「ルールが変更されたって聞いた?」
いつものように探して誘ったから言葉。
「……いや、初耳だが。は知っているのか?」
「当たり前じゃない。ま、負けなきゃ平気だけどね」
「そうか。とりあえず今日は一緒に行かないか?」
「嫌よ」
きっぱりとした答えに、俺の眉が寄った。
「だけど、遊星が私に勝てたら連れていって上げる」
「二言はないな?」
ディスクを構えた俺にがニヤリとしたのは気になったが、終わってから問いただそうと決める。
……だが、ちゃんと聞いておくべきだったのだ。
「攻撃力1900のスピアドラゴンで、遊星にダイレクトアタック!」
ピーッと無機質な音を立てて、俺の残りLPは100から0になった。
同時に最後の砦も……。
「遊星、全裸にベルトだけはスッゴいそそられる格好よね。細い腰が強調されてつい撫でたくなっちゃう。あ、隠すのはナシね」
「さっき言っていたルール変更とはこの事か……」
「そう。ダメージ受けると服が弾けていくの。理屈は考えないけど、自分がダメージ受けなきゃ済むし」
確かに、目の前の彼女は無傷。しかしこのあと、このままでいられるのだろうか?
負けてしまった俺はついていけない。守ってやれない。
「でね遊星、今日は一緒に行こうか」
「負けたら連れていかないんじゃ……?」
「もともと遊星と一緒に動く予定だったよ? でも、遊星を剥き身にしてから連れて歩きたかったの」
「……それはもしかして、今日1日全裸ということか?」
若干ひきつるのがわかる。
の前での全裸は構わないが、これで街中を歩くのは………。
すると、カシャッという音に続いて左腕が引かれる感覚。
見れば俺のディスクとのディスクが繋がっていた。
「私に繋がって引かれていたら、ディスクで前は隠せないわよね?」
ニッコリと微笑まれ、俺は言葉を返せない。
「とりあえず、私の希望通りに頑張ってくれたら、夕方にはお持ち帰りしてあげるから」
「……それは、俺がの服を剥いでもいいということだな?」
「今日1日頑張ったらね?」
体を寄せてきたは、生暖かな舌で俺の乳首を舐めあげながら、手のひらで俺自身を握って数回シゴいて来た。
我慢しても声が出た。
「あら遊星、こんな街中で犯されかけて感じてるの? でも駄目よ、私は勃ったままの男を連れ歩く趣味はないから。一緒に行きたいなら、我慢してね?」
「……後で腰がたたなくなるほどに責任とらせるからな」
「半分涙目の遊星に、これからが耐えきれるかしら」
「まだイタズラしてくるつもりか!」
「当たり前じゃない。このあと、ジャックを連れたアキと合流するから」
「あら、ちょっと脱がされちゃったのね」
「さすがにね、元キングに無傷ではいられなかったわ。でもさんはやっぱり凄いのね、全然脱がされてないじゃない」
ダイダロスブリッジのたもとで、彼女たちに出会った。
俺と同じように全裸で腰ベルトのみのジャック(俺もだが、さすがに靴は履かせてもらっている)に、上半身下着姿のアキ。
…………ジャック、お前も不憫だな。
「でも、今回のルール変更って言いだしっぺは誰なのかしら?」
「さぁね? でも、いろんな男を裸にできて連れ歩ける分、ちょっとした女王様気分が味わえていいんじゃない? ただし自分が絶対勝てる相手しかデュエルを挑むことはできないけど」
「ちょっと待て! だったら十六夜は勝利を確信して、俺にデュエルを挑んだというのか!」
吠えるジャック。アキは笑顔で『当たり前じゃない』ときっぱり。
「私はこの後ジャックを連れて繁華街に行こうと思ってるのだけど、さんは?」
「カフェで今日のオススメ頼んで、ポッポタイムでゾラさんに素っ裸の遊星を見せつけるの。その後は、見つけた相手にデュエル売って、みんな裸にしちゃう」
「フフッ、さんならたやすいわね。また今度、その時の様子を報告してね」
『じゃあね』と去っていくアキ、俺同様にディスクを繋がれて前を隠せないジャックが嫌々ついて行くのを見送った。
この後のことは思い出したくもない。
が、ルール変更されてしまった以上、外出すれば裸にされる(主にに)。
しかし俺は、夕方の持ち帰りを期待して、毎日のもとに通う。
そして、裸で繋がれて引き回されることに少しばかり快感を覚え始めたなどと……今は言わないでおくことにした。