やさしくしてください 2


あの日以来、アザゼル様の遠慮がなくなった。
今までは本当に手加減してくれていたのね…。
三日と置かずあたしを部屋に連れ込んでは淫蕩な夜を送っています。
今夜もあたしはアザゼル様の腕の中…。
「っ、あァ…はぁ、あぁぁ…」
後ろから抱きしめられて項の辺りに何度もキスを与えられる。
腰に回った好色な腕から伸びる指先があたしのお腹の辺りを撫で回した。
「ん、あっ…くすぐった…、あ、ぁん…っ」
「くすぐったいだけ、か?んン…?」
「…ひゃ、っ」
やわやわとお臍の周りを捏ねるように何周か往復させて辿る先。
つう…と伝い降りる指先にあたしの爪先がぴくんと震えちゃう…。
「あっ、あざ、ぜるさまァ…っ」
くちゅ、と濡れた音を立ててあたしの足の間に埋まり込むの。
そして覚えたばっかりの一番感じるところを指先で引っ掻くように掠める。
「あはぁっ……、そこ…っ」
「大分味を覚えたな…。反応がやらしーぞ」
「やっ、あっ、あぁっ…だって、ぇ…!」
意地悪く円を描いて刺激を強くしていくアザゼル様…。
更に掬い上げた胸も摘み上げてきゅうううってするの。
あぁん…気持ちイイよぉ…っ!
「アザゼルさまっ…」
緩急をつけて触れる指先を自ら求めるように腰を揺らす。
そうしたら耳元で意地悪く笑ったアザゼル様が指を引いちゃった…。
「はぁ…っ、どう、して…」
「これで満足するつもりじゃないだろ?」
体を起こしてあたしを組み敷くアザゼル様が、手を掴んで自分の股間に導いた。
「っ…!」
男性の欲情の象徴に手が触れる。
大きく膨らんで脈打つソレに羞恥心よりも期待と興奮が勝っちゃうあたし…。
「満足するならこっちで、な…」
「あ…ン……」
あたしの足の間に体を捩じ込んだアザゼル様。
押し付けられる熱い感覚にあたしは直後の快感を想像しうっとりと目を閉じた…。











嗚呼、今夜もお呼ばれしています。
何もないのも辛かったけど立て続けも辛い…。
うぅん…贅沢な悩みよね。
だってイッセー周りの女の子たちはリアス・グレモリーに先んずるわけにはいかないからその若い体を持て余して…。
って、何考えてんのあたし…。
とにかく、愛する人に全身で愛されてるっていうのは幸せなことなんだから。
だけど辛いのも事実…ちょっとお昼寝して今夜の体力温存しとこう…って部屋に戻ろうとしたらイッセーの部屋から黄色い声が聞こえてきた。

『い、イリナさん、ダメですよぅ…!』

『ちょっとだけよ。イッセー君がどういう女にコーフンするかアーシアも興味あるでしょ?』

『えええっ!?そ、それはえーっと…』

アーシアとイリナの声…。
教会トリオのゼノヴィアはいないようだけど…。
なんか不穏な会話してるわね。
特にイリナ…毎回堕天しかかってるクセに懲りない単語が混じっているし。
「二人とも何やってんの?」
がちゃっと部屋のドアを開けるとあからさまにびくっとしたアーシアとちょっと驚いた顔をしたイリナと。
「はわわわ、さん…っ!?」
「なんだ、…、びっくりさせないでよ」
「不穏な会話が聞こえたから…何してたの?」
質問をしながらあたしはイリナの持つ本に目を留める。
肌色の割合が多い表紙。
過激なアオリ文…。
これはどう見ても…。
「…ごめん、聞かなくても何となく理解した」
「い、イッセーさんには内緒にしててくださいぃぃ…」
顔を真っ赤にして手で覆うアーシアってば…本当に可愛いんだけど、こんな子と裸で一緒に寝ておいてイッセーなんともないのね…。
逆に超大物なんじゃ…って考えたけど馬鹿馬鹿しい。
童貞でどうしていいか判ってないだけに決まってるわ。
そーでもなけりゃおっぱいドラゴンなんて呼ばれてる訳ないし…。
あれ?でもヴァーリはお尻がどうとかこうとか聞くしね…。
んン?そもそもヴァーリは童貞じゃないんだっけ??どうだったかしら…。
「どうしたの?黙り込んじゃって」
限りなく如何でもいい想像に潜り込んでたあたしはイリナの言葉にはっとした。
「何でもない。アーシア可愛いなって思ってたらなんかだんだん変な方にずれてっただけ」
「はうぅ…か、可愛いなんて…。さんの方がよっぽど…」
金髪美少女に言われると厭味かと思うけど、アーシアの場合それがないから(ってかここまでが計画の内ならもう諦めもつく)素直に受け取らせてもらうことにする。
「ありがと。でもアーシア本当に可愛いから」
「はいはい、悪魔と堕天使で褒めあってないで。っていうか、がいるならこんな雑誌なんかいらないんじゃない?」
「…どういうこと?」
あたしがイッセーのコーフンするツボでも押さえてるっていうのかしら。
最初に耳にした話からするとそうなるけど、残念ながらあたしイッセーのコーフンする女なんて知らないっていうか…。
おっぱいドラゴンって言うくらいだしおっぱい与えとけば良いんじゃないの?(うっわ、自分で言ってて超適当)
「堕天使の総督をおとしたの手腕聞きたいってことよ…!ね、どうやったの?」
「…へ?」
「アザゼルさんのことですね!わぁ、私も聞きたいです!」
「…えっ」
二人がずいっとあたしの方ににじり寄ってきた。
ま、待って…イッセーの話をしてたんじゃないの…。
と、いうか…ゼノヴィアの言ったとおり本当に筒抜けなのー!?
「女関係で堕天した男に唯一を決めさせるなんてすごいと思ってたの。何かコツでもあるの?」
「こ、コツなんて…」
「あのっ、お付き合いってどんな感じなんですか?参考までに教えてください!」
「おおおお付き合いって…」
じりじり敷物の上の後ずさるあたしに二人はぐいぐい寄ってくる。
「あ、アザゼル様があたしを見出してくれただけよ…!あたしは何も…。それに付き合うって言ってもデートも無いし…!」
悲鳴をあげるように搾り出した声に二人ははたりと動作を止めた。
「デートも無い?本当に?」
「う、うん…」
普段は生徒と先生みたいな関係なので気軽にお外でデートなんか出来ないんですよ。
これ実はすっごく不満なんだけど仕方ないよね…。
一回だけ下品なお城に連れて行ってやろうかとは言われましたけどね。
…言えやしないわ…こんなこと。特にアーシアには…。
「あ、あたしなんかよりこっちの雑誌の方がよっぽど進んでるって!」
とにかく二人の追及を逃れたくてさささっと放り出された雑誌を掴む。
動作を止めてる今がチャンス…!のはず!
ばらっと捲ったページの肌色率に眩暈を覚えながらも二人に差し出した。
「…コレをしろってこと?」
「えええっ、そ、そんな…っ!こ、こんなはしたないこと私にはとても…でもイッセーさんがどうしてもって言うなら…でもでも、えーっと…」
はコレをやってアザゼルをどうにかしたのね?」
「…え?」
あたしは改めて自分が捲ったページを改めて良く見てみた。
そこには全裸の女性が赤紫色のモザイクを口の中に頬張る写真が。
さんはこんなことを…っ!!!嗚呼…っ、そ、想像が追いつきませぇん…」
「想像しなくていいのよ、アーシア。想像するんじゃなくて実行するの」
「えええっ、ち、違っ…!こ、これは例えで…じゃなくてっ!」
ふらりとへたりこむアーシアを、イリナは支えてやりながら冷静に言う…けど!
違うの、違うのにー!
そもそもこんなことしたことないー!!!
訂正の言葉を慌てて探してたら部屋のドアががちゃりと開いた。
あたしは思わず持っていた雑誌を自分の後ろに隠す。
「ここにいたのか。3人とも夕飯の時間だぞ」
ゼノヴィア…。
呼ばれて反射的にあたし達3人は頷いた。
そしてそのまま訂正することも出来ず部屋を後にする事になってしまったのである。
…待って、皆に筒抜けなあたし達の関係の噂…これ悪化するんじゃ…。



長い夜が始まる前に。
あたしとアザゼル様は二人して浴槽に体を沈めてた。
最初の夜はあたし一人でお風呂に入っちゃったけど、それ以降はずっと一緒に入ってる。
ぼんやりと水面が揺れるのを眺めながらあたしは今夜もアザゼル様に背中を預けていた。
「なァ…、俺といるのに上の空になるなよ」
「…あ、すみません…ちょっと考え事を…」
「悩み事か?子供ならいつでも認知してやるつもりだが」
「違います!っていうか、こ、子供なんて…っ!ま、まあ…いつかは…可能性もあるかもしれませんけど…」
「これだけヤってりゃいつかはなぁ…」
その自覚が!?
た、確かにあたしも快楽に流されて避妊なんか考えたことなかったですけど…。
「そうじゃなくて…イッセーの愛人たちの間であたしとアザゼル様の関係が筒抜けなんです…」
「何か問題があるのか?」
「ちょっと…恥ずかしいです…。今日だって…」
あたしは今日の出来事をかいつまんで話した。
彼女たちとあたしの名誉のためにイッセーの持ってた雑誌の話は隠しておくことにする。
イリナはともかくアーシアはイッセーにばれないようにしてって言ってたしね。
何処から漏れるか分からないから、ある程度端折って整合性が取れるように脚色しつつ…。
黙って最後まで話を聞いてくれたアザゼル様だけど、話が終わる頃ちょっと苦笑いを浮かべてた。
「それは…所謂只の女の子の会話とかいうやつじゃないのか。そんなに気にすることでもないだろ」
「ええっ!?そ、そうなんですか…?」
そもそもリアス・グレモリーの眷属くらいしかまともな女の子のお友達がいないあたしには衝撃的だった。
そっか…女の子ってああいう会話するんだ…。
……ホントに?
エロ雑誌見ながら(ここはアザゼル様には言ってないから、ここまで入ってるかは分からないけど)エッチな話するの?
なんかそれって違う気もするけど…。
「女は恋愛の話だの噂だの大好きだからな…。はぁ、ところでそろそろ逆上せそうなんだが。出ないか?」
ざぶ、と水面が揺れてあたしの胸を後ろからゆったり掬い上げちゃう好色な手…。
この先の淫蕩を彷彿とする仕草に立てた膝を擦り合わせる。
「あ、アザゼル様…」
「んー?」
「あの……もう一つ…考え事をしているんですけど…」
あたしの頭の中に昼間見た雑誌の写真がフラッシュバックしてくる。
「何だ?」
アザゼル様の問いかけにあたしは小さく首を振った。
「お布団で…」
その言葉にぴたりとアザゼル様の手が止まる。
どうしたんだろって振り返るといやらしくにんまりしたアザゼル様が…。
嗚呼、堕天使の総督様が…って思った瞬間ざばぁっ!!!て、体を抱き上げられた。
「きゃぁっ!アザゼル様!?」
「いっやぁ、若い彼女に求められるっていいなぁ!何でも応えてやるぞ!」
ええええ…そ、そんなに張り切らないで下さいぃ…!!
濡れた体を一瞬で魔法で乾かして(普段は嬉々としてあたしの体をじっくりと撫で回しながら拭いて下さるんですが)お布団へ直行。
どさ、とちょっと乱暴に敷布の上に押し付けられてあたしは恐々視線を上げる。
あたしを見下ろすアザゼル様は興奮気味に呼吸を浅くしていた。
「さぁ…!言ってみろ…!」
「あうぅ…そ、そんな期待されると…つ、つまらないことですよ…?」
「良いから!さあ!」
あぁー…ハードル高いですうぅ…。
でも言わなきゃ始まらないし、始まらなかったら終わらない。
「あ、あのですね…。アザゼル様のを…口に入れてみたいのですが…」
「…」
あたしの言葉にアザゼル様がきょとんと…。
だだだだからつまんないって言ったのにぃ…っ!!
「それは何か、俺のアレをお前の口に」
「はい。…だめでしょうか?やっぱりつまらないですよね…?」
ちょっと好奇心に駆られただけだったんだけど言うんじゃなかったカナ…。
視線を泳がせるあたしの上にアザゼル様が覆いかぶさってきた。
脱力したように少しだけ体重を掛けて沈み込む。
「あ、あの…アザゼル様…?」

「はい…」
「お前はなんて悪い子なんだ」
「えっ」
どういう意味かを問う前に上体を起こしたアザゼル様が唇を押し付けてきたから言葉は出てこなかった。
代わりにくぐもった呼吸が漏れる。
「ん、は…っ、んふ…っ!」
更にゆったりと胸を掴んでふにふにと指を埋め込ませるように揉みしだく。
キスだけでも相当気持ちイイのに胸まで攻められたら…あたし。
「んはぁっ…!あ、は…っ、アザゼルさまぁ…。感じちゃいます…」
背筋がぞくぞくして足の間が切なくなってきた…。
そんなあたしを見下ろしながらアザゼル様は溜め息を一つ。
「お前、本当に何処でそんないやらしい遊びの知識を仕入れてきたんだ…。さっきの女の子の会話か?」
「ん、あっ…は、はい…そうです…っ」
「…女の子同士も良し悪しだな…。いや今回は良くやったと言わざるを得ないか…」
ぶつぶつ呟くアザゼル様が何度もあたしにキスを繰り返す。
抱き締められて密着する体には昂ぶるアザゼル様の感触がぐり、と押し付けられていた。
熱い…。
「分かるか…?期待でこんなになっちまった」
殊更強調するように腰をぐいぐい押し付けられる。
「は、はい…」
「なら頼む。お前を感じさせてくれ…」
「!」
欲情に掠れた声で囁くアザゼル様の声…。
これ聞くと腰が抜けちゃいそうになる。
それでも何とか、体を起こして座るアザゼル様の足元に蹲るあたし。
「…っ」
間近で男性の生殖器を見るのは初めて…。
緊張しながらそそり立つアザゼル様のを両手で掴んだ。
一瞬苦しそうに息を詰めたアザゼル様に怯みつつ恐る恐る唇を先端に覆い被せる。
「う、…」
瞬間アザゼル様の内股が僅かに震えたのが見えた。
は、反応があるってなんかいやらしくて緊張する…っ。
ちゅく…と小さな音を立てて先端を口の中に収めた。
「んふ…ぷにぷに…してまふね…」
不思議…握ってるところはこんなに硬いのに…。
口に物を入れっぱなしも同然だから唾液が零れそうになっちゃう。
じゅるっと唾液を飲み込んであたしは更に深く頬張った。
「んっ…く、おっきくて…ぜんぶはいらない……」
ぬるうぅって口の中を往復させるけど、ちょっと苦しいかも…。
これが本当に気持ち良いのかすらも分からないまま頭と舌を動かし続けてみる。
「ンっ、ふ……ぷは…」
ずーっとは苦しいから、口内から引き出して先端にぺろぺろと舌を這わせた。
ちゅうううってすると何かしょっぱいような気がする。
これがアザゼル様の味なのかな?
そう思うと、体がじんわり熱くなってくるから不思議。
「アザゼルさまぁ…?どーですか?」
ちょっと顔を顰めてるアザゼル様…気持ち良くなかったかな…。
「なかなかイイぜ。特にそのカワイー口に頬張るところとか堪らねぇな」
くしゃ、と髪を撫でて労われるとちょっと照れます…。
褒められたからぱくんと口に含んでくちゅくちゅすると、アザゼル様の手にちょっとだけ力が籠ったみたい。
「っ、ふ…、もう、いいぞ…」
「え…?どうしてですか?まだ…」
その…至っていらっしゃいません。
どうやら何となく言いたいことが分かったらしいアザゼル様は首を軽く振った。
「いや…今度じっくり教えてやる。それより可愛いにご奉仕されて、俺はもう結構キてるんだよなァ…」
ちょっと興奮気味にアザゼル様は改めてあたしの体をお布団に押し付ける。
そして、いきなり胸にかぶりついた。
「はうっ…!」
突然の愛撫にあたしの体がびくっと跳ね上がる。
ちゅうちゅう吸って敏感になったところを優しく舐めるのを繰り返されて蕩けちゃいそう…っ。
アザゼル様の舌が乳首を弾く度にすごく感じちゃうぅ…。
「あ、は…っ、あぁん…っ」
痺れる程の快感が腰を駆け抜けて、あたしは何度も爪先で宙を蹴った。
だけどアザゼル様は更に追い打ちをかけるようにあたしの内股を撫でたかと思うと意地悪く割れ目の部分をゆっくりなぞるの。
そのままくちゅりと湿った感触を掻き分けるアザゼル様の指先…。
「お…」
「あ…っ、やだ…」
「…何だよ、俺のしゃぶって感じたのか?」
ニヤニヤしながらも潜り込んでくるアザゼル様の指が感じる所を直に刺激する。
そしてぬろぬろと胸を這いまわる舌…っ。
くぅん…っ、胸と同時に下まで刺激されたらあたし…すぐに…っ。
「あぁ…っ、だめ、だめ…、気持ちイイっ、あざぜるさまァ…っ!イっちゃ、うぅ…!」
背筋を駆け抜ける冷たい予感。
突き抜ける快感を享受するためにあたしはアザゼル様の腕をぎゅうっと掴んだ。
だけど。
「あ…っ、うそ…どうして…」
絶頂を感じる直前にアザゼル様が指を離してしまった。
解放されなかった熱が体の中でぐずぐずとした疼きを増長させている。
もどかしくも苦しくて、あたしは媚を売るようにアザゼル様を見た。
「っは、イかせて欲しそうだな」
縋るあたしに向けられるアザゼル様の酷薄な笑み…。
「は、はい…イかせてくださいぃ…っ」
「いけない子だ」
おかしくなりそうなほど体の中が熱くって、素直にお願いしてしまう。
そんなあたしの足を軽く抱えたと思うと濡れた入り口にアザゼル様が押し付けられた。
欲望の温度に戦く暇も無く思い切り突き立てられる。
「――っ、あぁぁあっ!!」
打ち込まれる衝撃だけであたしは絶頂した。
体内がきゅうううっと震えあがってアザゼル様のカタチまで分かっちゃいそう。
「く、ぅ…っ、入れただけでイって…いやらしい堕天使ちゃんだな、は…っ」
「そん、なこと…っ、あぁ…っ、あ、ざぜる…さまが…っ」
アザゼル様が仕向けたんじゃないですか!
と、言いたかったけど、体が馴染むより先に腰を遣われて途切れ途切れの喘ぎ声しか出せなくなった。
「はぁっ、あぁぁ…っ!やぁ…、っ」
特に絶頂を感じたばかりの敏感になった体内を蹂躪される感覚は信じられないほど気持ち良くて。
あたしは背中をしならせながら甘くも凶悪な快感を貪った。
「は…っ、きゅうきゅう締め付けてくるぞ…?そんなに俺のがイイか…っ?」
「んぅっ…は、イイ、です…っ。アザゼルさまのが…感じるのォ…っ!」
「良い答えだ…」
あたしの足を持ち上げたアザゼル様が更に深く押し入ってくる。
「あはぁ…っ、それ、だめぇ…!あぁぁっ!!」
腰を回してぐりぐりと先端を押し付けられ、あたしは軽く絶頂を迎えてしまう。
肌が粟立つ程の冷たい快感が背中を駆け抜けた。
「っ、またイったか…は、感じやすいな…」
「いわな…いで、くだ、…っ、あっあっ…!」
敷布が皺になるほどきつく掴んで与えられる快感に必死で耐える。
激しくなる動きにじゅぷじゅぷと濡れた音も比例して大きくなりあたしの羞恥心を煽った。
溢れてくる愛液が体内で掻き混ぜられている。
「はぁっ、はぁっ…も、だめ…っあたし…っ」
感じるポイントを重点的に攻められ続けているあたしの体は限界が近い。
ぞくぞくと込み上げる快感の波が足元から打ち寄せてくる。
「あ、あぁ、っ、やぁ、はげし…っ、あざぜる、さま…!らめ、も、イ…っ!」
アザゼル様があたしの体を一際深く突き上げた瞬間、あたしの体が仰け反って跳ねた。
一瞬の硬直の後に震えながら弛緩する体…。
この瞬間は快感しかなくなって、アザゼル様に縋りながら浅く呼吸を繰り返すだけになる。
イってるあたしの体を何度か揺さぶった後アザゼル様も達したようだった。
体内に淡い欲望の脈動を感じる。
「――、っは…はぁあ…っ」
息も詰まりそうな絶頂を迎えてあたしは体をお布団の上に投げ出した。
い、一回のセックスで3回も絶頂感じたのなんか初めて…。
愛する人の本気を垣間見ました。はい。






「他に変なこと教えられてないだろうな」
「…はい?」
「だから、口で…以外にだよ」
「…!」
一瞬何のことを仰っているのか分からなかったけど、心当たりにあたしは頬が熱くなるのを感じた。
興味本位を口にしたけど、思い出すと結構恥ずかしい。
「教えられてない…と、思いますけど…」
「嗚呼、あーいうことちょっとずつ俺が教えていくつもりだったのによ。まあ、覚えてきて実行するってのは全然問題ないけどな…複雑だ…」
ええええ、そこでそんなちょっと切なそうなお顔をされても困るんですけど。
っていうかどっちにしろ遅かれ早かれあたしは今日の行為をアザゼル様にすることになってたのね。
「あいつらのトコは安全だがこういうとこ危険だよな…。うーん…もうちょっと先にするつもりだったんだけどなァ」
「何のことですか?」
独り言の内容もさることながら、声も大きいのでとっても気になるんですけど。
そしたらアザゼル様はちらっとあたしを見て、ゆっくりと胸に抱き寄せてくれました。
うぅん、この体温…安心する。
、俺と暮らそうか」
「…え…っ」
穏やかに言われた言葉を一瞬理解できなくてあたしは瞬きしながらアザゼル様を見上げた。
「一時的になるがな。俺たちの周りが騒がしくなってきたら俺も忙しくなるからお前を傍に置けなくなるが…多少落ち着いている今なら…」
「…」
「危険を承知でも出来る限りお前を傍に置きたい。俺の我儘聞いてくれるか?」
「…泣きそうです」
「!」
「嬉しすぎて…」
アザゼル様があたしをイッセーの家に置いておくのは、安全だからって知ってる。
あそこは実力者が集まっているし、いざという時に助けてくれる手も多い。
お名前もお顔も有名すぎるアザゼル様を狙ってくる者は限られているけど、限られているからこそ危険だっていうのも分かってる。
それでも、あたしは…。
「…不束者ですが、どうぞ宜しくお願い致します」
「…
そっと顎を持ち上げられた。
続いて優しいキスが降ってくる。
あたしは目を閉じてそれを幸せな気持ちで受け入れた。







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ここまで読んで下さってありがとうございました。