聖夜もお気に召すまま


※固定ヒロインの設定
※時期は敬語を使ってるヒロインがジャックにかなり慣れた頃。




「ええ?クリスマスの予定ですか?それってあたしの?それともジャックのですか?」
「お前の予定に決まっていようが。何故俺の予定なのだ」
そもそもジャックはのリクエスト次第で一緒に過ごすつもりである。
なのでの予定=ジャックの予定、となるはずだとジャックは考えていた。
「あたしは警備でスタジアムにいると思いますけど…」
怪訝そうにジャックを覗き込む
そんな日まで仕事なのかとジャックは少し同情を覚えつつ、それなら特権を使って休みを作ってやるか…などと考えていた。
しかし黙り込んだジャックを見て何かを察したのだろう。
がジャックに苦笑を向ける。
「あの、何となく何を考えているのか分かるんですけど、何故あたしがスタジアムで警備か分かりますか?」
「…!」
その言葉にジャックははっとしたように目を見開く。
「そうですよ。だから最初にジャックの予定を確かめているのかと思ったんです。キングの出場するイベントは14時から。中継されますからね。別撮りは無しですよ」
「っ!」
質問を先回りで返答されジャックは言葉に詰まる。
流石に暫く付き合っているだけはあった。
「終了は18時。その後20時からもう一つ中継のイベントが…」
「…もういい」
ジャックは軽く手を振っての言葉を打ち切らせた。
の為に何でもしてやるつもりだったが、自分が自由にならないのではどうしようもない。
手帳をぱたんと閉じたは、彼女が悪いわけでもないのに少し申し訳無さそうに続けた。
「20時からの番組は22時に終了します。そこからは空きますよ。あたしも、ジャックも」
「…」
「あたしの部屋に来ませんか?二人でゆっくりして過ごしましょうよ」
ね?
の微笑みに慰められてしまったことを理解する。
「……考えておいてやる」
とは言うものの、の提案に乗るくらいしかまともな案はないだろう。
それに彼女に誘われたことはジャックにとっては嬉しい事実で。
気のないような言い方をしているが、正直ジャックとしては彼女と過ごせる口実があるのであれば何でもいいのだ。
まあ恋人のイベントでもあるし、多少は彼女の為に手を尽くしてやりたいが、その時間がないのなら致し方ない。
何だかんだでの部屋も居心地が良くて好きだった。
自身の居城が気に入らないわけではない。
それでも、の部屋は何処にいたっての気配があり、また別の意味でジャックを安心させるのである。
難点を一つだけあげるのなら…風呂が狭いことくらいだろうか。
「好きなもの作りますからね。食べたいもの考えといてください」
ジャックがまだの部屋に行くという事を了承していないのにこの言葉である。
胸の内は筒抜けだったが、決まり悪そうにジャックはふい、と視線を逸らして僅かな抵抗を見せた。
それを、は笑って受け流すのだった。





「うふふ、完璧…」
今日はクリスマス。
兼ねてよりの約束で、たった2時間だけの自由な時間をジャックと二人きりで過ごすことになっている。
とはいえ14時からのイベントに向かうまでには午前中が空くので、はキッチンを借りてケーキなどを焼いてみた。
ふわんと仕上がったスポンジケーキが今正にの目の前にある。
「さーて、冷ましてる間に生クリーム…と」
ちょっと奮発して高いクリームを買ってみた。
生クリームは使用されている脂肪分が植物性か動物性かで泡立たせる手間が全く変わってくる。
高い生クリームは泡立てやすく濃厚で、安い生クリームは泡立てに苦労するがあっさり目に仕上がる。
今回は濃厚な分甘さを控え目に作ろうと思っていた。
中身をボウルにあけたところでジャックがキッチンに入ってくる。
「ここにいたのか」
キッチン自体はジャックの家のものだから、主が入ってきても何の問題もない。
しかしこんなところまでを探しに来るのは珍しい事だった。
「あら、起きたんですか。おはようございます」
「朝っぱらから何をしているのかと思えば…」
「クリスマスですから。あ、そうだ、折角だから手伝ってくれませんか?」
はい、お願いします。
は今から泡立てようと思っていた生クリーム入りのボウルをジャックに差し出した。
急にそんなものを差し出され咄嗟に受け取ってしまう。
「…何をすればいいのかさっぱりわからん」
「泡立ててくれればいいんですよ!はい、泡立て器。これで思い切りかき混ぜてくださいね」
「…」
何故俺がこんなことを、と言う視線を向けられたが、は敢えて無視をした。
ジャックは溜め息を吐きボウルの中に泡立て器を突っ込む。
それを確認した後、は冷蔵庫から苺を取り出した。
「良かったぁ。同時進行で苺のヘタ取り出来ます。もしかしたらこれの時間がなくなるかなーなんて思ってたんです」
「全く。俺を使う女などお前くらいのものだ」
同時に使われてやるのもくらいだ、と思った。
他の人間がこれを求めてきたならば、問答無用で払い除けてやるところだ。
それにしてもデュエルキングがケーキ作りか…。
愛しいに協力を求められたとはいえ、不似合いだろうなとジャックは自嘲気味に思う。
カシャカシャと泡立て器がボウルの底を引っ掻く音がキッチンに響いていた。
「あんまり乱暴にやると飛び散りますから、優しく思い切りお願いしますね」
「…初めてやることにそんな力加減が出来るか…!」
「エプロンします?」
「断る!」
声を掛けてきたの方をちろりと見遣れば、なかなか真剣な面持ちで苺のヘタを器用に取っている。
流れるような動きで、パックの中の苺を摘みあげて手の中へ。
そして繊細な指先が撫でるようにぷつりとヘタを掬い取っては下に落とす。
手の中の苺はまな板の上にちょこんと置かれ、ずらりと並んでいた。
「…ジャック?どうしたんですか?」
ボウルを抱えたままじっと見られている事に気付いたが顔を上げる。
「…いや、器用だな、と思って」
思わず素直に口にしていた。
ベクトルは違うが、記憶の中に手先の器用な仲間がいたことも思い出す。
何故急にそんなことを思い出すのかは分からないが、普段と違うイベントの日というのは人間をノスタルジックにさせるのかもしれない。
褒められた事に一瞬きょとんとしてみせただが、すぐにへら、と締まりなく笑う。
「褒められるなんて嬉しいです。あたし、こんなことくらいしか出来ないから」
「…」
「ジャックは凄いですね。強くて、憧れの人気者…そしてとっても優しい」
「……」
たった今思い出したかつての仲間。
あの男に何をしたのかと考えると、今のの言葉が痛い。
何も後悔はしていないが、に対して負い目を感じないかといえば嘘になる。
「あ、もしかして終わりました?ちょっと失礼しますね…」
黙り込むジャックからボウルを取り上げた
軽く混ぜて感触を確かめ、さらさらと砂糖を投入する。
「うんうん、流石はジャック。力持ちですね!こんなに早く終わるなんて思ってませんでした」
上機嫌に砂糖を馴染ませながらはジャックに笑いかけた。
何もかもを信用し切ってくれる(そしてそうなるようにも仕向けた)には悪いと思っている。
が、もう少しここままでいたい。
「ツノがしっかり立ったら出来上がり、と」
「ツノ?」
「はい、ツノです。ほら、こうやって…」
ぺたんと泡立て器を生クリームの上澄みに押し付けて、勢い良く持ち上げる。
すると引っ張られたクリームがぴんと尖ってその状態を維持して見せた。
「…成る程、ツノか…」
「これが大変なんですよぉ…。手伝ってくれてありがとうございました。そうだ、ジャックが立ててくれた生クリーム、味見しますか?」
そういってスプーンを差し出す
どうせ後で口に入るものだから別に良い、と断ろうとしたが、ふと悪戯心が湧いてきて言葉を飲み込んだ。
「ならば、一口貰うとするか」
「はい、どうぞ!…って、あれ?ジャック…?」
が差し出すスプーンは無視して、先程出来たツノの先端を指先で掠めるように掬い取った。
そしての唇に塗りつける。
「んっ…!」
「じっとしていろよ」
命令を下しながらも、逸らす事が出来ないように顎を掴み、唇を近付けていく。
あれあれ…?と、思いながらもは反射的にきゅうっと目を瞑った。
ぱくんとジャックの唇が被さって舌先が唇を撫で回す。
「んン…っ」
ぺろぺろと撫で回された後、唇を割られジャックの舌先がの口内に侵入してきた。
「ふ、ぅ…、んは…」
甘い吐息を零しながら深くなる口付けを受ける。
ちゅくちゅくと絡まる舌先に僅かな甘み。
混ざり合う唾液を飲み込んで、は惚けたような息を吐いた。
「…なに、するんですかぁ…」
咎めるかのような物言いだが、甘い響きが混じっているのをジャックが聞き逃すはずがない。
からボウルを取り上げて、体を密着させる形でを作業台の側面に押し付ける。
長い腕に絡め取られるように抱き締められた上、首筋に顔を埋めたジャックの仕草にはぎくりと体を強張らせる。
「うそ、嫌、嫌です…!」
「安心しろ、誰も来ない。どうせ14時以降は帰らんからな。世話人には休みを与えてやった」
「えええっ!?」
この家の主はジャックだが、警備を担当している御影やのような人間が常駐しているように、彼を世話する人間が出入りしている。
どうやらジャックはその全てを追い出してしまったようだ。
「現金なものだ。有給と言ってやったら素直に出て行った。だから今この家には俺とお前しかいない。存分に啼いて構わんぞ」
「ぞんぶんに、って…」
呆然とジャックを見上げるに意地悪い笑みを返すとジャックは改めての腰を抱いた。。
スーツのジャケットのボタンを器用に外してブラウスの上からの胸に触れる。
「あっ…!や、待って、ください…っ、やだ…っ」
誰もいないとはいえ普段使用しているキッチンで事に及ばれるのは抵抗があり、は僅かな抵抗としてジャックを押し返そうと試みた。
しかしかなりの体格差。
流石にびくともしない。
その間にもジャックの手はの胸の形を確かめるかのような動きでやわやわと触れてくる。
「やぁ、ン…っ、ジャック…あぁ…」
くすぐったさ中に混じる性の色。
流され始める体が恨めしい。
ジャックによって愛を教え込まれたこの体は、彼の好む形で反応を始めてしまうのだ。
焦れったそうにジャックの手がブラウスの裾を捲り上げる。
「嗚呼、だめ…だめです……」
「そんな声で本気で嫌がっているつもりか?…嘘を吐くと為にならんぞ」
せめてもと口で抵抗を試みるが、躾けられた体の従順さを隠せるはずも無い。
噛み付くようにジャックがの首筋に唇を押し付ける。
「ひゃっ…!あ、ジャッ、ク…」
ちゅうううと強く肌を吸い上げる感触がある。
僅かな甘い痛みにはぞくりと足を震わせた。
しかし、ふと思い至る。
まだ自分はブラウスを着たままで。
その上で痕をつけられたとなると…?
「っ、嘘、やだ…っ、隠せないところに付けましたね!?」
「髪で隠れるだろう。問題ない」
「そんな、だって…ああああ…」
「嘘を吐くと為にならんと言っただろうが」
自ら刻印した赤い痕を軽く舐め、ジャックは満足そうに息を吐く。
「っ…」
ぬるりとジャックの舌が這う感触がまた淡い快感をに芽生えさせるが、悔しかったので声は堪えた。
息を飲むに気付いたのだろう、ジャックは小さく笑っての下着に手をかける。
ぐい、と押し上げられて裸の胸が外気に触れた。
少し寒いと思ったが、それを訴える暇も無くジャックの手が乳房を掬い上げる。
「く、ぅ…んあぁっ…!」
かぷっとかぶりつかれ足元から甘い痺れのような快感が駆け上がってくる。
それを増幅するかのような舌の動きでねろねろと乳首を舐め回され、はジャックにすがりつくように抱きついた。
「はぁ、あぁぁっ…ジャック…、あっあっ…」
敏感に膨らんだ乳首が嬲られるままに舌先で捏ねられている。
足ががくがくと震え、立っているのが辛くなってきた。
「ジャック、やぁ、も…あたし、立って…られません…っ」
「ならばここに乗れ」
軽くを抱き上げたジャックはキッチンの作業台にを浅く座らせる。
普段食べ物を置くところに腰をかけるなんて、と思ったが抗議の声は自らの喘ぎ声によって遮られてしまった。
「はぁあっ、あっ、あ、あァ…っ」
随分目線の位置が高くなったが、元より長身のジャックには全く問題はない。
寧ろ屈む必要がなくなった。
の膝の間に体を押し込み細い腰を抱き締める。
そして、乳房の下辺りに唇を押し付けた。
「あ、ん…!」
またしても、ジャックのものだと刻印される甘い刺激の感覚が。
「は、あ…っ、あぁ…」
ちり、と感じる熱い感覚。
「ここなら文句はなかろう」
「…は、はい…」
先程の自分の台詞と自分の立場を鑑みれば、イエスというしかない
しかしジャックは満足そうである。
そのまま体の中心を辿らせるように舌を這わせる。
つう…と撫でていくと滑らかな舌触りにジャックは煽られる気分になった。
密かに欲望を募らせながら仄かに甘い香りがする肌を味わう。
「はぁ…あ、あぁぁ…」
ジャックが臍の窪みをつるんと撫で円を描くように撫でたかと思うと、柔らかな下腹に軽くかぶりついた。
「うあっ…!」
下腹に食い込む感触はどちらかと言えば痛いのだが、ジャックが与えたものと思えばそれも甘い。
甘い痛みに震えるの太股を撫で、ジャックはのタイトスカートの中に手を差し込む。
下着の上から触れてみれば、既にそこはじわりと湿っていた。
「は、あ…あ、あぁ、…あ、ン…」
意地悪く下着越しに割れ目を上下する指先。
くすぐったさと焦れったさがこみ上げてきて、無意識に腰を揺らす。
もっとイイものが欲しい。
「ジャック…、意地悪…です……。早く…ジャックを…ください…」
頬を染めながら請う姿に充足を感じたジャックは、ようやくの下着を下ろした。
そして自分もベルトを引き抜くと、充血した自身を取り出す。
抱き締めるように体を押しつけられて、は震えるほどの期待に喉を鳴らした。
「望みのものだ。しっかり味わえ」
「あ、あぁぁあっ!」
ずぶずぶとジャックがの中に埋まり込む。
規格外の凶器が収まる感覚は苦しいほどの快感をに与えた。
「ひ、あァっ…!はぁあ、あっ、おっき、いぃ…っ」
「…、っく…狭い、な…」
比較的小柄なの中は、快感の刺激もあり痛いほどにジャックを締め付ける。
それを押し広げながら腰を進めるが、気を抜くと搾り取られてしまいそうだった。
「あはぁぁ…、イイ、イイですぅ…っはぁぁん、ジャック、ジャック…」
内側を広げられる感覚が不思議な快感を生む。
はジャックの首にすがるように腕を回した。
更に密着する柔らかな体が堪らない。
「可愛い奴め。そら、もっとだ…っ」
「うあぁぁっ!あっ、あはぁっ!すご、い…っ、はぁぁ、感じるうぅ…っ」
半端に入り込んだジャックが一気にの中に押し込まれる。
ずぅんと貫かれは背中をしならせ、腰を震わせた。
あまりにも気持ちよさそうなに、ジャックは意地悪く囁きかける。
「実に善さそうだな。このまま、寝室まで連れて行ってやろうか…」
「え、え…っ!?」
衝撃の一言がの耳を掠めた。
今この家に誰もいないのをいいことに、繋がったまま歩き回ろうというのか。
「く、何だ想像したら興奮したのか?物凄く締まったな」
嬉しそうに囁くジャックには首を横に振る。
「そんなこと、ありません…!怖くなって、体に力が…っ」
「ほう?だが…」
ジャックは作業台の上のを抱え上げた。
ふわりと体が浮いたかと思うと自らの体重で更にジャックが深く沈みこむ。
「うあぁんっ!奥…っ、すごいぃぃっ…!!」
「う、く…なかなか、良さそうに見えるが…」
そのまま軽く揺すられた。
普段以上にジャックが深々と到達する。
衝撃にも似たこの感覚には抱えられたまま何度も背中をしならせて声を上げた。
「ひあァっ…!だめぇっ…奥、当たる、あたるぅ…っ!!」
びくびくと跳ねては暴れるを愛おしそうに抱き締めてジャックは更に腰を揺すった。
突き上げるたびに震える中が絡みつくようにジャックを苛む。
「はぁっ、嗚呼、いいぞ…」
「やぁあっ、だめ、あっあっ!善すぎて、おかしく…っ、あ、あぁぁぁっ…!」
自分を抱き締めるジャックの腕を強く掴んだ。
すがっていないと、怖いほどの快感の波にさらわれてしまいそうで。
「イ、ちゃ…っ、ジャック、あたしっ…あぁっ、イく、っ…」
「…構わない、イけ。さあ…っ、見せてみろ…!」
熱い囁きがの耳から脳を揺さぶる。
ぞくりと疼く粘膜の奥を何度も突き立てられて、は絶頂の予感に体を捩った。
とはいえ、抱き上げられた状態では抵抗らしい抵抗など出来はしない。
ぐちゅぐちゅといやらしい音を立てながら楔を激しく打ち込まれ、体が感じるままに追い込まれていく。
「はあっ…ジャック、ジャッ…ク、あっ、イく、イく、っ!」
びくん、との内壁がきつくジャックを締め付けた。
その瞬間、は仰け反りながら体を震わせる。
絡みつくように緩急を付けて苛むの中を更にジャックは何度か突き上げた。
「…っ!」
やや遅れてジャックもの中に熱い欲望を吐き出す。
じんわりと体内に熱い感覚が広がった。
脈動を繰り返しているのも分かって、何故だかすごくジャックが愛しくなる。
「…はあ、あ、…」
改めて作業台の上に乗せられたはくたりとジャックに体を預けた。
「もう…こんなところで…」
「今更だな。気に入らなかったならば寝室で改めて抱いてやろうか」
「なっ…!もう無理です!それにジャックはこれから収、録……」
言っていては青くなる。
セックスに夢中になってしまっていたが、そもそも今は何時なのか。
恐ろしいが時計を確認せずにはいられない。
そろりと自らの腕に視線を落としたは小さく息を飲み、ジャックに向き直った。
「こんなことしてる場合ではありませんよ!早く支度してください!!」
折角のクリスマスだと言うのに、甘い雰囲気などあったものではない。









「何故俺がこんなことを…」
「だって終わる前にジャックが邪魔したんじゃないですか!」
のマンションにて。
クリスマスはもう終わろうとしているのに、とジャックはまだケーキを作っていた。
そもそも朝のうちに終わらせるつもりが、あの一戦で時間がなくなってしまった。
収録にこそ間に合ったものの食事を終えた後の片付けもそこそこに、今に至る。
「でも結構楽しいでしょう?」
が綺麗にクリームを塗りつけたスポンジの上に、不器用にクリームを絞っているジャックに微笑みかけながらは言った。
「…面倒だ」
「ふふ、あたしはとっても楽しいです。何だかんだで付き合わせてごめんなさい」
「…別に、お前が楽しいなら構わない…」
と言うか、実はこれはこれでまあまあ楽しい。
素直でない胸の内はやはり筒抜けなのだが、性格上言わずにはいられないのである。
「はい、苺と…あとね、収録の最中にテレビ局の中でこんなのも売っていまして…。流石に絶賛売出し中のスターは違いますね」
からかうような言葉と共にがジャックに見せたのは、砂糖菓子で出来たジャックのエースモンスターだった。
この季節に合わせたのだろう。
だって不似合いな帽子を被らされているし。
「何だこれは…」
「ケーキ用の飾りです」
「それは見れば分かる」
可愛いでしょう?こんなのもいたんですよ。
続けて取り出されたのはちっちゃな悪魔モンスター。
こういうことに殆どタッチしていないジャックは眩暈を感じながら、いそいそとケーキにそれが並べられるのを見ていた。
「ふざけたものを…」
「まあまあ。こっちがジャックで、こっちがあたしと思えば結構可愛いでしょう?」
「何故俺がダークリゾネーターの方なんだ!?」
指差してくすくす笑う
「冗談ですよ。はい、出来ました」
土台は綺麗に塗られているが、やはり絞られたクリームは大きさがばらばらである。
それでもちょこちょこと飾られた苺と、その砂糖菓子が可愛らしさを演出しているとは思える出来だった。
まあ贔屓目に点数をつけて65点といったところか。
「綺麗ではないな」
「それも手作りの味ですし、ジャックが手伝ってくれたケーキが美味しくないわけないでしょう」
ね?
幸せそうに微笑む
そこに偽りの色はなく、ジャックは毒気を抜かれてしまう気分だった。
「嗚呼、切っちゃうのが勿体無い…。そうだ、画像だけは残しておかないと…」
無邪気に携帯を構えたりなんかする姿は年上とは思えないほどに可愛らしいし。
ふと時計を見れば後15分で今日が終わってしまうことに気付いた。
「おい、悠長なことをしている場合ではないぞ。時計を見ろ」
「え…?あっ、本当だ…!」
電子音が部屋に小さく響いた後、携帯をしまうのもそこそこにはケーキを皿ごと持ち上げた。
それを慎重に机の上に運ぶ。
机の上にはシャンパン用のグラスが伏せてあった。
「っていうか、あたし当然のようにシャンパン用意しちゃったんですけど、ジャックお酒飲めます?」
返事を待つのももどかしくてグラスにシャンパンを注ぐ
「もう入れているではないか…」
「や、飲めないならあたしが」
「飲める」
「何だ、じゃあ問題無しですね。ええっと、改まって何ってこともないんですが…」
ジャックにグラスを渡してははにかんだ笑顔を向けた。
「…ジャックとこうしていられることがとっても幸せです」
そのままぴたりとジャックに甘えるように体を寄せる。
普段はこういうときどちらかといえば遠慮がちなはずのの行動にジャックは高揚感を覚えた。
グラスを一気に煽ってに口付ける。
「んふっ!?ん、く…」
唇を割られて冷えたシャンパンを分け与えられた。
炭酸が口の中をくすぐる。
突然の行動に驚くが、大人しくそれを受けて与えられたシャンパンを喉に流し込む。
僅かなアルコールの香り。
「…お前だけが幸せという訳ではないぞ」
「はぁっ、…ジャック?…」
の手の中のグラスを取り上げて机に置くとジャックはを抱き上げた。
「だが、もっとお互いに幸せになるコトをしようではないか」
「!」
意地悪く笑うジャックにどきんと胸が高鳴る辺り重症なのだろうと思う。
口移しに飲まされたアルコールの軽い浮遊感を感じながらはジャックの首に腕を回す。
寝室のドアが閉まる瞬間、時計の針は12時を指した。







Happy Merry Christmas★

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TV収録とか書いてみたもののそんなモン描写できないのでケーキ作りしてもらいました。
折角キング時代のジャックなのに豪勢なクリスマスじゃなくてごめんなさい。
アンケートのご協力ありがとうございました!
実は番外の彼らも拍手にてささやかにクリスマスを楽しんでおります。
よろしければそちらも是非…。

ここまでお付き合い頂きありがとうございます!

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一仕事終えて。

「ああ、こんな時間にケーキなんてとっても罪悪感…。だけどとっても美味しいですね」
「何故罪悪感なんだ」
「ほら、その…太る…」
「…何を今更それにおまe「ええええっ!嗚呼、あたしジャックにデブって思われてたんですね…!やばいケーキなんか食べてる場合じゃない!明日からもうちょっと菜食中心の…ああでも明日は遅番なんだったぁ…(つまりジャックと一緒に夕飯を食べる)」
「最後まで聞け!」