状態にされては気恥ずかしさから更に頬を紅潮させた。
「やめ、あっはぁぁっ、あー…っ、スッゲ…あっあっ!!」
じゅぷじゅぷといやらしい音を立てながら遊星はの性器を唇で扱く。
唾液との体液の交じり合う何かを喉を鳴らして飲み込む様にぞくりとした。
くちゅくちゅと口の中に頬張ったモノを丁寧に舐める遊星の舌使いがいやらしい。
「ゆう、せっ…!やだ、あっ、出る、出るって…!」
止めて欲しくて訴えたのに、予測に反して遊星は更にを口の奥へと押し込んだ。
深く咥え込んではずるりと引き出しそれを積み重ねる。
そして唾液ごとじゅるるっと吸い上げられた瞬間。
「はあっ…だめだ、出るっ、イくぅっ!あぁあぁぁっ!!」
悲鳴に似た嬌声を上げてが腰を震わせると、びゅるっとの先端から生温い液体が放出された。
それは遊星の口の中に容赦なく吐き出されて彼は喉を鳴らしてそれを飲み込んでいく。
「はーっ、はーっ…はぁぁあ…っ」
生まれて初めて他人の口で射精させられたが物凄い快感だった。
余韻にぼうっとするの隙を縫うように、遊星がの足の間に指先を滑り込ませる。
しかしつぷんと指先がの中に埋まった時、余韻が掻き消える程に緊張した。
「うあ…っ、遊星、い、嫌だ…」
「ゆっくりやれば大丈夫だ」
「でも…っ」
「…なら、が口で俺のを抜いてくれるか?それなら譲歩してもいい」
「!」
ぎくりとの体が強張った。
口で。
遊星の。
いや、口に含むことは多分可能だろう。
だけど射精されるとなると…。
想像だけで胸の辺りが重苦しくなった。
「…無理…」
「ああ、分かっているんだ。…意地の悪いことを言って済まない」
確実にNOと答えざるを得ないような条件を提示した自覚はあるが、素直に望みのままを口にしたのも事実だった。
ほんの少し自嘲気味に笑う遊星。
「怖がらないで、俺を受け入れてくれ…」
「っ、あ…!」
遊星の指が慎重に、しかし深く埋まり込んだ
異物感にの体が強張るが、同時に中の遊星の指もきゅううと締め付けてしまう。
どちらかというと気持ちが悪いような感覚があるがは唇を噛んで耐えた。
「痛いか?」
「いや…痛くは…、うあっ…!」
ぐにゅ、と不思議な感覚があった。
内側の壁を探るように遊星が指を蠢かせているのである。
酷くなる異物感には顔を顰めたが、あるポイントに遊星の指が触れた瞬間。
「あっ!!」
びくんと体が震えた。
恐ろしいくらいの快感が一瞬体を駆け抜けたのである。
「な、何だ…今の…」
「…ああ、ココ、か」
「うわっ!や、あぁぁっ!!」
びくびくとの爪先が跳ねる。
強張った体がベッドに投げ出されて弛緩していくようだ。
「なっ、に…、あっ、やだ…!ゆうせ、あっあっ!!」
シーツをきつく掴み背中をしならせる
身じろぐの中は断続的に遊星の指を締め付けては震えた。
「イイ、ようだな」
「はぁっはぁっ、うあ、うそ、やめ…っ!」
中を刺激している遊星が体を屈めたのが目に入る。
何をされるのか分かった瞬間、は与えられるであろう快感を想像して怖くなる。
が、遊星は止まらない。
「ゆうせぇ、っ、無理、や、あっ、あぁぁっ!!!」
直に感じる所を攻められて、勃ちあがり始めたの性器を遊星はまたしてもその口に含んだ。
じわりと滲んだ先走りの粘液を舐め取りながらねっとりと舌を絡められる。
「あぁっ、はぁぁ…っ!」
先程の射精を促すようなしゃぶり方ではないけれど、中と性器を同時に攻められるだけでおかしくなりそうな程の快感がを襲った。
丁寧に這わされる舌が堪らない。
「遊星っ、ゆう、せっ…、はぁっ、あっ!うあぁっ、イイよぉ…っ!」
強すぎる快感でじわりとの目尻に涙が浮かんだ。
理性も崩れ始めている。
口の端から涎が伝うが構うことも無く嬌声を上げ続けた。
ただただこのまま遊星に導かれてイかされてしまいたい。
しかし遊星は意地悪く口に含んだり離したりしながらの性感だけを高めていった。
指はいつの間にか3本に増えている。
「は…、凄いな…こんなにも飲み込んで…」
美味しそうに頬張るの中は少し引き抜こうとすると拒むように収縮する。
それを満足そうに確認した後、遊星はの中から指を抜いてしまった。
「あぁ…っ」
圧迫感が無くなって、は切なげな溜め息をもらす。
僅かに残念そうな響きが含まれたそれは密かに遊星を喜ばせた。
金属音と衣擦れの音を遠くに聞いたような気がして、は遊星に視線を向ける。
遊星はまさに勃起した彼自身を取り出し、に押し付ける瞬間だった。
「…っ!?」
熱い塊が押し付けられた瞬間、現実に引き戻されかけたの体に指とは異質な圧迫感がもたらされる。
「あぁぁあっ!!」
慣らされた体にずぶずぶと熱い遊星が押し入ってきた。
「く、ぅ…っ、…っ、力を抜いて、くれないか…」
「やぁっ、そんなこと、言われても…!」
ぎゅうううと食い込むかのようなの内部を押し広げていく遊星。
抵抗がきつくてなかなか奥まで入りきらない。
「…きつい、な…これならどうだ…?」
言いながら遊星の手がの性器を握りこんだ。
「うはぁっ!あっ、あっ…!ソレ、止め…!」
散々弄ばれ続けた性器をきつく扱き上げられての体がびくんと跳ねる。
快感を感じ少し弛緩したの中を縫うように遊星が腰を遣って自身を全て収めきった。
「嗚呼…、の中は…熱い、な…」
気持ち良さそうに溜め息を吐く遊星とは裏腹には苦しげに顔を顰めている。
「いーから…早く、終わらせろ、よぉ…」
色気も何も無い命令ではあるが如何せんに無理を強いていることを知っている遊星は困ったように微笑んだ後、の顔の横に腕をついた。
近くなった遊星にどきどきしながらもは強気な視線で遊星を見上げる。
負けず嫌いなの雰囲気に遊星はちょっと苛めたくなった。
「急かさなくても、犯しつくしてたっぷり注いでやる」
「んなっ!そ、そんなこと言ったんじゃ…っ」
ニヤニヤ笑いながら囁く遊星の言葉には抗議の声を上げようとするが、その前に遊星がベッドを揺らした。
「っはあぁ…っ!」
ずるんと引き抜かれた瞬間に排泄感にも似た感覚があって、は不快感に息を飲んだ。
しかし改めて挿入される時に、先ほど遊星が攻めたポイントを思い切り刺激されて背中をしならせた。
感じたことも無い感覚の波がの体を攫っていく。
「あっ!あぁぁっ!」
ぞくぞくと感じるたびには中の遊星をきゅうううと締め付ける。
「っ、あぁ…、すごい…っ」
感じた遊星がまたを攻めたてる。
お互いがお互いを感じさせていることに気付けないまま二人は快楽を貪るように体を重ねていた。
「あっ、ゆうせぇ…っ!やぁ、もう触るな、ぁあっ…!」
体の中を犯しながら遊星が性器を握った感触には戦く。
「良いから…!もっと、感じてくれ…っ」
「やだっ!おかしく、あぁぁっ、あっあっ!!」
突き上げられながら勃起を扱かれる感覚は想像を絶する快感をに与えた。
込みあげる射精感を必死で押し殺して波に流されまいと遊星に縋りつく。
「ああぁぁぁっ!ゆうせぇ、やぁぁっ、イイっ、イイぃぃっ!!」
悲鳴にも似た声を上げ善がるの爪がきつく遊星の背中に食い込んだ。
与えられた甘い痛みに遊星は目を細めた。
ともすれば苦しそうにすら見える遊星も限界が近い。
、っ…」
「ゆうせ…ぇ!」
名前を呼び合って唇を重ねた。
その瞬間、遊星の手の中の自身がびくりと脈動する。
勢い良く吐き出されたの精液が抱き合った遊星の体に飛び散った。
「っは…ごめ、俺…イっちゃ…あっ、あぁぁっ!」
射精の余韻に浸る間もなく遊星が激しくの体を突き上げるから、は掠れた嬌声を上げた。
何度かの中を突き上げ、遊星も遅れて絶頂に達する。
「はぁあ…っ」
「う、あ…遊星…っ」
体内に遊星の脈動を感じる。
不思議と愛しいような気分になってはちらりと遊星を見上げた。
眉根を寄せて険しい表情をしているが、快感の表れであることは良く知っている。
こいつでもこんなやらしー顔するんだな…。
不意にの男性的な気分が刺激されそうになるが、流石に同じことを遊星にやり返す元気はもう無かった。








「俺、これが続いたら死ぬかも」
喘がされすぎて少し掠れた声で、は呟いた。
遊星を受け入れるという現実はなかなか過酷な内容だったと思う。
無理矢理に体を繋げた結果がこれか。
起き上がることすら怠くてベッドの上に寝転がったまま、平然と傍に座っている遊星を睨むように見上げた。
「…スッキリした顔しやがって…」
も同じだと思うんだが」
「阿呆か、スッキリ以前に腰が痛くてそれどころじゃねぇよ」
回数的にはの方が多いが、肉体的負担も相当だった。
「…無理をさせたとは、思っている」
遊星の手が伸びてきての髪をくしゃりと撫でた。
労うような仕草。
「…」
思わずそれだけで全てを許してしまいそうになる自分には閉口した。
何だかんだ言って、結局自身も遊星が好きなのだなぁと自覚してしまって。
続いて赤くなってくる顔を隠したくては遊星の手を振りほどいて背中を向けた。
蹲るように体を丸めたに遊星がそっと顔を近づける。
「それでも、好きなんだ。お前が…」
悪いな、これからも宜しく。
小さく耳元で囁かれて、は顔を背けたまま無言で頷くしか出来なかった。










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「キンジキ」は実在する男色小説です。
実際は漢字で表記されているんですが、作者が有名すぎるので検索よけの為にカタカナで。
ついでに「姉の愛の囁きを墓の冷たさに〜」の詩も実在します。大昔のレズい詩。

こんなところまで読んで下さってありがとうございました。